⚡2】─6─日本のAI教育はアメリカや中国に遅れ、日本のAI人材が不足している。~No.24* 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2018年5月12日 msnニュース「中国がAI教育を本格化、40校がモデルケースに  河 鐘基(ハ・ジョンギ)
 c atomixmedia,inc 提供
 中国では、政府、大学、企業がサポートする形で、高校生たちへの人工知能(AI)教育が本格化していく気配だ。
 中国国内および海外各メディアによれば、上海にある華東師範大学が中国初となる高校生用AI教材を発表したという。教材はまず、中国国内にある40の高校で採用されるが、該当校は「モデルケース」の役割を果たしていくとされている。つまり今後、中国全土の高校生を対象としたAI教育カリキュラムのベースになるのが、今回開発された教材および導入校の経験&ノウハウというわけだ。
 なお教材は、中国が誇るユニコーンAI企業「センスタイム」(商湯科技)と華東師範大学が共同で開発したもの。センスタイムは、顔認識AIおよび関連サービスの分野で頭角を現している企業で、日本の自動車メーカー・ホンダなどとも共同研究を行っている。
現在、世界的にAIへの関心が高まる一方、研究・開発をリードする人材が不足しているという実情が世界各国で伝えられている。そんななか、米国を追い抜きAI産業で覇権を握りたい中国が、基礎教育段階に一策を投じてきたということになりそうだ。
中国では、「BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)」の一角、バイドゥが、3年以内に 中国国内で10万人のAI人材を育成するとも宣言している。最近では、李彦宏会長夫婦が北京大学に6.6億元(約110億円)を寄付した。同資金は「北京大学百度基金」としてAI研究に活用される。ちなみに、リー会長自身は、1991年に北京大学情報管理学科を卒業したOBだ。
 シャオミも武漢大学と提携しAIラボを設立。共同で理論および技術研究を進めながら、人材も育成する。シャオミは、同プロジェクトのために1,000万元を投じる予定だ。
 このように、スピード感や圧倒的な物量で攻勢をしかける中国が、いずれ政界のAI産業をリードしていくのではないかとの憶測が流れるなか、欧米からは否定的な意見も出てきている。
 英オックスフォード大学は今年3月、レポート「Deciphering Chinas AI-Dream」(中国のAIの夢を読み解く)を公開。米国と中国の「AI潜在指数」(以下、AIPI)を比較し、中国の人工知能の力量は、米国の半分だと評価した。なお、AIPIは、「ハードウェア」「データ」「アルゴリズム」「商業化」の4側面から、国家のAI能力を総合的に測定した指標だ。
 レポートでは、AI研究人材の数で中国(3.9万人)は米国(7.8万人)のおよび半分に過ぎず、論文の引用数や特許活用数でも米国が大きく上回っていると分析している。
レポートが唯一中国の優位を認めたのは「データ量」だった。今後、AI教育を高校から取り入れることで、豊富なデータを活かせるAI人材を効率的に生み出していくことができるのだろうか。人材不足という課題解決に向かう中国の動きに注目したい。
 Forbes Japanの関連リンク
 世界で80万人不足するAI人材、各国で苛烈な人材争奪戦
 「育てる人」が使ってはいけない5つの言葉 将来に悪影響も
 今年発売の3つのiPhone、最安値「SE」は700ドルで顔認証対応か」
   ・   ・   ・   
 5月13日 さんけいWEST「【今週の注目記事】格差を解消できない中国の教育…背景に特有の〝不平等〟戸籍制度
 今の日本では、教育に関して、都市部と地方では大きな格差はない。しかし、中国ではずいぶんと事情は異なるようだ。中国の都市部では従来の詰め込み型教育から個性重視教育に価値を見いだす家庭が増えるなど大きな変化が見られる一方、国民の多数を占める農村部では地方政府の財政難で慢性的な教師不足に陥り、子供の就学率は依然低い。経済成長を持続させる上で大きな不安材料だが、中国政府が本格的なてこ入れを図っても抜本的解決策は見えてこない。背景には、生まれた地域で国民の戸籍を分ける中国特有の「戸籍制度」も関係しているという。教育格差を生む制度とは、どのようなものなのか。(桑村朋)
北京市立育翔小学校で吹奏楽を練習する子供たち。中国の都市部では、勉強一本だけではなく、クラブ活動など個性を育む教育に価値を求める家庭も増えている=2017年12月4日、中国・北京市
都市部では個性育む教育に注目集まる
 昨年10月の中国共産党第19回全国代表大会。習近平総書記は「教育事業を優先的に発展させる」と力を込めた。また、党教育部幹部は前回大会以降の5年間の政策で、都市部の大学に入った農村部の学生が増加したと成果を強調し、「一人一人に公平で質の高い教育を提供する」と約束したという。
 中国政府が目指すのは、義務教育の都市部と農村部の一体的な発展だ。「北上広深(北京、上海、広州、深セン)」など都市部の学校では、すでに基礎教育は先進国と比べても遜色ないレベルで行われている。実際に訪れてみると、「共産主義」の国とは思えないほど、個性を重視した教育が取り入れられていた。
 昨年12月に訪れた首都・北京市西城区の市立育翔小学校。そこには、通常の授業を終えた児童らが塾に向かうでもなく、グラウンドや各教室へ出向き、放課後のクラブ活動にいそしむ姿があった。ダンスや合唱、書道など、クラブ数はなんと約100。二胡や古筝(こそう)など伝統楽器の活動もあり、全校児童約3760人の大半が参加している。
北京市立育翔小学校で伝統的な古箏を練習する子供たち。中国の都市部では、勉強一本だけではなく、クラブ活動など個性を育む教育に価値を求める家庭も増えている=2017年12月4日、中国・北京市
 活動費は政府が負担しており、学外から講師を招いて本格的に活動するクラブもあるそうだ。「いま中国では個性を育む教育が重視されている。興味のあるクラブに親しみながら、自分の個性や素養を高めてほしい」と陳永珍校長。学力だけでなく、興味や関心を広げる活動に力を入れ始めたのはここ数年。入部はインターネットで申し込み、先着順で決まる仕組みだ。
農村部の6割超が高校未進学との調査も
 「学歴主義」の価値観が根強く残る中国では、今でも熾烈な受験戦争が全土で繰り広げられる。大学受験制度「高考(ガオカオ)」は、合格率が数千倍にも上ったという王朝時代の官僚試験「科挙」になぞられるほど。詰め込み型教育が残る一方、都市部に限っては個人本位の個性重視教育に価値を見いだす家庭も徐々に増えてきているようだ。
 こうした現象は、「やりたいことをさせられる」ほど、都市部で経済的に余裕のある家庭が増えたことが要因でもある。だが、低所得層の多い農村部では、財政難から学校側も教師不足などの問題を抱え、満足に学校に通えない子供も残っている。
 実際、米スタンフォード大の研究チームの調査では、中国の都市部では9割超が高校に進学しているのに対し、農村部では6割超が高校に進学せず、約半数の乳幼児が知能の発育が遅れているとの結果が出ているという。
 東京大大学院の阿古智子准教授(現代中国研究)によると、中国は中央と地方で財源を分けているが、財政難の地方政府の農村部では中央から補助金があまり出ず、優秀な人材を受け持つ重点校は作れても、その他大勢の学校を含めて全体的な底上げをするのは難しいという。
 阿古准教授が行った過去の調査では、雲南省などの農村部では何年かに一度しか生徒を受け入れられない学校も散見されたといい、「最近は格差解消に力を入れ、就学率も昔よりは上がっているが、ここ数年で解決するほど単純な問題ではない」と指摘する。
北京市立育翔小学校で伝統的な古箏を練習する子供たち。中国の都市部では、勉強一本だけではなく、クラブ活動など個性を育む教育に価値を求める家庭も増えている=2017年12月4日、中国・北京市
 かつて経済協力開発機構OECD)の国際学習到達度調査(PISA)で、上海が全3科目で1位を独占したことが話題になったが、阿古准教授は「都市部でエリートを育て、あたかも教育が国全体で進んでいるかのように見えるが、政府が口にする『公平な教育の提供』はほど遠い。生まれた地域に関係なく、頑張った子が報われる社会には時間がかかる」とした。
都市部4億人、農村部9億人…
 中国の教育格差を解消できない背景に、国民の戸籍を「農業」(農村部住民)と「非農業」(都市部住民)に分ける「戸籍制度」がある。日本では考えられないが、生まれた時に与えられた戸籍により、医療や社会保障など多くの分野で行政サービスに違いがあり、格差是正を阻む大きな障壁となっている。
 中国の戸籍制度ができたのは戦後の1950年代といわれる。都市部の食糧供給を安定させ、社会保障を充実させるために導入された。農村部から都市部への移住は厳しく制限されてきた歴史があり、現在は全人口の6割超が「農業」、4割弱が「非農業」戸籍といわれている。
 改革開放後、規制は緩和され、農村戸籍者の都市部への移住や就学は解禁された。ただ、いまだに多くの分野で待遇の違いが明確に存在し、日本のような自由な転居はしづらい環境だ。近年、都市によっては改善されつつあるものの、農村出身の出稼ぎ労働者は都市部に越しても戸籍を変えられず、都市戸籍と同じ行政サービスを受けられない人も多い。
 教育面では、都市部の大学で農村戸籍の受験生の合格最低点が地元の都市戸籍の学生よりも高く設定されたり、支払う学費も都市戸籍の学生より高いなど、農村戸籍の若者が都市部に集中する優秀大学に入りづらい構造的な問題が、教育格差の遠因となっているとの指摘も少なくない。
 中国政府は2014年、2020年までに農村戸籍を廃止し、1つの住民戸籍に統一するとの目標を打ち出した。だが、中国国内の専門家でさえも、「格差がすでに根付いてしまった中国社会でさまざまな待遇を平等にするのは、数年間でできることではない。より具体的な提案と時間が必要」との声が上がっており、改善に向かうかは不透明な状況だ。(5月9日掲載)」


   ・   ・   ・