⛲203}204}─1─日本企業の海外M&Aの成功30%、失敗70%。失敗・東芝、日本郵政。〜No.521No.522No.523No.524No.525  * 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本企業・日本人経営者は、理系の科学技術能力を劣化させ、文系の経営哲学や理論さらに企業文化をも失っている。
 そして、将来を想像する先見と知見、こうなるであろう未来図を熱く語る言葉さえ失っている。
 日本企業の製品は、昔のような、驚かす斬新さも目新しさもなく、買いたいという輝きも魅力もをなくしている。
 コミュニケーション能力とは、外国語を流暢に話す事ではなく、日本国語で夢を語る事である。
 性能が良い翻訳機が開発されたら、僅かな単語でしか話せない外国語能力など無意味となる。
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 2016年4月号 Voice「海外M&A失敗の本質 歴史と地政学要因による文明の違いを認識せよ  杉山仁
 成功率はせいぜい30%程度
 この2、3年、円安傾向にもかかわず、日本企業による大型海外M&A(合併と買収)が続いている。2015年通年の日本企業による海外M&A金額は11兆円を上回り、前年の9割超の増加ペースで急拡大している。日本企業が成長性の高いマーケットでのシェアを上げるとすれば、海外M&Aは手っ取り早い方法であろう。
 しかし、海外M&Aは買収合意を発表したときは大々的に報じられ、マスコミも囃(はや)し立てるが、買収を完了したあとで、当初の買収目的を実現できている案件はきわめて少ないのが実情である。
 筆者はメガバンク勤務時より転職後の現在に至るまで海外M&Aの仕事に携わっているが、筆者の見たところ、日本企業による海外M&Aで買収後ただちに買収目的を実現できているケースは件数にして10%程度ではないだろうか。買収後数年の努力のあと、ようやく買収目的の実現に至るのが全体の20%であり、これを含めても成功率はせいぜい30%程度と思われる。
 日本の大企業が、大型海外買収を誇らしげに発表したあと、ほんの2、3年で大失敗に終わり、巨額の損失を被っている例は枚挙に暇がない。またM&Aの失敗を隠し続け、減損損失を先送りしているケースも、東芝に限らないだろう。
 ……
 相互信頼か相互不信か
 日本企業のM&A失敗の原因はいろいろ考えられるが、筆者の海外M&A経験に基づく考察によれば日本固有の社会と文化に一因があると思う。 ここで強調しておきたいのは、筆者は日本固有の社会と文化を海外と比べて是非や優劣を論じるつもりはまったくなく、客観的事実として彼我の違いを認識し、これを日本企業によるM&Aに役立てようとする姿勢である。
 筆者の論点は、最近はやりのグローバリズムに基づく日本ダメ論、日本変われ論ではなく、それぞれの民族が地政学の環境において過去数千年に亘(わた)って培ってきた文明と、それに基づく行動の違いを認識することにより、日本企業の海外M&Aの成功率を高めようとするアプローチである。
 日本企業の場合、M&A資本提携の対外交渉にあたり、相互信頼、共存共栄、長期関係の三原則を基本とすると考えられるが、海外企業は必ずしもそうではない。
 筆者の経験では、海外企業はM&A資本提携の交渉時に、いかにしたら自社の利益を極大化できるか、相手の弱みは何か、相手企業に対してどのようにしたら優位に立てるか、という姿勢で交渉に臨む。支配・被支配関係を前提として相互不信と警戒感が先立つのである。
 こういう相手との交渉をする場合、日本人特有の相互信頼の精神だけではで思わぬ落とし穴に落ちかねない。M&Aの最初のプロセスであるトップ会談で、売り手の外国人社長に惚れ込んでしまう日本人社長がいるが、自分が惚れ込んでも、相手が自分のことを信頼して好きになってくれるとは限らない。当たり前のことだが、自分の会社を高く売りたいため、あるいは有利な提携条件を結びたいため、愛想よくしているケースがほとんどである。
 日本では昔から『至誠天に通ず』という言葉があり、こちらが誠意を見せれば相手も必ず誠意をもって応じるという相互信頼の精神があるが、これはおそらく外国人と接したことのなかった日本人の言葉であろう。
 何千年、何万年ものあいだ、土地を求めて異民族同士の殺戮を繰り返してきた一神教ユーラシア大陸の民族(およびその派生であるアメリカ)にとって、相互信頼の精神は育たないのである。
 メソポタミアの粘土板の歴史書にも、ある日砂漠の彼方から砂煙を上げて異民族の大軍が押し寄せ、メソポタミア都市国家を破壊し尽くし、住民を皆殺しにした史実が記録されている。13世紀のモンゴルによる中近東と欧州への進攻もその一例である。
 異民族を見たら敵だ、という発想なのであり、その考え方は21世紀の企業行動においてもユーラシアの人びとのDNAに植え付けられ、基本的には変わっていないことを認識すえきである。
 人間平等主義VS奴隷制
 江戸時代以前より、近江(いまの滋賀県あたり)商人のあいだで『売り手よし、買い手よし、世間よし』という三方よしの商売哲学があった。今風の言葉でいえば、商取引にあたってすべてのステークホルダー(利害関係者)が得するのが商売の大原則という考え方であった。
 この考えは江戸時代に入って石田梅岩が心学として体系化し、『先も立ち、我も立つ』という共存共栄の利を共にする精神を日本中の商人に広めたのである。現在でも日本の伝統的な企業で、社是として取引先と従業員との共存共栄を原則としている企業はいくらでもある。
 共存共栄の精神の基には、徹底した人間平等主義がある。日本ではこの世の人びとは皆平等である、と考えるゆえに富を分かち合うという精神が芽生えたのである。
 これに対して、征服して異民族を殺戮したり、人権のまったくない奴隷として酷使したユーラシアの人びとには、一神教の教えもあり、そもそも人間平等という考えはなかった。有史以来、世界中の文明圏で奴隷制がなかったのはおそらく日本だけではなかろうか。奴隷制があったかなかったかで、その文明の人びとの振る舞いがまったく異なってくるからだ。
 古代民主制といわれるギリシャ都市国家アテネでは、12万人の市民のほかに3万人の外国人と8万人の奴隷を使っていたことが記録されている。
 『民主主義』といっても奴隷には人権はいっさい認めず、家畜と同様に酷使、虐待、虐殺したのがギリシャの『民主主義』の実態である。
 ローマ帝国に至っては、戦争で奴隷になった異民族の男をグラジエイター(『剣闘士』と訳されている)としてコロセウム(闘技場)に追い込み、同じグラジエイター同士をどちらかが死ぬまで剣で戦わせ、これをローマ市民が観覧席から高みの見物をして楽しんだ、という事実は読者もよくご存じのことである。奴隷は牛と同様の扱いであったのである。
 有史以来、ユーラシア大陸の国家と民族では戦争に敗れた人びとは、殺されるか、家畜同然で死ぬまで酷使されるという過酷な運命が待っていたのである。
 この奴隷制を地理的に海外に拡大していったのが、 西欧植民地主義である。16世紀のスペインによるインカ帝国制服を嚆矢(こうし)として広がった西欧の世界中の植民地では原住民の人権はいっさい認められず、原住民はただ殺戮と搾取の対象であったのである。
 つまりユーラシア大陸においては勝者のみが正義、敗者は家畜同然の奴隷とされたのである。
 奴隷制の伝統に基づく勝者独り勝ちの精神は、アップル、グーグル、IBM、ウォルト・ディズニー等の多国籍企業が、徹底した節税スキームで税金の支払いを少なくし、この結果、積み増した利益を株主と経営者が山分けするという行動の原点となっているのである。
 これは日本企業が長いあいだ培ってきた『三方よし』という、人間平等主義に基づいた互恵の精神と正反対のものである。
 最近話題になっている人口知能やロボットに対する警戒感も、奴隷制度があった国と、日本のような人間平等主義の伝統である国では考え方が違うと思われる。ユーラシアの奴隷制度が長く続いた国では、ロボットを奴隷と捉え、奴隷、すなわちロボットの反乱を警戒する姿勢が根付いていると考えられる。
 長期的経営か短期的経営か
 経営者個人の利益を優先するとなると、当然、短期的経営志向となる。
 なぜなら個人が経営者でいられるのはせいぜい数年から10年程度のあいだであり、この間に会社の利益を上げ、個人の手取りを極大化する必要があるからである。
 最近のアメリカの企業による自社株買いも、経営者が設備投資や従業員に対する配分を削ってでも、ROEを高めることにより経営者報酬を増やしたい、という意識の表れといわれている。 
 上位1%の富裕層が所得の9割超を獲得しているアメリカの著しい格差社会化の進行は、独り勝ち短期経営の結果でもある。
 これに対して日本企業の長期志向は、100年以上続く長寿企業が日本では1万5,000社以上(世界で首位)ある一方で、2位はドイツで1,000社以下という統計にも表れている。
 トヨタの水素自動車、東レ炭素繊維、ホンダのアシモロボットやホンダジェット等の世界最先端技術は、これら日本企業のすべてのステークホルダーが30年以上の超長期投資に耐えた結果であり、欧米流短期経営では絶対に開発できない技術である。
 一方、海外企業は超長期投資にすべてのステークホルダーが耐えるということはできず、フォルクスワーゲンの排出ガス不正、GMの欠陥車放置、ノバルティスファーマの実験結果改竄(かいざん)、短期でコストのかからない不正に走ってしまうのである。
 クライシス対策より組織の名誉
 以上のとおり、日本企業の行動原則として、①相互信頼、②共存共栄、③長期経営の3つを挙げ、日本企業にとって、これらの行動原則が通用しない海外企業と交渉する際の弱みになってしまい、これが日本企業による海外M&Aの成功率が低くなっている要因であると考える。
 ユーラシアの民族の行動原則をわかりやすくいうと、『自分だけ、今だけ、金だけ』ということになり、これは日本人の『皆も、将来も、金だけでない』という行動原則と正反対のものである。
 筆者はこれに加え、日本文明に基づく日本企業の共同体志向がM&A失敗の1要因ではないかと考えている。
 日本企業による大型M&Aの場合、社長以下会社全体で買収完遂に突っ走ってしまい、買収完遂が自己目的化してしまい、デューディリジェンスで発見されたリスクに対する対応策や、買収の基本前提となる将来収益見通しとシナジー(相乗効果)実現可能性の慎重なチェックが疎(おろそ)かになってしまうことがよくある。冒頭に挙げた第一三共、LIXIL、丸紅がそのケースであろう。
 また買収後、トラブルが多発しても、社外はもちろん、社長や担当役員以外には社内にも知らせずトラブル情報を隠蔽してしまうケースが多い。その結果、対策が後手に回り、かえって損失が拡大してしまう。
 オリンパスの巨額粉飾事件もこうした背景があったことが明らかになっている(巨額粉飾の事実は代々の社長と担当役員のみに引き継がれていたが、これは現地採用出身のイギリス人社長が、日本から逃げてロンドン都心の警察署に身柄保護を申し出たことから発覚した)。
 まだ世間には公表されていない、こうした潜在失敗ケースはいくらでもあると思う。
 昭和17(1942)年のミッドウェー海戦で、日本海軍が大敗した情報も極秘とされ、国民にはもちろん知らせなかったし、陸軍出身の東條英機首相にもすぐに報告されなかったという話もある。海軍大将山本五十六と海軍全体の名誉を守るためであった。
 日本の大組織の場合、終身雇用制度の下、年功序列人事が現在でも支配的であり、組織の論理が貫徹しやすいため、まず組織の名誉を守ることが、当面のクライシス対策よりも優先するのである。
 組織の名誉を守るという行動は、日本人の共同体志向に基づく行動であり、江戸時代に幕府に対し各藩がお家騒動の不名誉な出来事を隠そうとしていた史実に通底するものがある。
 またそれぞれの組織が失敗とその原因を開示せず、失敗を隠蔽する行動を取るため、M&Aリスク回避策がいつまでたっても企業社会に広く共有されず、同じような失敗がほかの企業でも繰り返されるのである。
 以上述べてきたとおり、日本と海外の企業文化の違いは、筆者は歴史と地政学要因による文明の違いにあると考えている。宗教の異なる一神教の異民族同士が土地を求めて争いを続けてきたのが、ユーラシア大陸の民族の歴史であり、これは現在でもキリスト教徒とイスラム教徒の一神教同士の終わりのない対立抗争として続けている。
 一神教の異民族同士の争いが長いあいだ続くと、当然、相互不信と警戒、支配被支配と奴隷制の世界観、勝っているあいだに収奪する短期志向等の考え方が定着し、現在に至るまで、その文明の人びとの行動様式を支配しているのではなかろうか。
 これに対し、日本列島は大海に孤絶し、海に囲まれていたという地政学上の要因により、ユーラシア大陸からの異民族との武力衝突が元寇を除いてなく、かつ多神教であったため、国内でも大規模な宗教戦争がなかったというきわめて恵まれた環境にあり、ここに縄文時代以来1万年以上に亘り、世界でもまれな日本文明が育まれたのである。
 歴史と地政学により条件付けられた文明というインフラストラクチャー(社会基盤)は、そこに生きる人びとの文化、すなわち考え方と行動様式を規定する。ここからユーラシアの民族と日本人との文化の著しい差が生じたのである。
 グローバリゼーション(地球規模化・全世界化)という耳当たりのよい言葉にながされず、彼我の文化と文明の違いと、そこまら生ずる行動様式の違いに目を向けるべきである。日本企業は自らとは異なる文明の人びととM&A交渉を行っていることを十分に認識すべきである。
 同時に、日本人の共同体志向はクライシスにあたって、クライシス対策よりも共同体組織の名誉を守ることが優先されがちであるため、これが海外M&Aのリスク要因となっていることを、日本企業は率直に認識することにより、海外M&A成功に役立てるべきである」
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 5月21日号 サンデー毎日「幸せな老後への一歩 荻原博子
 経営者の時代錯誤が引き起こした東芝日本郵政の巨額損失!
 日本郵政グループが、2017年3月期連結決算で、数千億円規模の損失を出す可能性との衝撃的なニュースが流れました。
 国内の郵便事業が低迷する中、日本郵政の子会社である日本郵便が、15年オーストラリアの物流会社トール・ホールディングスを高いブランド代も含めて約6,200億円で買収。ところが、収益が上がらず、その損失数千億円を計上するために業績を大幅に下方修正させなくてはならなくなりました。
 海外企業買収で『巨額損失』といえば、連想するのが東芝のウエスチングハウスの買収。この失敗で、日本のエリート企業だった東芝は、すでに死に体になりました。
 日本郵便のトール・ホールディングス買収と東芝のウエスチングハウス買収。実は、この二つの海外企業の買収を積極的に進めたのが、元東芝会長であり、元日本郵政社長の西室泰三氏でした。
 東芝のウエスチングハウス買収については、西室氏が東芝の相談役時代、元駐日大使のハワード・ベーカー上院議員を通して米議会への働きかけを行って買収を成功させたと言われています。トール・ホールディングスについては、社内に多くの危惧があったにもかかわらず独断で鶴の一声で決めてしまった。
 結果、日本を代表するエリート企業だった東芝は奈落の底に突き落とされ、私たちの生活に密接な関係のある日本郵政は、大きな痛手を負わされました。
 幸か不幸か、西室氏が日本郵政でトール・ホールディングスを買収して間もなく、東芝の不正会計が発覚し、西室氏は社長を辞めたので、東芝に比べて日本郵政は傷が浅くてすみました。
 この二つに共通して言えるのは、トップの『経営の見誤り』と『時代錯誤』。
 原発については、世界はすでに、脱原発方向に動きはじめています。チェルノブイリ原発事故以降、環境問題が重視される中、ドイツやスペインなどはすでに電力の3分の1を自然エネルギーが占めています。また、省エネ家電の進化が著しく、電力そのものの需要が今までのように拡大していかない時代になってきています。
 そんな中で、いったん取り付けてしまえばどんどんコストが安くなっていく太陽光などの自然エネルギーに比べ、メンテナンスが大変な原発は、今や高い電力となっています。
 そんな時代の流れを見ずに、ウエスチングハウスというババを引かされたのが東芝でした。
 もし、その金を、自然エネルギー開発に使っていたら、東芝は押しも押されもしない世界のトップメーカーになっていたかもしれません。
 日本郵政についても同じことが言えます。
 運送では通信販売の伸びが凄(すさ)まじく、5年前に比べて3割増し、7兆円市場になっています。結果、クロネコヤマトの過剰労働の状況なども生まれていますが、もし3年前に、国内のこうした状況を予測して、トール・ホールディングスの買収費用を国内基盤の充実にあてていたら、クロネコヤマトを抜いてシェアを広げていたかもしれません。
 会社を生かすも殺すもトップ次第。先見性のないトップがいる会社は不幸だとうことをつくづく感じさせる事件でした」
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 5月18日号 週刊文春「経済  〝西室切り〟でも見えない日本郵政の未来
 『過去のレガシーコストを一気に断ち切って、成長路線へ果断な経営を実行するスタート台に立つ』
 4月25日夕刻に急遽記者会見を開いた日本郵政長門正貢社長はこう弁明した。日本郵政は、2017年3月期決算が赤字に転落すると発表。オーストラリアの物流大手トール・ホールディングスを買収した際に計上していた『のれん代』4,000億円を減損処理したためだ。
 長門社長によれば、『能天気な業績予測に基づき』トールを『少し高く』買ってしまったという。長門氏が、ここまで言うのには理由がある。
 買収を決めたのが、前社長の西室泰三氏だったためだ。西室氏は東芝の社長、会長を歴任した大物財界人。日本郵政のトップに就いたが、昨年3月に体調悪化で退任した。
 『日本郵政は、上場に向けて、株価を上げるための「成長戦略」が必要だった。そこで、西室氏は海外事業の買収に乗り出したのです。しかし、足元を見られ、高値掴みをしてしあった』(金融関係者)
 今回の〝西室切り〟の背景には、別の思惑もある。
 『減損処理を主導したのは、日本郵政の子会社である日本郵便の横山邦男社長です。横山氏は、金融庁の森信親長官に近いと言われ、その意向を受けたものと聞いています』(金融庁関係者)
 というのは、日本郵政の株式の二次売却が控えているためだ。
 『売り出しは7月以降と言われ、売り主である国は、約1兆円を調達する腹づもりでした』(同前)
 トールの負の遺産を一括償却することで、二次売却への影響軽減を狙ったのだ。
 長門社長は『引き続きトールhs国際展開の中核で手離す気はない』として、内外で買収を検討する意向だ。だが、『トール自体も買収を重ねて大きくなった。東芝のウエスチングハウス同様、何が飛び出すかわからない』(前出・金融関係者)との声もある。
 何より、日本郵政グループの足元は厳しい。収益の大半を叩き出すゆうちょう銀行など金融二社は、マイナス金利で運用難。頼みの綱だった海外事業への投資が失敗に終わり、成長戦略は見えてこない。巨額減損で浮かび上がったのは、日本郵政の険しい未来である。(ジャーナル・森岡英樹)」
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 稲村公望「私が現役だった頃は、郵便局で1円でも懐に入れたら懲戒免職になっていました。サラ金に手を出した職員がいれば、それも解雇した。郵政公社時代からの職員には、国民の大事なおカネを預かっていることへの強烈な自負がありました。だから、おカネに関する不祥事には非常に厳しく対応してきたのです。
 それが、どうしたものでしょう。いまの日本郵政は4,000億円もの損失を計上したにもかかわらず、長門正貢社長をはじめ経営陣は誰一人として、まともに責任をとろうとしません。巨額損失の元凶である西室泰三・元社長にいたっては、一切お咎めなしです。
 彼が失った4,000億円は、もとはと言えば国民からお預かりした大事なおカネ。それを浪費しながら、のうのうとしている首脳陣の姿は見ていられるものではない。特に巨額損失の全責任を負うべき西室氏に対しては怒りを感じます。
 東芝社長や東京証券取引所会長を歴任してきた西室氏が安倍政権から請われて日本郵政社長に就いたのは、いまから4年前の13年のことです。西室氏は就任時からさっそく、『世界全体を俯瞰した物流業を作り上げる』『日本の金融業界、物流業界の最先端を行く企業になる』と語っていました。
 当時、郵政の株は政府が保有していましたが、上場の際にはその一部を売却して、東日本大震災の復興財源に充てることになっていました。上場時に投資家にたくさん株を買ってもらうため、西室氏は郵政が将来にわたり成長していくバラ色のシナリオを描く必要があったのでしょう。
 とはいえ、郵便事業というのは急速に成長していくビジネスではない。そこで西室氏は、内需企業であった日本郵政に、『物流参入』や『グローバル化』という新しい成長戦略を売り物として加え、箔をつけようとしたのだと思います。
 ……
 しかも、郵政社員には物流事業のノウハウもないので、うまくいかないことは目に見えていた。私が日本郵政公社の常務理事時代にも海外物流会社と提携する話が浮上したが、当時の生田正治総裁に『この会社と組むべきではない』と進言し、結局ご破算にした経緯もある。
 アメリカでも郵政公社は郵便に特化し、物流に手を出していない。これが世界の常識。ところが西室氏を始めとする電機メーカーや銀行出身の日本郵政首脳陣はその違いすらよくわからず、無理やりに突っ走った。
 トール社を買収するに巨額の資金が必要だったので、その資金捻出のために『ウルトラC』をやったんのです。そのスキームというのは上場前の14年に実行されたもので、親会社の日本郵政が所有するゆうちょ銀行の株式を、ゆうちょ銀行に買い上げさせるもの。ゆうちょ銀行に自社株買いをさせて、1兆3,000億円ほどあったゆうちょ銀行の内部留保日本郵政に吸い上げさせた。
 自社株買いは制度的に認められているものとはいえ、このような大規模な『資金還流』は本来なら許されないものです」
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 5月26日号 週刊朝日東芝に続き日本郵政も巨額損失
 海外投資でだまされる日本企業
 よく調べないまま焦って買い物をすると、『ほんとうはもっと安く買えたはず』と後で後悔することがある。企業の買収だと後悔どころでは済まず、数千億円もの巨額損失につながる。東芝日本郵政など日本を代表する企業が、海外企業の買収で相次いで失敗した。
 5月12日、日本郵政による不動産大手『野村不動産ホールディングス』の買収検討が報じられた。郵便事業は人口減少や電子メールの普及で伸び悩み、企業買収で不動産事業を新しい収益の柱にしたい考えだ。
 ただ、日本郵政は買収の失敗が表面化したばかり。2015年、傘下の日本郵便を通じて豪州の物流大手『トール』を6,200億円で買った。豪州の景気低迷もあって業績が想定より悪く、17年3月期に約4,000億円の損失を計上した。
 日本郵政は17年3月期決算が400億円の純損失になる見通し。赤字は07年の郵政民営化初めて。長門正貢社長は『買収価格がちょっと郄すぎた。見通しが甘かった』と認めた。同社株式の8割は政府が持ち、国民の財産が損なわれたことになる。長門社長ら役員が報酬の5〜30%を6ヵ月間返上する。
 旧郵政省出身の稲村公望・元日本郵便副会長は『トールは資源などの物流会社で、日本郵政とは事業内容がまったく異なる。統合によるプラス効果は期待できなかった。海外事情に詳しい幹部がほとんどいないのに、無理して急いで買った。新たな買収は失敗を検証してからにすべきだ』という。
 買収を主導したのは、日本郵政前社長の西室泰三・元東芝社長。15年の買収時の会見で『うまくいかない場合は、潔く私ども経営陣としては失敗を認め、それなりの対応をさせて頂くつもり、覚悟であります』と述べていた。企業買収の経験に関する質問に対しては、東芝による米原発大手ウェスチングハウス(WH)買収を挙げ、『私自身、(東芝の)社長のころからウェスチングハウスの買収が、宿願でありました。いろんなハードルがありましたけれど、克服してやったというのが一番大きな経験です』と語っていた。
 06年にWHを買った東芝はどうなったか。15、16年度でWH関連で1兆円近い損失が見込まれ、今や解体の危機。買収を具体的に進めたのは当時の西田厚聡社長らで、西室氏だけが悪いわけではないが、経営判断が問われる。旧東京銀行出身で経済学者の菊池英博氏は経営陣の知識不足と無責任体制が背景にあるという。
 『買収案件を提案するのは欧米の限られた投資銀行。お金があり、海外の投資したがる日本企業は、いいカモだと思われている。経営トップが判断ミスをしても責任を取って辞めないため、失敗が繰り返される』
 金融や企業買収に詳しい真壁昭夫・法政大大学院教授は、企業を買収すれば手っ取り早く成長できるとの考え方に警鐘を鳴らす。
 『国内市場が縮小するなか、海外へ活路を見いだす企業は多い。成功することもあるが、買う企業の情報を正確に把握するのは難しい。企業はやはり、時間をかけてでも自前で事業や技術を育てる努力が必要だ』」
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海外企業買収 失敗の本質: 戦略的アプローチ

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海外大型M&A 大失敗の内幕

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買収ファンド―ハゲタカか、経営革命か (光文社新書)

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?}202}─1─日本企業のグローバル化とは、忠臣蔵的経営モデルを破壊し消滅させる事である。武田薬品。~No.519No.520  * 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 
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 2019年3月2日号 週刊現代「本社ビルまで売り払って武田薬品の社員は幸せか
 すべては事業拡大のため。
 でも何のために会社があるのか、それがわからない・・・。
 実直な家族経営が強みだった武田のトップは、外国人プロ経営者に。急激なグローバル化と巨額買収で、会社の雰囲気は様変わりした。これまで武田のために頑張ってきた社員たちは、どんな思いなのか。
 幹部はほとんど外国人
 大阪・心斎橋から1Kmほど北上した中央区道修町(どうしょうまち)に、武田薬品工業の創業の地はある。まさに『船場のど真ん中』といえる道修町は、武田が1781年に創業する以前から『薬の町』としてにぎわってきた。4丁目1番地には『武田御堂筋ビル』がそびえている。
 だが今年、武田薬品は歴史ある地を自ら手放す決断をした。老舗のシンボルともいえる御堂筋ビルを、海外の投資ファンドに売却することが決まったのだ。
 『売却した御堂筋ビルは、賃貸に切り替えて引き続きオフィスとして使うことが決定しています。武田薬品は18年7月に東京・日本橋に「グローバル本社」ビルを開所し、世界的な拠点とすることを発表しました。大阪本社の名称は残すものの、実際の本社機能は形骸化したといえるでしょう』(全国紙経済デスク)
 ビルの売却により、武田は約380億円を手にする。武田の17年度連結売上高は1兆7,700億円。本来であれば、400億円弱の捻出に本社ビルを差し出すほどに逼迫(ひっぱく)していない。だが、少しでもまとまったカネを作らなければ、株主にそっぽを向かれかねない事情がある。昨年製薬業界を大きく揺るがした、総額6兆2,000億円という前代未聞の買収劇が尾を引いているからだ。
 アイルランド製薬大手・シャイアー社の買収により、武田は日本の老舗製薬会社から、世界10指に食い込むメガファーマへと姿を変えた。主導するのは15年からCEOの座に就く、クリストフ・ウェルバー氏(52歳)だ。
 230年続く武田の強みは、秀でた開発力と卓越した経営にある。血の通った家族経営主義があったからこそ、従業員が3万人近い大企業になってもアットホームな社風が受け継がれてきた。
 とはいえ、後発医薬品ジェネリック)の登場もあり、新薬開発競争は激化する一方だ。
 製薬業界に詳しいサイエンスライター佐藤健太郎氏はこう語る。
 『莫大な研究費と人材が必要なバイオ創薬の時代を迎え、世界のメガファーマは自前の研究員を削減し、代わりに高い技術を持つ企業を買収して成長するビジネスモデルへと転換しました。しかし、武田も買収路線に乗り出したものの、成功しませんでした』
 ウェルバー氏は、創業家が考えもしなかったようなビジネスライクな手法で武田を作り変えていく。
 『彼が社長になってから、社内の雰囲気はガラッと変わってしまいました。経営幹部20人のうち、日本人はわずか4人しかいません。200年以上続く日本企業が、ですよ。
 この背景には、長谷川閑史前社長の「挫折」があります。長谷川さんは創業家武田國男元会長に「日本の良さを残してグローバル化してくれ」と言われ、相次いでM&Aを仕掛けましたがいずれも失敗。結果、ウェバー氏を招きましたが、彼の改革は武田の理念を完全にひっくり返すものでした。外国人を大量に登用し、日本の優秀な営業や研究者を次々とクビにした』(武田薬品幹部)
 自分だけ逃げたプロ経営者
 突如現れたプロ経営者の改革に、元からいた社員の多くは置いてけぼりになった。武田國男元会長の『日本の良さを残す』という意思が抜け落ちてしまっていたのだ。
 時価総額でいえば、シャイアー社と武田の開きは1兆円超。いわば『小が大を飲む』買収劇で、有利子負債は5兆4,000億円にも積み上がった。08年まで無借金経営を続けてきた『超優良企業』は、ものの10年で借金だらけのリスク経営へと姿を変えたわけだ。
 事業拡大や多額の買収で、経営陣や株主がリスクを背負うのは当然。だがいちばん頭を抱えているのは、身を粉にして働いてきた武田のプロパー社員たちだろう。
 新経営者のグローバル志向により、彼らの職場は180度変わった。オフィスでは英語必須、手が届きそうなポストは、中途採用の外国人が次から次へと押さえていく。
 武田薬品中堅幹部は苦しい胸の内を明かす。
 『会議は基本的に英語ですが、これは役員が英語しか話せないからです。どんどん外国人社員は増えていますし、日本人の中途採用も海外駐在経験者や外資系出身者ばかりです。どれだけ優秀でも、英語ができなければ社内で会話すらできない。
 上司と社員とのコミュニケーションが取れているとはいえません。シャイアー社の買収は、一部の幹部以外にはまったく知らされていませんでした。これだけ大きな買収話にもかかわらずですよ』
 ウェルバー氏の年俸は12億1,700万円。側近の外国人取締役もヒラ社員とは比較にならないほどの高給取りである。それだけのカネをもらっていながら、15年にはCFOのフランソワ・ロジュ氏が就任後、わずか2年でネスレに移籍した。M&Aが相次いで失敗し、具合が悪くなったのだろう。条件次第ですぐ他社になびく幹部がゴロゴロいるわけだ。
 社員が消えて会社が残る
 新経営陣がグローバル化とともに推し進めているのが、徹底した人員削減だ。
 神奈川県藤沢市には、06年に1,470億円を投じ、『東洋一』を称していた湘南研究所がある。建設の際、創業の地である関西を離れ、東京ありきで事業拡大を進めているとの批判を押し切った。
 だが、そんな湘南研究所にもかつての活気はない。早期退職で優秀な研究者が流出し、人数も3分の1に削減された。空いたスペースには現在、24の企業と研究所が入居している。トップシークレットの中のトップシークレットである研究拠点を他社に貸し出すほど、現場の研究者にとっては考えられないことだ。
 『研究者にしてもMR(医療情報担当者)にしても、信頼されるためには他社を上回る知識と士気が必要です。でも、今の武田にはそれを維持するモチベーションがない。優秀な若手はいても、どこかシラけちゃったところがある。「外国人じゃないと出世できない」とか、「どうせウチは、外資の日本法人みたいなものですから」なんて、酒の席で冗談めかして言うんです』(武田薬品社員)
 経営コンサルタント小宮一慶氏は言う。
 『外国人経営者がやってきて大ナタを振るうケースでは、日産のカルロス・ゴーン氏が前例としてあります。ですが当時の日産は倒産寸前で、一方、武田の業績は伸び悩んでいるもののまだ潰れるほどではないといえます。生き残りのためには必要だったとしても、急激なグローバル化に不安を感じる社員は多いでしょう』 
 かの実業家・松下幸之助は『企業は社会の公器である』と言った。自社の利益を追求するだけでなく、社会に貢献するような経営であるべきだ、と。この『社会』には、当然社員も含まれる。
 もちろん会社を大きくすることは大事だ。だが、社員が幸せであるからこそ、わざわざ会社という巨大な組織を作り、汗水流して働く意味もあるのではないだろうか。
 先述のとおり、武田の人員削減は猛スピードで進んでいて、17年から3年で3,000人を上回る社員が会社を去る予定だ。転職先にツテのある30~40代の中堅社員は、我先にと動き始めている。
 前出とは別の武田薬品幹部は次のように内情を明かす。
 『グローバル企業を目指すうえで、経営陣は国内の卸売りと交渉する部署や、厚生労働省と折衝する社員はムダと認識しているようです。要職は外国人に押さえられているので、出世も日本支社の支店長か企画部長がせいぜい。なんのために頑張ってきたのかと、落胆する同僚も少なくないです。
 ただ、武田に惹かれて入ってきた社員を簡単に切るとは、外国人経営者といえどもできない。ではどうするかというと、いったん子会社に出向させ、会社ごと売却してしまうんです。昨年6月に売却したブラジルのマルチラブ社もそうですし、「アリナミンV」などを製造している武田コンシューマーヘルケア社をグループから切り離す話もちらついています。シャイアー社を買うために、これまで持っていたモノを片っ端から売り飛ばしているのがいまの武田の姿といえるでしょう』
 会社にとって、事業拡大が必要なのはわかる。株主に納得してもらうために、目に見える結果を出さなければならないのもよくわかる。だが、そのために社員を次々に切り捨てて大きくなった会社は、はたして何のために存在するのか。
 会社のポテンシャル以上に成長を手に入れるために、経営陣は本社ビルやたくさんの人材、そして長年の伝統が築き上げた社員の愛社精神を犠牲にした。いくらカネを積んでも、これだけは取り戻すことができない。
 『社員がいちばん憂鬱なのは、シャイアー社買収が大コケするのではないかということです。シャイアー自身もM&Aを重ね、負債を抱えるツギハギ企業であり、有力薬の一部はあと数年で特許が切れてしまう。焼き畑農業のような社内改革を進めて、シャイアーがうまくいかなかったら武田も共倒れなのは間違いないですから』(前出・武田薬品幹部)
 『将棋の駒じゃないんだ』
 ウェルバー氏は『2025年まで経営にかかわる』と宣言している。しかし、前出のロジュCFOのように、シャイアーの業績が悪くなれば、彼も逃げ出すかもしれない。
 社員になにかあれば会社が身を挺して守るのが本来あるべき姿のはず。にもかかわらず武田は、大勝負に出るうえでこれまでの社員は必要ないと見て取れる采配が続いている。
 OBや創業者を中心に発足した『武田薬品の将来を考える会』は、この現状に憤りを隠せない。
 武田薬品工業OBで、創業家の縁戚にあたる原雄二郎氏はこう言う。
 『「誠実・公正・正直・不屈」。「タケダイズム」という、社員を大切に守ってきた経営理念です。ウェルバー氏は事あるごとにタケダイズムを口にしますが、彼らがやっていることはまるで逆のこと。ほとんど日本にもいない外国人経営陣が実権を握っているのは、いったいどういうことなのでしょうか』
 元武田薬品工業品質管理部長の川村邦夫氏もこう苦言を呈する。
 『株主には4%近い高配当を出していると言うけれど、不動産や株式といった本業以外の売却益で維持している。その資産は本業による努力の結晶です。これまで社員が頑張って培ってきた、製薬メーカーとしての企業理念はどこに行ってしまったんでしょう』
 同じく元社長に仕えた脇田巳代治氏も渋い顔で本誌取材に答えた。
 『武田は「石橋を叩いて渡らない」なんて揶揄されながらも、堅実にやってきた企業なんです。経営家族主義で血の通った商売が売りだったのに、ウェルバー社長はそれを根本から変えてしまった。社員たちはまるで将棋の駒のような扱いですよ』
 合理的なグローバル経営が行き過ぎて、カルロス・ゴーン氏のように強欲の権化となって例もある。武田のプロ経営者たちは、社員の幸せが事業の基盤にあることがわかっているのだろうか」
   ・   ・   ・   
 世界は、グローバルなチェスのゲームルールで動いていて、ローカルな将棋のゲームルールは通用しない。
 将棋の駒は同じ盤上で再起・復活するが、チェスの駒は別の盤上で勝利を賭けるしかない。
 つまり、将棋は弱者・敗者に優しい寛容なゲームであるが、チェスは弱者・敗者に容赦なく排除する過酷なゲームである。
   ・   ・   ・   
 グローバル社会では、昨日までは社員として会社に席があったのに、今日出社したらいきなり生産性が悪い、業績を上げていない、ノルマを達成していない、無能者はいらないとしてクビを言い渡されて、荷物をまとめて追い出されるのが日常茶飯事である。
   ・   ・   ・   
 グローバル化した日本から葬られるのは、祖父母や親から子へそして孫への世襲と先祖代々の老舗である。
 日本的創業家や家元は、時代遅れの愚物として消滅させられる。
 過去(祖先)と現在(自分)と未来(子孫)との縁や絆やつながりの断絶である。
 リベラル派・革新派・エセ保守派・一部の保守派は、法人税を引き上げて大企業への課税を増やそうとしている。
   ・   ・   ・   
 日本は、食糧・資源・エネルギーをアメリカの支配地域や影響下諸国で購入し、金融・通信・情報・サービスをアメリカに依存し、交通・運輸・輸送をアメリカ軍の保護下で安全に行っている。
 日本は、アメリカの軛から解放される事はない。
   ・   ・   ・   
 日本のグローバル化によって。
 製造業界は、労働力不足と人件費削減の為に外国人移民を求めている。
 外国人プロ経営者が日本経済界に増え、会社幹部に優秀な外国人人材が増えていく。
 外国語を話せる日本人は外国人上司の部下になり、外国語を話せない日本人は無能力者として国際的会社から追放される。
 左翼・左派・ネット左翼は、世界の潮流を止める事ができない。
 右翼・右派・ネット右翼は、世界の潮流が理解できない。
 世界の潮流に乗らなければ、バスに乗り遅れると、日本は負け組として貧困化し衰退していく。
 日本民族日本人、日本人日本企業は、守るべき価値があるのか。
   ・   ・   ・   
 日本の忠臣蔵的組織の代表が負け組の毛利家で、関ヶ原の戦いの責任を取らされ、領地を大幅に減らされたが家臣を減らさず、石高が減り貧しくなるのも致し方ないと諦めて甘受した。
 10カ国、112万石から2カ国、36万9,000石。
 主君、御家と共に行動して、極貧や窮地に耐えるのが、誠の武士・サムライであり、真の武士道である。
 武士・サムライの生き様とは、赤貧思想に基づく「武士は食わねど爪楊枝」である。
 長州藩(現・山口県)の武士達は、庶民より貧しかった為に、庭を畑にかえて耕し、百姓や商人から仕事を分けてもらい内職でわずかな現金を稼いだ。
 武士は、副業・内職に励んでいた。
 毛利家とは逆の代表が、勝ち組の加藤嘉明を藩祖とした会津・加藤家であった。
 10万石から43万5,500石。
   ・   ・   ・   
 少子高齢化日本民族日本人の人口が激減して外国人移民が増加すれば、価値観が違う異文化で日本は激変する。
   ・   ・   ・   
 日本企業が貯め込んでいる内部留保は、会社の生き残りを賭けたM&A資金である為に、いつリストラするか分からない社員・従業員の給料アップには使われない。
 もし、社員・従業員に使うとしても、中途採用の優秀な人材の高給に使う。
 日本企業にとって、そこそこの才能しか持たず英語が話せない生え抜き社員・従業員は必要ない。
   ・   ・   ・   
 御上に従順な日本人は、経営者や上司が日本人ではなく外国人でも気にはしないし、人間ではなくAIやロボットでも与えられた仕事をこなす。
 その好例が、GHQによる日本支配である。
   ・   ・   ・   
 日本の将来は、極貧に苦しむ毛利家なのか、領地を返上して自主廃藩した会津・加藤家なのか。
   ・   ・   ・   
日本産業界の中央公用語は英語などの西洋語で、日本国語は地方の現場用語となる。
   ・   ・   ・   
 日本企業の発展への足枷手枷は、日本経営モデルである、終身雇用・年功序列・一括採用・毎年昇給であった。
   ・   ・   ・   
 大企業と言っても、ローカルな日本資本・日本企業・地域企業とグローバルな国際資本・欧米企業・多国籍企業とは違う。
 左翼・左派・ネット左翼は、「味噌もくそも一緒」的貧困・貧弱な認識力から、その違いが分からない。
   ・   ・   ・   
 グローバルを目指す現代の日本企業は、社員・従業員を労働者と見なして、必要な時は増やすが必要な時は解雇・リストラし、社内に人材がなければ社外から人材を招き社員・従業員をその下に置いて使役する。
 グローバル化した企業は、労働者を使い捨てにして大事にしない。
 そして、賠償金額など条件がよければ、社員・従業員を気にせずに企業を外国資本や大企業に売り払う。
 愛社精神や忠誠心の低い社員・従業員は、日本資本から外国資本、中小企業から大企業に移る事を歓迎した。
 労働組合も、給料が上がり、組合員が増える、として身売りに反対はしない。
   ・   ・   ・   
 グローバル化とは、自由主義・資本主義・共産主義マルクス主義)・ファシズム国家社会主義・ナチズムなどと同様に、西洋キリスト教文明圏の排他的不寛容な価値観から生まれた。
   ・   ・   ・   
 少子高齢化による人口激減で、消費者は減少し、日本国内市場は縮小する為に、日本企業は行商人よろしく国内販売を諦めて海外市場に日本製品を売り歩かねばならない。
 日本経済を支えてきたのは、6割以上の国内消費である。
   ・   ・   ・   
 日本企業文化はグロール化によって、上方(京・大坂)の浪花節的な義理人情・家族主義・愛社精神は消え、先祖代々の老舗は無価値となり、子孫は継承意義を失う。
   ・   ・   ・   
 会社は、株主の利益を生み出す機械である。
 重役や社員は、株主の為に利益を上げる存在に過ぎない。
 会社には、人間はいらない。
 人を中心とした量より、利益を上げる質である。
 求められるのは、利益を上げる生産効率の高い、生産性の優れた人材である。
 採用する人材は、日本人とは限らない。
   ・   ・   ・   
 日本民族日本人の良さは、グローバル社会において通用しないどころか有害である。
   ・   ・   ・   
 利益を上げる会社にとって、資本が外国資本でもよく、株主が外国人でもよく、社員は優秀であれば日本人であっても外国人であっても、かまわない。
 日本人だからといって外国人より優遇し保護し便宜を図り助けないのが、グローバル社会において当たり前の事である。
 才能のない日本人は才能ある外国人の部下になる、それが正しいグローバル社会である。
 日本人だからと言って特別視していては、日本は弱肉強食の国際市場では生き残れない。
   ・   ・   ・   
 日本民族日本人が激減し、外国人移民(主に中国人移民)系日本人が急増すれば、日本は世界的に当たり前の国、普通の国になる。
 それが、日本が目指す多民族多宗教多文化共生社会である。
 その為に実行されるのが、外国人移民(主に中国人移民)の受け入れ拡大である。
   ・   ・   ・   
 グローバル社会・多民族多宗教多文化共生社会において、世界で通用しない日本人の経営者・企業家や社員・従業員はいらない。
   ・   ・   ・   
 日本人は、日本人は世界で好かれ愛されている、信頼され信用されているという、根拠のない偶像神話を捨てるべきである。
 さもなければ、日本は生きていけない。
   ・   ・   ・   

⛲201}─1─国際資本・外国企業系列下の日本企業の社内公用語は外国語。日産。シャープ。No.517No.518 *   

日本買い 外資系M&Aの真実

日本買い 外資系M&Aの真実

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 全ては、時代の流れである。
   ・   ・   ・   
 2017年3月17日 週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け 藤巻健史
 ……
 2月10日のNHKニュースで『日本企業がメキシコに進出している』とのリポートが流れた。『TOYOTA』の次に紹介された映像が、『NISSAN』の看板。エ、エ、エ、日産って日本企業なのか?
 日産は外国人株主の比率が約7割。大株主をみると、ルノーが43.4%と最も多い。2015年度の総生産台数は520万台で、うつ国内生産は85万台。残る435万台は海外で、推測する従業員も外国人のほうがよほど多いだろう。
 以上、様々な観点からみて、日産は外国企業といえるのだ。たまたま本社が本社があり、日本語の社名をつけているに過ぎない。日産車は外車とも言える。日産の傘下に入った三菱自動車の車も、そうかもしれない。大部分は右ハンドル車だから、左腕は日焼けしないかもしれないが。
 日産の代表取締役は、カルロス・ゴーン会長兼社長をはじめ、3人中2人が外国人。そのゴーン氏が社長を退任して会長に専念するとのニュースが、最近大きく報道されている。日本企業を率いる優秀な外国人トップが社長職を譲ったかのように報道されているが、『ちょっと違うんだけどなー』と感じてしまう。
 日産が実質的な外国企業になっても日本にとって重要な存在なのは、日本でまだ85万台も生産しているからだ。工場からは固定資産税が、働く従業員からは所得税が、政府に入る。利益の4割は筆頭株主ルノーへ、3割はその他の外国人へ配当金として配られる。一方で、重要な雇用主としての立場は残る。
 日産の例を考えれば、外国企業の日本進出がいかにわが国に重要かがおわかりだろう。トランプ米大統領は『トヨタの工場をメキシコではなく米国につくれ』などと、米国への直接投資を増やそうとしている。
 『反グローバル化』と非難する識者もいるが、対内直接投資の呼び込みがきわめて少ない日本のほうが、よほどにグローバル化されていないと私は思う。出ていくだけがグローバル化ではなく、外資を取り込むのもグローバル化なのだ。
 直接投資誘致の成功例として、英国ロンドンのシティーがよく挙げる。〝ウィンブルドン〟と呼ばれる現象だ。最近でこそ英国選手マリーが大活躍するもんのの、少し前まではテニスのウィンブルドン大会で活躍する英国選手はいなかった。それと同様に、シティーで活躍するのは外国銀行のみで、英国の地元の銀行は駆逐された状態だ。しかし、外国銀行が進出したおかげで、シティーに勤める従業員は高給をもらい、英国経済を支えている。
 ……」
   ・   ・   ・   
 2017年4月号 新潮45「シャープの技術者はいま何をしているのか 大西康之
 日本のもの作りDNAの行方 
 会社が消えても人は残る。いまふたたび、新たな土地で芽を出す日本の技術者たちの物語。
 東芝が解体される。原発事業で発生していた1兆円規模の損失を粉飾決算でごまかしてきた東芝は、損失を穴埋めするために白物家電事業を中国の美的集団に売却した。虎の子の半導体事業も売却する。シャープは台湾、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、三洋電機白物家電事業はハイアールに買われた。自動車と並ぶ輸出産業の柱だった日本の電機産業は、アジア企業に飲み込まれ、このままでは消滅してしまうのだろうか。
 ……
 かつて『世界最強』を誇った日本のエレクトロニクス産業は、今や潰滅寸前。三洋電機白物家電事業は、中国の海爾集団(ハイアール)に買われ、シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、東芝白物家電事業は中国の美的集団に買収された。
 今のところ生き残っているように見える日立製作所パナソニックも先行きは危うい。例えば『ルンバ』の大ヒットで日本でもすっかりお馴染みになった掃除ロボットパナソニックは三角の『ルーロ』、日立製作所はルンバより一回り小さい『ミニマル』を出したが、どう見てもルンバの二番煎じだ。
 紙パックのいらない掃除機のダイソン(英)。ダニも除去できる布団クリーナーの『レイコップ』(韓)などルンバ以外にも白物家電のヒット商品は数多く誕生しているが、いずれも先頭を切ったのは、いずれも先頭を切ったのは海外メーカーで、日本勢は二番煎じが精一杯。成長分野の半導体事業やメディカル事業まで売却する東芝が象徴するように『総合電機』という名の恐竜は明らかに絶滅に向かっている。
 生き延びる技術者たち
 だが絶望することはない。
 シャープの天理総合開発センターで開発に励むIoTベンチャー。元三洋電機社員が執念で立ち上げた『スマイル』のシリウス。関西家電のベテラン技術者が集結するアイリスオーヤマ。氷河期を生き延びる哺乳類はすでに姿を現しているのだ。
 会社は消えても人は残る。環境に適応できない大企業は恐竜のように絶滅するかもしれないが、日本エレクトロニクスの栄光を支えた戦士たちは、風に吹かれたタンポポの綿毛のように古巣を離れ、新たな土地で芽を出そうとしている」
   ・   ・   ・  
 日本国内に本社を置く日本企業でも、外国資本の傘下にあり、外国人株主の比率が高い企業の公用語は日本国語ではなく西洋語になっていく。
 日本企業の外国語化は、国際競争力を高めるグローバル化ではなく、経営支配を強める外国資本・外国人株主への配慮である。
 民族資本による日本企業の「社員・従業員を家族の様に大事にする」という情緒的家族主義社風が消え始めたのは、世界常識の合理的能力的経営を求める外国資本・外国人株の支配が強くなっている証拠である。
 巨額な資金を持つ外国資本は、日本に投資し、資金が乏しい日本企業を傘下にしてさらに巨大化していく。
 日本資本や日本企業は、国際資本の軍門に降り、外国企業の支配下に組み込まれていく。
 日本は、世界常識・世界基準で急速にグローバル化していく。
 そして、人口激減の日本に、日本人よりも優秀な外国人移民が大量の日本に移住してくる。
 日本は、優秀・有能な外国人移民のサポートを得て経済を発展させ文化生活を維持していく。
 意欲を消失した日本人は、優秀・有能な外国人上司の下で管理・監督されその命令・指示に従って仕事をする事になる。
 日本進出を積極的に行っているのは、中国資本・中国企業である。
   ・   ・   ・   
 日本資本の日本企業にこだわって雇用を減らすより、外国資本の日本企業で雇用を増やした方が、日本国家と日本国民にとって幸せである。
 その発想は、江戸時代から存在していた。
 百姓や町人にとって、悪政や失政で重税を課し約束違反の搾取をして自分たちの生活を苦しめなければ、大名・藩主・お城のお殿様が誰になろうとも構わなかった。
 百姓や町人は無関心な庶民であって、古代ローマあるいは西洋のプロレタリアではなかった。
 日本に共産主義はおろかキリスト教が根付かないのは、体制権力による思想弾圧や宗教弾圧ではなく、体制支配・宗教支配に対する庶民の無関心さゆえである。
   ・   ・   ・   
 日本政府・自公連立政権・保守政権・安倍政権は、外国資本の日本投資拡大と外国人移民促進を積極的に行っている。
   ・   ・   ・   
 バブル期以前の日本は、政治が3流でも経済は1流といわれた。
 バブル崩壊後の日本は、経済も政治同様に3流に成り果て、さらに劣化と衰退が止まらない。
 三洋・シャープそして東芝
   ・   ・   ・   
 労働不足を補う為に進化した人工知能やロボットが、日本人が行っている仕事の6割〜7割を代行する様になると言われている。


   ・   ・   ・   
飛ばし 日本企業と外資系金融の共謀 (光文社新書)

飛ばし 日本企業と外資系金融の共謀 (光文社新書)

外資系企業で成功する人、失敗する人 (PHP新書)

外資系企業で成功する人、失敗する人 (PHP新書)

⛲198}199}─1─日本の安全神話が信用とともに消滅しつつある。川崎重工業。新幹線。〜No.510No.511No.512No.513No.514 *  

安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学

安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 世の中に、安全などがない以上、安全神話は願望であり幻にすぎない。
 安全神話を信じる者は、馬鹿であり、理解力がない。
 原子力発電所に次いで新幹線。
   ・   ・   ・    
 自信を持って海外の消費者に売れるメイド・イン・ジャパンが減少する。
 数百円から数百万円の日本産製品は売れるが、数百億円や数千億円の日本産製品は売れない。
 日本は、食料・資源・エネルギーを米ドルで輸入して生きている以上、米ドルを稼がねばならない。
 金のない者には、誰も食料・物資・エネルギーなどの生きていくのに必要なモノを売ってはくれない。
   ・   ・   ・   
 2018年2月28日 07:39 産経WEST「【新幹線台車亀裂】のぞみ34号の亀裂は台車の強度不足の可能性 基準の半分以下の走行距離
 新幹線のぞみの台車に見つかった亀裂(JR西日本提供)
 昨年12月にJR西日本の新幹線「のぞみ34号」の台車で破断寸前の亀裂が見つかった問題で、台車枠自体の強度が不足していた可能性があることが27日分かった。国土交通省は、台車枠の強度について、亀裂を見逃した場合でも150万キロまで走行可能だとする基準を定めているが、台車枠に異常が見つからなかった昨年2月の定期検査から12月までの走行距離は基準の半分以下の約57万キロだった。JR西日本は車両を製造した川崎重工業とともに原因を調べており、来島(きじま)達夫社長らが28日午後の記者会見で調査結果を公表する。
 国土交通省が定める「台車枠の検査マニュアル」によると、台車枠の強度は目視などで検出可能な4センチ以上の傷が見つかっても、それから120万キロから150万キロ走行するまで割れない設計を求められている。
 のぞみ34号の車両は平成19年に製造。昨年2月に車両全体の詳細な検査を実施し、台車枠に異常はなかった。同12月に台車枠に亀裂が見つかった時点の走行距離は約57万キロで、強度基準の半分以下の距離で破断寸前に至っており、強度不足の可能性がある。JR西は、のぞみ34号で異音や異臭などの報告が相次いだ後も運行を続け、新大阪駅で引き継いだJR東海名古屋駅で台車枠が破断寸前となっていることを確認した。国交省重大インシデントとし、調査を進めている。」
   ・   ・   ・   
 2月28日 20:04 産経WEST「【新幹線台車亀裂】マニュアルに反して鋼材削る、川重会見で謝罪…強度不足の146台を交換へ
 JR西日本新幹線の重大インシデントについて謝罪する(左から)川崎重工の小河原誠・常務取締役車両カンパニープレジデント、金花芳則・代表取締役社長、志磨貴司・車両カンパニー品質保証本部長=神戸市中央区(永田直也撮影)
 JR西日本の新幹線のぞみの台車に破断寸前の亀裂が見つかった問題で、台車を製造した川崎重工業が、作業時のマニュアルに反して、台車枠の鋼材を薄く削っていたことが28日、分かった。川重が記者会見で明らかにした。底面の溶接不備が発端となって亀裂が生じ、周辺の鋼材が薄く強度が不足したことから、亀裂が広がったとの見解を示した。
 今回亀裂が生じた台車以外にも、鋼材の厚さが基準に満たない台車がJR西に100台、JR東海に46台ある。超音波による検査で安全性を確認しながら1年以内に順次、取り換え作業を進めるという。川重は、交換に必要な台車枠の製造費を全額負担すると表明した。
 神戸市で記者会見した川重の金花芳則社長は「多大なるご迷惑とご心配をかけた。深くおわびする」と謝罪。月額報酬の5割を3カ月返上すると発表した。
 台車枠は厚さ8ミリの鋼材をロの字形に加工したもの。亀裂は幅約16センチの底面を貫き、高さ約17センチの両側面で約14センチに達していた。
 川重とJR西によると台車枠は加工後、鋼材の厚さが7ミリ以上あることが求められていたが、底面の亀裂部分を調査したところ、厚さが最も薄い箇所で4.7ミリだったことが判明した。底面に「軸バネ座」と呼ばれる部品を溶接する際、接着面をなめらかにして隙間が生じないようにするために鋼材を削っていたという。
 川重が台車製造時の注意事項などを記した「作業指導票」は、台車枠の表面を削ることを禁じていたが、現場の作業責任者が内容を十分に理解しておらず、削り込まれた鋼材の確認も行っていなかったという。また、溶接作業時の不備で鋼材内部に割れが生じていた恐れもあるという。
 同日、大阪市内で記者会見したJR西の来島達夫社長は「メーカーと鉄道事業者が一体となって安全を担保する必要がある。メーカーには製造時の検査確認と品質保証を求めたい」と話した。
 鋼材の厚さが基準に満たない台車は、東海道・山陽新幹線のぞみのみで使用されている。」
   ・   ・   ・   
 2月28日22:57 産経ニュース「【新幹線台車亀裂】インフラ輸出にも影、揺らぐ日本製への信頼 政府30兆円の受注目標に影響も
 JR西日本の新幹線のぞみで川崎重工業が製造した台車に亀裂が見つかった問題は、日本が官民挙げて推進してきたインフラ輸出にも影を落としかねない。他国企業との激しい受注競争を勝ち抜くためには、高い安全性と品質が不可欠だからだ。政府は平成32年に27年比で1.5倍に当たる約30兆円のインフラ受注を目指しているが、日本企業の信頼が揺らげば、この目標が遠のくことになる。
 「すべてのインド人のために、日本の官民が汗をかく」。昨年9月、日本の新幹線方式を導入したインド高速鉄道の現地での起工式。参加した安倍晋三首相は力強く宣言した。
 政府は成長戦略の一環として、鉄道や電力、情報通信など新興国を中心に拡大するインフラ需要の取り込みを狙っている。その際にセールスポイントとなるのが日本企業の信頼だ。
 だが、その信頼が揺らいでいる。鉄道以外でも、昨年後半から神戸製鋼所三菱マテリアル東レなどの素材メーカーで性能データ改竄(かいざん)、日産自動車やSUBARU(スバル)では無資格検査が相次ぎ発覚。品質の高さで名声を築いた“メード・イン・ジャパン”の信用が傷ついた。
 また川崎重工が深く関わる鉄道分野では世界的に受注合戦が激化している。売上高が約4兆円に迫る世界首位の中国中車は、中国政府の後押しを受けて海外進出を加速。昨年9月には2位の独シーメンスと3位の仏アルストム鉄道車両事業の統合で合意し、売上高約2兆円の巨大メーカーの誕生が決まるなど合従連衡による規模拡大も目立つ。
 一方、日本政府は安倍首相を筆頭に“トップセールス”に励むほか、国際協力銀行JBIC)など政府系金融機関を活用した資金協力を通じ、日本企業の受注を支援。インドの高速鉄道では日本の新幹線方式採用で、日立製作所川崎重工など日本企業の受注も有力視されている。
 ただし海外との規模の差が広がりつつある中、品質問題でブランド力が傷つけば、いくら政府の後押しがあっても厳しい受注競争で後手に回りかねない。
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 3月1日07:19 産経WEST「【新幹線台車亀裂】他の車両は大丈夫なのか…川重は東京、大阪、神戸の地下鉄や私鉄も製造
 新幹線の重大インシデントについて謝罪する(左から)川崎重工の小河原誠・常務取締役車両カンパニープレジデントら=28日、神戸市中央区川崎重工神戸本社
 ほかの車両への影響はないのか。川崎重工業によると、同社はJR西日本のほか、JR東日本や東海、九州の新幹線や在来線をはじめ、東京や大阪、神戸の地下鉄、京阪などの私鉄車両も製造しているという。
 ただ、台車については在来線や私鉄などJR西と東海のN700系以外は、製造作業が異なり、台車枠を削る作業はなく、「安全性に問題はない」としている。
 問題のあった工程で作られた川崎重工業製台車は平成19〜22年に約1600台納品し、約800両につけられた。JR西によると、台車枠の厚さが設計基準の7ミリよりも薄かったのは100台に達し、18編成に用いられているという。
 また、超音波探傷検査では22台に微細な傷を確認したが、JR西は定期的に超音波探傷検査を続け、傷に進展がないことを確認しており、台車枠の強度に影響はなく、交換までの間も運行は継続させるという。
JR西には、他のメーカーの台車も納入されているが、川崎重工業以外は鋼材を削るような工程を入れておらず、JR西は「(強度の)問題は生じない」としている。他社(4社)の全921台も順次検査しており、検査を終えた165台のうち傷が確認できた台車は2台だけだった。
 一方、JR東海には、川崎重工業製の台車が130台納入されており、うち46台が、基準(7ミリ以上)を満たしていなかったという。運行を継続させ、年内までに交換を終えるとしている。」
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 3月1日07:29 産経WEST「【新幹線台車亀裂】「疲労破壊」が原因、川重が鋼材削り強度不足に JR西
 重大インシデントとなった新幹線のぞみ34号の台車の構造
 昨年12月に運行中の博多発東京行き新幹線「のぞみ34号」(N700系)の台車に破断寸前の亀裂が見つかった問題で、JR西日本は28日、川崎重工業が平成19年に台車を製造した際、鋼材を削り過ぎて強度に問題が生じ、「疲労破壊」が起きたのが原因と考えられるとする調査結果を発表した。問題となった台車枠の厚さは最も薄い箇所で設計基準の7ミリより2・3ミリも薄い4・7ミリだった。また削り過ぎによって鋼材の厚さが設計基準に満たないものが、ほかに100台あることも判明。JR西は今後、台車を順次取り換えるという。
 調査結果によると、亀裂が見つかった台車枠は、厚さ8ミリの鋼材を折り曲げて作っていた。川崎重工業は、その台車枠に車軸を介する「軸バネ座」という部品を溶接する際に、両方の部材の接着面が平らになるように台車枠の鋼材を削る作業を施していたというが、強度が不足する恐れがあるとして本来、禁止された作業だった。
 JR西によると、台車枠の厚さは加工後は7ミリ以上必要としており、問題となった台車枠の最も薄い箇所はこの基準よりも2・3ミリ薄い4・7ミリだった。また、問題の台車枠には追加の溶接も施されており、製造時点で傷が生じていたと推測されることも分かった。
 このほか、昨年12月のトラブルよりかなり以前にできていたとみられる亀裂も確認。JR西は、この溶接部分を起点とし、疲労破壊に至ったとする見解を示した。
 発見した時点で、幅約16センチの底面を貫いた亀裂は高さ約17センチの両側面で約14センチまで達していた。
 川崎重工業は28日、新幹線の台車枠の底面の鋼材を削りすぎたのは、「0・5ミリ以上削らないよう、班長が作業者に指示しなかったことが原因」と説明。マニュアル違反を認め、金(かね)花(はな)芳則社長は「多大なるご迷惑と心配をかけた」と謝罪して、月額報酬の5割を3カ月返上すると明らかにした。その上で、再発防止に努めるため、現時点での引責辞任について否定した。
 亀裂は、昨年12月、博多発東京行き「のぞみ34号」で見つかった。運行中に異臭や異音などを乗務員や乗客が感じていたが、それについても、JR西は亀裂が進展したことに端を発すると推定されるとした。
 川崎重工業は19〜22年にJR西にのぞみの台車303台を納品。同様の製造を施したとされ、JR西によると、うち100台で7ミリ未満のものが確認された。22台で微細な傷も確認した。
 JR西は、破断に至るような傷は確認されず、運行に支障はないとしているが、順次台車を交換するとした。」
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 3月1日10:01 産経WEST「【新幹線台車亀裂】JR西「品質は保証されていると思っていた」…背景に「安全神話」という思い込み
 のぞみ34号をめぐるトラブルの経緯
 川崎重工業が新幹線の台車を製造した際、台車枠の鋼材が必要以上に削られていたことについて、28日に会見したJR西日本新幹線担当の平野賀久(よしひさ)副社長も「見抜くことはできなかった」と述べ、今後は川崎重工業側と協議しながらチェック体制を強化していく考えを示した。
 JR西によると、川崎重工業製台車の納品を始めた平成19(2007)年時点で、製造過程の確認を実施。だが、「品質は保証されているものと思っていた」(来島(きじま)達夫社長)とし、その後は、定期的な製造確認などは行わず仕様よりも劣る台車が納品されていたことは見抜けなかったという。
 一方、亀裂は一気に拡大したとみられるが、溶接部近くでは、時期が分からないが、相当に古い傷も確認されていた。こうした傷は昨年2月に車両を分解して行った「全般検査」や、トラブル発生当日の目視による検査では確認できていなかったが、平野副社長は「(亀裂が始まったとみられる)溶接部は目視できず(それ以外も)見えにくいところにあったので分からなかった」と釈明した。
JR西は今後、超音波探傷検査を実施し、台車の見えにくい部分や内部の傷の確認の徹底を図るとともに、川崎重工業と協議して製造工程の改善などを検討したいとしている。
 一方、一連の問題では異音や異臭など約30件の異常を乗務員らが確認しながら運行を継続させていたJR西日本の対応の不備も指摘された。会見で、来島社長は「(乗客の)不安を払拭できるように社員が非常時でも平時においても安全確保の行動ができるようにしていく」と述べた。」
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 3月2日05:00 産経ニュース「【新幹線台車亀裂】溶接部傷、川重製が突出 JR2社台車、他社製の8倍
 博多発東京行き「のぞみ34号」(N700系)の台車亀裂問題で、JR西日本は台車の溶接部に傷がある川崎重工業製の車両の運行継続を決めたが、こうした溶接部に傷がある台車は、JR西とJR東海の台車製造元の中で川重製に集中していることが1日、分かった。川重製では6.9%に上り、他社製(0.8%)の8倍以上だった。溶接部の傷は亀裂の起点になったとされており、川重のずさんな製造管理体制が改めて浮かび上がった。
 JR2社は同型の台車について、目視できない内部の状態を確認する超音波の探傷検査を実施。川重製の検査を終え、日立製作所など他社製の検査を継続している。
 JR西によると、川重製全303台のうち溶接部分に微細な傷があったのは22台で7.2%に上った。一方、他社製は検査済みの165台中2台(1.2%)だった。JR東海では、川重製で傷があったのは全130台中8台(6.1%)で、325台のうち2台(0.6%)だった他社製を大きく上回った。
 JR2社の台車を合計すると、川重製では433台のうち30台(6.9%)に傷が確認されたが、他社製は現状で490台のうち4台(0.8%)にとどまっており、製造品質に大きな開きがあることが確認された。
 同型の台車はJR西に921台、JR東海に約3900台ある。問題の台車は、川重が製造した台車枠の底面に、台車枠と車軸を介する「軸バネ座」という部品を溶接していた。溶接部の傷は施工時に発生し、亀裂の元になったとされる。
 川重は台車枠底面と軸バネ座の溶接面を平らにして隙間を1ミリ以内に抑えるため、社内規定に違反して台車枠底面の鋼材を削っていた。底面の板厚が薄くなったことで強度不足になり、台車枠が破断寸前になるまで傷が進展したとみられている。
 川重の広報担当者は「台車の一部に傷があったことは確かだが、他社製の台車については承知しておらず比較できない」とコメント、今後も調査を進めるとしている。」
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新幹線安全神話はこうしてつくられた (B&Tブックス)

新幹線安全神話はこうしてつくられた (B&Tブックス)

⛲197}─1─巨大輸出企業・三菱重工の凋落。MRJ。豪華客船。〜No.505No.506No.507No.508No.509 * 

三菱重工の正体―国策防衛企業

三菱重工の正体―国策防衛企業

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 三菱重工は、軍需関連企業でもある。
 大企業の技術力・生産力の低下と経営不振が止まらない。
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 2017年5月20日号 週刊現代「日本経済の次のリスク
 巨象・三菱重工東芝みたいになってきた
 問題は『飛ばないジェット機』だけじゃない
 戦後ニッポンの高度成長期を支えた巨象が、足元から揺るぎ出した。モノづくりの底が抜けたかのような失態が止まらず、次々に損失計上する事態に──。図体はでかい。倒れれば被害は甚大だ。
 4月26日午後3時。
 この日の株式マーケットが閉じようとしたその瞬間、東京証券取引所が運営する情報伝達システム上に三菱重工業をめぐる情報が映し出されると、市場関係者に衝撃が走った。
 この1年で、営業利益が半減した──。
 三菱重工が投資家向けに開示した財務資料には、そんな実態が気されていたのである。
 三菱重工がこれまで投資家に開示してきた各種資料によれば、1年前の2016年5月段階では、17年3月期に〈3,500億円〉の営業利益を確保するとの見通しを示し、これは〈キャッシュフローやバランスシートの状況、受注残工事の質などから、達成可能〉と胸を張っていた。16年3月期の営業利益が3,095億円だったことを考えれば、1割強の増益という強気な業績予想を出していた形である。
 それが今回開示した最新資料では、弱気な文言がズラリと並ぶ状況に一転。実際にその文面を見ると、〈火力事業の売上高の減少〉や〈商船のコスト悪化〉、さらには〈MRJ(註・三菱重工が開発している国産ジェット旅客機)の開発費増加〉などの損失イベントが立て続けに起きているとの実情を吐露。その結果、営業利益は従来予測を〈下回る見込み〉で、〈1,500億円〉になりそう・・・。つまり、たった1年で営業利益が約52%も激減することを初めて明らかにしたのである。
 『言うまでもなく、営業利益は会社が本業で稼ぎ出す利益のこと。それが1年で半減するとは、経営の異常事態と同義です。案の定、情報が駆け巡った翌27日は、株式市場が開く午前9時前から三菱重工株に対して、いくらかでもいいから売りたいという注文が50万株以上も殺到。午前の相場で、同社の株価は一気に急落した』(大手運用会社ファンドマネージャー
 実際、三菱重工の経営の現場ではいま、モノづくり企業としての根幹を揺るがすような事態が進行している。三菱重工は、原発、宇宙ステーション、航空機、艦艇などに及ぶ約700の製品を抱える日本最大の重厚長大企業だが、そうした主要製品の現場で設計変更、納入延期などが勃発。その度にコストが積み上がり、売上高3兆円超、全世界8万人超の社員を抱える『巨象』が大きく揺らぐ事態になっているのだ。
 最も象徴的なのが、MRJの現場。半世紀ぶりの国産旅客機と期待されたものの、08年の開発開始から5度も納入延期をし、当初13年としていた納入開始時期がいまだ見通せない『飛ばないジェット機』と化している。
 『見切り発車』の経営陣
 『現場は明らかな経験不足で、信じられないミスやトラブルが絶えない』と、愛知県の開発現場の実情に詳しい関係者は明かす。
 ……
 MRJだけではなく、大型客船事業の現場も厳しい。
 ……
 造船事業をめぐっては、商船三井に引き渡した貨物船が、インド洋を航行中に真っ二つ破断する信じられない沈没事故まで起きている。
 一事が万事この調子で、原子力発電事業ではアメリカで建設された原発の蒸気発生器を納入したが、その配管が破損して水漏れが発生して廃炉になっている。
 こうした事態の背景として指摘されるのが、経営陣による『見切り発車』──。同社の内情に詳しい金融機関幹部が言う。
 『佃和夫現相談役が社長時代にMRJの事業化を決定した際、幹部の間でもハイリスクだとする声があった。しかし、航空機部門で新興国勢が台頭してきたことへの危機感があり、このタイミングしかないと事業化にえいやっと踏み切った経緯がある。大型客船事業を受注したのは大宮英明現会長が社長の時代で、実はその直前の数年間、客船の大型商談で連続して受注に失敗していた。結果、受注優先に走り、最新の大型客船建造ノウハウの不足を認識しまがら、過去の経験で乗りきれると楽観して突き進んだ』
 手掛ける製品が重厚長大なだけに、失敗した時の損失もその分巨額になることはわかっていたはずなのに、焦りから甘い経営判断に傾いた・・・。 
 ……
 日立との泥沼裁判
 一方、当の宮永社長自身も『18年3月期に売り上げ高5兆円を目指す』とぶち上げて改革路線を突き進んでいるが、『その急激な改革に現場がついていけない』と三菱重工現場社員は語る。
 『宮永社長は、「GEなどの海外勢と伍して生き残るには売上高5兆円が必要だ」と社員の尻を叩いています。が、もともとうちは重工業なので一つの仕事を成すのに時間がかかる社風。急にスピード感を求められても、「そう簡単にはできない」「勝手なことばっかり言いやがって」というのが現場の本音です。
 宮永社長は各セクターが強い権限を持つ従来の縦割り組織を破壊しようと、門外漢を畑違いのセクターに配置する異例人事や、セクターが持つ機能を本社に戻すなどの「聖域なき改革」も断行しいるが、これが現場のモチベーションを下げている面も否めない。稼いでいる部門の利益が、MRJなど赤字部門に投じられるのも、稼ぎ頭のセクターの社員からするとおもしろくない』
 長く三菱重工をウォッチしているアナリストはここ数年、事業説明会に登場する各事業部門トップたちの姿を見て、違和感を覚え始めたという。
 『社長の無理難題に現場担当者も頑張ってこたえようとしているけど、なかなかうまくいかない・・・そんな本音が隠し切れない場面が目立つようになってきた。いまの三菱重工は、売り上げや受注というボリュームを取りに行くトップダウンに対して、現場が疲弊している。一旦、無理な数値目標を取り下げて、態勢を立て直すべきでしょうが、宮永社長に改革の手を緩める気配はなく、この5月には新たな人事施策を発表する予定。プレッシャーを感じる現場が「数字のお化粧」に走らないかという危惧すら感じるようになってきた』
 巨象の内側から沸き起こり始めたこうした異変が、経営をむしばみ出しているのだ。
 追い打ちをかけるように、新たな巨大リスクも急浮上してきた。電機事業に精通するコンサルタントが指摘する。
 『三菱重工は14年に日立製作所と火力発電事業を統合したのですが、その統合前に日立が獲得していた南アフリカ不採算案件について、約7,600億円を支払うよう請求しています。日立側は「法的根拠がない」と突っぱねており、両社の交渉は長期化が必至。三菱重工は約3,800億円分の請求権の一部をすでに資産計上しており、仮に取りはぐれれば、その分を損失計上しなければいけない可能性がある』
 前述したように三菱重工の営業利益は1,500億円なので、それが一気に吹っ飛ぶインパクトだ。
 さらにMRJをめぐっても、追加損失リスクが出てきた。ジャーナリストの松木悠氏が言う。
 『MRJの主な販売先であるアメリカでは、スコープクローズという機体への制限条項があります。MRJはこの規制が緩和されることを見越した米航空会社から多くの受注しているが、いまだその規制緩和が実行されていない。このままではMRJの88席クラスがアメリカで運航できず、最悪の場合は大量のキャンセルのリスクも出てくる』
 メインバンクの本音
 それだけではない。三菱重工は、『フランスの原発大手アレバグループに追加出資する見込みだが、アレバは赤字体質で、将来的にも欧米で原発需要が伸びる見込みは薄い。他事業のリスクがあるところ、さらに原発リスクを抱え込むのは危険と言わざるを得ない』(龍谷大学の大島堅一教授)。
 最終損益ベースでは三菱重工はすでに赤字に転落している中、こうした『爆弾』が火を噴けば新たな日本経済のリスクになりかねない。果たして、大丈夫なのか──。三菱重工社外取締役で、メインバンクの三菱東京UFJ銀行元頭取の畔柳(くろやなぎ)信雄氏は次のように答える。
 『(懸案は)ひとつひとつ片づけていきますから、率直に言ってそれほど心配はしておりません。MRJはもともと息の長い仕事ということで、みんな覚悟をして取り組んでいる。(資金繰りに関しても)きちっと押さえるところは押さえた経営をしています』
 しかし、この『楽観論』を鵜呑みにしてもいいものか。
 というのも、三菱東京UFJファイナンシャル・グループは三菱重工の大株主だが、2月末までにその保有株数を大きく減らしている。
 『同グループが3月に関東財務局に提出した資料によれば、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行などグループ数社の保有株数は全体の8.58%だった。それが、直近では7.29%にまで急減。単純計算で4,000万株以上も減らしている』(前出・アナリスト)
 実は資金繰りをめぐってお、三菱重工はこの3月末に横浜・みなとみらい地区に所有していた巨大不動産を売却。すでに損失穴埋めなど財務基盤の強化に走り、昨年にはグループ内の不動産事業を分社化して、JR西日本にその株式も970億円で売却している。
 『三菱重工には売却できる資産もあり財務的な余力はあるが、問題は本業の稼ぐ力が低下している可能性があること。難易度の高い大型プロジェクトが増える中、プロジェクト・マネジメント力がそれに対応しきれていない面がある。同社にとっては、こお1年が収益力改善に向けての正念場となるでしょう』(S&Pグローバル主席アナリストの柴田宏樹氏)
 持てる資産を吐き出し、分社化した事業を売却する・・・その姿は、あの東芝がたどった道にそのまま重なってきたように映るのである」
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 7月2日 産経ニュース「三菱航空機債務超過に MRJ開発遅れ510億円
 国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)を開発している三菱航空機(愛知県豊山町)が平成29年3月期決算で負債が資産を上回る債務超過に陥ったことが1日、分かった。開発の遅れにより費用が膨らんだためで、債務超過額は510億円。
 機体を納入するまで売り上げが計上できず、親会社の三菱重工業からの出資や借入金で事業を進めている。三菱重工は社長直轄で開発加速に乗り出しており「債務超過はMRJ事業に影響しない」と説明した。
 債務超過は6月30日の官報に掲載された決算公告で判明した。MRJの納期は5度の延期を経て約7年ずれ込み、32年半ばを目指している。開発費がそのまま損失として積み上がり、29年3月末までの累積損失額は1510億円に達した。29年3月期の最終損益は511億円の赤字だった。」
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 日本産業の底力を支えた中小企業は、経営者の高齢化、人手不足と後継者不足で倒産・廃業が増えている。
 大手企業は、科学技術力や開発能力を衰退させ、国際競争力を高めた中国・台湾・韓国などの諸外国企業の追い上げで苦戦に立たされている。
 日本企業の幾つかは中国や台湾の巨大企業の傘下に組み込まれ、その傾向は今後も進んでいく。
 中国系外資は、反日中国共産党の指導の下で、日本企業や日本国内不動産の買収を活発化させている。
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 日本の最大にして最も深刻な問題は、日本国内には1億人以上の国民を養うだけの食糧・物資・エネルギーがないと言う事である。
 日本が如何に国際競争に勝てる科学技術力・底力があっても、生産活動以上に生きる為に必要な食糧・物資・エネルギーがなければ宝の持ち腐れ、豚に真珠、猫に小判である。
 海外から食糧・資源・エネルギーを輸入するには、大量の外貨・ドルが必要である。
 日本人が自慢する「円」では、食糧・資源・エネルギーを外国で購入する事はできない。
 日本が生きる為の食糧・資源・エネルギーを買う為には、アメリカ・米国ドルに依存するしか方策がないのが現実である。
 米国ドルを稼いでいるのは、中小企業ではなく大企業である。
 中小企業は、数十人か数百人の従業員を抱えて、一個、数百円か数千円の部品・製品を売っている。
 大企業は、十数万人か数十万人の社員を抱えて、一つ、数百億円か数千億円の事業案件を幾つも抱えている。
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 共産主義的経済政策で、中小企業を救う為に大企業を潰すという事は、一個数百円・数千円の製品を売る為に一つ数百億円・数千億円の事業案件を捨てると言う事である。
 数十人・数百人が作る数百円・数千円の部品を輸出して、1億人が生きる為の食糧・資源・エネルギーを輸入する、夢のような話である。
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 100円の商品を売って10円の儲ける事と1億円の製品を売って1,000万円を稼ぐ事は、同じ1割の利益である。
 100円の商品を売るのはわりかし簡単であるが、1億円の製品を売る事は至難の業である。

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新日鉄 三菱重工―事業再編成をすすめる重厚長大産業 (日本のビッグ・ビジネス)

新日鉄 三菱重工―事業再編成をすすめる重厚長大産業 (日本のビッグ・ビジネス)

🌠60}─1─生まれた命は必ず死に、栄えれば必ず滅びる、それが自然である。〜No.131No.132  

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2019年10月5日 朝日新聞「読書  評・柄谷行人
 『崩壊学 人類が直面している脅威の実態』
 パブロ・セルヴィーニュ、ラファエル・スティーヴンス〈著〉鳥取絹子訳 草思社
 一切の望み棄てた上で見える活路
 地球の生物は過去に五度絶滅したことがある。その最後は、6500万年前、恐竜の絶滅期であった。次の『六番目の絶滅期』が今迫っている。それは18世紀後半のイギリスに起こった産業革命とともに始まり、特に20世紀後半に加速した。時に20世紀後半に加速した。それは人口から見ても明らかである。1830年に10億であった世界人口が、1930年に20億、現在は70億となっている。絶滅の兆候は、化石エネルギーの払底や気候変動(温暖化、水不足など)としてすでにあらわれている。そして、それは現実に、さまざまな困難をもたらしている。今後の見通しは、ますます暗い。
 もちろん、このような危機に関しては、多くの意見・対策が提起されてきた。太陽光、風力、地熱、その他、再生可能エネルギーを活用しようというような。しかし、実は、石油がなくなれば、現在の電力システムは、原子力発電も含めて崩壊してしまうほかない。在来型石油にかかわる、シェールガスなどに期待を寄せられたが、それもまもなく尽きてしまう。どんな再生可能エネルギーにも、化石エネルギーの消滅を埋め合わせるほどの力がない。著者らはいう。《エネルギー源の減少は、まさに世界の経済成長の決定的な終わりを予告している》
 エネルギー危機が深刻な経済危機に先行することは、1970年代の石油ショックと2008年の経済危機において示されている。世界経済のシステムは、石油価格の高騰と下落に左右されているのだ。しかし、このような危機は一般に認知されない。というのは、それが事実であれば、資本主義的な世界経済がまもなく『崩壊』することを意味するからだ。ゆえに、それは集団的に否認される。そんなことはありえない、何らかの解決策があるはずだ、というのである。
 しかし、それはない。国連で唱えられる『持続可能な開発』などは、すでに非現実的である。たとえば、気候変動に関しても、今すぐ温室効果ガスの排出を全面的にやめても、気候の温暖化は何十年も続く。産業革命以前の環境に戻るためには、数世紀ないし何千年もかかる。今後に一層の自然破壊、さらに、飢饉と病気が生じるだろう。それは後進地域に始まって、全世界に及ぶ。さらに、経済危機が世界戦争に帰納するだろう。その兆候はすでにある。
 では、どうすればよいのか。何よりも、この現実を認めることである。本書には、いちおうの対策が示されている。しかし、本書がいうのはむしろ、一切の望みを棄てよ、ということだ。その上でのみ、ささやかな希望と活路が見えてくる。その意味で、『崩壊は終わりではなく、未来の始まりなのである』」
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 如何なる生物も、人種・民族・国家も、寿命が尽きれば死んで滅び、跡形もなく消滅する。
 それは、日本国家でも、日本民族でも、逃れられない定めである。
 地球も、太陽も、それこそ太陽系も天の川銀河も、何時かは崩壊して消える。
 全てが崩壊する時、天地を創造した唯一万能の絶対神など存在しないし、絶対神による都合が良い恩寵も奇跡もない。
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 有史の人類文明史において、数千年前から現代にまで生きて存在する古代文明・古代国家・古代人は何処にもない。
 現代に存在する文明・文化、国家・国民、大衆・民衆・人民、人種・民族・部族、科学・化学、医学・薬学、哲学・思想・主義主張など全ての起源を求めて辿っていけば、数十年、数百年、2000年位で途絶えてその先に遡(さかのぼ)る事はない。
 唯一、宗教だけが人類と伴に遡る事ができ、宗教だけが人類と伴に存在してきたといえる。
 反宗教無神論共産主義マルクス主義は、その宗教を否定し破壊してきた。
 だが、宗教には、死と血を好む不寛容排他的狂信的な個性の強い宗教と死と血を忌避する寛容曖昧受容な境界線がハッキリしない個性の弱い宗教の二つが存在する。
 個性の強い宗教は、神の恩寵や奇跡を起こして人々を引き寄せ、攻撃的な原理主義的宗教を無限量産する。
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👪53}─1─人類は乱交と乱婚で進化した。一夫多妻と一夫一妻。継子イジメと殺し。〜No.116No.117 ⑥ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 女性と男性には、能力・才能ではなく肉体・身体機能における差別が存在する。
 男性間で、肉体・身体機能、能力・才能以上に地位という社会的や金銭による経済的な差別が、厳然として存在している。
 人間は平等ではないく、有る者はより多くをえ、無い者は得るところが少ないか全く得られない。
 特に、男性は不公平・不平等に生きる事が運命付けられている。
 生まれ持った条件は不平等だが、挑戦する権利は平等にあるが、結果は不平等に終わる。
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 女性は母性本能・同情心から浮気相手に無い者を選び、時には浮気相手の子供を産んで育てる事がある。
 子供の親が誰なのかは、女性は知っているが、男性は知らない。
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 日本の伝統的な家族文化や世襲文化において、血の繋がらない子供を養子に迎え、或いは他人の若夫婦を家族養子として、家名や家財産を継がせる事があった。
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 人間の歴史では、一夫多妻が常識的な家族制度であった。
 一夫一妻は、近代キリスト教社会で起きた突然変異的非常識な異形の家族制度である。
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 2019年11月7日号 週刊文春「臆病者のための楽しい人生100年計画
 橘玲
 27 性愛編 ペニスは何のために長いのか?
 女性のオーガズムがどのよなものかは、生理学的にはほぼ解明されている。それが左の図で、生殖器への刺激によって興奮し、一定期間、中程度の快感がつづく(喘ぐ)と、突然、筋収縮をともなう強い快感がやってくる。
 この仕組みは男女で同じだが、女性のオーガズムの平均時間は男性よりやや長く、約24秒間持続する(男性は15秒)。それに加えて、(知っていると思うが)多くの女性は短時間の間をおいて繰り返しオーガズムを体験できるが、男性は射精の直後にもういちど勃起するのは難しい。
 こうした細部がわかったのは、巨大なドーナツ型をした金属製の脳スキャナーに頭部を固定し、静脈から追跡用の放射性物資(トレーサー)を注入し、直腸にオーガニックいともなう収縮を測定する機器を挿入した状態で、パートナーにクリトリスを刺激してもらってオーガニックに達するという困難な実験に進んで参加した勇気ある女性たちがいたからだ。
 残された大きな謎は、『女性のオーガズムはなんのためにあるのか?』だ。
 これまでの研究では左右の対称性が高まったり、社会的・経済的地位の高い男性との性交で女性がオーガズムに達しやすいようだ。オーガズムによる子宮頸部の律動が精子を吸収し、妊娠確率を高めるとの研究もある。ここから推測されるのは、女性がオーガズムによって、誰の子どもを産むかを『選り好み』している可能性だ。
 しかしこれは、『ヒトは一夫一妻に進化した』という常識とは相容れない。この理屈が正しいなら、旧石器時代の女性は複数の男性と日常的にセックスしていたことになる。
 一夫多妻の種では、オスは配偶者の獲得をめぐってはげしい肉体的な闘争、すなわち『同性間競争』を強いられる。そうすると、角や牙などが極端に発達したり、オスの身体がメスにくらべてきわめて大きくなったりする。ハーレムをつくる典型がゾウアザラシで、オスの体重はメスの7倍にもなる。
 人類にちかい霊長類ではゴリラが一夫多妻で、オスの身体はメスよりずっと大きい。
 ゴリラのもうひとつの特徴は、立派な身長に比べてペニスと睾丸がものすごく貧弱なことだ(ヒトより小さい)。どのオスがメスを独占するかは、セックス以前の『同性間競争』で決着がついているので、男性器を発達させる必要がなかったのだ。
 それに対して『乱婚』のチンパンジーボノボは、ヒトよりずっと大きな睾丸を持っている。メスの膣内で複数のオスの精子に混じり合うのだから、ライバルより大量の精子を放出した方が有利になる。これは『精子競争』だ。
 ここまでの理屈はシンプルだが、次の疑問は、『だったらヒトの性はどっちに進化したのか』だ。
 ヒトはペニスも睾丸もゴリラよりずっと立派だがら、かんぜんな一夫多妻でないことはまちがいない。男女の体格差も、女性を100として男性が108~112程度だ。
 その一方で、ヒトの睾丸はチンパンジーよりずっと小さい。このことは、ある程度の精子競争が存在したとしても乱婚にはほど遠いことを示唆している。
一夫多妻でも乱婚でもないとすると、一夫一妻だろうか。たしかに一夫一妻なら同性間競争の圧力はなく、男女の大きさはそれほど変わらない。だがそれと同時に精子競争もないから、ゴリラ並みの男性器でじゅうぶんということになる。
 この謎をずっと研究者たちを悩まされてきたが、ゴリラ(一夫多妻)ではないがチンパンジー(乱婚)でもないということで、『一定程度の精子競争のある一夫一妻』として落ち着いた。
 しかし近年、この『定説』に異を唱えられるようになった。
 理由のひとつは、ヒトのペニスが特異な形状をしていることだ。たしかにチンパンジーは立派な睾丸を持っているが、ヒトのペニスは長さも外周もチンパンジーの2倍はある。
 そのうえヒトのペニスは亀頭冠があり、勃起するとキノコのようになかたちになる。見慣れているから当たり前だと思うかもしれないが、これほど奇妙なペニスの持ち主はヒトだけだ。
 何のためにこんな進化をしたのかは、次のように考えることができる。
 まず、ペニスが長ければ子宮に近い位置で射精できる。次に、亀頭冠のあるペニスを膣内で前後にはげしく動かすことで、自分より前に(膣内に)残っていた他の男の精子をかきだすことができる。すなわちヒトの特異なペニスは、精子競争の効果的な『武器』なのだ。
 チンパンジーのオスは睾丸の大きさで精子競争に勝ち残ろうとするが、ヒトは睾丸の代わりにペニスを発達させたのだ。
 心理学者のクリストファー・ライアンとカシルダ・ジェタは『性の進化論』(作品社)で、『なぜ女性はエクスタシーで叫ぶのか?』という、これまで誰も思いつかなかった問いを提起した。
 人類が進化の大半を過ごしたアフリカには、ライオンなど多くの肉食獣がいた。そんなサバンナで大きな声をあげるのは、きわめて危険だ。だからこそ男は、黙ってピストン運動をして短時間で射精するように進化した。
 それにもかかわず、女の性交のときに大きな喘ぎ声を出す。そこには、肉食獣に襲われるリスクを上回るメリットがあるはずだ。
 ライアンとジェタは、女の喘ぎ声は男たちを興奮させ、呼び寄せると考えた。エクスタシーで呼びのは、効率的に複数の男とセックスするためなのだ。
 これはいまだ異端の説だが、女性のオーガズムをすっきり説明できる。
 ヒトはもともと『乱婚』で、女が喘ぎ声で男を惹きつけ、亀頭冠のある長いペニスで精子戦争をする。女だけが連続してオーガズムに達することができるのは、一人の男と繰り返し愛し合ったからではなく、複数の男と次々とセックスするためなのだ。
 そのうえ女は、『いく』か『いかない』かでどの男の精子を子宮に受け入れるかを(無意識に)選択している。そのとき選ばれるのは、身体的に魅力的だったり、より多くの資源を持っていたりする、遺伝子を後世に残すのに有利な男だ。
 アダルトビデオでもっとも多いシチュエーションは、男女の1対1のセックスでも、一人の男優と複数の女優とのセックスでもなく、一人の女優と複数の男優との乱交だ。AV女優はあらかじめNG項目を決めることができるが、乱交をNGにする女優はほとんどいない。──グラビア雑誌のAV女優インタビューを読んでいたら、この業界に入ったのは『完全な乱交をやってみたかったから』と語っていた。
 これは現代人の性意識の古層に『乱交』が刻印されているからだと、ライアンとジェタは主張す。
 この『人類乱交説』はたしかに魅力的であるものの、決定的とはいえない。それは男の『暴力』を説明できないからだが、このやっかいな問題については次号で」
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 性行為の最中に獰猛な肉食動物に襲われた時、まず食われるのは女性の上にいる男性である。
 女性上位の騎乗位であれば、女性が餌として食われる。
 女性は、男性が捕食者に食われている間に、男性を捨てて一目散に逃げて生き残り子供を産む事ができる。
 子供を産み子孫を残すのは女性であって、男性ではない。
 男性は、自分の子孫を子供に託す為に女性の身代わりとして食い殺される。
 それは、鈴虫やカマキリなどのメスが、卵を産む栄養にする為にオスを食い殺す事に似ている。
 殺されたくない男性は、一人で、一頭か数頭の群れの肉食動物に抵抗して戦うしかない。
 肉食動物にとって、獲物は一頭・一人で十分で、二頭・二人以上は要らなない為に、逃げた女性より逃げ遅れた男性を食べる為に確実に仕留める。
 男性は、人類誕生から戦う事が宿命付けられている。
 故に、戦えない男性はオスではなく、戦えないオスは子孫を残せなかった。
 男性が女性や子供の為に犠牲になる、それが人類の歴史である。
 男性が別れた女性を忘れられずに未練がましいのも、女性が別れた男性を忘れ新しい男性に走るのは当然の事である。
 それは、全て子供を産み子孫を残す事である。
 女性は、当然の権利として、子供を産む為に男性を犠牲にし見殺しにする。
 何故か、それは女性が命の危険を冒して出産するからである。
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 日本民族日本人は、雑多な種が南・北・西から日本列島に流れ着き・漂着し・移住して、見境のない乱婚を繰り返して生まれた不純で混血の雑種民族である。
 乱婚とは、生物的なオスとメスの子孫を残す為の交わりであって、男性と女性との愛とは関係が薄い。
 その意味で、日本民族日本人は愛を知らない人間である。
 と言うより、日本列島の自然環境は愛を許さなかった。
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 日本列島において、日本文化の「愛(め)でる・愛(いと)おしい・愛(あい)らしい」と普遍的「愛(あい)」とは別ものである。
 普遍的「愛(あい)」は高尚だが、それに比べれば日本文化の「愛(め)でる・愛(いと)おしい・愛(あい)らしい」は幼稚で低俗である。
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 2019年11月7日号 週刊文春「臆病者のための楽しい人生100年計画
 橘玲
 28 性愛編 一夫一妻は幸せなのか?
 『人類は乱婚として進化した』という説を前回紹介した。その証拠(エビデンス)は、男性のペニスと女性のオーガズムだ。
 乱婚のチンパンジーと比べて、ヒトのペニスは長さも外周も約2倍あるだけでなく、霊長類で唯一、勃起するとキノコのような形になる亀頭冠を持っている。この形状は、ピストン運動で膣内に残された他の男の精子を掻き出し、子宮近くで射精するのに最適だ。
 女性のオーガズムは筋収縮をともない、それがポンプのように精子を吸い上げる。セックスの相手によって『いく』『いかない』が異なるのは、女性が無意識のうちにどの男の子どもを妊娠するかを選り好みしているからだ──。
 これはかなり魅力的な仮説ではあるものの、ヒトに乱婚ではうまく説明できない顕著な特徴がある。それが『男の暴力』だ。
 次頁の図は、1984年のカナダ統計局の調査(1万6,103人のランダムサンプル)に基づいて、1974~83年の10年間に実子と継子で殺された子の危険性を推計したものだ。暴力の進化を研究する進化心理学者のマーティン・デイリーとマーゴ・ウィルソンは、これを『今もって手に入る最良の資料』と述べている。
 図を見れば一目瞭然だが、実の親と義理の親では、子どもが殺されるリスクが大きく異なる。実親は子どもをほとんど殺さないが、乳幼児が義理の親によって殺されるリスクは数十倍から100倍にもなる(虐待でも同様の結果が出ている)。
 なぜこんなことになるかは、霊長類の子殺しから説明できる。
 チンパンジーは弱小の群れに遭遇すると、オス乳幼児を皆殺しにして(その肉を食べ)、メスを自分たちの群れに迎え入れる。
 なぜ乳幼児を殺すかというと、授乳中のメスは妊娠できないからだ。乳をやる赤ん坊がいなくなると、メスはふたたび女性器を腫らして発情するようになる。
 同様に『利己的な遺伝子』は、自己の複製を最大化するように〝乗り物(ヴィークル)〟であるヒトを『設計』した。血のつながらない(遺伝子を共有していない)子どもに貴重な資源を分け与えるのは、きわめてコストが高い。だとすれば男は、そのコストを『処分』したうえで、新たに自分の子どもをつくるよう進化したはずだ──という話になる。
 これは進化心理学のなかでももっとも評判が悪い理論のひとつだが、不愉快だからといって間違っているということにはならない。実親と義理の親で子殺しや虐待の危険性がこれほどちがう理由は、(いまのところ)これ以外に説明できないのだ。
 もちろん、ヒトとチンパンジーは同じではない。
 乱婚では誰の子どもかを知る方法がないから、チンパンジーのオスは子育てにまったく興味を示さない。
 それに対してメスは、自分が産んだ子どもを確実に見分けることができる。こうした乱婚の種では、子育てはメスだけが行うことになる。当然、実の子どもと義理の子どもの区別はなく『継子いじめ』もあり得ない。
 『人類乱婚説』では、旧石器時代には男と女は村の別々の場所で暮らしていたと考える。大きな獲物を持ち帰ったときなど、特別な『祝祭』で若い男女が乱交し、そこで生まれた子どもは女共同体のなかで、母親や姉妹、祖母などによって育てられたというのだ。
 しかしそうなると、男は特定の女に愛情を抱くことも、自分の子どもを気にかけることもなくなるはずだ。これは、現代の性愛とは大きくかけ離れている。農耕開始からわずか1万年でこうした根源的な感情の変化が起きたというのは、さすがに無理があるのではないだろうか。
 いかなる社会でも、男にとって、子どもが『血がつながっているかどうか』はきわめて重要だ。旧石器時代には遺伝子検査などないのだから、誰が自分の子どもかを(ある程度の確信をもって)知るためには、男女の関係は一夫一妻が一夫多妻でなくてはならない。
 だがヒトの性は、ゴリラのような一夫多妻の種とは大きく異なっている。進化がチンパンジーボノボとの共通祖先から分かれたことは明らかだ。このように考えると、『ヒトは乱婚から一夫一妻に進化した』ということになる。
 間男の回避法
 脳(頭蓋事)を極端に発達させた人類は、未熟児の状態で子どもを産むしかなくなり、母親だけで子育てをすることが難しくなった。その結果、女は長期的な関係を男に求めるようになり、子育てを共同で行う(妻子のために安全と食料を提供する)男が選択され、一夫一妻の文化が生まれた。ヒトに(ペニスの形状やオーガズムなど)乱交の痕跡が残ったとしたら、一夫一妻への急激な文化的変容に遺伝子が適応するじゅうぶんな時間がなかったからだ。──これもまたかなり説得力を持っている。
 『乱婚→一夫一妻説』の魅力は、男の浮気や暴力をうまく説明できることだ。
 特定の女性と暮らすようになって、男は『自分の子』と『他人の子』を区別できるようになった。だが母親とちがって、父親は親子関係を確信することができず、そこには常に疑いの余地がある。
 男にとっての最大のリスクは、留守中にほかの男が自分の女を妊娠させ、他人の子どもに貴重な資源を投じる羽目になることだ。こうした『寝取られ男』は自らの遺伝子を後世に残せないのだから、私たちはみな、それを効果的に防衛した男の末裔にちがいない。
 間男を避けるもっとも確実な方法は、自分の女を独占し、ライバルの男を暴力によって排除することだ。浮気を疑って妻や恋人に暴力を振るうことや、殺人事件のほとんどで男が男を殺していることは、人類が『一夫一妻』に進化したことの〝弊害〟なのだ。
 しかし、これですべての謎が解けたわけではない。文化人類学者は、文明と接触のない伝統的な社会をはじめ、大半の社会が『一夫多妻』であることを明らかにしてきた。厳格な一夫一妻は、近代以降の欧米で発達したきわめて特殊な制度で、歴史的に一夫一妻のように見えるのは、貧しいくて一人の妻しか養えなかっただけだ。文化や宗教を問わず、経済的な余裕ができると男はすぐに複数の妻を持つようになり、権力者は巨大なハーレムをつくる。
 一夫一妻説では、人類に一貫した『一夫多妻』の傾向をうまく説明できない。しかたなく『農耕開始以降1万年のあいだに一夫多妻の習慣が生まれた』という話になるのだが、これもかなり無理がある話だろう。
 ヒトの性は、乱婚でも一夫一妻でも一夫多妻でもかんぜんに説明することができない。性はいまだ、私たちにとって大きな謎なのだ。
 なお上の図についてだが、カナダで血のつながらない2歳以下の子どもを殺した義理の親は1万人あたり6人、3歳から5歳の子どもを殺したケースは1万人あたり1人だ。妻の連れ子と暮らす男性はたくさんいるが、そのほとんどは暴力など無縁の家庭を営んでいることは強調しておきたい」
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