📉18】─1─児童の早期教育。論理力・言語力。数学・算数。日本国語の読解力。~No.38 @ 

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 2017年3月10日号 週刊朝日「パテカルトの万脳薬 池谷裕二
 早期教育で重視したいこと
 かつて学童時代に誰もが受けたIQテスト。正式にはビネー式知能検査と言います。フランスの心理学者アルフレッド・ビネーが1905年に提唱しました。
 そのビネーが知能を支える三要素として、論理力・言語力・熱意を挙げています。論理的に考えられない人は論外ですが、たとえ論理的に考えても、その内容を人に伝える言語力がなければ外部からは『考えていない』ことと同じです。また論理力と言語力が優れていても、その能力を発揮する熱意がなければ、やはり『できない人』です。三要素のいずれが欠けても知能は成立しません。
 三要素で軽視されがちなのは論理力でしょう。論理とは、数学や物理などです。たとえば親は幼児に対して、絵本を読み聞かせたり(熱意の涵養{かんよう})、これに比べれば計算や図形を教える頻度は随分と減ります。知育玩具や学習絵本のラインアップを見ても、数学や物理に関したものは少数派です。
 ……
 ただし注意してください。私は早期教育を闇雲に推奨しているわけではありません。単に知識の詰め込だけの早期教育は(有害とまでは言いませんが)ほぼ効果がないと思います。
 たとえば、3月生まれのプロ野球選手は4月生まれの約半数です。幼少時の体格差が影を落とすからでしょう。一方、東大生は3月と4月生まれでほぼほぼ同数です。学習の劣等感は、体格とは異なり、十分に克服可能です。と同時に、早期教育の効果が限定的だともいえます。
 なぜなら3月生まれは、4月生まれよりもほぼ1年早くから学習の機会が与えられているからです。1年若い段階で年上の児童と同等の学習カリキュラムをこなしているにもかかわず、東大合格率は変わりません。早くから教育を始めることが絶対的に有効でないことは明らかです。
 ところで、算数と数学の違いをご存じでしょうか。文部科学省の学習指導要領を簡約すると、算数は『数量や図形について知識や技能を身につけ、日常の事象に見通しを持ち、筋道を立てて考える』こと。数学は『数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則についての理解を深める』こと。つまり、算数は生活に役立つ『実学』で、数学は純粋な『学問』です。
 私が早期教育において重視したいことは。いかに早く2桁計算や九九を教え込むかではありません。知識の詰め込みには魅力を感じません。むしろ学習指導要領に書かれた『算数』の理念に引かれます」。数字や図形を使ってどう『筋道を立てて考える』──か。丸暗記ではなく、『論理力』です。幼い頃から正しく考える力を身につけておくことは、その後の成長を助ける底力となるはずです。」



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