⚡68】─1─日本と中国とのリニア新幹線開業競争。~No.280No.281No.282 

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 2023年4月4日 YAHOO!JAPANニュース SmartFLASH「中国リニアが初の「浮上運行」成功、日本は「2027年開業」困難で「日本人の夢をドブに捨てる気か」SNSで集まる危惧の声
 3月31日、浮上運行を行う中車長春軌道客車の高温超電導リニアシステム(写真・新華社/共同通信イメージズ)
 中国の鉄道車両大手、中国中車傘下の中車長春軌道客車は、高温超電導リニアの全要素試験システムの、初の浮上運行に成功したと発表した。4月4日、中国国営の新華社通信が報じた。今回の成功により、超電導リニア交通システムの事業化のための基礎が築かれたという。
 【写真あり】『時速581kmを記録した超電導リニア』
 今回の運行では、超電導リニアシステムのコア技術が十分に検証された。将来的には時速600kmに達する見込みとも報じられている。
 中国リニアが初の浮上運行に成功したことで、日本のSNSでは、先を越されることを危惧する声が上がっている。
 《かなりのスピードで開発が進んでいる様子。日本のリニア中央新幹線はこれより早く開業できるだろうか?》
 《日本がリニア新幹線の建築に手こずっている間に、着々と中国のキャッチアップが進んでいる》
 《あー、これでリニアも中国に先を越させるんかな?》
 《国交省さん、静岡県さん、JRの60年以上に亘る苦労と日本人の夢をどぶに捨てる気ですか?》
 日本のリニア中央新幹線は、最高時速500kmで、東京と名古屋間を最速40分で結ぶ。名古屋までの区間は2027年開業予定とされている。
 だが、静岡県川勝平太知事が リニア南アルプストンネル静岡工区での着工許可を認めないため、工事は大幅に遅れている。
 「取水抑制案が工事の前提であるかの如くにとらえられているのは、違います。有識者会議における議論、47項目すべての解決を流域住民が了解するまでは、工事うんぬん、ということはまだ言えないと、私は思っています」
 3月28日の定例記者会見で、川勝知事はこう述べ、議論が進みつつある「田代ダム案」にクギを刺した。
 「田代ダム案」とは、リニア新幹線のトンネル工事における、水の県外流出対策。大井川上流にある田代ダムからは、山梨県側に大量の水が送られ、東京電力の発電に使われている。静岡県が主張する「水の全量戻し」に対応するため、送られる水の量を抑制するもので、JR東海が提案している。
 3月27日には、大井川流域の市町の首長らが会合に出席。JR東海から「田代ダム案」の説明を受けた。この会合では、出席した市町が、JR東海東京電力が本格的な協議に入ることを大筋で合意。島田市の染谷絹代市長は会合後、「田代ダムの取水抑制案についてはほぼ全員が了解をした。『少し待った』というのは県だけだった」と、取材に応じている。
 4月3日、山梨県長崎幸太郎知事は定例記者会見で、リニア中央新幹線の2027年の開業予定について「極めて困難と言わざるを得ない」との見解を示した。
 静岡県が静岡工区の着工に反対していることについて、「静岡の皆さんに、リニアの十分なイメージを持っていただける材料が届いていないのではないか」と言及。そのうえで「膠着状態から移れるよう、貢献する」と話し、沿線自治体でつくるリニア中央新幹線建設促進期成同盟会で、山梨県として、全線開通に向けた取り組みの促進のため、働きかけていくとした。
 日本と中国との地形の違いや、中国のリニアがあくまで実験路線であることから、日本と中国のリニアを単純に比較できない、という声もある。だが、このまま静岡県が工事反対を続けたら……。リニア高速鉄道で「世界初」の開業を果たすのは、日本か、中国か。
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4月12日 MicrosoftStartニュース 東洋経済オンライン「日本超える?中国「時速600キロ」リニア開発の実情 技術研究は進むが路線計画には進展見られず
 さかい もとみ
 4月初旬、中国が超電導リニアモーターカーの浮上運行に初めて成功したというニュースが報じられた。日本ではリニア中央新幹線の2027年開業が事実上困難となる中、この報道を受けて「リニアの本格営業運転開始は中国が先かも」という声も一部から聞かれる。
 浮上運行を行う中車長春軌道客車の高温超電導リニアシステム(写真:新華社共同通信イメージズ)
 © 東洋経済オンライン
 【貴重な写真も】上海郊外の国際空港と市街地を結ぶ「上海リニア」開業時の姿
 中国では2020年に、設計最高時速600kmをうたうリニア試作車が試験走行を実施しているが、今回の超電導リニアはこれとは別だ。また、上海では空港と市街地を結ぶ最高時速430kmの高速リニアが営業運転しており、約30kmの短距離路線とはいえすでに約20年の実績がある。中国のリニア開発の現状はどうなっているのだろうか。
 3つのリニア研究プロジェクト
 今回のリニア浮上運転試験を行ったのは、世界最大の鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)傘下の中車長春軌道客車だ。同社は「高温超電導リニアの全要素試験システムの初の浮上運行に成功」したと発表した。試作的な車両を浮上して走行させたということだ。
 現地報道によると、今回の浮上運行では「超電導磁石や直線同期牽引、電磁誘導給電、低温冷却など超電導リニアシステムのコア技術が十分に検証された」といい、時速600km以上で走れる車両生産に見通しがついたと説明。「高速性能や安全、環境への配慮、スマートなデザイン、乗り心地が快適といった長所がある」としている。
 中車長春軌道客車はもともと、1954年に創立した中国鉄道部長春客車廠が前身となる。その名の通り客車を生産してきたが、近年では中国国内や輸出用の地下鉄車両製造などを手がける。時速350kmを超える速度での走行を実現した高速車両「CRH380A」も製造している。
 中国におけるリニアの研究プロジェクトは、今回の中車長春軌道客車を含め3つあるという。
 1つは、中国中車青島四方機車車輛が取り組む「常電導技術」によるシステムだ。これはドイツが開発し、上海で導入された「トランスラピッド」の技術を基本とした、磁石の吸引力を用いた浮上方式だ。
 2020年に試験走行した「最高時速600km走行のプロトタイプ車両」は、中車青島四方機車が手がけた。この際は上海・同済大学のキャンパスに設けた試験線の長さが1.5kmしかなく、走行速度も最高で時速55kmにとどまったが、翌年には同社の拠点である青島で5両編成の流線形車両が公開された。現地では「中国が高速磁気浮上技術およびエンジニアリング能力を完全にマスターしたことを示すもの」といった報道が世間を賑わせた。
 中国中車青島四方機車車輛が開発した「設計最高時速600km」のリニアモーターカー(写真:中国中車青島四方機車車輛)
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 中国が開発する2つの「超電導リニア」
 今回実験に成功したとされる中車長春軌道客車によるリニアの「高温超伝導超電導)電気技術」は、同社が航空宇宙分野の国有企業である中国航天科工集団(CASIC)と共同で研究しているものだ。このほか、西南交通大学(四川省成都市)も医療用MRIなどにも使われる「高温超伝導超電導)技術」を用いたシステムの開発に取り組んでいる。中車長春軌道客車と西南交通大学のシステムの違いは、前者は列車が動いているときだけ浮上し、後者は列車が止まっていても浮上したままである点という。
 ちなみに「超電導」とは、特定の金属を一定温度以下にすると電気抵抗がゼロになる現象のことで、浮上走行の方式ではない。また「高温超電導」は、一般的にはマイナス196度以上で起きる超電導現象を指す。
 日本のリニア中央新幹線は「超電導リニア」だ。車両を浮上走行させるための電磁石にこの現象を活用しており、ニオブチタン合金のコイルを液体ヘリウムによってマイナス269度まで冷やすことで半永久的に電流を流すことができ、強力な磁石の力を発揮する。車両は、搭載したこの超電導磁石と軌道(ガイドウェイ)の推進コイルが吸引・反発する力によって推進。車両の超電導磁石が軌道の浮上・案内コイルを高速で通過すると電流が流れて電磁石となり、吸引・反発する力で浮上する仕組みだ。
 リニア中央新幹線「L0(エルゼロ)系」の改良型試験車(撮影:尾形文繁)
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 超電導磁石を使用し、列車が動いているときに浮上するという点では、今回の中車長春軌道客車のリニアは日本の超電導リニアと似ている。ただ、どのような仕組みで浮上・推進するのかは明らかにされておらず、実際に似たようなシステムなのかどうかは不明だ。
 リニアの試験車を造って走行試験を行うには、一定の距離以上の試験線が不可欠だ。日本の山梨リニア実験線は約42.8kmの長さがある。
 だが、中国で現在技術試験を行っている3つの事業体は数百メートルの試験線を持つにすぎず、長い試験線の敷設に積極的な西南交通大学でも、現状では全長1500mの軌道を造るにとどまっている。
 中国でも「継続的に技術を向上させるためには、長距離の試験線を造って検証を行う必要があり、現在あるテストラインでは短すぎる」と理解されている。このため、すでに営業運転が行われている上海リニアの路線を使って試験をしたらどうかとの声も聞こえてきている。ただ、システムが異なれば不可能だ。
 中国でも「リニアは不要」との論議
 都市間を結ぶ長距離の高速リニアは、世界的にまだ実現していない。
 世界初の高速リニアである上海リニアは2002年12月末に開通式を行い、2003年9月から乗客を乗せた試験運行を実施、2004年4月に正式な営業運転を開始したが、路線は短距離だ。上海リニアに採用されたトランスラピッドの技術を開発したドイツは、自国では実用化しないまま10年以上前に開発継続を断念した。日本は技術こそ実用段階ではあるものの、リニア中央新幹線の2027年開業は困難で、まだ時間がかかりそうだ。
 試験運行中の上海リニア。ドイツが開発した「トランスラピッド」のシステムを採用している=2004年2月(筆者撮影)
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 中国でも、北京―上海間をはじめ、広州―深圳間、上海―杭州間、成都重慶間、さらには海南島雲南省安徽省といった地域で路線が計画されたこともある。しかし、いずれも実質的な進展はなく、研究段階にとどまる。上海―杭州間については、現在運行中の上海リニアを延長するという形が10年以上前に提案されるなど最も具体性があったが、現状では頓挫しているようだ。成都重慶間は長期的な計画にとどまるほか、海南島のリニア計画は調査さえも行われていない。
 リニアは他の鉄道との互換性がなく車両の相互乗り入れが不可能だ。そのうえ高速性を求められるため、中国では「駅は100kmに1駅しか設置できない」と考えられており、停車駅の数も限られることから、沿線の経済活性化に果たす役割は限定的との分析もある。
 また、リニアは「新しい技術として既存の交通手段を補完するもので、多くの新しい知見や産業の高度化をもたらすことができる」との見方がある一方で、「いかなる投資も商業化を考慮しなければならず、収益性を上げるには敷設の際の十分な検討が必要」との見方もあり、もろ手を上げての取り組みではないことをうかがわせる。
 建設経費の肥大化に伴う運賃の高騰についても懸念されている。現在、高速鉄道の建設コストは1km当たり2億元(約38億円)以下だが、2002年開通(正式な旅客営業運転は2004年開始)の上海リニアは当時で約3億元(約58億円)だった。建設費がかさめば運賃に転嫁されることになるだろう。上海リニアの片道運賃は50元(約970円)で、1km当たり1.67元(約32円)となる。一方、全長1318kmの北京―上海間の高速列車は2等席で553元(約1万700円)のため、1km当たり0.42元(約8円)だ。上海リニアを基準に単純計算すれば、高速鉄道の約4倍となる。
 狙いは「技術発展」?
 その上海リニアも開業から約20年が経ち、現在はフルスピードでの運行はしておらず、最高速度は時速300kmにとどまっている。これは高速鉄道を走る最速列車の時速350kmさえも下回っている。
 リニア建設の青写真作成に加わっている当局者は、「時速600kmのリニアプロジェクトは”科学技術革新”の項目として考えられている」と説明。「必ずしも大規模な応用を目指すのではなく、技術発展のための予備として位置づけられている」とも話す。
 日本のリニア中央新幹線静岡県内の着工のメドが立たない問題があるとはいえ、技術としては実際に乗客を乗せて時速500kmで運行できる状態にある。中国の国是として「リニア技術で日本に負けるわけにはいかない」ということなのだろうか。実際に人を乗せて試験線を高速走行するまでにはまだまだ時間がかかりそうだが、今や世界一の路線網となった高速鉄道のようにあっという間に実用化して路線網を広げてくる可能性もないとはいえない。しばらくは開発の進展を注視する必要がありそうだ。
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