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2024年9月12日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「【歴史】実は、狩猟時代のほうが農耕時代より「豊か」だった? 最近の研究で明らかになった、太古の人間の生活
最近の研究から、食物の多様性に限らず日常生活も狩猟採集時代の方が「豊か」だったという見方が出てきています。「豊か」とは、皆が日常を快適に送るという意味です(イラスト:vectorpouch/PIXTA)
気候変動、パンデミック、格差、戦争……、私たち人類を襲う未曽有の危機を前に、20万年にわたる人類史が岐路に立たされている――。そのように言っても、大袈裟に感じる読者は少ないのではないでしょうか。
そんな今、40億年の生命誌からヒトの生き方を問い直そうとしているのが、レジェンド研究者・中村桂子さんです。
科学の知見をもとに古今東西の思想や実践活動に学び、「本来の道」を探った著書『人類はどこで間違えたのか――土とヒトの生命誌』より一部抜粋・編集して、生き方を見つめ直すヒントをお届けします。
■狩猟採集から農耕、科学技術へ
狩猟採集から農耕へという、サピエンスだけが歩んだ独自の道が文明を生み出し、それが大きく展開して、科学技術文明が生まれました。
こうして現代人は我が世の春を謳歌してきました。食べものでいうなら飢餓より肥満に悩む人の数の方が多いといわれますし、東京では世界中の料理を楽しめます。平均寿命は年を追って伸びており、医療の進歩がさらにそれを延長すると期待されています。
けれども、21世紀が始まってから、文明の未来は危ういと感じる人が増えてきました。
サピエンスに未来はあるのか。誰にも予測できることではありませんし、悪い未来を望むものではありませんが、東日本大震災に代表される自然災害、気候変動、コロナパンデミックなどの中で、多くの人がなんとなく不安を感じていることは確かです。
1つには、これらの原因がどう考えても人間活動にあると思わざるを得ないからです。
東日本大震災も原子力発電所の事故があったために、10年以上たっても人が暮らせない地域ができてしまいました。二酸化炭素の排出量の抑制、ウイルスワクチンの開発など、個々の事柄への対処はもちろん必要です。
けれども、科学技術や社会制度などの力だけでの解決は無理です。そのように言い切る根拠をデータで示すことはできません。ここは生きものとしての直観で、基本からの見直しという立場で考えます。
■地球でなく「人間」が滅びる
未来を語るとき、地球が危ういとか生きものたちが滅びるといわれることがありますが、危ういのは人間なのです。
地球が太陽の終焉と共に終わりを迎えることはあっても、人間の力で滅びることはありません。太陽は今後50億年は続くとされますので、地球の心配はしなくてよいでしょう。
地球上の生きものたちはどうでしょう。これはわかりませんが、生命システムは46億年の地球の歴史のなかで、40億年間進化をしながら続いてきました。もちろん何度も大絶滅はありましたし、これからもあるでしょうが、その中でも必ず生き残るものがあり、しぶとく続いてきたのが生命システムです。
地球のありようはこれまでも変化を続けてきましたし、今後も変化します。小惑星の衝突もあるでしょう。さまざまな災害はあっても、地球から生きものたちがいなくなることはないだろう。
これまでの生きものの科学が教えてくれるのは、このシステムのロバストネス(頑強性、堅牢性)です。
問題は人間です。生きものとしての人間は、生きる力を退化させ、滅びの道を歩いているように見えます。
危うさの原因は、「人間は生きものであり、自然の一部である」という事実を無視した物語をつくったところにあると思えます。
物語は、自然の操作である農耕から始まり、いつの間にか自然を無視した暮らし方を進歩と呼び、それに絶対の価値を置きました。そこで大事な役割をしたのが科学であり、科学技術です。
科学は魅力的な学問ですが、進歩観のもとで科学技術を進めることが良い選択とは思えず、科学に基礎を置きながら「べつの道」を探る「生命誌」という知を考えました。
「『私たち生きもの』のなかの私」という現実を基本に置いた物語を紡ぎ、時には自然界の生きものたちが紡いでいる物語を読むことで、自然の一員であることを意識しながら、自然を解明し続けて行きたいのです。
こうして生きものとしての「本来の道」を歩けば、破滅を避けることができるのではないか。やや大仰な言い方をするなら、文明の再構築の試みです。
■農耕は世界の5つの地域で始まった
農耕の始まりの場、つまり現在私たちの食生活を支える中心的作物が最初に栽培されたとされる地域は、南西アジア(コムギ、エンドウなど)、中国長江流域(アワ、キビ、コメなど)、中央アメリカ(トウモロコシなど)、アンデス(ジャガイモなど)、北アメリカ東部(ヒマワリ)の5カ所であることがわかってきました。
このなかで最古とされるのが、紀元前8500年頃の南西アジア(メソポタミア)であり、コムギなどの栽培のほか、ヤギの家畜化も行われていました。
興味深いのは、その後紀元前3500年までの間に主要作物にオオムギなどが加わりはしたものの、この5地域で栽培され始めた作物が今も食され、しかも私たちの摂取カロリーのほとんどが、これらに頼っているということです。
つまり、植物の中で栽培に適したものは非常に少なく、農耕を始めなかった地域は、そこに暮らす人々にその気がなかったからではなく、栽培できる植物がなかったためといえそうです。
こうして限られた人々が農耕を始めたのではなく、限られた植物が農耕を可能にしたのだと知ると、人間と自然の関係をこれまで人間の支配という目で見過ぎていたことに気づきます。
狩猟採集時代には多種多様な植物や動物を食べていたことがわかっており、今私たちが知っている栄養という概念で見たときに理想的といってもよい食生活をしていたようなのです。このときのほうが自然をよく知り、ある意味、豊かな生活をしていたともいえるわけです。
狩猟採集から農耕への移行は、両者が混じり合いながら徐々に農耕文明へと移りました。ここでの課題は「多様性」の消失でしょう。多様性の重要さはさまざまな側面から明らかになっており、農業においてそれが重視されてこなかったことは、頭に止めておきたいことです。
最近の研究から、食物の多様性に限らず、日常生活も狩猟採集時代のほうが「豊か」だったという見方が出てきています。
農耕生活の始まりの頃と比べてのことだけではなく、現在の私たちの暮らし方と比べてもそういえるとする研究者もいます。「豊か」とは、皆が日常を快適に送るという意味です。
■実は「豊か」だった狩猟採集時代
すでに指摘したように農耕民には栄養失調が見られます。しかも農耕生活では、その年の気候によって主要作物が不作になり、飢えに苦しむ場合が少なくなかったのに対し、狩猟採集の場合は、災害が起きたらその場所から移動すればよかったのです。
労働時間も現存のアフリカでの狩猟採集民の場合、週に35~45時間という値が出されています。毎日の採集時間は3~6時間、狩りは3日に一度くらいしか行いません。そこで、皆で語り合う時間がたっぷりあるのです。
感染症の問題もあります。
長い間私たちを苦しめてきた天然痘やはしかなどの感染症は、そのほとんどが家畜に由来するものであり、農耕社会になってから感染が拡大しました。
当初の集落はゴミや排泄物などで不潔な状態でしたから、病気が広がりました。小さな集団で移動している狩猟採集社会では、病原体の感染は起こりにくかったので、これも決してよい方向へ向かったとはいえません。
このような比較から、研究者たちは狩猟採集生活を「豊か」と表現するようになり、以前のような野蛮人というイメージは、はっきり消えました。
とはいえ、子どもの死亡率は高く、大人になっても病気や怪我の治療は難しかったに違いありませんから、決してそこに戻ろうという暮らしでないことは明らかです。
ただ、自然の一員としてどう生きるかという問いを考えるときに、思い出す必要がある時代であることは確かです。私たちとは無縁の遠い世界の話ではなく、自身の生き方に関わっていることを忘れてはなりません。
COVID-19騒ぎの前は、感染症の時代は終わった気持ちでいたように思います。がん、高血圧、認知症のような病気には関心があっても、感染症はインフルエンザに気をつける程度、大した問題ではないという受け止め方です。
しかし今や、それは思い上がりだったと気づかされました。
自然界にはこのようなことがよくありますので、現代社会の見直しをするときには、思い込みをなくし、事実に向き合う必要があります。農耕社会、ひいてはそれを発端として始まった文明社会を考えていくときに参照しなければならない狩猟採集生活の特徴は少なくありません。
中村 桂子 :JT生命誌研究館名誉館長
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💫10}─3・B─5万年前の岩絵がインドネシアで発見される。世界最古の具象絵画か?~No.79No.80
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地球上で、遠方まで素早く移動するのに最適な手段は、舟で沿岸伝い行く水の道であって、山野・草原を馬で行く陸の道ではない。
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2024年9月8日 MicrosoftStartニュース The Daily Digest「5万年前の岩絵がインドネシアで発見される:世界最古の具象絵画か?
thedailydigest.com
洞窟で見つかった岩絵
©The Daily Digest 提供
インドネシアのスラウェシ島南部にあるカランプアン洞窟で岩絵が発見された。その後の研究により岩絵は5万1,200年前に描かれたものであると最近判明し、おどろきが広がっている。
きわめて古い洞窟壁画
この岩絵には3人の人物とイノシシが描かれており、狩りの様子を描写したものだと見られている。
オーストラリアとインドネシアの共同研究チーム
この成果を発表したのはグリフィス大学(オーストラリア)、インドネシア国立研究革新庁(BRIN)、サザンクロス大学(オーストラリア)の研究者たちからなる共同チームだ。
研究者のコメント
『El País』紙によれば、調査に参加した考古学者のマキシム・オベール教授は声明の中で次のようにコメントしたそうだ:「以前、インドネシアのスラウェシ島(写真)とカリマンタン島にある岩絵の年代を特定した際には、ウラン系列による年代測定法を利用しました。しかし、私たちが新たに開発した「LA-U系列法」はさらに高精度です。岩絵の表面に生じた炭酸カルシウムの年代を特定することで、作品そのものが描かれた時期に迫ることができるのです。岩絵の年代測定に革命をもたらすことでしょう」
革命的な年代測定法
オベール教授いわく、この新手法は精度が高い上、測定に必用なサンプルも少量でよいため、岩絵に与えるダメージを減らすことができるというメリットもあるとのこと。 『El País』紙によれば、「LA-U系列法」は岩絵の年代測定における新たな一歩であり、砂岩をはじめ、さまざまな種類の岩石に描かれた壁画についても応用することができるかもしれないそうだ。
写真はビンベットカの岩陰遺跡群(インド)
覆され続ける通説
人類史や芸術の起源に関する通説は新発見がなされるたびに覆されており、謎は深まるばかりだ。そのため、オベール教授は岩絵の調査を続けると同時に、こういった作品の保全に取り組むことが大切だと主張している。
容易ではない年代測定
先史時代の岩絵は初期人類の文化にまつわる謎を解く上で重要なカギとなるが、それが描かれた年代を正確に突き止めるのは依然として容易なことではない。
写真は東カリマンタン州(インドネシア)のサンクリラン半島で発見された手形
5万年以上前に描かれた岩絵
2018年、オベール教授の研究チームはカリマンタン島で槍を打ち込まれた動物を描いた岩絵を発見し、それまで考えられてきた絵画の起源を更新することとなった。同教授いわく:「5万年以上前に描かれたことが確実視される岩絵が見つかったのは初めてです」
具象絵画の起源はいつ?
さらに翌年、スラウェシ島でもイノシシやスイギュウ、人間の姿を描いた岩絵が発見されることに。当初、この岩絵は4万4,000年前に描かれたものと推定されていたが、オベール教授の研究チームが新手法を用いて年代測定を行ったところ、遅くとも4万8,000年前にはそこにあったことが判明し、具象絵画の歴史が5,700年更新されることとなった。
写真はムナ島(インドネシア)で発見された先史時代の岩絵
岩絵の作者はホモ・サピエンス
研究チームはこういった岩絵の作者について、現生人類と同じホモ・サピエンスだったと考えている。オベール教授いわく、先史時代の岩絵は著しく高度な芸術作品であり、当時の人々の鋭い感性が読み取れるとのこと。
写真はビンベットカの岩陰遺跡群(インド)
さらに岩絵が発見される可能性
その後、スラウェシ島で発見された岩絵の年代が実はさらに古いことが判明し、絵画の歴史は5万年あまり前まで遡ることができるようになった。オベール教授はこの時期の具象絵画について、今のところスラウェシ島の岩絵以外に例がないことを認めているが、「さらに古い岩絵が発見される可能性は高いでしょう」と述べ、研究の進展に自信を見せている。
写真はムナ島(インドネシア)で発見された先史時代の岩絵
世界各地で発見される岩絵
インドネシアで先史時代の岩絵が発見されるようになると、具象絵画がヨーロッパ生まれとは限らないことを示すものとして注目を浴びた。その後、世界各地で同様の発見が相次ぎ、岩絵の歴史にまつわる理解が進むようになったという経緯がある。
写真は南アフリカの西ケープ州で発見された壁画
ヨーロッパ最古の絵画
一方、ヨーロッパ最古の絵画はショーヴェ洞窟(フランス、写真)にある動物の岩絵であり、3万年あまり前に描かれたとされている。
専門家のコメント
スペイン・カンタブリア大学の考古学者、ディエゴ・ガラテ教授は今回の成果について、世界各地で数万年にわたり狩猟の様子が描かれ続けてきたことは興味深いとコメント。なお、同教授は今回の研究チームには加わっていない。
写真はカンタブリア岩絵センター(スペイン)
絵画はどこで誕生したのか?
では、具象絵画はどこで誕生したのだろう? アジアとヨーロッパで別々に発展したのかもしれないし、初期人類がアフリカ大陸から各地に進出するころには、人類全体に岩絵を描く習慣が広まっていたのかもしれないが、今のところ真相は不明だ。
写真はタッシリ・ナジェールの洞窟壁画(アルジェリア)
今後の研究に必要なのは……
ディエゴ・ガラテ教授はインドネシアで相次ぐ発見について、ヨーロッパ中心的な考古学に一石を投じるものだと評価している。しかし、先史時代の岩絵については不明な点も多いことから、古さを競うのではなく、誰が描いたのかについて研究を深めることが大切だとくぎを刺した。
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人類の誕生と大移動は運命である。
日本人の祖先はアフリカのサルであるは宿命である。
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約258万年前から約1万1700年前 更新世:新生代第四紀の前半。
600万年前~700万年前 人類(ヒト属)の祖先はチンパンジー、ボノボの祖先である類人猿から別れて進化していき、幾つかの人類種が枝分かれするが一つの系統を残して全て絶滅した。
100万前 ホモ・エレクトスが陸伝いに日本列島に歩いてきて住み着いた。
10万年前 新人・現生人類(ホモ・サピエンス)は、アフリカで誕生し、世界中に移住していった。
3万5000年から3万年前以後 新人・現生人類(ホモ・サピエンス)=旧石器人(ヤポネシア人)は日本列島にたどり着き、上陸した、漂着した、流れ着いた。
縄文時代 1万2000年~2000年前。縄文人(日本土人)。
数千年前 揚子江流域民である弥生系渡来人が山東半島から朝鮮半島を経由し、続いて中国旧満州地方に住んでいた古墳系帰化人が朝鮮半島を経由して日本列島に移住してきた。
この時点では、まだ日本民族(和人)・琉球民族・アイヌ民族は生まれていない。
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日本土人である縄文人(日本土人)は、日本列島を中心に、南は琉球(沖縄)、北は蝦夷地(北海道)・北方領土、南樺太、千島列島その一部はカムチャツカ半島から北米大陸西北部太平洋沿岸まで、西は朝鮮半島南部、日本海(縄文人の海)を主要航路として手漕ぎ丸木舟で移動していた。
縄文人は、手漕ぎ丸木舟で北米大陸の太平洋沿岸まで移動していた。
中国や朝鮮では、朝鮮半島南部に住んでいた先住民の弥生系日本人を倭族と偏見を持って軽蔑し差別していた。
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日本文明は、揚子江流域(江南地域)にあった漁労農耕の温和で平和志向の長江文明の後継文明であって、黄河流域で軍事優先で栄えたの領土拡大・侵略志向の好戦的黄河文明の亜流文明ではなかった。
朝鮮文化は、黄河文明の亜流であった。
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ヤポネシア人とは、東南アジアの南方系海洋民と長江文明の揚子江流域民が乱婚して生まれた混血した雑種である。
数万年続いた日本列島の旧石器時代・縄文時代は、争いのない、戦争のない平和な時代であった。
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旧石器人(ヤポネシア人)は、南方系海の民であった。
縄文人(日本土人)は、森の民であった。
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日本民族・琉球民族・アイヌ民族は、旧石器人(ヤポネシア人)、縄文人(日本土人)を共通の祖先とする同種・同血族であって、中華民族、漢族、韓国人・朝鮮人とは血の繋がりが薄い別種・異種のアジア人であった。
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日本民族は、旧石器人(南方東南アジア系ヤポネシア人)、縄文人(日本土人)、弥生人(南方揚子江系渡来人)、古墳人(北方満州系帰化人)が混じり合い乱婚し混血して生まれた雑種である。
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アイヌ民族は、旧石器人(ヤポネシア人)、縄文人(日本土人)にシベリア・沿海州・樺太、北方領土4島・千島列島・カムチャツカ半島などオホーツク海沿岸に住んでいたオホーツク文化人が南下してきて、混じり合い乱婚し混血して生まれた雑種である。
アイヌ人は住んでいる島・地域によって幾つかに枝分かれして、それぞれ他の人種・民族と乱婚を繰り返し混血度を濃くして独自の微妙に違う生活スタイルで生きてきた。
蝦夷地・北方領土アイヌ、樺太アイヌ、千島列島アイヌ、カムチャツカ半島アイヌ、その他。
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琉球民族は、旧石器人(ヤポネシア人)、縄文人(日本土人)に揚子江流域・東南アジアから渡って来た人々と混じり合い乱婚し混血して生まれた雑種である。
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多種多様な人種、民族との乱婚による混血度・雑種性が、最も濃密なのが日本民族で、次ぎに濃いのが琉球民族で、最も薄いのがアイヌ民族である。
同一の縄文人から分かれた日本民族・琉球民族・アイヌ民族の違いは、この「乱婚による混血度・雑種性」の濃度にある。
例えるなら真珠で、アコヤ貝の体内に取り込まれた砂粒などの異物(日本列島の土人である縄文人)に貝が分泌する独自の炭酸カルシウムでホワイトオパールにも、ブラックオパールにも、偏光色オパールにもなる。
さしずめ、日本民族は偏光色オパールであり、ホワイトオパールは琉球民族であり、ブラックオパールはアイヌ民族である。
そこには、漢族中国人や半島系朝鮮人は含まれていない。
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🐟29〗─1─北朝鮮産シジミが第3国の仲介業者を介して日本国内に輸入されている。~No.114No.115
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2024年9月9日 YAHOO!JAPANニュース ピンズバNEWS「北朝鮮産のシジミが日本国内に輸入されていた 専門ジャーナリスト「重要なのは第3国の仲介業者の処遇」
北朝鮮産シジミが日本に輸入されていた 画像はphotolibrary
所狭しと棚に積み重ねられるのは、ハングル文字が書かれた商品パッケージ。スパイスの香りが充満していたであろう埼玉県内にある商社のオフィスを、山口県警の捜査官が訪れたのは2022年12月のことである。
■【画像】北朝鮮産のシジミも提供 中国・北京の北朝鮮直営レストラン■
「山口県警は都内の商社や茨城県、山口県、福岡県の水産会社など数十か所をこの時に家宅捜索。北朝鮮産のシジミを韓国経由でロシア産と偽って、下関港へ輸入したとして県警は9月5日に外為法違反容疑で商社の代表ら3人と法人を書類送検する方針を固めました」(全国紙社会部記者)
核や弾道ミサイルの開発を続ける北朝鮮に対し、日本政府は09年から輸出入を全面禁止する独自制裁を続けている。
「県警は国内のネットワークを通じて、北朝鮮に資金が流れた疑いがあると見ています。過去にも北朝鮮産の水産物の産地を偽り、業者が国内へと輸入したケースは事件化しています。
韓国銀行の推計によれば、北朝鮮の23年の実質国内総生産は、中国との貿易がコロナ規制緩和で増加したことなどにより前年比3.1%増えたとされている。国内景気は好調な北朝鮮ですが、外貨獲得の手段として海産物の国外輸出は欠かせないということなのでしょう」(前同)
禁輸されているはずの北朝鮮産の海産物は、日本国内へどのように持ち込まれているのか。弊サイトは情報番組『ひるおび!』(TBS系)などでも朝鮮半島問題の解説する、『コリアレポート』編集長の辺真一氏に話を聞いた。
「第1の問題は、仲介している国にあると思います。日本へ輸入される北朝鮮産の水産物は、中国やロシアなどを介して入ってきます。産地偽装は経由地である第3国で行なわれるわけですよ。第3国のブローカーは、北朝鮮産の海産物を安く買い叩き、日本へ高く売る。北朝鮮は国連安保理の制裁対象国とは言え、近隣国と貿易関係を持ち事実上、制裁逃れの状況にある。この状況を利用してブローカーは産地偽装をするというわけです」(辺氏)
■北朝鮮産シジミのカギを握るのは第3国の仲介業者
ロシア産と偽られた北朝鮮産のシジミを輸入した日本の商社は、シジミの産地偽装を知らなかった可能性もあるというわけだ。
「北朝鮮産の海産物が日本へ持ち込まれないようにするには、第3国にある仲介業者の現地での扱いが重要になります。今回のケースであればシジミは1度、韓国を経由し下関港へと持ち込まれている。
韓国も日本と同じく、北朝鮮に独自制裁を課しており統計上は北朝鮮との貿易は現在ゼロの状況です。日本へのシジミの輸出を仲介した韓国の会社が現地でどのように扱われるのか……当局の捜査を受け仲介業者の経営者が拘束されでもしないことには、今後も北朝鮮産の海産物が日本国内へと韓国から輸出され続けるかもしれません」(前出の辺氏)
海産物の輸出などで獲得した外貨を、北朝鮮の上層部はどのように利用するつもりなのだろうか。
「核ミサイルから住民の衣食住に関わる民生分野まで、その使い先は様々でしょう。北朝鮮は現在、ウクライナ戦争特需。ロシアに武器を売ることで国力を増強、見返りとして、エネルギー資源や小麦などをロシアから手にしています。
大国ロシアとの取引が順調な今、かつての外貨獲得手段であった海産物輸出は端金に過ぎないかもしれません。それでも、国力増強のためには、海産物輸出を続けるのではないでしょうか」(前同)
日本国民が日常生活で口にするシジミ汁。それが“実は北朝鮮産”、なんてこともあるかもしれない……。
ピンズバNEWS編集部
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🐟28〗─1─和食文化の蝦夷コンブと縄文魚介類が消滅する危機。~No.112No.113
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2024年9月4日 YAHOO!JAPANニュース 「縮みゆく国・日本の針路
【異変続く北の海】サケ・イカ・カニだけでなく和食文化の肝「昆布」も獲れない事態、温暖化で近海コンブ消滅の危機
生産量低下、生産者減少の「二重苦」にあえぐ漁協、復活の手立てはあるのか?
和食文化に欠かせない「昆布」、不漁の原因は?
8月に北海道を訪れた。太平洋沿岸の街にある魚介類が豊富に揃うスーパーで毎年、手ごろな価格で毛ガニや地場の魚を購入して北の幸を楽しんでいる。ところが、今年は勝手が違った。
毛ガニは店頭になく、代わりに棚に並んでいたのは近年大漁が続くオオズワイガニ。2杯で500円程度と格安だ。毛ガニはすっかり獲れなくなってしまったという。サケも相変わらず不漁で揚がるのはブリばかりだ。ウニやイカもすっかり数が減り、値段は高騰する一方だ。
そんな北海道で今年、昆布漁が中止に追い込まれたというニュースが流れた。和食文化に欠かせない昆布の世界に何が起きているのか。北の海の異変を追う。
北海道各地で厳しい状況に追い込まれている昆布の生育環境
オホーツク海沿岸にある雄武町(おうむちょう)。特産品は海産物。利尻昆布の生産地としても知られ、雄武産利尻昆布は平成24年から道内でもっとも支持されているコンビニ「セイコーマート」のおにぎりにも使用されている。
そんな昆布の特産地にこの夏、衝撃が走った。雄武漁協が今季のコンブ漁の中止に追い込まれたのだ。資源量不足が原因だ。昨年の猛暑で生育が悪かったうえ、冬季の流氷に覆われた期間が長かったことで、流氷の氷塊で根を切られた昆布が多かったという。漁の中止は戦後初めてのことだ。
利尻昆布の生産地がピンチに
雄武漁協の昆布は天然もので、2023年度の昆布の水揚げは84トン、1億800万円だった。2020年131トン、2021年107トン、2022年51トンと例年100トンは維持してきたが、ここ数年、海水温の上昇と流氷の影響で生産量が落ち込んできた。そこへもってきてついに漁中止に追い込まれてしまったわけだ。
資源回復には2年ほどかかるとされているが、「細目昆布が育ってきているので、そちらに期待したい」と漁協の担当者は希望を口にする。
今年は釧路管内でも5月末に棹前昆布(さおまえこぶ)漁が中止に追い込まれたばかり。こちらは高水温による生育不良が原因だ。昆布の生息環境が北海道各地で厳しい状況に追い込まれているようだ。
昆布不漁の原因は異常気象だけではなかった!
北海道の昆布生産は国内の9割以上を占めている。昆布が生育する海の中では「昆布の森」が形成され、多彩な魚介類が生息。さらに昆布は大気から海水に溶けた二酸化炭素を吸収して、光合成反応によって有機炭素化合物を生成する。つまり昆布はブルーカーボンの貴重な供給源となっているのだ。
その昆布資源が急激に痛めつけられ、生産量が激減している。最盛期の1976年には3万4000トン近くあったのが、2022年は1万1106トンにまで落ち込んだ。生産額はバブル期の1989年には386億円に達していたが、2022年は179億円と半分以下の水準だ。今年は生産量が1万トンを切るのではないかとささやかれているほどだ。
昆布とひと口で言っても種類はさまざま。真昆布(函館)、日高昆布、厚葉昆布(道東)、長昆布(道東)、羅臼昆布など地域によって種類に違いがあり、それぞれの味わい、特徴がある。
江戸時代、北前船で大阪に運ばれたのは主に真昆布。主要産地は函館市郊外の南茅部。映画「海猫」の舞台になった漁港でもある。
同地の天然真昆布は「白口浜真昆布」として知られる一方、江戸時代には松前藩が朝廷や将軍家に献上したことから「献上昆布」とも呼ばれ、漁協組合員の約9割が生産に従事しているという。天然ものは抜群の味と香りが高い評価を受け、高級料理店では出汁、塩吹き昆布、高級佃煮、昆布締めなどに使われ重宝されている。
南かやべ漁業協同組合によると、令和4年の天然真昆布の生産量は19トン、令和5年は23トンで、最後の豊漁だった時(平成26年)の703トンの3%ほどでしかない。養殖物の生産量は2453トン(令和4年)だが、平成25年の3000トン超に比べると減少傾向にある。
「いろんな取り組みをしているが、自然が相手なだけになかなか資源を回復するのは難しい」(漁協関係者)という状況が続いている。
真昆布に限らず昆布不漁の原因はいくつか指摘されている。
・異常気象による海水温の上昇で発育不良
・ウニによる食害や石灰藻が石を覆うことによる磯焼け
・若者人口の流出や重労働を嫌っての生産者の大幅減少
昆布漁は異常気象による生産量低下と生産者減少という二重苦にあえぎ、戦後最大の危機的状況に陥っている。
和食文化に欠かせない昆布の生産量を復活させる取り組み
こうした現状に、北海道水産経営課は「ICT技術等を活用したコンブ生産増大対策」という取り組みに乗り出した。
近年の海洋環境の変化で漁場の変化が著しいことから、ドローンの空撮画像から昆布漁場を把握する画像解析技術による漁場管理や、水揚げから製品出荷までの生産工程の見直し、AI技術を活用して一連の作業工程を自動化することで、省力・省人化、機械化、分業化による生産性の効率化を目指している。
昆布製品製造企業のフジッコは、水揚げした生昆布を乾燥させずに真昆布として出荷するという工程に転換する取り組みを始め、生産者の労働負担を大幅に減少させた。
こうした地道な取り組みにより北の海に昆布の森を復活させ、作業工程の簡略化で労働者の現場離れを防ぐ。本格的な回復は気が遠くなりそうなほど時間がかかるかもしれない。
北海道大学の研究では、温暖化で近海コンブは2090年代には消滅するという報告もある。出汁文化の大阪では天然真昆布の生産量激減で昆布文化の衰退が危惧されている。
昆布不漁の影響は北海道から2000km以上離れた沖縄県にも及んでいる。
歴史的に見ると、江戸時代に薩摩藩経由で当時の琉球に昆布が渡り、琉球から清に献上されていた。その影響で沖縄の郷土料理には昆布を使ったものが多い。千切りした昆布と豚肉、ニンジンを炒めたクーブイリチー、昆布巻き(クーブマチ)、刻み昆布と野菜の煮物、ジューシー(炊き込みご飯)など。
沖縄の地元テレビ局は「今年の分は在庫があり足りているが、来年のお正月や旧盆に安定的な供給ができるか見通しが立たない状況」と伝えている。
昆布は決して食卓の主役ではない。しかし、その味わいはユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化に欠かせないものである。日本の文献に初めて登場したのは797年に完成した『続日本書紀』の霊亀元年(715年)とされている。
高級店だけでなく、庶民の身近な存在としておにぎりの具材、出汁、昆布締め、千枚漬け、佃煮など幅広く利用され、当たり前の存在であり続けてきた昆布が、この先、入手が困難になってしまう事態が訪れるのだろうのか。
すでに天然昆布は最悪の状況にある。官民一体で知恵を出し合って和食文化の肝である昆布の生産量を復活させていきたいものである。
【山田 稔(やまだ・みのる)】
ジャーナリスト。1960年長野県生まれ。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。主に経済、社会、地方関連記事を執筆している。著書は『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』『分煙社会のススメ。』など。最新刊に『60歳からの山と温泉』がある。東洋経済オンラインアワード2021ソーシャルインパクト賞受賞。
■筆者のその他の記事
◎“令和のコメ騒動”で経営難に陥る街の飲食店、このまま価格が高止まりすれば倒産が続出する!(2024.8.27)
◎《2025年問題の衝撃⑤》窃盗からわいせつまで「超高齢者犯罪」が頻発するシルバー危機社会の深刻度(2024.7.25)
◎オーバーツーリズムの「富士山」は登るより眺める方がいい、絶景富士の眺望を楽しむお手軽山歩きスポット・ベスト5(2024.7.11)
◎都知事選の争点「少子化対策」が厄介な理由、他県との格差拡大で“東京一極集中”がますます加速する皮肉な事態も(2024.7.2)
◎ますます凶暴化するクマ対策は待ったなし!人間が駆除、放置したシカを餌に“肉食化”するクマも出現(2024.6.23)
◎都知事選は国政の代理ではない!真っ先に争点にすべき「1400万都市・東京」が抱える大問題(2024.6.10)
◎《2025年問題の衝撃④》全国で22万人の職員が不足する介護現場、「超老老介護」や「ヤングケアラー問題」も深刻化(2024.5.31)
◎《2025年問題の衝撃③》全国各地で「人手不足倒産」や「後継者難廃業」が続出、このままでは外資に食い尽くされる!(2024.5.17)
◎《2025年問題の衝撃②》相次ぐ「病院倒産」で崖っぷちの医療現場、医師不足や偏在のシワ寄せは患者に(2024.5.10)
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9月5日 YAHOO!JAPANニュース 女性セブンプラス「【食卓から天然魚が消える?】「漁師は後継者不足」「国内購買力低下でまぐろの高級部位が外国に」「産地ロンダリングや添加物使用も横行」…水産大国・日本の危機
魚の消費量・生産量は減少傾向となっている(写真/PIXTA)
良質なたんぱく質や血液サラサラ成分のDHA・EPAほか数多の健康成分を含み、手軽に手に入る「パーフェクト食品」だったはずの魚がいま、危機に瀕している。当たり前に食べていた寿司ネタから混じりものだらけの刺し身パックまで、水産大国の裏側を総力取材した。
【一覧表】いま危機に瀕している主な「海の幸」リスト。「人工イクラ」が多数流通など
日本の魚は消費量・生産量が大きく落ち込み“冬の時代”
四方を海に囲まれ、漁場に恵まれた日本において“海の幸”は食卓を彩るごちそうであると同時に、手軽に手に入る身近な栄養源でもある。スーパーには魚の切り身や刺し身がズラリと並び、回転寿司に行けば安価でおいしい生魚を楽しめる。しかしそんな世界有数の“水産大国”はいま、大きな危機に直面している。水産アナリストの小平桃郎さんが指摘する。
「確かにかつての日本は“とれる魚の量も質も世界一”といわれ、新鮮な魚介類を使った寿司はもちろん、天ぷらやうなぎの蒲焼きなどは日本のソウルフードとして世界に広まり続けています。
しかし一方で、日本の魚は消費量・生産量ともに大きく落ち込み、水産業は“冬の時代”と言わざるを得ない状況が続いている。実際、100円台で豊富な寿司ネタが食べられるはずの回転寿司はコーンやハンバーグ、からあげなどを使った“陸上寿司”や麺類ほかサイドメニュー、スイーツに力を入れるなど、方向転換を余儀なくされている。純粋な魚を使った寿司ネタの消費量は減少傾向にあるといえます」
当たり前に食べていた魚の多くが希少品になる危機が迫っているのだ。日本の魚を取り巻く「不都合な真実」をレポートする。
海外の市場でも“買い手”として魅力に乏しい日本
多くの専門家たちが警鐘を鳴らすのは、国内の漁獲高が大きく落ち込んでいること。水産庁の発表によれば2022年の食用魚介類の自給率は56%。東京オリンピックが開催された1964年には113%もあり、半世紀で半減したことになる。消費者問題研究所代表で食品表示アドバイザーの垣田達哉さんが指摘する。
「その背景には地球環境の変化と水産業の人手不足とが複雑に絡み合い、漁業が立ちゆかなくなっている事実があります。
ただでさえ地球温暖化によって魚の絶対数が減っているうえ、海外からは国産品よりも安価な魚介類が入ってくるため価格競争が厳しく、少子高齢化による漁師の後継者不足もある。漁師の数が激減し、さらに漁獲高が減るというスパイラルに陥っています。今後さらなる自給率の低下が予測され、日本の海産物を取り巻く状況はもっと厳しいものになるでしょう」
現状、すでに日本の食卓に並ぶ魚介類の半数近くは海外産だ。しかし小平さんは海外の市場においても日本は苦境に立たされていると話す。
「いまの日本は港や船、工場なども規模が小さく海外生産品への依存度が高いうえ、習慣として値上げがしにくい環境のもと円安や高齢化の影響もあり消費量が減少している。
世界から見ると“買い手”としての魅力に乏しくなってしまいました。実際、いま日本を含め世界中でとれた水産物の大部分は、中国のバイヤーの強い影響力のもとに置かれ、海上運送の中継拠点となる“ハブ港”である中国や韓国・釜山、タイ、シンガポールなどに集まっている。日本へはそれらの港を経由してから運ばれてくるケースが多く、主要な港としての立場にもない状況です。
そのように買い手としての存在感はすでに小さくなっているにもかかわらず、日本人はあいかわらず品質や規格に厳しいため、世界の生産者や水産業者から相手にされなくなりつつあるのです」(小平さん・以下同)
大とろは日本より高値で売れる中国などへ
とりわけ小平さんが懸念するのは、まぐろの輸入を取り巻く状況だ。
「日本はいまでも世界のまぐろ消費量の4分の1を占めているものの、ここ3年ほど前から市場での存在感が弱まってきているといわれています。中国や欧米でも人気のまぐろは、大とろなどの高級な部位は日本より高値で売れるため、一度韓国に運ばれカットされ、高い部位は中国など諸外国に販売、残った赤身が日本に輸入されるケースもあります。
まぐろ流通に関して言えば、日本には運搬船技術や倉庫での保管、加工などを超低温で行う複雑なノウハウがあり、まだ日本にしかできない技術が残されています。しかし、このまま日本国内の購買力が上がらなければ将来的に危機が訪れる可能性はあります。
例えばメキシコ産の養殖黒まぐろは、かつて全輸出量の約8割を日本が輸入していましたが、2021年からアメリカの輸入量が日本を上回るようになり、あと数年で日本の輸入量は2割未満になると予測されています」
まぐろと同じく寿司ネタとして人気の高いうにも、日本の独占状態が今後も続くとは限らない。
「世界最大のうに漁獲国はチリで、日本で流通している冷凍うにの約9割がチリ産。現時点ではうには日本人以外にはまだ食べる習慣が浸透していないものの、円安などの影響から輸入価格は確実に高騰している。
日本の水産会社は値上げすると売れなくなってしまうので、価格転嫁ができず、チリ側と厳しい価格交渉が続いています。そのためチリのうに漁師は、採算が合わないためかにや貝類、海藻など、ほかの魚種の生産に流れている。
5年ほど前まで大手回転寿司チェーン店ではうに軍艦が100円台で売られていましたが、現在は一時的に姿を消しています。このまま販売コストと消費者の認識のズレが続くと、昨今の海外での寿司ブームにより、チリ産のうにも日本以外の国に主導権を握られてしまう、なんてことになりかねません」
横行する“産地ロンダリング”
警戒すべきは未来の食卓の危機だけではない。現在流通している魚介類の品質も大きく下がっていると垣田さんは話す。
「特に海外から輸入された魚介類の場合、どんな環境で養殖され、どこの工場で加工されたか、消費者が知ることは極めて難しい。とりわけ日本は中国からの輸入が多いですが、中国産の貝類やうなぎなどから、日本の基準を違反する抗菌剤などの成分が検出された事例は過去に何度もあります。また、魚介類は冷凍すればどこまでも運ぶことができるため、国内でとれた魚を日本よりも費用が安い中国の工場に運んで加工するケースもある」(垣田さん)
つまり“国産”と銘打たれていても、油断は禁物なのだ。同様の状況は国内でも起きている。水産物は水揚げした場所を「産地」とすることができるため、「大間のまぐろ」や「下関のふぐ」など、遠くでとれた魚を有名な場所で水揚げだけする“産地ロンダリング”も横行している。
それらの魚介類が刺し身や切り身として売られる際、添加物が加えられていることも見過ごせない。
「スーパーの店頭などで見かけるいかそうめんやまぐろの刺し身は、日持ちさせるために酸化防止剤やpH調整剤などの添加物が使われていることが多い。また、ツヤを出すために植物油が塗り込まれたり、味をよくするために還元水飴や砂糖の調味料が使われていることもある。特にまぐろは酸化しやすいため、ねぎとろには油脂の注入が欠かせません」(垣田さん)
確認すべきは「裏」と「生」
量も質も危機に瀕している日本の海産物だが、私たちの健康維持や食生活には欠かせない存在だ。安心して口にするために垣田さんは、まず見る目を養ってほしいとアドバイスする。
「スーパーなどで刺し身や切り身などを買う際は、パッケージの裏側まで必ず確認してください。添加物が使われていれば、法律上は『生鮮食品』ではなく『加工食品』扱いとなり、『生』と表記ができなくなります。もし加工されていない本まぐろの刺し身を買いたいなら、『“生”本まぐろ』と表記されているものを選ぶこと。また、天然ものでなければ必ず『養殖』の表示がされているので、選ぶ際に参考にしてください」
消費者として意識を変えていくことも大事だ。
「輸入された安い食材ばかりに頼ると、日本の第一次産業はどんどん衰退し、自給率はさらに低下します。もし世界情勢の悪化で輸入がストップしたら、食糧難になるというリスクも懸念される。なるべく国産の魚を積極的に選び、応援するつもりで食卓にのせてほしい」(垣田さん)
安心して海産物を口にできる未来があるかどうかは、私たちにかかっている。
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💫13}─3─犬の選択で人類は絶滅から救われた。〜No.98
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2024年9月5日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「【歴史】大昔、人類が生き延びたのは「犬のおかげ」だった? 3万年前「犬が人との生活を選んだ」といえる、なるほどなワケ
イヌには家族の一員と呼んでよい存在になる「性質」が備わっているようです(イラスト:にしやひさ/PIXTA)
気候変動、パンデミック、格差、戦争……、私たち人類を襲う未曽有の危機を前に、20万年にわたる人類史が岐路に立たされている――。そのように言っても、大袈裟に感じる読者は少ないのではないでしょうか。
そんな今、40億年の生命誌からヒトの生き方を問い直そうとしているのが、レジェンド研究者・中村桂子さんです。
科学の知見をもとに古今東西の思想や実践活動に学び、「本来の道」を探った著書『人類はどこで間違えたのか――土とヒトの生命誌』より一部抜粋・編集して、生き方を見つめ直すヒントをお届けします。
■3万年前にイヌは人を「選んだ」
家畜化の研究は、主として2つの方向から行われています。1つは化石、もう1つがDNA解析(ゲノム全体を見る、特定の遺伝子を探るなどさまざまな方法)です。
新しい化石が出たり、分析法が開発されたりすると研究成果は変化しますので、これで決定とはいえませんが、3万年前(DNA解析の結果は4万~2万7000年前となる)頃には、イヌとして人間と共に暮らす動物がいたと考えてよさそうです。
農耕が始まったのは1万年ほど前とされますから、それ以前の狩猟採集の頃に、イヌという野生とは違う動物が私たち人間と一緒に暮らしていたことになります。
家畜化は、人間が自分の役に立てるために特定の生きものの特定の性質を変えていく過程です。後の時代になってのウシの場合、労働力として役立つ、乳をとるなどわかりやすい話です。
でも、イヌにはそのような特定の目的があったとは思えず、人間と暮らす生活をイヌが選んだといったほうがよいようにも思えます。家族になったといってもよいかもしれません。
DNA研究から面白いことがわかってきました。
人間のDNA解析から、超社会性(社交性が高く、おしゃべりが好きというような性質)に関連するとされる多型(同一種の個体で異なる表現型を示す)が見つかっているのですが、それと同じ多型がイヌにあるというのです(多型はオオカミにはありません)。
人もオオカミも社会性動物と呼ばれます。まさに「私たち」として生きる性質を持つ生きものです。その中からとくに社会性の高いものとしてイヌが生まれ、人間にも関心を持ったのでしょう。イヌには家族の一員と呼んでよい存在になる性質が備わっているようです。
赤ずきんちゃんだけでなく、『三匹の子豚』『オオカミと七匹の子山羊』、さらには『ピーターと狼』など、物語に登場するオオカミはどれも子どもにとって恐いものですが、別の見方をすれば、身近な存在だったともいえます。
オオカミに、人なつっこさにつながる遺伝的素因があったというのは意外ですが、わたしは道を歩いている時によくイヌが寄ってくるので、イヌとはどこかでつながっていると実感しており、この研究成果に納得しています。
■イヌは家畜とは違う存在だった?
このようなイヌと人間の関係を見ると、家畜という言葉から思い浮かぶような、人間が自分の都合で特定の生きものの性質を思うように変える、というイメージが消えます。
生きものの性質は、本来少しずつ変化していくものであり、その結果、進化をします。進化には、「進」という字が入っているので、進歩と重ねて考えられがちですが、まったく違います。
進歩は1つの価値観で比較し、先進国、途上国などと縦に並べます。一方、進化はすでに何度も述べたように、多様化の道を歩み、それぞれがそれぞれとして生きることになります。つまり、さまざまに変化する(展開)現象なのです。
19世紀にダーウィンが、「進化は変異をしたものの中から自然選択された個体が残ることによって起きる」ということを示しました。基本的にはこれが進化のメカニズムであり、この考え方をまとめたのが有名な『種の起源』です。
ダーウィンは、ビーグル号に乗ってさまざまな土地の動植物に接し、とくにガラパゴスでの体験から環境によって、生きものの形態や暮らし方が変わることを実感し、変異と自然選択という進化についての考え方をまとめたといわれます。確かにそうなのですが、ダーウィンは子どもの頃から身近な生きものをよく観察していました。
もちろんそこには野生の動物や鳥もいましたが、本当に身近だったのはイヌやハトなど、飼っている生きものたちでした。とくにハトについては、手に入る限りの品種を飼い、世界各地から標本も集めて、それぞれの違い――つまり変異を調べています。
当時の人々は、異なる姿形や性質を持つ品種の原種はそれぞれ別の野生種であると思っていたのですが、ダーウィンは自身の観察から飼いバトはどれもカワラバトの子孫であると信じるようになります。そして、そこには自然選択の力がはたらいていると考えたのです。
ダーウィンは、人間は自分の望みの性質や形を持つ個体をつくり出しているような気分になっているけれど、そこにはたらいているのは「自然選択」なのだということを見出しました。
ここにある自然という文字はとても大事です。機械の改良は、人間の望みとそれを可能にする技術とで思うように進められます。イヌやハトも、速く飛ぶハトが欲しいと思ったら速い個体を選んで掛け合わせをしていきます。
ただ、生きものの場合、望みの個体が得られるとは限りません。速く飛べてもけんかばかりしている個体では困ります。そもそもが自然の営為なので、なかなか思い通りにはなりません。
近年は遺伝子操作ができるようになりましたから、ダーウィンの頃よりは求める品種を得やすくはなりましたが、それでも遺伝子のはたらきが「自然」であることに変わりはなく、機械のようにはいきません。
生きものを対象にする時は、常にそこに「自然のはたらき」を意識しなければならないのです。それを忘れると大きなしっぺ返しがあると思っていたほうがよいでしょう。
■ネアンデルタール人絶滅とイヌの関係
イヌについての興味深い話があります。
現存する人類はホモ・サピエンスだけですが、同時期にヨーロッパで暮らしていたネアンデルタール人は、なぜ滅んでしまったのかという疑問をめぐる話です。
ネアンデルタール人は脳も大きく、体格もがっしりしており、ホモ・サピエンスのほうがひ弱なのに、後者が生き残ったのは、猟犬がいたからだというのです。
ネアンデルタール人の食生活や石器を調べると、数十万年間、変化が見られません。独自の世界にこだわり、新しいことに積極的でなかったとされます。
ネアンデルタール人の絶滅時期は、4万年ほど前とされ、その頃気候変動があったことが知られています。しかも当時ネアンデルタール人は小さな集団で暮らし、ゲノム解析から、多様性に欠ける状態であったこともわかっており、3万年前頃までにはホラアナライオン、ホラアナハイエナなどと共に絶滅したとされます。
■イヌという仲間の力を借りた
常に生きにくい環境になったとき、生きものの間での食糧の奪い合いが起きるわけですが、ホモ・サピエンスはイヌという仲間の力を借りて、狩りの場で優位に立ったという考えです(パット・シップマン『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』原書房)。
世界にこだわり、新しいことに積極的でなかったとされます。
この説を支えるのは、ベルギーのゴイエ洞窟で出土したイヌと同定される化石が3.6万年前のものとされるところから、旧石器時代からイヌという仲間がいた事実が明らかになったことです。
ネアンデルタール人の絶滅の理由にはさまざまな説が出されている状況であることを踏まえたうえで、興味深い説です。
頑なに従来の生活を守り続けたがゆえに滅びたネアンデルタールと、イヌとの協同に始まり、他の生きものと積極的に関わって牧畜、農業へと新しい生活を切り拓いていったホモ・サピエンスとを比べると、挑戦は大事だと思えます。
とはいえ、挑戦と同時に伝統の維持も忘れないのがよい生き方といえるのでしょう。
それにしても、人間は特別な存在であることも確かだけれど、動物の1つとして、他の仲間と関わりながら生きる存在でもあることを実感します。相手を利用するというような関係ではなく。
歴史を知り、これからを考える参考にしなければなりません。
中村 桂子 :JT生命誌研究館名誉館長
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🍞13〗ー5・Bー令和の米騒動は政治家と官僚が起こした「人災」である。~No.55
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
歴史的事実として、日本人には「座して」コメを食べる権利は存在しない。
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2024年9月5日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「コメが高くて誰が喜ぶのか…「令和の米騒動」は政府が起こした「人災」だと、荻原博子が断言するワケ
荻原 博子経済ジャーナリスト
「平成の米騒動」を振り返ると
スーパーマーケットの棚からからコメが消えています。しかも、昨年の2倍の価格で店頭に並べてもすぐに売れ切れるという、異常な状況となっています。
大阪府内では約8割の小売店などで品切れが発生していて、こうした状況に対して、大阪府の吉村洋文知事は「無くて困っている方がいるのに、“備蓄米”を放出しないという判断を続ける。倉庫に眠らせておく方がいいんだという理由が全く分からない」と“備蓄米”の放出に躊躇する政府に激怒しています。
これに対しては8月27日、坂本哲志農水大臣は、「(市場は)今後順次回復していくものと見込んでいる。コメの需給や価格に影響を与える恐れがあるため、慎重に考えるべき」と“備蓄米”の放出に後ろ向きの考えを示しました。
しかもダメ押しするかのように、8月30日に重ねてはっきり“備蓄米”を放出しない考えを示しました。
なぜ、農水省はこれほど頑なに“備蓄米”の放出を拒否するのでしょうか。そのまえに、“備蓄米”とはなんなのかを見てみましょう。
“備蓄米”は、「平成の米騒動」で制度化。
今から約30年前の1993年、日本は記録的な長雨と冷夏、日照不足に見舞われ、コメの収穫が激減しました。そのため、スーパーからコメが消え、高い闇ゴメが出回って、コメの価格が高騰したことがあります。さらには、農家にある出荷前のコメを狙ったコメ泥棒が横行するなど、米不足が犯罪にまで発展し大騒動になりました。
当時の日本には、コメは国産米で自給するという不文律があったのですが、このままだと社会不安にまで発展しかねないことを危惧した当時の細川政権は、「国産米で自給」の方針を大転換し、タイ米などの外国米の輸入に踏み切りました。
タイ米は日本人には馴染みがなかったために、私も「どうすればタイ米を美味しく食べられるか」などという記事を書いた覚えがあります。
これが、約30年前に起きた「平成の米騒動」です。
なぜ備蓄米は放出されないのか
この騒動が収束したのは、翌年の秋。沖縄県産の早場米を皮切りに、国内で収穫されたコメが順次市場に出回るようになってからでした。
政府はこのコメ騒動を教訓として、コメが不足するような事態を二度と引き起こさないために、95年にコメの“備蓄”を制度化する法律を作成。「10年に1度の不作や、通常の不作が2年続いた場合も対処できる水準」として年間100万トンを目標に、“備蓄米”を確保することを決めました。この“備蓄米”は、2024年6月末で91万トンあります。
なぜ、“備蓄米”が、迅速に放出されないのか。
コメ不足にならないために用意されている“備蓄米”なのに、なぜ今のような状況の中で、迅速に放出されないのでしょうか。
農水省は、まずコメの作付け状況から、小売価格、在庫量などの状況を調査し、これをもとに有識者でつくる「食糧部会」で話し合い、この結果を見て坂本農水大臣が最終決定をしなくてはならないので時間がかかり、“備蓄米”が店頭に並ぶ頃には新米も出回るので意味がないといった趣旨の説明を繰り返しています。
不思議なのは、政府はすでに、東日本大震災や熊本地震などの突発的な災害で、迅速に“備蓄米”を放出しています。災害時と事情が違うものの、なぜ今回は放出までにそんなに時間がかかるのでしょうか。
コメ価格の下落が怖い
そもそも昨年のコメの不作で供給不足になることは、前々から予測されていたこと。だとすれば、すでに充分な調査や検討などが行われているのが当然で、これから調査や検討をするので時間がかかるというのは、管轄省庁としてはあまりにお粗末と言わざるをえません。
放出しないまでも「政府が“備蓄米”の放出を検討中」というアナウンスを流すだけでも、買いだめは治るのではないでしょうか。
実は、手続きに時間がかかるという理由は、建前に過ぎない。農水省の本音は、“備蓄米”の放出でコメの価格を下げたくないというところにあるようです。
コメ価格を下げないことが、農水省の大命題。農水省が最も懸念しているのは、大量の“備蓄米”を放出することでコメの価格が下落してしまうこと。つまり、守りたいのは安定供給ではなく、高いコメ価格のようなのです。
過去50年ほどの農水省のコメ政策を見ると、コメ価格を下落させないことを大命題としているようです。
その土台になっているのが、コメが獲れすぎないように作付面積を抑える政策、すなわち減反政策デス。なぜ、こんな政策をとったかと言えば、食生活の多様化でパンやパスタなどが普及し、コメの需要が減ってきたからです。
そのため、コメ余りにならないように、国が都道府県ごとの生産量を決めた上で、各地の農業協同組合などが農家ごとに生産量を割り当て、それを上回る田んぼを潰してきまし。
3000億円の税金が減反に
この「減反政策」を、1970年から約50年間続けてきた結果、これまでに日本では、埼玉県一県と同じくらいの面積の田が潰され、耕作放棄地となっています。
驚くのはこの減反のために、なんと年間3000億円もの税金を使ってきたのです。
ただ、水田を潰すための補助金として巨額な税金を使うことに対する反発は大きく、「減反政策」は、2018年に廃止されました。
ところがこれは、世論をなだめるための安倍政権のパフォーマンスで、実際には、その後も水田を飼料用の米や麦、大豆などの作物にかえる農家には「水田活用の直接支払い交付金」を支給するなどして、実質的な「減反政策」は続いています。そのための予算は、2024年度で3015億円ですから、「減反」で使われていた補助金とあまり変わりありません。
コメ高騰で、誰が喜ぶのか。
「減反」以外にも、過剰米の政府買上げや安い外国米を国内に入れないための高い関税の維持など、農水省はあの手この手でコメ価格を維持する政策をとってきました。
2019年には、価格低下や災害などで収入が減少した場合に補てんする保険制度も導入しました。
新米も結局値上がり
コメ価格の維持は、農水省が管轄するコメ農家や、天下り先であるJAグループ(農業協同組合)の悲願でもあります。
こうしてコメの価格を下げない工夫をしてきた結果、農家の平均的なコメの出荷価格は、長いあいだ1俵(約60キロ)1万前後で維持されてきました。さらに昨年秋にはようやく低価格米のスポット取引価格で1万3500円をつけました。
しかも、ここにきてコメの品薄で、コメの価格維持どころか価格高騰が起きています。なんと直近で2万3000円を超え、1年で1.7倍にもなりました。
価格の高騰は、農水省にとっては、コメ農家を潤し、農協を潤し、税金の支出を抑えるという大きな効果が期待できます。だからこそ、ここで値崩れの危険がある“備蓄米”を出したくないということでしょう。
高騰から消費者を、誰が守るのか。
消費者にとっては、コメ不足も困りますが、コメ価格が高騰することも家計に打撃を与えます。すでに新米は、4割高になるといった声さえも聞こえてきます。
今まで、あらゆる食料品が値上がりしていく中で、コメだけは割安な価格に抑えられていました。レトルトのコメパックでも、安いものは一食60円前後で買えました。
これが、パンやパスタのように値上がりしていくと、給料が上がらない中で家計に大きな負担となっていくことは避けられません。
後編記事<「令和の米騒動」は日本の食糧危機の始まりだ…政府がひた隠す「知ってはいけない事実」>に続く。
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9月5日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「令和の米騒動」は日本の食糧危機の始まりだ…政府がひた隠す「知ってはいけない事実」
連載<コメが高くて誰が喜ぶのか…「令和の米騒動」は政府が起こした「人災」だと、荻原博子が断言するワケ>では、政府が備蓄米を放出しなかったことの問題や、長らく続けてきた減反政策の見直し不足などを検証。8月に起こったコメの品薄は、政府による「人災」であると指摘した。100%と言われるコメでこのような状況に陥るのであれば、他の食糧ではもっと悲惨なことになる可能性がある。引き続き、経済評論家・荻原博子の論考をお伝えしよう。
【写真】話題の新NISA、荻原博子が「おやめなさい」と断言するワケ
政府はみんな無関心
では、誰が消費者サイドに立って、コメのこの値上がりを食い止めてくれるのでしょうか。
農水省は、すでにコメ農家や天下り先のJAグループなどを守るための組織となっています。ですから、私たちの税金で買い取っている“備蓄米”さえも放出しない。
消費者政策をつかさどる消費者庁はどうでしょうか。残念なことに、消費者庁のホームページを見ると、コメのコの字も出てこない。消費者庁には農水省からの出向者が多く、ほとんどは2年ほどで農水省に帰るので、あまり同省と波風は立てたくないのかもしれません。
それでは、政府はどうでしょうか。
本来なら政府主導で国の“備蓄米”の放出を決めるべきです。なぜなら、本年6月に成立した「「食料供給困難事態対策法」では、コメや小麦、畜産物など重要な食料が、異常気象や紛争などの影響で大幅に不足する予兆があったら、内閣総理大臣をトップとする対策本部を設置して、関係する事業者に、生産や輸入の拡大、出荷や販売の調整などを要請できることになっているからです。
ところが、レームダック状態の岸田首相は、コメの流通の円滑化に取り組むよう農水省に指示しただけで終わり。自民党の国会議員は、総裁選で頭がいっぱいでそれどころではない状況。
つまり、だれもコメの価格の高騰で消費者が受ける打撃については対処せず、無関心といっても過言ではありません。
日本は食糧危機に陥る
「減反」と「コメの高騰」が引き起こす食糧危機。
私が今回の問題で最も危惧しているのは、「減反」や「コメ高騰」は今現在、庶民の家計を直撃するだけでなく、将来的には食糧危機の引き金にもなる可能性があることです。
内閣府は、世界的な人口増加によって2050年には穀物需要量が現行の1・7倍になり、食料需給がひっ迫するといいます。ところが、日本の食料自給率はカロリーベースで38%。食糧の6割以上を海外からの輸入に依存しています。つまり、日本は食料を輸入に頼らざるを得ない状況で、このまま20年もすれば、コメだけでなく「食料が足りない」と大騒ぎになる可能性があります。
すでに世界的な食料争奪戦に備え、ドイツやフランス、アメリカなどの先進国は、自国の農業に多額の補助金を投じています。なぜなら、農産物は一朝一夕には生産できないので、イザという時に自国民を飢えさせないため、食料確保を国の安全保障の一環に位置付け、そのために農産物をどんどんつくらせ、自国で消費できないぶんは海外に売るという体制を確立したのです。
あの中国でさえ、2013年以降は食用食糧の絶対安全保障(完全自給)と穀物全体の「基本自給」を掲げ、すでに自給率は100%に近づいています。しかも、新型コロナでは、危機に備えていち早く食料の買い占めに走り、なんと2020年には、1億4700万トンという大量の食料を買い付けています。
それに対し日本はどうでしょう。
貧しい人から食料が手に入らなくなる
日本は、こうした動きとは真逆で、「減反」などで食糧生産を減らすことに多額の補助金を投じてきました。それは、今まで金さえ出せば、食料など海外からいくらでも買えるという状況があったからでしょう。
けれど、その危うさが露呈したのが新型コロナの時でした。
自国の食糧だけでなく燃料、肥料などの不足への危惧から輸出制限をする国が増え、世界保健機関などが「輸出国による輸出制限の連鎖が起きて国際市場で食料品不足が起きかねない」と警鐘を鳴らす事態になりました。
新型コロナでは、ワクチンが自国で生産できない日本は、お金を出しても買えない順番待ちの行列に並ばされました。この状況が、将来的には食料での起きる可能性があります。各国が輸出制限をかけるようになったら、いくらお金を出しても食料が手に入らないという状況に陥りかねないということです。
貧しい人から、食料が手に入らなくなる。実は、すでに今の日本でも、水面下で食糧危機が迫っています。
内閣府が子供の貧困について行った調査(2021年12月)では「食料が買えなかった経験がある」との回答は全世帯の11%。低収入世帯は38%、母子世帯32%と、所得の低い経済力の弱い家庭ほど食料が手に入らない現状が浮かび上がっています。
私たちにはコメを食べる権利がある
貧困世帯の子どもを支援しているNPOキッズドアの渡辺由美子理事長は、「いま9人に1人の子供が貧困に陥っています」と嘆いていました。
キッズドアでは、《夏休み緊急食料支援》で募金をつのり、物価高の中で給食のない夏休みにまともな食事ができなくなっている子どもたちを対象に、援助を求められた2921世帯に1世帯あたり8000円の食料を配送しました。
「米袋を届けると、子供の目が輝く。お金がなくて、袋に入ったコメなど久しぶりで、今日はお腹いっぱいご飯が食べられる。ありがとうと言われると、こんな子たちが日本にいるのかと胸がつまる思いがします」(渡辺氏)
私たちは、3食リーズナブルな価格で米を食べる権利があります。
なぜなら、私たちは市販で米を買って代金を支払っているだけでなく、前述したように巨額の税金をコメ政策のために負担させられているからです。
そんな状況の中で、さらにコメの価格まで高騰するなどということは到底受け入れられません。それなのに、庶民の食卓を守ろうという動きは鈍いのは、理不尽この上ないと思います。
「減反」などという理不尽な政策は早くやめ、コメが不足しないように“備蓄米”を活用し、農家と農協のためのコメ政策から消費者を守るための政策に早く転換しなくては、内閣府が予想する2050年の食糧危機を乗り越えることができないのは明らかです。
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荻原 博子(経済ジャーナリスト)
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🍞13〗ー5ー「コメ不足」のさなか、コメ農家の倒産・廃業が急増。~No.55
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
コメ農家の倒産・廃業は、日本人農家の事であって、日本農業・耕作地の消滅ではない。
日本人農家が減少すれば、外国人移民(主に中国人移民)を農業労働者として日本農業を任せて食糧生産をしてもらえれば問題は解決する。
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20~30年前。メディアは、食糧自給率が40%以下に急落しても、コメの自給率100%と水産業における漁獲高の好調を報道していた。
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日本農業の崩壊は、メディアがバブル経済期に広めた「日本農業不要論」から始まった。
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2924年9月5日10:00 YAHOO!JAPANニュース 帝国データバンク「「コメ不足」のさなか、コメ農家の倒産・廃業が急増 過去最多を更新へ 肥料などのコスト増負担が重く
生産者の高齢化・後継者不足も追い打ち
コメ農家の倒産・廃業が過去最多を更新する見通し(写真=イメージ)
全国的なコメ不足と価格高騰のなか、米作農家の倒産や廃業に歯止めがかからない。2024年1-8月に発生した米作農業(コメ農家)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が6件、休廃業・解散(廃業)が28件発生し、計34件が生産現場から消滅した。倒産・廃業の件数は23年通年の件数(35件)を大幅に上回り年間最多が確実で、初の年間40件台到達も想定される。
主食用のコメを生産するコメ農家で倒産や廃業が相次ぐ背景には、生産コストの上昇と深刻な後継者・就農者不足があげられる。農林水産省の調査によると、2023年における農業に必要な生産資材の価格は、20年平均に比べて1.2倍に上昇した。なかでも、原料の多くを輸入に頼る肥料は1.5倍、ガソリン・軽油などの値上がりで光熱動力費は1.2倍、農業薬剤は1.1倍と、主な資材のほとんどが値上がりした。
「米作農業」倒産・休廃業解散件数 推移
他方で、国内の主食用米の消費量減少などを背景に販売価格への転嫁が難しく、利益が残らないことから翌年の苗床やトラクターなどの機材調達費用が捻出できず、コメづくりを断念するケースも多かったとみられる。また、小規模なコメ農家では就農者の高齢化や離農が進む一方、次世代の担い手が見つからないなど後継者不足の問題が顕在化している。
足元では主食用米の価格は上昇しているほか、低農薬米や無農薬米など高付加価値米の需要拡大などで業績を伸ばすコメ農家もある。また、JAを中心に新規就農支援の取り組みが進むなど、後継者不足に悩む生産基盤の強化が進んでいる。
ただ、資材高騰と値上げ難で農家が経営をあきらめる状況が続けば、将来的に主食のコメが安定的に供給できなくなる可能性もある。
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9月5日 MicrosoftStartニュース 産経新聞「コメ農家の倒産・廃業過去最多ペース、1~8月34件 価格転嫁難しく資材高騰で利益薄く
コメの品薄と価格高騰が顕在化する中、コメの生産農家の倒産や廃業が相次いでいる。帝国データバンクが5日公表した調査結果によると、2024年1~8月に発生したコメ農家の倒産(負債1000万円以上)が6件、休廃業・解散(廃業)が28件の計34件に上った。生産資材の高騰やコメ需要減少の継続により件数がさらに増えるのは不可避で、過去最多だった23年通年(35件)を上回るのは確実視されている。
(帝国データバンク調べ)
© 産経新聞
農林水産省の調査によると、23年の農業生産資材の価格は、20年平均に比べて1・2倍に上昇。大半を輸入に頼る肥料が1・5倍と上昇率は高く、農家の経営に大きなダメージを与えている。
一方で、国内の主食用米の消費量減少などを背景に販売価格への転嫁が難しいこともあり、売り上げが減少。さらに、就農者の高齢化による離職や担い手不足も追い打ちとなり、倒産や廃業が急増した。
足元では主食用米の価格が上昇しているが、帝国データは「小規模のコメ農家は利益が出せていない状況」と分析。「利益を出せているのは農地を集約して大規模で経営している農業法人で、小規模な零細農家は生産資材のコストアップ分を吸収できず赤字となっている状況」と説明し、もうかる農家ともうからない農家の二極化がさら進むと予想する。
関連するビデオ: コメ不足 農水省と生産者が意見交換 (テレ朝news)
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9月5日 MicrosoftStartニュース SmartFLASH「【コメ問題】「国民は何食えばいいんだ」「今日も売ってない」農水大臣の「スーパーでは水曜に入荷」発言に総ツッコミ“店員の声”が政府見解の衝撃
【コメ問題】「国民は何食えばいいんだ」「今日も売ってない」農水大臣の「スーパーでは水曜に入荷」発言に総ツッコミ“店員の声”が政府見解の衝撃
© SmartFLASH
ツッコミを食らっている、坂本農水相(写真・共同通信)
コメ不足が深刻だ。スーパーの売り場は空っぽだが、そこに表示されている価格を見ると5キロ袋でおよそ3000円。例年の5割ほど高くなっている。
「コメが売り切れている理由はいろいろありますが、8月8日の宮崎県日向灘沖の地震発生直後に発表された『南海トラフ地震臨時情報』、さらにノロノロの台風10号が1週間ほど日本列島を直撃したことで、備蓄用に買いだめる人々が続出したことがあげられます」(経済担当記者)
しかしコメ不足の予兆はかなり前からあった。昨年の猛暑でコメの作柄はよくなく、そのためずっと市中に出回る量は少なかった。
6月に農林水産省が開いた生産者や小売業者との意見交換会でも、「小売価格は1割以上高くなっている」「インバウンドで外食産業が活況。コメの引き合いが強い」などと指摘されていたという。
「それでも政府は深刻にはとらえていなかったようです。坂本哲志農林水産相も、6月12日の記者会見では『一部の店舗で特定銘柄の欠品はあるが、主食用米の需給がひっ迫している状況ではない』と静観していました。その危機感のなさが今回の事態を招いたのではないでしょうか」(政治担当記者)
8月26日には大阪府の吉村洋文知事が、政府に「備蓄米」の放出を要請したが、坂本氏は「米の需給や価格に影響を与える恐れがある」「備蓄米放出は著しい不作、2年連続の不作など生産量が大幅に減少したとき」と否定的な見解を示していた。
そして9月3日の閣議後の会見では、信じられない発言が飛び出した。
坂本大臣は、「新米の価格は、品薄状態なので平年よりも多少の割高感はある」としつつも、「各産地の情報によると、2024年産米の生育は全国的に順調に進んでいる。コメが品薄となっている状況は順次回復していく」と楽観的な予想を示した。しかし、記者が「いつごろからスーパーに並ぶのか」と質問すると「昨日、スーパーに行ってみて、店員さんの話では、『水曜日には入る予定』ということを言っておられました。早晩この米不足状態は解消すると思っています」と返答。なんと、店員情報を政府見解として発表したのだ。
こうした政府の「無策」に国民の怒りは沸点に達している。Xにはこんな投稿が見られる。
《米無いんだよ! 国民は何食えばいいんだ?》
《関西、今日も米売ってない》
《こんな悠長なことを言ってるから、何も問題が解決しない。仕事をしないのと一緒だ》
《日本人の主食のお米が高騰してるのは農水大臣の政策失敗》
政府が食糧危機を招いてどうする。
関連するビデオ: コメの不足・高騰で意見交換 農水省に農家や卸売業者ら集まる (テレ朝news)
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9月5日 MicrosoftStartニュース テレ朝news「こんにゃく農家悲鳴「生産するほど赤字」去年は暴落 若者離れ、温暖化でおでん消費減
© テレビ朝日
物価高のなか、お手軽な値段で家計を助けるこんにゃくですが、農家は赤字生産に悩まされているといいます。そんなこんにゃく業界は魅力の再発見を打ち出しています。
【画像】次世代こんにゃく素材はペースト “ウニ”に変身 唐揚げの衣にも
■こんにゃく農家「作れば作るほど赤字」
コンビニ大手・ローソンの一部店舗では3日、「おでん」の販売がスタートしました。
SNSの声
「この間まで夏だったよね?早くない?」
「アイス目的でコンビニ行っておでん買った」
おでんの定番メニューといえばこんにゃくですが、群馬県の渋川市にあるこんにゃく農家は、これまで経験したことがない取引価格の下落に頭を悩ませています。
こんにゃく芋生産農家 八高啓輔さん
「こんにゃくの価格が去年の大暴落で、こんにゃく農家の皆さん、すごく大きな打撃をこうむっている。生産にかかるコストというところで計算すると、作れば作るほど赤字というのが去年の販売価格だった」
畑作業に使う肥料や機材の高騰に加え、若者のこんにゃく離れや温暖化などで冬場のおでん消費が減少。需給のバランスが崩れ、廃業する農家も増えています。
八高さん
「なんとかこんにゃくにしがみついてやっていかなきゃならない。あとは、こんにゃくにもう一度消費者の皆さんがおいしさに気が付いてくれるとうれしいなと思っています」
■米に混ぜてカロリー抑制「こんにゃく米」
そんなこんにゃく業界が打ち出すのは、「魅力の再発見」です。
群馬県の甘楽町にある「こんにゃくパーク」では、定番の刺身に田楽をはじめ、焼きそばやラーメン、かき揚げといったメニューを扱った「こんにゃくバイキング」が無料で振る舞われています。
利用者
「料理で出てくる時には必ず食べていますけど」
利用客
「いっぱい(お皿に)乗り切らない。困っちゃいます」
こんにゃくパーク広報 齊藤ちな実さん
「皆さんに飽きないこんにゃく商品というのをご提案していく。こんにゃくの消費につながると信じて、今後もこんにゃくパークの活動を続けていきたいと思っています」
米不足が深刻な今、都内のカレー店では、驚きのこんにゃくの使い方をしていました。
見た目では分かりづらいのですが、米をよく見てみると、透明なのが、こんにゃくを米粒の形に加工した「こんにゃく米」です。
これを12%使うことで、本来の米の食感など満足感を損なうことなく、カロリーを抑えることができたといいます。
Kitchen723店主 小出奈津実さん
「お米の甘みもこんにゃく米にうつって、食べた時は全く自然に食べられるので。全然臭みとかもない。楽しくおいしく食べられる」
■化粧品&唐揚げの衣 万能なこんにゃく
こんにゃくには大きなビジネスチャンスもあります。
化粧水やパック、さらにはプニプニとした感触のやわらかなせっけんのように、肌に触れるものも販売されています。
こちらは次世代こんにゃく素材、その名も「ニンジャペースト」です。
ベンチャー企業「シデカス」 寄玉昌宏代表
「こんにゃくの力で他の食材を固めていくことができるという素材。忍者みたいに隠れて他のモノになんでもなりきる。ウニみたいなものから、唐揚げの衣など」
一般的に食品に使われるツナギはゼラチンや小麦粉、卵や水あめなどですが、次世代こんにゃく素材は低糖質・低カロリーかつヴィーガンにも対応が可能だといい、世界にアピールしていきたいと意気込みます。
寄玉さん
「(こんにゃく)芋を栽培するだけでなく、口に入るまで加工していく技術は日本独自の進化を遂げていて、正直、他の国に全然ない」
(「グッド!モーニング」2024年9月5日放送分より)
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9月5日 MicrosoftStartニュース JBpress「【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
宮前 耕也 によるストーリー
コメが消えたスーパーの棚
1994年の「平成の米騒動」、そして2004年の米価格高騰は、いずれも前年産が冷夏で凶作となった影響が大きい。すなわち、一時的な天候要因による供給不足が背景であり、作柄が豊作または平年並みに戻ったことで価格高騰は短期間で収まった。
だが、足元の「令和の米騒動」では、需要面と供給面の双方に一時的な要因と構造的な要因が絡み、価格高騰につながっている。先行きの米価格は不透明で、高騰が長引くリスクもある。(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)
<米価格が高騰>
このところ、米の入手が困難になるとともに価格も高騰しており、「令和の米騒動」と呼ばれる状況となっている。
全国CPI(消費者物価指数)によれば、米類の価格は2024年7月に前年同月比+17.2%と大きく上昇。伸び率は「平成の米騒動」と呼ばれた1994年5月に記録した+21.4%、そして2004年2月に記録した+25.2%に迫る高水準へ達した。
米価格は8月以降さらに上昇しているとみられる。
全国に先行して公表される8月中旬速報の東京都区部CPIによれば、米類の価格は前年同月比+26.3%となり、7月の+17.7%から伸び率が拡大した。気象庁より「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発令され、備蓄のためのまとめ買いが発生、価格高騰につながったとみられる。
8月下旬以降は台風10号に備えたまとめ買いも生じ、折からの価格高騰に拍車が掛かっている。
【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
前年比で92万トン減少していた米の在庫
<在庫水準が切り下がり、価格高騰につながる>
過去そして現在の価格高騰は、当然といえば当然であるが、需給逼迫で在庫水準が切り下がったことによりもたらされている。
民間流通と政府備蓄を合わせた在庫水準は、2004年6月末に273万トンとなり、2003年6月末の365万トンから大きく切り下がった。前年差では92万トンの大幅減少である。直近の在庫水準を確認すると、2022年6月末に309万トンだった在庫は、2024年6月末に247万トンと2000年代半ばを下回る水準まで切り下がっている。2年間で62万トン減り、「令和の米騒動」につながった。
「平成の米騒動」前後における民間流通と政府備蓄を合わせた在庫水準については、時系列のデータを得られない。ただ、「食料需給表」等を用いて簡易的に試算すると、1992~93年頃に250万トン前後あった在庫水準は、1994年に100万トン前後まで急速に切り下がったとみられる。当時、在庫を取り崩しても供給不足が解消されず、政府はタイ米などの緊急輸入に踏み切った。
【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
異例の凶作だった1993年産
<過去の価格高騰は凶作が背景だが…>
過去と現在ともに、価格高騰は需給逼迫で在庫水準が切り下がったことによりもたらされているが、需給逼迫に至った背景は異なる。1994年の「平成の米騒動」、そして2004年における価格高騰は、前年の1993年産、2003年産がいずれも冷夏で凶作となった影響が大きい。
作柄の良否を示す指標としては、農林水産省公表の作況指数が参考になる。
作況指数は、10a(アール)当たりの平年収量を100とした、その年の実際の10a当たり収量のことである。
平年収量とは、気象条件や病虫害などが平年並みになるものとみなした上で、水稲を作付けする前の段階で予想される収量を意味する。作況指数が106以上なら「良」、102~105なら「やや良」、99~101なら「平年並み」、95~98なら「やや不良」、91~94なら「不良」、90以下なら「著しい不良」に位置づけられる。
価格が高騰した1993年産の作況指数は、平年100に対して74であった。2003年産の作況指数は90だ。いずれも「著しい不良」、いわゆる凶作を示す低水準となった。
全国の収穫量をみても、1993年産は781万トンとなり、1992年産の1055万トンから274万トン減少、率にして▲25.9%の大幅減少であった。2003年産は778万トンとなり、2002年産の888万トンから110万トン減少、率にして▲12.4%の減少である。凶作の影響は、在庫が縮小する翌年春頃に顕在化し、価格高騰につながった。
【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
あきらめる米農家の存在
2021年以降、減少が続いている米の作付面積
<現在の価格高騰は作付面積縮小が一因>
現在の「令和の米騒動」については、巷間では昨年夏の猛暑の影響、具体的には高気温による品質低下で店頭向けの流通量が減ったと指摘されている。
では、米全体の作柄や収穫量はどうであろうか。
まず、作柄について、2023年産の作況指数は101と「平年並み」であった。豊作とまでは言えないが、少なくとも1993年産や2003年産のような凶作ではない。そもそも凶作や不作は、猛暑というよりも冷夏で生じやすい。作況指数は2019年以降、平年並み(99~101)が続いており、面積当たり収量も近年安定している。
にもかかわらず、全国の収穫量はこのところ減少が続いている。2019年産および2020年産がいずれも776万トンであったが、2021年産が756万トン、2022年産が727万トン、2023年産が717万トンへと3年連続で減少している。減少幅は2021年産が前年差▲20万トン(率にして前年比▲2.6%)、2022年産が▲29万トン(▲3.9%)、23年産が▲10万トン(▲1.4%)だ。
関連するビデオ: コメの品薄、いつ解消?「新米」収穫順調も価格は上昇 “コメ離れ”懸念も… (日テレNEWS NNN)
日テレNEWS NNN
コメの品薄、いつ解消?「新米」収穫順調も価格は上昇 “コメ離れ”懸念も…
すなわち、このところ作柄は「平年並み」で安定しているにもかかわらず、2021年産以降、作付面積の縮小が続いている影響により、米の収穫量、供給量が減少しており、足元の価格高騰の一因となっていよう。
<減反政策後も作付面積減少>
米の収穫量は、一時的には豊作や凶作など作柄に左右されるが、長い目でみれば作付面積に連動する。1960年代に食生活の洋風化に伴い、主食用の米の需要が縮小傾向へ転じる一方、政府による増産促進に豊作が続いた影響等が重なり、過剰米が発生。政府の在庫が積み上がり、その財政負担が問題となった。
過剰米問題を受けて、政府は1970年より減反政策を開始。その後、長らく作付面積は縮小傾向を辿った。
減反政策が廃止された2018年から2020年にかけて、米の作付面積および収穫量はほぼ横ばいで推移した。だが、コロナ禍後の労働供給縮小もしくは外食需要縮小に対応して、2021年以降、作付面積および収穫量は再び縮小している。
需要面はどの程度影響しているのか?
<米の需給バランスを確認>
足元の米価格高騰は凶作ではなく、コロナ禍後の作付面積縮小に伴う供給減少の影響で生じているが、需要面はどの程度影響しているであろうか。ここで、農林水産省が公表する「食料需給表」に基づき、米の総需要量と総供給量を算出してみる。
総供給量は「国内生産量+輸入量」として算出している。総需要量は「国内消費仕向量(飼料用、種子用、加工用、純旅客用、減耗量、粗食料)+飼料用の政府売却数量+輸出量」として算出している。
飼料用の政府売却数量とは、主食用に適さなくなった古い備蓄米や、ミニマム・アクセスで輸入した米を政府が飼料用向けに売却した分のことだ。
なお、グラフ中の「在庫水準の増減量」は農林水産省による公表値だが、「総供給-総需要」の算出値に一致している。
【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
2020年度に35万トンも減少した「主食用」
<2020年度は供給超過、在庫増>
近年の動向を振り返ると、2020年度には総需要量が前年差▲32万トン減少の871万トンとなり、総供給量の896万トン(前年差▲7万トン)を下回った。「食料需給表」ベースでみて、供給超過となり、在庫水準が25万トン分切り上がった。
総需要の変化の内訳をみると、「主食用」が35万トン、「加工用」が5万トン、「純旅客用」が3万トン減少している。「純旅客用」とは、一時的な訪日外国人による消費分から一時的な出国日本人による消費分を控除した数量のことで、2018年度より農林水産省が算出、計上している。
すなわち、2020年度は、コロナ禍後の外出自粛やインバウンド消滅により、外食需要が縮小した影響が表れたほか、工場稼働縮小などにより加工用原料の需要も縮小したとみられる。
【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
インバウンドよりも影響が大きい供給要因
<2021年度以降は供給不足、在庫減>
2021年度以降、在庫水準は縮小が続いている。2021年度の在庫水準は5万トン切り下がった。総供給量が前年差+5万トンの小幅増加にとどまる一方、総需要量が同+45万トンの大幅増加となった。総需要量(916万トン)が総供給量(910万トン)を小幅に上回って供給不足となり、在庫水準の縮小につながった。
総需要の変化の内訳をみると、主食用は6万トンの増加にとどまる一方、飼料用が28万トン増加した。飼料用は政府売却分も合わせれば42万トンの大幅増加だ。外食需要の回復が緩やかにとどまる一方、トウモロコシ等の国際市況高騰により飼料用需要が拡大し、補助金を活用して主食用米から飼料用米へ転作する動きが生じたとみられる。
在庫水準は2022年度に26万トン、23年度に44万トン縮小した。この2年間の在庫水準の縮小は、需要サイドというよりも供給サイドの影響が大きい。
総需要量は2021年度の916万トンから、2022年度に916万トン、2023年度に917万トンとなり、2年間で僅か1万トン分の増加にとどまった。内訳をみると、2年間で飼料用が8万トン分、純旅客用が5万トン分増加したものの、主食用は11万トン分減少した。
他統計を踏まえれば、インバウンドを含め外食需要は回復しているとみられるものの、人口減などを背景に全体として主食向け需要が低迷していると考えられる。
一方、総供給量は2021年度の910万トンから、2022年度に891万トン、2023年度に872万トンへ、2年間で38万トン分減少。上述の通り、作付面積縮小が影響していよう。
主食向けをあきらめる米農家
<価格高騰の背景は?>
1994年の「平成の米騒動」、そして2004年の価格高騰は、いずれも前年産が冷夏で凶作となった影響が大きい。すなわち、一時的な天候要因による供給減少が背景であった。作柄が豊作または平年並みに戻ったことで、価格高騰は短期間で収まった。
だが、足元の「令和の米騒動」は、需要面と供給面の双方の変動によりもたらされている。
コロナ禍直後、外食需要の縮小により、総需要が減少し、供給超過につながった。米価格は2020年秋頃から約2年間下落が続いた。だがその後は、飼料用を中心に需要が回復する一方、作付面積の縮小により供給が縮小し、需給逼迫につながっている。
作付面積は、2018年に減反政策が終了して以降、一旦下げ止まったが、2021年以降に再び縮小している。コロナ禍で外食向け需要が縮小、その後の需要の戻りが弱く、主食向けの米作りを諦める動きが生じた可能性がある。需要動向や作付面積動向をみる限りでは、主食向けから飼料向けや他の作物に作付けを転換する動きが生じたとみられる。
先行きの米価格は予想が難しい。短期的には、2024年産の新米供給により、価格高騰は一服する可能性があるが、8月末から9月初にかけて日本列島を直撃した台風10号の被害の影響が懸念材料だ。中長期的には、人口減等を背景に主食用の需要縮小が続き、同時に高齢化などにより労働供給も縮小が続く見込みだ。
過去のような一時的な天候要因による価格高騰ではなく、需給双方に一時的な要因と構造的な要因が絡むため、判断が難しい。
【宮前 耕也(みやまえ こうや)】
SMBC日興証券㈱日本担当シニアエコノミスト
1979年生まれ、大阪府出身。1997年に私立清風南海高等学校を卒業。2002年に東京大学経済学部を卒業後、大阪ガス㈱入社。2006年に財務省へ出向、大臣官房総合政策課調査員として日本経済、財政、エネルギー市場の分析に従事。2008年に野村證券㈱入社、債券アナリスト兼エコノミストとして日本経済、金融政策の分析に従事。2011年にSMBC日興証券㈱入社。エコノミスト、シニア財政アナリスト等を経て現職。
著書に、『アベノミクス2020-人口、財政、エネルギー』(エネルギーフォーラム社、単著)、『図説 日本の財政(平成18年度版)』および『図説 日本の財政(平成19年度版)』(東洋経済新報社、分担執筆)がある。
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