💫8}─2─太古の人類が死滅しなかったのは下等な微生物とウイルスに助けられからである。〜No.69No.70No.71 ⑦ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2023年4月6日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「世界的科学誌が大注目した発見とは⁉ 太古の祖先が大量絶滅からいかに生きのびたか、日本人科学者が解析

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 人間は本当に生物界の頂点か⁉ 生命誕生から40億年のあいだに出来上がった生き物の隠れたネットワークやスーパーパワーが、最先端科学で次々と解明されている! 
 NHKスペシャル シリーズ「超・進化論」では、5年以上の歳月をかけて植物・昆虫・微生物を取材。そこには常識を180度くつがえすような進化の原動力があった。
 書籍化された『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』では、40億年前に誕生し、今も進化を続ける「微生物」の秘密を明らかにしていく。
 人の体で暮らす微生物は約100兆で、人の細胞のおよそ37兆より圧倒的に多い。太古の祖先による海から陸上への進出も、腸内に微生物がいたことで果たせた可能性がある​。また空中では、植物だけでなく、光合成の50%を微生物が担っているという驚きの事実も判明。今、環境問題や宇宙進出でも微生物は欠かせない存在だ。
 もし、太古のご先祖と微生物が出合わず共生しなかったら、私たち動物や植物、菌類まで、存在しなかった⁉ どうやってご先祖は生きのびたかわかってきた。
 【微生物第1回】<がんを“狙い撃ち”する微生物を複数発見! その「スーパーパワー」で腫瘍が消えるなど劇的な効果も…!! ​>はこちらから。

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 【画像】脳を操り気分や行動まで変えてしまう微生物がいた!
 太古の祖先が微生物を細胞に取りこみ危機を脱した
 棲みつかれた側も微生物を利用し、その能力を借りて進化する道が拓ける。微生物は他の生き物の「進化の駆動力」にもなる可能性が、最新研究によって見えてきたのだ。物語の始まりは、何十億年も前にさかのぼる。
 誕生してまもない地球の大気には、酸素がほとんどなかった。現在の火星や金星と同じく、太古の地球の大気のほとんどを二酸化炭素と窒素が占めていた。
 現在の地球の大気では酸素が約21%を占めている。これほど酸素の濃度が増えたのは今から約20億年前、太陽光のエネルギーを使って、二酸化炭素と水から糖やデンプンを作り出す、つまり光合成を行う細菌「シアノバクテリア」が急速に勢力を伸ばしたからだ。シアノバクテリア二酸化炭素と水から栄養分を作り出した後、ゴミとして酸素を捨てる。シアノバクテリアの急増に伴い、どんどん酸素が捨てられ、大気にたまっていった。
 酸素濃度の上昇は、海の中でひしめいていた微生物たちに大災害をもたらした。普段、消毒に酸素を発生させるオキシドールが使われるように、酸素には殺菌作用があるからだ。
 だが、酸素により細菌が大量絶滅に追いこまれたものの、全滅したわけではない。一部は深海や地下深くに潜って嫌気性細菌として、別の一部は酸素をエネルギーとして利用する好気性細菌として生きのびた。
 一方、細菌とは別系統の「アーキア(古細菌)」と呼ばれる微生物も海の中で暮らしていた。実は、このアーキアの一種「アスガルドアーキア」の一部が、この酸素の危機を思いもよらない方法で生きのびた可能性が浮かび上がってきた。そしてそれこそが私たち人間を含む動物、植物、菌類など真核生物の直接の祖先ではないかと考えられている。
アーキアは、絶滅の危機をいかに乗り越えたのか
 アーキア古細菌)と呼ばれる微生物が、和歌山県沖の深海の泥から発見された。私たちの直接の祖先にあたるアーキアの培養が、12年の試行錯誤を経て初めて成功。そのアーキアは細胞外に腕のようなものを伸ばすという特徴を持っていた。(c)NHK
 では、酸素に対応する能力を持たなかった真核生物の祖先アーキアは、絶滅の危機をいかに乗り越えたのか。この謎に迫る仮説に今、注目が集まっている。
 仮説を提示したのは海洋研究開発機構(JAMSTEC)の井町寛之さんと、産業技術総合研究所(AIST)の延優(Masaru K. Nobu)さんらの研究グループだ。そのきっかけは2006年、日本の有人潜水調査船「しんかい6500」を使い、真核生物の祖先に近いアスガルドアーキアを含む深海の泥を採取したことだった。
 研究グループは12年もの歳月をかけ、深海の泥からアーキアのみを取り出して培養することに世界で初めて成功した。それまでは採取されたサンプルから得られた遺伝情報しかなく、アーキアの姿も機能もまったくわかっていなかったが、培養の成功により真核生物の祖先の特徴が明らかになったのだ。
 彼らが論文をまずプレプリントサーバー(専門家による査読を受ける前に論文を公開するインターネット上のサイト)に掲載したところ、『サイエンス』誌では「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー」のひとつに選ばれ、イギリスの科学誌『ネイチャー』編集部からは「ぜひ掲載させてほしい」と依頼の連絡が来た。世界の二大有力科学誌からそれだけの扱いを受けるのは前代未聞だという。それほど注目度の高い研究成果だった。
 研究グループにとって何より驚きだったのはその姿だったという。普段は丸い形をしているアーキアが、あるとき長い腕のようなものをたくさん伸ばしていたのだ。
 「そんな形を持っている微生物を見たことがなかったので、最初に顕微鏡を見たとき、本当にびっくりしました。別の人工的なものが混ざってしまったんじゃないかと疑ったくらいです」(井町さん)
 実は、他の微生物が持っていないアーキアの長い腕こそ、20億年前、ご先祖様が酸素の危機を乗り越えた能力だったのではないかという。
微生物たちは「お試し共生」で新しい生き方を模索する
 Photo by iStock ※画像はイメージです
 真核生物の誕生について、研究者たちは次のような筋書きを考えている。
 酸素が増えてきた環境の中で、アーキアは酸素に対応する能力を持たず、死の瀬戸際に追いこまれていた。その周囲には酸素の世界に適応していた好気性細菌がいた。アーキアは好気性細菌と共生することで、酸素を解毒してもらっていた。環境中の酸素濃度が上がるにしたがい、その共生関係は密になり、最終的にアーキアの腕に絡めとられた好気性細菌は、アーキアの細胞内に取りこまれた。こうして、アーキアは危機を回避すると同時に、好気性細菌にエネルギーを作らせる真核生物細胞へと進化した――。
 「他者を細胞に入れるのは、当時の微生物にとって病気になるようなものです。そこをどうにかして共生関係を結んだのが、われわれ真核生物の誕生に当たって重要なファクターであったと考えています」(延さん)
 すべての能力を自分で進化させる必要はない。誰かの能力を借りて組み合わせればいい。手段を選ばず、新しい進化の形を見つけ出したのが、私たちの祖先だったのだ。
 私たちの体内で酸素をエネルギーに変えている「ミトコンドリア」の祖先は、かつてアーキアが取りこんだ好気性細菌だったと考えられている。
 同じような共生関係は今も地球のあちこちで結ばれている。たとえばゾウリムシの一種ミドリゾウリムシは、クロレラと呼ばれる植物プランクトンをしばらく近くに置いておくと、取りこんで合体する。ミドリゾウリムシは、クロレラに棲処や二酸化炭素などを提供する一方、クロレラ光合成で得た栄養分をミドリゾウリムシに提供する。両者はそれぞれ単独でも生きていけるが、一緒にすると共生関係を結ぶ。微生物たちはこのような「お試し共生」をして、新しい生き方を模索しているのかもしれない。
 NHKスペシャル取材班+緑慎也
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