・ ・ ・
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2023年11月14日 MicrosoftStartニュース 東洋経済オンライン「日本のEV、風力が危ない! 中国依存をやめよ 脱炭素と脱中国、「グリーン経済安保」が必須
北村 滋
中国の港で輸出を待つ風力発電機の羽根(写真:Getty Images)
© 東洋経済オンライン
李克強前首相の突然の死、日本人駐在員の逮捕など不吉なニュースが続く中国。経済成長が鈍化し、直接投資が初のマイナスになった「世界の市場」から企業が逃げ始めた。
『週刊東洋経済』11月18日号の第1特集は「絶望の中国ビジネス」。共産党が経済よりも大事にしている「国家安全」は中国をどう変えていくのか? 日本企業のビジネスへの影響は? 匿名座談会や特別対談など、豊富な記事でその答えをお届けする。
日本政府は、2050年の「ネットゼロ(温室効果ガス排出量正味ゼロ)」達成に向け、2030年度の温室効果ガス排出46%減(2013年度比)を掲げている。2021年に策定した「エネルギー基本計画」では、2030年度の再生可能エネルギーの比率を36〜38%に引き上げるのが目標だ。
【写真をすべて見る】日本と中国の最新EV
ところが、日本は脱炭素をめぐる技術や製品では中国依存が進んでおり、サプライチェーン上の脆弱性が指摘されている。EV(電気自動車)のバッテリーに欠かせないリチウムは、約55%を中国から輸入する。EVのモーターや風力発電機のタービンに不可欠なレアアースは約60%を中国に依存する。
求められる脱炭素と脱中国
これでは重要な国策の遂行が中国の意向に左右されてしまいかねない。今こそ、脱炭素と脱中国を同時に進める「グリーン経済安全保障」政策が求められている。
世界の再エネ分野の製品で中国の競争力は強い。
国際エネルギー機関(IEA)が2022年に公表した報告書によると、太陽光パネルの主要製造段階における中国のシェアは8割を超える。主要素材であるポリシリコン(多結晶シリコン)やウェハーは、今後数年で中国のシェアが95%にまで達するという。
風力発電機でも中国勢が伸びている。国際団体の世界風力会議の調査では、2022年に導入された風力発電のうち49%を中国が占める。発電機メーカーのシェア1位はデンマークのベスタス社だが、2位の金風科技(ゴールドウィンド)をはじめ、上位15社中10社を中国企業が占めた。
脱炭素と関わりの深いEVにおいても基幹部品の原材料は中国に頼る。EVのモーターに使われるレアアースの生産(精錬)は、世界シェアのうち中国が7割を占めている。中国はレアアースを用いた高性能磁石について原料採鉱から合金・磁石の製造まで自国で完結する体制を築きつつある。世界のEV市場で覇権を握ろうとしているのだ。
日本での調達を急げ
脱炭素で世界をリードするEU(欧州連合)は中国依存の危険性に気づき始めた。
北村滋(きたむら・しげる)/1956年生まれ。東大法卒、1980年に警察庁入庁。 2006年に安倍首相秘書官。2011年に内閣情報官。2019年に国家安全保障局長。2020年米国政府から国防総省特別功労章を受章。現在は北村エコノミックセキュリティ代表(撮影:今井康一)
© 東洋経済オンライン
2023年3月に公表した「ネットゼロ産業法案」は、再エネ技術の製造に焦点を当て、域内調達を高めることを目的にしている。具体的には、2030年までに太陽光や風力、水素などネットゼロ技術の40%を域内で生産することを目指している。対象製品は、太陽光パネル、風力発電機、電池、ヒートポンプ、エレクトロライザー(余剰電力で水素を製造する装置)などだ。
さらに同法案では、脱炭素技術のサプライチェーンを可能な限りEU域内に形成することを目指している。EUはAI(人工知能)や半導体だけでなく環境技術でも競争力を高めようとしているのだ。
日本も資源調達の多角化や再エネの自主開発を進めている。コバルトやニッケルといった主要鉱物の産出国であるアフリカの資源国との関係強化に乗り出しているのはその一例だ。太陽光パネルでは薄型でエネルギー効率のよい「ペロブスカイト型」と呼ばれる国産技術に期待がかかる。原料の国産調達が容易であり、サプライチェーンの観点からも好適とされる。
2022年に成立した経済安全保障推進法では、サプライチェーン上の特定重要物質として蓄電池や重要鉱物資源が指定された。また今年成立したGX(グリーントランスフォーメーション)推進法によって国を挙げて脱炭素投資を進めることが決まった。
日本が脱炭素時代の新たな競争に生き残るためにはグリーン経済安保の観点が不可欠だ。日本が脱炭素を実現しようとする際、中国に首根っこを押さえられるような事態は絶対に避けねばならない。
・ ・ ・