🍘43〗ー5・Bー政府がひた隠す不都合な事実。日本の食料自給率は公称の38%ではなく18%。~No.136 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 太平洋戦争の原因は、石油のエネルギーとコメの食糧であった。
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 お米が自給率100%なのは、現代日本人が戦前の日本人のようにコメを食べなくなったからに過ぎない。
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 エセ・エリートに騙され続ける日本人。
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 エリートと言っても、戦前のエリートは真エリートであったが現代のエリートは似非エリートである。
 現代のエリートとは、超難関校出の高学歴の政治的エリートと進歩的インテリ達である。
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 2023年12月12日 YAHOO!JAPANニュース 日本農業新聞「食料安全保障は「気候正義」 COP28成果文章案
 食料危機へ認識共有
 アラブ首長国連邦UAE)で開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は12日、最終日を迎え調整を続けた。採択を目指して公表された成果文書案によると、気候変動対策と農業・食料システム強化の両立を図るエミレーツ宣言に基づき、地球温暖化に伴う食料危機への認識が加盟国で共有され、食料安全保障を守る行動も「気候を守る正義の取り組み(気候正義)」として位置付けられた。
 一方、成果文書に盛り込まれる予定だった化石燃料の「段階的廃止」は、産油国などの抵抗で削除され、欧州などが反発。激しい攻防が続いており、会期は延長される見通しだ。
 文書案は、共有認識などを記した238項目で構成され、食料安全保障の重要性は冒頭に記された。持続可能な環境、地域社会、女性や子ども、障害者など「脆弱(ぜいじゃく)な状況」にある人々の権利を守る決意を明示。優先事項として「食料安全保障を守り、飢餓をなくす」ことを掲げ、これを含む地球温暖化に対処する全行動を「気候正義」と定義した。
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 12月14日 YAHOO!JAPANニュース 集英社オンライン「日本の食料自給率は公称の38%ではなく18%だという事実。政府が隠す、世界128位というあまりにも低い食料自給率の本当の計算方法
 食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日 #1
 貧困の中の高自給
 農林水産省の試算によると、我が国のカロリーベースの食料自給率は38%だという(令和4年度時点)。ただ、この数字は明らかに計算方法がおかしいそうだ。農学博士の高橋五郎氏によると、日本の食料自給率は実際には18%しかなく、かなり危機的状況だという。
 【画像】遠い国の話ではない食糧危機
 『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』から一部抜粋・再構成して、日本の現実をお伝えする。
 なぜ農水省自給率は意味のない数字なのか
 農水省によるいくつかの自給率を見てきたが、さまざまな疑問が残る。
 そして、筆者が最も問題と思うのは、経口食料のみを用いて自給率の試算をしていることである。畜産物を飼育するためには飼料要求率に基づく大量の飼料(カロリー)が必要である。農水省方式は、たとえば牛肉を生産するために必要とした飼料は無視し、口を通じて消費した牛肉のカロリーを取り上げて、その自給率を計算する方式である。
 牛肉100キロカロリーをつくるために要した飼料分のカロリーはいくら大量であっても無視されている。これは製造コストから燃料費を除外しているようなものだ。そして日本において畜産物の飼料はほぼ輸入なのである。
 肉類や牛乳の生産に投じる飼料には、生産者個人や国によって大きな差がある。精魂込めて育てれば育てるほど、飼料の種類と量は増える。育て方が未熟の場合にも飼料の量は増える。飼養の効率が劣るからである。
 A国は1キログラムの肉を生産するのに投じた飼料が5キログラム、B国では4キログラムだとして、できた肉1キログラム自体はA国もB国も同じ1キログラムに変わりなく、この1キログラムを食べた国民の摂取カロリーもまた、A国もB国も同じである。
 本書は、ここに大きな問題があることを指摘したい。
 自動車の燃費に例えると、同じ1キロメートルを走ったガソリン車についての関心事は、燃費にどんな差があるか、あるいはガソリン車で走ったのか、EV車で走ったのかという問題であり、1キロメートルを走ったかどうかではなく、その効率や環境への負荷の大きさがどうなのかが問われるのだ。
 本書試算による日本の食料自給率は18%
 農水省のカロリーベース食料自給率は、このような、1カロリーを食べるのにそれ以前にどのくらいのカロリーを費やしたのか、そしてその輸入部分はどのくらいなのかという中間部分がスッポリと抜け落ちたものなのである。この問題は、消費量の大きな畜産物に限らず、食用油・みそなどすべてのニ次的生産食料に当てはまる問題である。したがって、本当の自給率を知るためには飼料や加工食料の原料のカロリーをベースに把握することが必要なのである。
 ある事柄についての統計処理とは、国によって数値の算出方式が違ってはならず、利用する基礎数値の根拠が違ってもならない。統計とは「統一的な方式によって計算された数値」である。世界の食料自給率においてはこの統計が存在しなかった。
 このスキ間を埋めることが、本書が独自に世界共通の食料自給率の算出を試みた理由にほかならない。
 本書で公開した食料自給率では、重複勘定を避けながら、牛肉であれば牛肉そのもののカロリーではなく、牛肉をつくるために消費(投入)された飼料(カロリー)を対象に算出する方法である。「投入法カロリーベース食料自給率」と呼ぶ理由でもある。
 わかりやすく言うと、牛肉100グラムは約250キロカロリーに過ぎないが、飼料穀物のトウモロコシは約350キロカロリー、牛肉100グラムをつくるにはその11倍、3850キロカロリーを飼料として与える。にもかかわらず、牛肉250キロカロリーのみを取り上げ、差し引き3600キロカロリーを無視した自給率にどれほどの意味があろうか。
 精肉となったものに自給部分が簡単に把握できるような線でも引いてあればよいが、もちろんそんなことはない。その判定にはややこしい計算と推定に推定を重ねなければならない。これに対して本書の「投入法」には、そうした煩雑さや推定の入り込む余地は一切ない利点がある。
 「投入法カロリーベース食料自給率」による試算では、日本の食料自給率は18%となり、農水省が発表した数値を大幅に下回るのである。
 なお食料自給率を考える場合、肉の部位まで意識する必要はない。ただし食料100グラムに含まれるカロリーは食料によってすべて異なるので、本来は食料の品目ひとつひとつの重量に応じた含有量を計算する。たとえば、同じ100グラムの肉であっても、豚肉と鳥肉とではカロリー含有量が異なるし、野菜も、トマトとカボチャとでは異なる。
海外にあって日本にない食料や品種はデータベースに載っていない
 もっと厳密にいうと、たとえば鶏肉では、モモ肉とムネ肉とではカロリーに2倍ほどの開きがある。このような食料の品目や部位に応じて異なるカロリーは、日本では「食品成分データベース」(文部科学省)で詳しく調べることができるので、この資料を使用して食料ごとのカロリーを把握するのがよい方法である。
 日本のこのデータベースは非常に便利だが、知りたい食料のすべてが掲載されているわけではない。特に輸入食料については品目や品種に限界がある。品種の違いが十分に示されていないこと、海外にあって日本にない食料や品種はデータベースに載っていないこと、また100グラム当たりのカロリーをだれがどのようして計ったのか、説明が不十分な部分もあるからである。
 食料個々のカロリーについて、農水省が示している原則的な計り方を紹介すると次のとおりである。重さ100グラムのある食料を対象に、そこにタンパク質・脂質・炭水化物がそれぞれ何グラム含まれているかを計り、それぞれに1グラム当たりのカロリーを示す「エネルギー換算係数」という数値を掛け、3つを合計する。「エネルギー換算係数」はタンパク質1グラム当たり4キロカロリー、脂質9キロカロリー、炭水化物4キロカロリーとされている。
 具体例を示すと、重さ100グラムのある食料が含む成分がタンパク質30グラム、脂質20グラム、炭水化物50グラムとすれば、この食料のカロリーは500キロカロリーとなる(30×4+20×9+50×4=500)。
 ただ、時計の針を刻むような正確無比のカロリーを把握しようとするには限界がある。この点はどの国でつくっている食料成分表においても同様であり、個々の食料から100%正確な成分を抽出するには、人間の側に技術的な限界があることを理解しておく必要がある。
 各国の食料自給率からわかること
 本書最大の特徴は「投入法カロリーベース食料自給率」と「タンパク質自給率」について、それぞれ世界182か国の数値を試算したことである。誤解を恐れずに言えばカロリーベースとタンパク質2つの自給率を論理的な手はずを経て試算した例は、世界でも本書が初めてである。
 用いた基礎数値は、世界共通の調査に基づく信頼性の高いFAOの公式数値だが、FAO自身は各国のカロリーベース食料自給率、タンパク質自給率について、試算も公表もしていない。本書は182か国の2つの自給率を統一された数値と試算方式で導き出しており、各国の実態と順位をほぼ正確に知ることができるメリットがある。
 「タンパク質自給率」という言葉は、あまり耳慣れないかもしれない。詳しくは後述するが、一言でいうと、カロリーベース食料自給率がヒトの運動エネルギーの自給率を扱うのに対し、タンパク質自給率はヒトの生命の維持や肉体形成に必要な栄養素であるタンパク質の自給率を扱うものである。
 ヒトが食べることで意味があるのは重量や金額ではなくカロリーであり、栄養素である。これがカロリーベース食料自給率やタンパク質自給率が重要である最大の理由である。
 先に述べたようなほとんど無意味な重量ベースの自給率を単純に足し合わせた自給率を世界ランキングなどと称し、ネットで公開している事例がないことはないが、ぜひ無視することをお勧めする。
 さて本書が世界のカロリーベース食料自給率試算の対象とした食料は穀物の大部分の種類、食料のなかでもカロリー含有量の多い主要穀物9品目(コメ・小麦・トウモロコシ・大豆・大麦・ライ麦・オーツ麦・ソルガム・ミレット〈アワ・ヒエなど雑穀〉)、主要畜産物6品目(牛肉・豚肉・鶏肉・鶏卵・バターとギー〈バターオイルの一種〉・牛乳)、大豆油を加えて全部で16品目の食料である。
 このほかの食料には、特定の食文化圏で摂られるみそ、しょうゆ、カロリー含有量の少ない青果物、一部を除きカロリー含有量の少ない魚介類や砂糖類、ごま油をはじめとする各種の植物油などがあるが、先に挙げた16品目だけで食料全体のカロリーに占める割合は80%以上(世界平均)になるので、自給率を把握するためにはほとんど支障がないといえよう。
 仮に青果物や魚介類、砂糖類などに対象品目を拡大しても、日本の自給率は上昇せず、むしろ低下する可能性が高い。
 こうした条件で試算した2020年の各国のカロリーベース食料自給率とタンパク質自給率が序章に掲載した「各国の食料自給率(2020年)」の一覧表である。182か国のうち最もカロリーベース食料自給率が高い国はウクライナで372.2%、逆に最も低い国は0%でキリバス・ドミニカ・ジブチバーレーンなど16か国である。
 日本のカロリーベース食料自給率は、世界182か国・地域中、128位
 全体的に見ると、自給率が100%以上の国が33か国、100%未満が149か国・地域である。100%未満が全体の82%に達する。2019年と比べても大きな変動はないが、国民が必要とするカロリーを自前で賄える国はわずかである。
 日本のカロリーベース食料自給率は、世界182か国・地域中、128位の18%にすぎない低さである。
 日本の低自給率は、畜産物を育てるために膨大な量が必要な飼料用のトウモロコシが輸入100%なのをはじめ、消費量が世界屈指である大豆・小麦の大部分、同じく大麦やソルガム・ミレットをほぼ100%輸入に依存していることから起きている。
 人口減少や食生活の洋風化から消費が落ち込んでいるコメでさえ、アメリカの顔を立てるため以外の理由が見つからないなか、毎年70万トン程度を輸入している。
 また、国内消費の牛肉・豚肉・鶏卵・酪農製品の多くの部分を輸入に頼っていることから、これら畜産物の飼料となる穀物(主にトウモロコシ)に換算すると、ゴム風船のように膨らむ穀物輸入が、自給率を押し下げる理由となっている。
 日本以外の先進国の中でカロリーベース食料自給率が低い国・地域を挙げると、韓国が世界133位の13.9%、台湾が134位の13.7%、イギリスが98位の41.1%、イタリアが101位の39.2%、スイスが112位の28.7%、オランダが148位の4.7%などが際立っている。
 日本を含むアジアやヨーロッパの工業国・地域は、食料自給率を犠牲に、工業化・近代化に舵を切りすぎたきらいがある。この点、イタリアやオランダはEU加盟国でありEU全体の食料生産の分業体制の下で食料供給が制度的に保障されており、このデータを試算した2020年段階では、まだEU加盟国であったイギリス農業も同様の環境にあったので、低いとはいえ日本と比べると安定的な食料安全保障が保たれている。
 EU未加盟のスイスの場合、これらの国とはやや事情が異なる。地政学的・自然環境的に、スイスは穀物生産には不向きな点が多々あることが、低自給率をもたらす大きな理由と考えられる。こうした環境の下で、同国は非同盟であることを海外からの安定した食料輸入を保障する担保としているようにみえる。
 一方、カロリーベース食料自給率が高い国として、ウクライナのほかガイアナパラグアイウルグアイカザフスタン・アルゼンチン・ブラジル・オーストラリア・カナダ・ロシア・フランス・アメリカなどが挙げられる。いずれも、小麦・トウモロコシ・大豆の有数の生産国であり輸出国である。
 貧困の中の高自給
 率世界各国のカロリーベース食料自給率を試算して明らかになったことは、途上国は対立する2つのタイプに分かれるということである。ここでは1人当たり年間GDPが1000ドル(約14万円)から3000ドル(約40万円)程度の国を途上国としているが、中にはガンビアモザンビーク・イエメンなどのように1000ドル未満の国もある。
 2つのタイプとは、貴重な外貨を食料輸入に充てた結果と推測できる自給率が低いコンゴ・イエメン・ザンビアレソトなどの国、不足する食料を十分に輸入できないため自給率が高くなってしまうシエラレオネルワンダ中央アフリカアフガニスタン・チャドのような国である。
 1人当たりGDPが1000ドル未満の国のうち、カロリーベース食料自給率が70%以上の国を数えるとマリ・マラウイウガンダザンビアブルキナファソエチオピア・チャドなど12か国、うちマリ・マラウイウガンダザンビアは100%をわずかに超える、定義上は食料の輸出国なのである。
 これらの国は、不足する食料を輸入することをせず、そもそも不足する食料を輸出に回すことで外貨を稼ぎだそうとする典型的な飢餓輸出国である。これらの国の自給率が高い理由は食料の供給量自体が足らず、輸入を抑えることから国産が相対的に増えるからである。
 カロリーベース食料自給率が70%以上の12か国のうちエチオピアウガンダニジェールマラウイ・マリ・チャド・トーゴなど9か国の経常収支(2021年、世界銀行)はエチオピアの45億ドルをはじめ、最少のトーゴ2000万ドルまで赤字国である。自給率100%以上の赤字国の赤字額はマリ3.8億ドル、マラウイ15.4億ドル、ウガンダ35.5億ドルと大きい。
 一般に、貧しい国は食料自給率も低いと思われているが、以上から、1人当たりGDPが1000ドル未満の25か国は、カロリーベース食料自給率の高い国と低い国とがほぼ同数の2つのグループに分かれることが浮かび上がる。
 先進国にも2つのタイプがある。食料生産国と輸入国である。食料生産国は自給率が100%を超えるカナダ・フランス・アメリカ・オーストラリアなどの国である。
 ただし、輸入国グループはオランダ・ベルギー・日本・スイスのように自給率が非常に低い国、チェコ・ドイツ・デンマークスウェーデンのように自給率が50%以上の比較的高い国に分かれる。
 アフリカ諸国が概して自給率が高い理由の2つめは、該当国がおおむね内陸部に位置し、地理的に穀物生産国からの接岸アクセスが不便であり、さらに国内輸送上の物流アクセスが不便な二重の障害に直面しているからといえる。広いアフリカ大陸の内陸部に位置し、輸入港から距離的に不利というだけでも、海外からの食料輸入には障害として働くのである。
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 高橋五郎(たかはし ごろう)
 1948年新潟県生まれ。農学博士(千葉大学)。愛知大学名誉教授・同大国際中国学研究センターフェロー。中国経済経営学会名誉会員。専門分野は中国・アジアの食料・農業問題、世界の飢餓問題。主な著書に『農民も土も水も悲惨な中国農業』2009年(朝日新書)、『新型世界食料危機の時代』2011年(論創社)、『日中食品汚染』2014年(文春新書)、『デジタル食品の恐怖』2016年(新潮新書)、『中国が世界を牛耳る100の分野』2022年(光文社新書)など。

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