🦋6〗─8─メディアは若者の新しい生き方としてパラサイト・シングルを美化した。~No.25 

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 2024年3月8日 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「未婚の若者は未婚の中年へ 親依存の「パラサイト・シングル」から考える社会の責任とは
 団塊世代の日本国民は「真面目に働けば、親世代よりも豊かになれる」という“夢”が原動力だった。しかし平成・令和の時代を迎え、人々は衣食住には困らないが、給料は上がらず、非正規社員の若者たちはキャリアアップも望めず、人生の向上を実感もできなければ、“夢”も描けなくなっていた。結婚生活においても同じだ。「自分ひとりならどうにかなるが…」と多くの男性は冷静になり、女性も「結婚で一発逆転を狙えないなら、別に結婚しなくてもいい」と判断するようになった。家族社会学の第一人者である山田昌弘氏は「“未婚”問題は、広く日本社会全体の課題として考える必要がある」と訴える。同氏の新著『パラサイト難婚社会』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、「パラサイト・シングル」が生まれる仕組みについて紹介する。
 【表】未婚率は年々上昇している
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 「おひとりさま」は、精神的自立と経済的自立が不可欠です。では、この二つの要素のどちらか、あるいは両方が得られない未婚者はどうなるでしょう。
 未婚で親と同居していても、経済的・精神的に自立している場合は、「親と同居している」とシンプルに言うことができます。しかし、「仕事」は持っていても、稼いだ額の大半を自分の趣味や成長のために使い、基本的な食費や住居費・ガス・電気・水道代などを親頼みにし、さらに炊事洗濯など身の回りの家事の多くも親に依存している場合は、「パラサイト・シングル」と私は定義してきました。
 「パラサイト・シングル」は、精神的基盤と経済的基盤の多くを親に依存して生活しています。それを可能にしたのは、主に団塊の世代を中心とした親世代の特殊事情がありました。この世代には、成人後も子の面倒を見る「経済的ゆとり」があり、かつ我が子に対する「献身的愛情」がありました。これは他の世代は、仮に望んでも得られなかったものです。特に重要なのが前者です。「子への献身的愛情」があっても、先立つものがなければ否が応でも子どもを自立させないとなりませんが、団塊の世代はそれが可能だったのです。
 戦後の経済復興の中で、「今日よりは明日、明日よりは明後日」と豊かに成長していく時代を肌感覚で経験してきたこの世代は、子どもにより良い生活空間や環境を与え続けることができました。自分たち自身が幼い頃は、テレビや冷蔵庫もない暮らしを経験してきたのに、我が子に対してはテレビも冷蔵庫も、ましてや自家用車もある生活を準備できる。それどころか自宅には子ども専用の部屋を備え、複数の習い事をさせ、お小遣いやお年玉やクリスマスプレゼントまで与えることができました。ボーナスが出れば、季節ごとの家族旅行を楽しめ、生活レベルの向上を家族皆で実感できたのが、この時代でした。
 もちろん個人差、家庭差はあったでしょう。当時も生活困窮世帯は存在しました。でも、社会全体が好景気に沸いている時代には、仮にどんなに貧しくても、「これから生活が良くなるだろう」と希望を抱けるものです。仮に現在お金がなくて貧しくても、5年後、10年後はそうとは限りません。給料は年々上がっていくし、頑張って子どもを育てていけば、我が子は少なくとも自分よりは良い生活を送れるはずだと「夢」を描くことができたのです。
 しかし、そうした親の愛を一身に背負って育った団塊の世代ジュニアが大人になった頃、日本経済は長引く停滞時期に突入しました。親が与えてくれた豊かさを、今度は自分自身の手でつかまなくてはならない社会人としての始まりの時期。そんな大事な時期に、就職氷河期が始まったのです。しかもその責任は、社会のせいというよりは、とことん自己責任論で語られるようになりました。「フリーターや非正規雇用を目指すのは、責任を負いたくない若者の身勝手な事情だろう」と。
 そんな我が子を、豊かさを経験してきた親世代は、突き放すことができませんでした。本来自立すべき成人後も、「あともう少し家にいていいよ」と、自宅に住む(寄生)することを許してしまったのです。せめてそこでしっかりと家賃相当分や家事労働分の支払いを要求していればともかく、これまで至れり尽くせりで家事も掃除も洗濯も面倒を見てきた親たちは、そのまま我が子の家事労働を請け負い続けてしまったのです。
 大学卒業時に正社員就職ができず、とりあえずアルバイトや非正規雇用で社会人をスタートした時点では、親も子も「当面の間だけ」と思ったかもしれません。しかし実際には、非正規で社会人をスタートさせた世代が、その後正社員として人生のステップアップを望むことはほとんど不可能であったことは、今では周知の事実です。「あと少し、家にいていいよ」「今は不況だから、独身も仕方ないね」と温かい目で見守ってきた子世代が今、壮年となり、中年となり、大量の「未婚者」になっています。厳密に言えば、「壮年親同居未婚者」です。最近では「子ども部屋おじさん」「子ども部屋おばさん」なる言葉まで生まれています。
 同時に日本では、大量の「引きこもり」も存在します。かつて「未婚の若者」だったのが、「未婚の壮年」「未婚の中年」となったのと同じように、かつて「中高生」の問題だった「引きこもり」は若者の問題となり、今では「壮年・中年の引きこもり」へと移行しています。中には親の年金頼みで高齢の親にパラサイトしてきた「中年引きこもり」が、親の介護が必要な年齢になり、途方に暮れるケースもあります。社会全体の歯車が狂い始める「8050問題」です。
 内閣府が22年11月に行った調査によると、「趣味の用事の時だけ外出する」「自室からほとんど出ない」状態が6カ月以上続いている「引きこもり」状態の人(15歳から64歳まで)は、推計146万人もいる実態も見えてきました。
 もちろんここで、「未婚」と「引きこもり」を乱暴につなぎ合わせるつもりは毛頭ありません。ただ、「おひとりさま」にしろ「パラサイト・シングル」にしろ「引きこもり」にしろ、「未婚」問題が極めて日本独特の社会現象になっていることに注目したいのです。また「パラサイト・シングル」や増える「中年引きこもり」に関して言えば、その根底には「成人になっても子を独立させない(できない)日本独自の親子関係」が、ある種の要因になっていることを確認し、かつ「成人しても子が独立できない」理由の多くの部分で、経済的困窮が関係しているのであれば、それは広く日本社会全体の課題として考える必要があることを強調したいのです。
 具体的には、現代社会の産業が製造業からサービス産業・IT産業にシフトしていく中で、働き方が根本から変わっているにもかかわらず、相変わらず「新卒一括採用」と「終身雇用制」に固執してきた企業と政府の責任でもあります。新卒時に正社員になれなくても、本人の意欲次第でいつでも再チャレンジが可能な社会にすること、正社員と非正規社員のかけ離れた条件を是正すること、仮に非正規やアルバイトであっても、「家族」に頼らず「個人」が生活していける仕組みを整え、社会的セーフティネットを強化すること、リスキリングやリカレント教育に社会全体で取り組むことなど、できることはたくさんあるはずです。
 山田昌弘
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 ウィキペディア
 パラサイト・シングル(Parasite single)とは、「学卒後もなお親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者」を指す造語である。
 用語
 パラサイト・シングルという用語は、1997年に山田昌弘(当時は東京学芸大学助教授)により提唱された造語である。親を宿主として寄生(パラサイト)する独身者(シングル)を意味する。単に「パラサイト」と呼ばれることもあり、「パラサイトする」と動詞化して用いられることもある。山田が1999年に筑摩書房から『パラサイト・シングルの時代』を出版し、広く知られるようになった。
 山田によれば、成人後は自立を求められる北西ヨーロッパ諸国やアメリカ・カナダ・オーストラリアなどの諸国では見られないという。家事を親に任せて収入の大半を小遣いに充てられるため、時間的・経済的に豊かな生活を送ることができるとしている。そして結婚すると生活水準が下がるため結婚への動機付けが弱まり、未婚化の要因の1つになるとしている。
 なお、学卒後は親に依存していなくても、学卒前までに親や祖父母等から過剰な贈与や財産分与受けた場合(相続を除く、ただし親やきょうだいの配慮により法定相続分大きく越える金額を相続した場合は含む)もこれに含まれるとしている。
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 PRESIDENT Online
 「パラサイト・シングルの子」に介護される親の“悲劇”
 親の年金と貯金に頼ったニート生活
 相沢 光一
 高齢化するパラサイト・シングル。同居する親を介護するケースが増えているが、お金やモラルの面で問題を抱えて、「親子共倒れ」となるケースがある――。
 パラサイト・シングルの子に介護される親が増加中
 「パラサイト・シングルの増加が社会問題として取り上げられるようになってずいぶん経ちますが、介護現場で仕事をしていると、そういう人たちが親の介護をする年齢を迎えていることを実感します」
 そう語るのはケアマネージャーのIさんです。在宅介護のサービスを利用する家族にパラサイト・シングルの人が目立つようになったそうなのです。
 パラサイト・シングルとは、親と同居する未婚者のこと。
 通常、結婚すれば家庭生活を維持するために金銭的負担をはじめとするさまざまな苦労を背負い込むことになります。しかし、結婚せず親との同居を続ければ、そうした苦労を味わうこともなく、働いて稼いだお金のほとんどは自分のために使える。その方が気楽だという人たちです。
 また、バブル崩壊後、長く続いた不況期は大量の非正規雇用者を生み出しました。賃金が安く、立場の安定しない非正規雇用では「とても結婚なんかできない」ということでパラサイト・シングルの道を選ばざるを得なかった人も数多くいます。
 パラサイト・シングルのくくりには、こうした仕事をしている人とは別に、職に就かず生活のすべてを親に依存している、いわゆるニートも含まれます。学校でいじめに遭ったことがきっかけで引きこもりになり、それが大人になっても続いている、あるいは就職したものの会社の人間関係や仕事に馴染めず退職、心を病んで社会に出られなくなった、といった事情があり親元で暮らしている人たちです。
 非正規雇用のため結婚を諦めた人たちと同様、社会の歪みから生み出されたパラサイト・シングルがかなりの数にのぼるわけです。
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 2003年12月書評 
 評者:中川(6期生)
 山田昌弘 [1999]『パラサイト・シングルの時代』ちくま新書
 「パラサイト・シングル」、普段耳にしない言葉である。しかし、これが最近増えているのだと言う。本書を読んで、私の知人でもそのような状態に分類される人が多くいることに気づく。こんなに身近にあるが、意識しない問題。本書は、その本質を見定め、また批判している。
 まず、パラサイト・シングルとは何なのだろうか。それは、学卒後も親と同居し、基礎的生活を親に依存している未婚者のことを指している。想像に難くないが、彼らは豊かである。この豊かさの質について、著者は三つの点で恵まれていると指摘する。それは経済的、人間関係、自己実現である。親と生活を共にすると、これらの点で自立している若者より高い満足度を得ることができるのだ。
 ならばなぜ近年、パラサイトする若者が増えたのだろうか。私は家事を「しなくていいから」や、「一人暮らしをすると金がかかるから」などが原因ではないかと考えたが、実際はもっと深いところにあるらしい。親の子に対する家継承意識や、日本の年功序列という賃金体系、企業の福利厚生費の削減などがある。これを放置しておくわけにはいけない。なぜなら、経済に与える影響が大きいのだという。彼らは懐が潤っていて、多くの高級商品の需要を生み出すから経済にとってプラスになるのではないか、という見解が一般的ではないだろうか。しかし、著者はそうは言わない。なぜなら、仮にパラサイトしている人が、一人暮らしを始めたとする。そうした場合、親と共同で使用していた住まいや、家具、電化製品、車などを新しく買わなくてはいけなくなる。言い換えると、その分の需要が、パラサイトしていることによって消滅していると言うのである。これは、彼らの数は一千万人と言うことから考えれば、大・大・大問題であるということに気づかされる。
 著者は、解決策をいろいろと考案していたが、私は自然な社会の流れでこれは解決すると思う。現在、一部の企業で年功賃金の廃止、成果給導入に着手している。これは、若者の賃金上昇、年配の賃金低下をもたらす。つまりパラサイトされる母体が弱くなり、寄生する側が力を付ける。よって否が応にも自立は促されるのではないか。他人事ではないこの問題をあなたも考えてほしい。
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