🐙12〗─1─国連食糧農業機関は、食糧危機の打開策として『昆虫』を食べる事を奨励した。食品偽装問題。2013年 ~No.35No.36No.37 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 飽食国家日本は、汚染された安い中国産農産物を輸入して食べて生きる。
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 2013年 WTO(世界貿易機構)は、食糧輸出国が自国の食料不足が懸念されるときは、一時的農産物輸出禁止を認めている。
 食糧自給率がなく外国依存度の高い国が、輸出国内の問題で食糧が輸入できなくなっても仕方がないとしている。
 つまり、食糧の安定供給できなくても自己責任とされ、自己努力をしなかった怠け者の自業自得と言う事である。
 農産物の供給不足を、輸出国と輸入国で公平に分け合う、分担するなど有り得ない事である。
 それが可能という者がいれば、そんな人間は、歴史の現実を知らないか理解できない無能な者である。
 「蟻とキリギリス(蝉)」の譬えではないが、努力もせず遊びほうけた人間は、誰からも助けられる事なく惨めに死ぬだけである。
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 日本人は、「良いものを作れば宣伝しなくても売れる」という職人気質があると言われている。
 だが、職人と云われる日本人はほんの少数で有り、大半の日本人は職人ではない。
 職人でない日本人が売り込みもせず、職人が作るものに頼って惰性で生活しようとしている。
 メイド・イン・ジャパンが魅力をなくしたのは高い技術力を持った職人の責任ではなく、職人でもない腕に能力のない平凡な日本人が働かず宣伝を怠ったからである。
 現代日本の若者は、閉じ籠りの島国根性から、外国に留学する事を敬遠し、海外に赴任する事を嫌い。
 日本人サラリーマンは、相手の生活的利益を熱弁をもって語らず、日本製品を売らなくなったからである。
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 環境問題の最大の問題は、耕作地の減少に伴う農産物生産能力の低下による食糧不足である。
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 食糧不足の日本は、自給率を上げることはできない為に、生き残る為に外国から農産物を大量に購入するしかない。
 飽食化した日本人は、他国で飢餓が発生し、大量の餓死者が出ても、気にはしない。
 現代の日本人の多くは、食べ物がなければ外国から購入すれば良いと考えている。
 そして、汚染はされているのを承知で、安い中国産の農産物を購入している。
 日本人の胃袋を満たすだけの農産物は、周辺諸国では中国しかない。
 米国産農産物も、決して安全な食べ物とは言えないのが現状である。
 日本は、外国から汚染された農産物を輸入している。
 日本の運命とは、そういう運命である。
 日本人の未来は、そういう未来である。
 現代の日本人は、昔の日本人とは違って子々孫々の事まで考えず、今を生きている自分の幸せを最優先としている。
 子孫がどうなろうとも、一切気にはしない。
 そのせいか、児童虐待が増え、他人の子供はおろか、自分の子供まで、自分の幸せの為には邪魔として殺す大人が急増している。
 親子の情は希薄となり、肉親の絆は消え始めている。
 それが、戦前を否定し、連続性を遮断した、戦後教育の成果である。
 その成果を喜んでいるのが、戦後教育を推進してき日本人である。
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 野坂昭如「人間にとって大事なものは何か。ぼくは金より米を大事に思う。理由は簡単、金は食べられない。米は食える。敗戦直後、食えずに死んでいった人を目のあたりにしている。米だろうとパンだろうと即席麺であろうと、人間食わなきゃ生きていけない。当節、金さえあればどうにでもなると、信じて疑わない人が多い。金があったところで、どうにもならない時がある。
 昭和20年、戦争に敗れて以降、日本経済瀕死の状態、金の価格が激変した。インフレである。物価高騰なんてものじゃなく、今日の値段が翌日には大袈裟じゃなく100倍などということがあった。何しろ物という物が不足していた。……
 今後、日本が戦争に巻き込まれないと誰が断言できるか。世界的人口増加や、地球規模の気候変動も言われる。世界情勢は日々刻々と変化している。いつ食いもの争奪戦になってもおかしくない。それぞれの国は、当然自分の国が大事。日本がいくら金を出すといったところで、ゆとりがなければ売ってはくれない。人間は餓えを前に人間ではなくなる。金なんぞ、何の役にも立たない時があるのだ。通貨を軽んじてはいけないが、右往左往はさらによくない。食べものを他国に頼ることの危なっかしさをぼくは知っている。列島に住む人間が、自前で食えることこそ大事。……
 今ある歪みは、まぎれもなく今日に至る日本の歩み方に原因がある。それと向き合わず、何の反省もなしに、小手先の誤魔化しでやり過ごすなら、日本の破滅は必至」
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 食品偽装問題。一流ホテルのレストランで、安いブラックタイガーを高級車海老と偽ってお客に提供していた事が、内部告発として明るみに出る。
 その後。日本全国のレストランや料亭でも、同様の悪質な食品偽装が明らかとなった。
 「日本人は世界一繊細な味覚を持っている」という神話は、地に落ちた。
 日本人の味覚で優れているのは、低レベルな薄味の味加減であり、高レベルな濃厚な味においては鈍い。
 一般的和食には、人工調味料と加工食材が多様に使われている。
 フランス料理や中華料理などのグローバル料理は、中流階級以上の食卓から生まれた。
 ローカル料理である和食は、中流階級以下の食卓から生まれた。
 グローバル料理は、金持ち料理として、各地から新鮮な食材を大金を払って集めて、旨さを追求しコッテリとした味付けで、大皿で豪華に盛り付けた。
 ローカル料理は、貧乏人の料理として、身近にある食材を拾い集めて、素朴にあっさりした味付けで、少量を小皿に盛り付けた。
 一般的和食にとって重要なのは、自分の味覚にあった味覚であって、食材ではない。
 食文化は、気候風土と宗教や生活環境で異なる。
 料理に優劣など存在しない、単に食べる人間の好き嫌いだけである。
 世界で和食が受けているのは、優れた料理ではなく、ローカルなエスニック料理として珍しいからに過ぎない。
 世界中の人に日本は愛されているといっても、日本人と中国人・韓国人・朝鮮人をハッキリと見極められる人間はそれほど多くなく、日本の位置さえ正確に示せる者も少ない。
 世界に於ける一般常識として、グローバルな中国に比べてのローカルな日本の認識は低い。
 殊更に自分は優れていると自慢し、他人から信頼され愛していると自惚れるのは、実は、自分に自信がないからである。
 昔から、取り柄もなく能力のないつまらない者ほど自分は優秀であると虚勢を張りたがる。
 小金を貯めた日本人は、田舎出の成り上がり者の特性として、高レベル教養や知性を身に付ける事より外国語を覚え虚飾に走り、不似合いなブランド物を持ち、嫌みたらしく他人に見せびらかして自己陶酔に浸って喜んでいる。
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 5月8日 朝日新聞 内田 樹(神戸女学院名誉教授)「壊れゆく日本という国……
 『国民国家としての日本』が解体過程に入ったということである。
 国民国家というのは国境線を持ち、常備軍と官僚群を備え、言語や宗教や生活習慣や伝統文化を共有する国民たちがそこに帰属意識を持っている共同体のことである。平たく言えば、国民を暴力や収奪から保護し、誰も飢えることがないように気配りすることを政府がその第一の存在理由とする政体である。言い換えると、自分のところ以外の国が侵略されたり、植民地化されたり、飢餓で苦しんだりしていることに対しては特段の関心を持たない『身びいき』な(『自分さえよければ、それでいい』という)政治単位だということでもある。
 この国民国家という統治システムはウェストファリア条約(1648年)のときに原型が整い、以後400年ほど国際政治の基本単位であった。それが今ゆっくりと、しかし確実に解体局面に入っている。簡単に言うと、政府が『身びいき』であることをやめて、『国民以外のもの』の利害を国民よりも優先するようになっていきたということである。
 ここで『国民以外のもの』というのは端的にはグローバル企業のことである。起業したのは日本国内で、創業者は日本人であるが、すべてそれはずいぶん昔の話で、株主も経営者も従業員も今では多国籍であり、生産拠点も国内には限定されない『無国籍企業』のことである。この企業形態でないと国際競争では勝ち残れないということが(とりあえずメディアにおいては)『常識』として語られている。……
 今、私たちの国では、国民国家の解体を推し進める人たちが政権の要路にあって国政の舵を取っている。政治家たちも官僚もメディアも、それをぼんやり、なぜかうれしげに見つめている。たぶんこれが国民国家の『末期』のかたちなのだろう」
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 5月14日 テレビ朝日news「『昆虫を食べよう』食糧危機打開策に国連呼びかけ
 カブトムシやイモムシが食糧危機の打開策になるかもしれません。
 FAO=国連食糧農業機関は13日、貧困国の食糧難の解決策として栄養価が高い『昆虫』を食べることを勧める報告書を発表しました。昆虫はすぐに増殖し、環境にも優しい食材だとしています。国連の担当者によりますと、世界ではすでに20億人が昆虫を食べているということです。」
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 週刊文春 6月6日号 「池上彰のそこがらです?! 『アフリカ開発会議開催』
 5年前の前回の会議で、日本はアフリカ諸国に対し、2012年までにODA(政府開発援助)を18億ドルに倍増すること、民間企業などの投資を34億ドルに倍増することを公約し、達成していいます。
 援助の中身は、道路や港湾施設などのインフラ整備ばかりでなく、教育や保険、農業など幅広い分野に及んでいます。たとえば理数科の教員養成では、約38万8,000人の小学校の先生が研修を受けました。
 乳幼児死亡率の高いアフリカ諸国に対して、助産婦などの養成講座を開き、約20万4,000人が受講しました。
 農業分野では、日本が得意のコメ栽培の指導で、コメの生産量が増えつつあります。アフリカの伝統的な食事は、トウモロコシやキャッサバなどですが、豊かになると共に、コメの消費が拡大しています。いまアフリカ諸国は急速に豊かになりつつあります。食料の消費量も爆発的に増えています。各国が食料輸入を増やすと、世界的な食糧不足が起きる恐れもあります。自給率を高める援助が必要になっているのです。……
 今後はアフリカの資源を求め、アフリカを輸出品の『市場』と考えて新規に参入する国も出てきました。中国と韓国です。
 中国は、日本のTICAD(ティカッド)そっくりの『中国・アフリカ協力フォーラム』を開催。韓国も『韓国・アフリカフォーラム』を開くようになりました。とりわけ中国は、去年7月のフォーラムで、『今後3年間で200億ドルの資金を貸す』と声明しました。日本の18億ドルなど足下にも及びません」
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 日本の子供の7人中1人が、親の失業や給料カットで貧困状態にあると言われている。
 深刻な家庭では、飢餓状態にあり、年に数件の餓死が報道されている。
 食べ物が溢れかえって飽食した現代において、貧困家庭は飢餓に襲われ、誰からの支援も受けられない者は餓死している。
 そして、無駄に棄てられる残飯の量は減る事がない。
 それが、平和国家日本の現実である。
 残飯を棄てるのも自由なら、食べられず飢えて死ぬのも自由。
 全てが自由である。
 世の中は、絆やつながりの集団的社会から、他人と斬り離された完全な独立した個人的社会に変容している。
 飽食化した家庭は、餓死のニュースを聞きながら食べ物を生ゴミとして棄てている。
 江戸時代のようなリサイクルは、現代には存在しない。
 企業は利益を上げる為に生産拠点を外国に移して、産業の空洞化を加速させている。
 企業は、株主への配当を優先して、従業員を犠牲にしている。
 現代日本は、人の命ではなくカネが優先される弱肉強食の市場原理主義が支配している。
 命も心も時間も、カネに換算できる時代となっている。
 日本社会は、昔みたいな家族的絆を大事にする社会ではなくなり、自助努力という大義で人を切り捨てる殺伐した社会になってきている。
 大人達の身勝手によって、子供達の未来は暗く悲惨な状況になりつつある。
 大人達は、今の自分だけの快楽を求めて、子供達の将来を食い潰そううとしている。
 日本国家の財政赤字は、減るどころか益々膨らんでいる。
 日本は、貧富の格差が生まれ、富裕層と貧困層との二極化しつつある。
 不正を許さない善人が急増した、不正に生活保護を受けていた者が摘発され始めたが、同時に本当の貧困者が生活保護が受けず辛くなってきている。
 歴史的事実として、自己満足な善人が増えると社会は停滞して悲惨な状況となる。
 日本人から、伝統的なバランスがとれた冷静さは消えつつある。
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 msn 産経ニュース 6月18日 「中国大気汚染で9900人死亡 北京など、環境団体報告
 環境保護団体グリーンピースなどは18日までに、石炭火力発電所から排出された大気汚染の原因となる微小粒子状物質「PM2・5」の影響によるとみられる死者が北京市天津市、河北省で2011年に9900人に上り、延べ7万人が健康を害し病院で治療を受けたとの研究報告を発表した。
 報告によると、9900人の死因は肺がんなどで、内訳は北京市が2千人、天津市が1200人、河北省が6700人。ほかに9300人が小児ぜんそくを、1万2千人が慢性気管支炎をそれぞれ患ったという。
 11年の時点で両市と河北省には石炭火力発電所が196カ所あり、河北省で消費された石炭は約3億トンに上った。
 中国では近年、大気汚染が深刻化。当局は石炭利用の削減や古い型の自動車の使用禁止、ガソリンの品質向上などを進める方針を示している。(共同)」
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 6月20日風待月増大号
 週刊新潮 「ヘドロ水に生きる『中国人民』
 国破れて山河あり─。唐の詩聖・杜甫は、有為転変の俗世と悠久の大自然を体比してそう詠んだ。だが、現代の中国人にそんな感傷は皆無。 〝母なる河〟を糞尿や工場排水で穢し続けた結果、13億の人民はいま汚泥の底でもがいている。腐臭漂う水質汚染の実態とは。
 『有機物含有が日本の下水と同レベルだった赤茶けた上水』
 上海を初めて訪れた者は高層ビルが林立する摩天楼にまず驚愕する。次にトイレの洗面台で水道水の異臭と濁りに顔をしかめるという。中国の上水道の水質基準は、日本の『下水』がパスしてしまうほど緩い。日本の常識では測れない中国の水道事情を紹介する。
 世界的なコーヒーチェーン『スターベックス』の香港の店舗ンがトイレの水道でコーヒーを淹れていたことが中国国内で報じられたのは5月30日。大盛況だった店は、一夜にして閑古鳥の巣と化したが、客が激怒したのは、取水場所がトイレだったことだけではない。中国の場合、水道水は飲んだら危険な水として広く認知されていたのだ。無論、日本の外務省のホームページでは北京ですら水道水の飲用は避け『ミネラルウォーターの使用を原則』とすうよう呼びかけている。
 というのも、そもそも中国の上水道の水質基準が日本のそれとはかけ離れているからだ。……
 中国の場合、上水道の基準値は『20以下』。日本では工場排水ですらこの基準に達しないことがある。……
 結果的に、上水の主な用途は皿洗いや洗濯に限定される……
 昨年5月、中国メディアは水道水の安全基準を満たしている上水道は約50%と報道した。半分の蛇口から猛毒の水がほとばしっていることになる。
 『水道水より基準が緩い不純な「ミネラルウォーター」』
 かように上水道が全く信頼に値しない中国ではポトリングされたミネラルウォーターが文字道り『命の水』となる。飲用に限らず製氷や炊事に使う人も少ないが、そこは中国。低品質商品や偽ブランドが氾濫している。さらに正規品の水質基準が上水道よりゆるいケースさえあり、危険極まりないのである。
 ……
 今年4月、北京の日刊紙『京華時報』によって『水質基準が水道水以下』と報じられた。
 ……
 偽装品も横行 
 ……
 エビアンなど外国産ミネラルウォーターならば安全と思いきや、問題は偽装品が堂々と商店に陳列され、本物と区別が付かないことだという。
 ……
 旅なれた日本人旅行客の間では『高級ホテルの部屋に置かれている欧州産ミネラルウォーター無料サービスには要注意』との口コミが広がっている。
 日本から持っていかない限り、100%の安全は保障されないのだ。
 『「工場排水」「生活排水」を垂れ流す悪夢の水源事情』
 中国では紀元前から、治水と農業用水の確保こそが、時の王朝の最も重要な課題だった。しかし、13億の人口が生み出す大量のゴミの不法放棄と生活・工場排水の垂れ流しが、今や水源を蝕み、人民の生命を脅かしているのだ。
 ……
 中国では不法投棄に関する話題は枚挙に遑がない。今年4月には江西省鷹潭市の河川に、販売業者が棄てたニワトリの死骸が大量に漂着。2010年3月には山東省済寧市の河川で、死産や堕胎による胎児・乳児の遺体21体が発見された。
 まさに『何でもあり』の観がある水質汚染の深刻さも言語を絶する。
 汚水の肥溜め
 中国を東西に貫く大河・長江。その中流域に位置するのが、世界最大級のダムである三峡ダムだ。水力発電と洪水防止を目的として09年に完成。ところが、国家の威信をかけて建設したこのダムは汚水ばかりを溜め込み続けている。
 『汚染は本当に深刻だと思う。近所の搾乳場や食肉処理場の汚水が何の処理もされずに流されているからね。夏になるとハエや蚊がたかって臭いも耐えがたい。それでも、地元の役人は水質調査にすらやって来ない。……三峡ダム下流にある武漢や南京では、こんな水を生活用水や飲料水に使っているんだ。まったく信じられないね』
 ……
 宮崎正弘氏は、『三渓ダムは〝巨大な汚水の肥溜め〟と呼ばれている。共産党政権による建設工事の強行で、ダム自体が多くの汚染源を抱え込んでいるのです。……ダム建設時に水没した土地には、工場や農場、養豚場などが少なくありませんでした。中国政府はこうした施設の廃棄物や化学薬品、農薬などを放置したまま、住民を立ち退かせ強引に注水。結果、完成したダム湖の水には廃棄物や有害物質が混合し、ひどく汚染されているのです』
 杜撰な工事計画で水没した村の『置き土産』が、今日の湖底で水を汚し続けているのだ。加えて、三峡ダムの上流には、中国の重化学工業の中心地として知られる重慶市が位置する。
 ……
 こうした惨状は、他の河川も似たり寄ったりだ。
 ……
 川幅が細く急峻な日本の河川に比べ、中国の河川は高低差のない大河が多く、流れが緩やかで汚染が広がりやすい。
 インフラが未整備な農村部の場合、さらに汚染が深刻だ。経済的貧困を脱するために工場を誘致したものの、そのせいで村民に健康被害が頻発する例が多い。
 ……
 中国の『汚水地獄』は、もはや日本人にとって他人事ではない。
 ……
 『最も汚い大河と湖の周辺野菜を輸入する国』
 中国きっての名勝と謳われた湖も、五穀豊穣をもたらした恵みの川もかっえの面影はない。特に汚濁の激しい水源地。〝ワースト3〟は見るも無惨な姿を晒す。青黒く淀み、異臭漂う水源が食材は今日も中国全土に、そして世界へと出荷され続けているのだ。
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 たとえ基準を設けても、安全性が保証されないのが中国のお国柄。
 ……
 半分が劣Ⅴ類
 ……
 流域の2割ほどが劣Ⅴ類とされる淮河周辺では米の水稲栽培が盛ん。中国産米はロシアやインドネシア向けとならん日本への輸出量が拡大中だ。外食産業だけでなく、〝せんべい〟など菓子の原料として利用されるケースが目立つ。
 さらに、単湖周辺では収穫したサツマイモやレンコンなどを冷凍食品に加工し、日本に輸出している。……
 太湖に近い蘇州周辺には2000社を超える日系企業が進出している。
 水質汚染の波は確実に日本に迫りつつあるのだ。
 『水質は1000年復活不可能で中国が無人悪臭の荒野になる日』
 〝チャイナフリー〟なる言葉がある。アメリカの健康食品会社が中国産の原材料を使っていない(=フリー)ことをアピールしたのが始まりだ。実に、この言葉に誰もが納得しているのが中国人自身という説もある。壮絶な水質汚染の果てに、13億1500万人の〝大国〟が無人の荒野になる日が刻一刻と近づいている。
 ……
 役人は環境保護より企業誘致を優先し、ろくに取り締まりも行わない。一方、企業側は高価な排水処理施設の整備を嫌う。
 ……
 企業が処罰されるのは、当局に賄賂を渡さなかったか、運悪くネットで騒がれた場合のみ。これでは〝一罰百戒〟の効果すら期待できない。
 そもそも改善策を講じるための基礎データが既に信頼できない内容だと指摘する……
 処理施設が建設されてもきちんと稼働するとは限らず、予算不足や職員の技術不足で操業が止まることもしばしば。
 ……
 さらに、水質汚染は中国という大国の〝足元〟をも揺るがしている。文字通り国土が消滅しているのだ。
 『水不足と水質汚染のために、中国は毎年、宮崎県と同等の面積が砂漠化しています。……たとえ中国の一党独裁体制が滅びても、環境汚染が改善される日は来ないでしょう』」
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 7月号 文藝春秋「中国毒食と〝食料植民地〟日本の運命 青沼陽一郎
 川を流れる豚の死骸、カドミウム米にPM2.5問題。汚染された中国の次なる食料戦略に、日本は─
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 〝食は広東にあり〟とも称される。この一帯で販売されている米の半分近くが、カドミウムに汚染されていることが報じられたのは、5月下旬のことだった。カドミウムは癌や肝機能障害を引き起こすとされ、過去に日本で四大公害病のひとつ、イタイイタイ病を引き起こした原因物資としても知られる。
 ……
 中国当局の調査によって、カドミウムに汚染された米は、広東省よりも北、河南省で生産されたものが流通したことがわかっている。……
 こうした流れと呼応するように、食料自給率が約40%で、汚染まみれの中国に依存する日本の食卓は果たして安全なのか、と警鐘を鳴らす報道が相次ぐようになった。確かに、中国国内の食品事情は凄まじいようだ。
 ……
 何とも呆れ果てた話だが、中国の食材に関する暴走は、いまに始まったことではない。
 私が中国での食品加工工場の現状を本誌でルポしたのは、ちょうど10年前のことになる。(2003年12月号)
 日本で中国への食料依存が高まったのは、80年代のバブル経済がきっかけであった。
85年、G5で『プラザ合意』を受け入れて急激な円高からバブルがはじまると同時に、この円高を利用して日本の製造業は海外に進出した。現地で工場を設立し、日本の高い製造技術を持ち込んで、安い労働力で製品を大量生産する。いわゆる『開発輸入』が本格化した。食品製造業も例外ではなかった。
 折しも、冷凍加工技術の進歩もあって、海外での日本向け食品加工に踏み出した。そこでこぞって向かった先が、改革開放政策を取りはじめた中国だった。中国の広大な土地を利用して農産物を生産し、外洋で漁獲された水産物も中国へ水揚げして加工する。安価で膨大な労働人口が魅力だったし、距離が日本に近いことも有利に働いた。
 やがてバブルが崩壊し、90年代後半にデフレ不況が訪れると、今度は製品の価格を据え置く代わりに、生産コストを下げる食糧需要が高まり、ますます中国への進出が加速した。 
 その結果、戦後、麦や大豆など穀物の大半の輸入を依存していた米国に次いで、中国が日本の食料依存国として台頭すうことになった。こうして日本は両大国の狭間で、〝植民地支配〟されるがごとく、食料供給の根幹を明け渡してしまったのである。  
 ……
 農林水産省が作成した『農林水産物輸出入概況』(2012年確定値)によれば、農林水産物の主要な輸入相手国として、中国は農産物で2位(12.2%)、林産物で1位(16.1%)、水産物で1位(17.6%)の座を占める(金額ベース)。この数字を見る限り、不安はあっても、中国から完全に脱却することは現実的とはいえないだろう。
 ……
 『もう衛生面の悪さは中国では仕方のないこと。しかも、中国政府は何も対策をとろうとしない。から、どうしようもない』
 しかしだからといって、明らかに危険な食品 ─ 中国では病死した豚が国内で流通しているとされるが、それが日本にそのまま入ってくることはないだろう。
 もちろん厳しい取り締まりが引き続き求められるが、中国の悲惨すぎる食料の現実と、中国からの農水産物の輸入実績を考え合わせると、日本人にまだ深刻な健康被害が出ていない現状は評価できるのではないか。
 中国が進める遺伝子組み換え
 むしろ、私がいま危惧するのは、地球規模の人口増加によって生じる本来の意味の食糧危機と、それにまつわる中国の農業革新の問題である。
 日本の人口は減少傾向にあり、昨年は26万人という過去最大の減少数を記録している。だが、世界人口は確実に増加傾向にあり、2011年には70億人を突破。2030年には90億人を越えると予想される。この時、地球上からすべての食料が涸渇する事はないだろうが、そのかわり地域や国力によって、限られた食料資源の争奪戦が起きる事が予想される。
 円高基調が続いたお陰で、日本人は気付かずに済んだが、世界的規模でみれば穀物価格は上昇している。リーマンショック(08年)の直前まで続いた世界の穀物価格の上昇が、食料を海外に依存するフィリピンなどで深刻な食料不足を招いた。日本企業が食料を求めて、中国やタイなどに進出することを食の安全性だけで評価できないのは、食料が満たされる地域と、そうでない地域に分けられる食料危機が予想されるのだ。
 その打開策として、世界で注目を集めているのが遺伝子組み換え(GM)作物である。
 当初は、除草剤を一斉に散布しても作付けした作物だけが枯れない『除草剤耐性型』の大豆など、農業生産者にとって有益に機能するものから開発、市場販売がはじまった。
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 遺伝子組み換え技術によって、食料危機を凌ごうという試みである。それは、広大な国土と13億人の人口を抱える中国でも同じことだ。
 ただ中国の場合、長年研究を続けた欧米の民間企業が参入して商品を売るつけるのではなく、政府の研究機関が独自に研究開発を行っている。米国のバイオテクノロジー企業の最大手、モンサント・カンパニーの日本法人はいう。
 『中国はビジネスを展開しているわけでもなく、企業の横のつながりもない。具体的にどんな遺伝子組み換え作物を開発して、作付けしているのか、外部には情報が伝わってこない』……
 中国では独自の研究開発によって、数種類のGMが既に国内で商品化されているという。
 そのひとつがポプラ。街路樹として知られる街路樹だ。このポプラの特徴は『害虫抵抗性』にある。……
 また、人が食するものでは、ウィルス抵抗性型のトマトやパパイヤが商業生産されているとされる。いうまでもなく、ウィルスに強く、植物が病気になりにくい品種ということだ。
 そして、いまもっとも中国が力を注いで研究開発を進めているのが、イネの遺伝子組み換えだ。それも、ポプラと同じような害虫抵抗型のもの。つまり、このイネによってできた米を虫が囓ると死に至るという品種を、遺伝子組み換え技術によって開発しているのだ。これによって害虫による米の収穫量の減少を抑えられるし、農薬の散布も必要なくなる。
 だが、想像してみてほしい。害虫を殺すイネがヨーロッパ全土に匹敵するほどの中国の広い国土にその種をまかれ、収穫量の上がった米が主食となって、人間の胃袋を潤す。PM2.5の拡散のような自国の環境問題すらコントロールできない国に、果たして遺伝子操作された農産物の安全が担保できるのだろうか。
 また、その種子が海外に出回り、自然交配によって、隣国の環境を変えていく可能性はないだろうか。人工的に組み替えられた遺伝子が生態系を破壊する恐れはないだろうか。いま起きている毒食騒動よりも、中国が秘密裏に進める最新テクノロジーの追求 ─ その安全性と開発の行方こそ、日本は厳重に監視するべきではないのか。
 れから拡散が予想される未知の事態が、我が国をはじめとする世界の食糧事情、地球上の環境維持に与える影響を考えると、はるかに恐ろしい気がしてならない」
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 日本のミツバチなど花粉を運搬する小型昆虫の激減は、シロアリやゴキブリなど害虫駆除剤と防虫剤に使用されているネオニコチノイド系農薬が原因とされている。
 一部の医者は、ネオニコチノイド系農薬による健康被害を心配し、最近多い子供の「注意欠陥多動性障害」は残留農薬の影響ではないかと指摘している。
 日本に於けるネオニコチノイド系農薬の濃度は欧州の500倍であるが、農水省は効能が良い為に残留基準の緩和を進めていると言われている。
 最近。町中での蚊やハエ、郊外での蝶やトンボなど、多くの昆虫が減っている。
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 虫の減少は、生態系を狂わせ、農産物生産に甚大なる被害をもたらす。
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 食料工場で生産できる農産物の量では、多くの人口を養い切れない。
 農産物を建物の中で生産するには、大量のエネルギーが必要である。
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 2010年 藻谷浩介「生産年齢人口がピークアウトし高齢者が増えている結果、一人当たりの消費カロリーが下がっており、食品の消費量も減って、値崩れが起きている。それがデフレの一因だ」(『デフレの正体』)
 



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