🌌60}─1─「地球灼熱化」時代到来。食料安保や生態系に影響、6回目の生物大量絶滅。~No.288 

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 2023年7月25日午後3:30 YAHOO!JAPANニュース 関西テレビ「世界“異常気象” アメリカで“54度” 偏西風蛇行で猛暑・豪雨・大雪 「四季が“二季”に」と専門家
 気象庁は、7月20日に今年の夏は広い範囲で「10年に一度」クラスの暑さになる可能性があると発表しました。日本では近年、“異常”とも言える気候が続いていますが、世界各地でも深刻な状況となっています。世界的な異常気象はこの先どうなるのでしょうか?
■世界的異常気象 気象学の専門家に原因とこの先について聞く
 世界の異常気象に詳しい気象学の専門家、三重大学の立花義裕教授に聞きました。また関西テレビ「newsランナー」出演の片平敦気象予報士は、気象の研究などで立花教授と交流があるということで、片平予報士にも解説に加わってもらいました。
 国連の機関も「未知の領域」に入ったと指摘していますが、異常気象の現状をどうご覧になりますか?
 【三重大学 立花義裕教授】
 「『異常気象』とよく聞きますよね。普通じゃないことを“異常”というはずが、毎年のように起こって、普通のことになっていますので、私は『ニューノーマル化している異常気象』と呼んでいます。それぐらい気候が変わっています」
■7月世界各地で異常な高温 中国で52.2度、アメリカで54度
 世界の異常気象をみていきます。7月に入って、世界中で驚きの気温が確認されています。
・スペインで44.5度。昼間の屋外労働が禁止される地域も出ました。
ギリシャで45.7度。アテネの観光地で、従業員のストライキが起こりました。
・中国で52.2度。養豚場で豚462頭が熱中症で死んでしまったということです。
・そしてアメリカで54度。救助のヘリが暑さで飛べない事態となりました。
 これらの気温はやはり異常と言えるのでしょうか?
 【三重大学 立花義裕教授】
 「はい異常です。たまに起こることはありますが、これほどいろいろな場所で起こるのは異常です。日本ではなく、違ったところの出来事だと思うかもしれませんが、連動しているのが異常です。偏西風が連動の原因となっています」
■異常気象の原因は「偏西風の蛇行」 蛇行の原因は「北極の温暖化」
 世界的異常気象の原因を解説してもらいます。
 【三重大学 立花義裕教授】
 「北側が寒く、南側が暑い、この境界線が偏西風なんです。偏西風の北か南かで、気温も雨の降り方も全然違います。普通の夏は偏西風がほぼまっすぐ流れて、北が寒く、南が暑くなるのが普通です」
 【三重大学 立花義裕教授】
 「今年もそうですが、近年これが南北に大きく蛇行しています。出っ張っているところが大変暑くて、引っ込んでいるところは大変寒い。それがずっと停滞することで暑くなります。日本は図で示されたように今暑いのですけれど、ヨーロッパも暑くて、日本の暑さとよく連動します。寒いと表現した所は、雨が降ります。ですから豪雨と猛暑が連動すると思ってください」
 なぜ蛇行しているのでしょうか?
 【三重大学 立花義裕教授】
 「近年の偏西風の蛇行は、北極の温暖化が一因であると言われています。北極が温暖化して、『シロクマさんが困っている』なんて聞いたことがあるかもしれません。北極の出来事など関係ないと思うかもしれませんが、実は関係があって、偏西風は北極の温度と熱帯の温度の差が大きいほどまっすぐ流れます。北極が温暖化して、差がなくなってくると、偏西風はふにゃふにゃと蛇行してきます。ですので北極の温暖化が、日本を含めた中緯度の異常気象にも影響しているわけなんです。
北極はいったん溶けだすとなかなか元に戻らないので、これからも近年のような暑さになる可能性が高いですね」
 日本がこれだけ暑いのは、偏西風が大きく蛇行している影響なのですね。
 【三重大学 立花義裕教授】
 「そうです。偏西風はたまに蛇行することがありますが、これだけ頻繁に蛇行している原因は北極の温暖化です。それに加えて今エルニーニョ現象が起こっていまして、熱帯の影響もあります。北極と熱帯の両方の影響ですね」
■今年は“10年に一度の暑さ” 京都では連日37度の予想
 ここで、この夏の日本の暑さの状況をみておきます。
 【片平敦気象予報士
 「7月25日以降の1週間の暑さの予報です。東北では福島で最高気温35度以上が当分続きそうです。近畿地方で京都はこの先しばらく37度ぐらいが続く見通しです。
8月上旬ぐらいにかけて、特に暑さに注意してください。いつもであれば、ここまで気温が上がる日はそんなに続かないのですが、この時期としては“10年に一度ぐらいの暑さ”というのが、7月下旬から8月上旬ぐらいまで続いてしまいそうです。ずっと続くので、すごく危ないところがあるかと思います」
 【三重大学 立花義裕教授】
 「一度偏西風の蛇行が始まるとなかなか終わらない。しばらくこんな状況が続くと思います」
■2100年には恐ろしい天気予報 ほんの20年先にも危機的状況が待ち受ける
 未来の話ですが、どこまで暑くなってしまうのか、“2100年”の想定で、片平予報士にお天気を予想してもらいます。
 【片平敦気象予報士
 「科学的な根拠があって2100年はこうなるのではと予想されているものがあります。
 『2100年7月24日の天気予報をお伝えします。最高気温ですけれども、豊岡や京都では最高気温44度、大阪は45度ということで、外にいると倒れてしまうような暑さのところが多くなりそうです。この年はもしかすると熱中症の死者が累計1万人を超える予測が出ているぐらいです。くれぐれもご注意下さい』」
 「さらにもう2点、注意してもらうことがあります。
・『ビーチが大混雑か!?』温暖化の影響で海面が上昇し、日本の砂浜は80%が消失しているとの予測があります。そうなると数少ないビーチに人が殺到して大混雑するかもしれません。
・『おいしいお米は、期待薄!?』夏場の高温、おいしいお米が収穫できなくなる心配があります」
 「これらはあくまでも“2100年の予測”です。ただ温暖化対策などがされないと、気温が4度から5度上昇してもおかしくないと言われています。ある1日だけでなく、全体が今より4度高くなって、めちゃくちゃ暑いのが当たり前になってしまいます」
 立花教授はもう少し近い未来、20年先の話として、警鐘を鳴らしています。
・「危険な豪雨 頻度も降水量も増加」
・「スーパー台風 毎年のように発生上陸」
・「大寒波 内陸部にも大雪が」
 【三重大学 立花義裕教授】
 「100年後というと大分先なので、『おれには関係ない』という人も多いでしょう。20年後は自分や自分の子供の事なので大事に考えるでしょう。温暖化でまず海面水温が上がります。ですから蒸発によって水蒸気がたくさん発生し、豪雨が増えます。すぐにでも起こることで、今も起こっています。台風も海面水温が上がるので、強くなります。また今年京都などで大雪が降りましたが、温暖化になっても寒波はたまに来て、水蒸気は増えているので雪が降りやすくなります。冬は豪雪、夏は豪雨、極端な気象となります。熱中症もありますが、風水害、雪害が起きることになります」
 恐ろしい事態を避けるために、我々にはどういうことが求められるのでしょうか?
 【三重大学 立花義裕教授】
 「やはり温暖化を防ぐことが大事です。二酸化炭素を増やさないような生活が最も大事です。私が実践しているのは“自転車”です。近い距離は車に乗らずに、自転車に乗ると。健康にもいいですし。そういう地道な活動に意味があると思います」
■視聴者から質問 Q四季の区別がなくなる→A“二季”になるかも
 ここで関西テレビ「newsランナー」視聴者からの質問です。
「Q.高温が続けば、四季の区別がなくなるのでは?」
 【三重大学 立花義裕教授】
 「夏が長くなっています。冬は寒波で、雪が降りやすくなっています。春と秋は減って、四季ではなく“二季”になってきますかね。非常に良くない、日本らしくないですね」
「Q.紫外線も強くなっていきますか?」
 【三重大学 立花義裕教授】
 「夏はけっこう湿っているので、それほど強くならないです。むしろ5月の紫外線が今よりもっと強くなります」
「Q.最近、冷夏ということを聞きませんが、今後冷夏は起きるのでしょうか?」
 【三重大学 立花義裕教授】
 「地球温暖化で、大陸の温度も上がっているので、冷夏の起こる確率は激減するでしょう。寒い夏への対策より、猛暑に対応した生活スタイルや作物を考え、地球温暖化に適応した生活をしないといけません。二酸化炭素を減らせられればいいのですが」
 【片平敦気象予報士
 「1993年の大冷夏がありましたが、それ以来大きな冷夏というのは聞かないですね。気候が全体的に変わっていると実感している人は多いと思います」
 皆さんが自分の事として考えていくことが大切になります。
 (関西テレビ「newsランナー」7月24日放送)
 関西テレビ
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 7月27日17:32 YAHOO!JAPANニュース ロイター「気候変動の影響がアジアで拡大、食料安保や生態系に影響=WMO
 7月27日、世界気象機関(WMO)は報告書で、気候変動の影響で干ばつや洪水など異常気象による災害がアジアで増えており、食料安全保障や生態系に影響を及ぼすと警告した。写真はパキスタン・セーワン地方の水害現場で2022年9月撮影(2023年 ロイター/Akhtar Soomro)
 [ジュネーブ 27日 ロイター] - 世界気象機関(WMO)は27日に公表した報告書で、気候変動の影響で干ばつや洪水など異常気象による災害がアジアで増えており、食料安全保障や生態系に影響を及ぼすと警告した。
 アジアは世界で最も災害の影響を受けている地域と指摘した。昨年は81件の気象・気候・水関連の災害が発生し、大半は洪水と暴風雨だった。
 これらの災害は5000万人以上に直接影響を与え、5000人以上の死者を出したという。
 パキスタンでは記録的な大雨や氷河の溶解による洪水で1500人以上が死亡した。中国は干ばつに見舞われ、電力や水の供給に影響が出た。
 また2022年は温暖で乾燥した環境によりアジアの高山地域で氷河が大量に失われたと指摘した。
 WMOのターラス事務局長は「将来の食料と水の安全保障、生態系に大きな影響を与える」と述べた。
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 7月27日20:19 YAHOO!JAPANニュース ニューズウィーク日本版「世界的熱波の原因は、南極で起きている「270万年に1度」の超特異現象?
 <既に後戻りできない臨界点を越えたと、多くの科学者が警告。人類規模の気候危機が私たちを襲う>
 ローマのスペイン階段、バルカッチャの泉で(7月17日) REUTERS/Guglielmo Mangiapane
 南極の海氷面積が平年よりも大幅に縮小し、「6シグマ」と呼ばれるレベルの異常事態が起きている。
 <動画>南極の穴に落としたカメラで地球の歴史を遡る
 6シグマは、統計的な発生確率が限りなくゼロに近いことを意味する。シグマは標準偏差、つまり平均からのズレを表す数値で、この値が大きいほど発生確率が低い特異的な現象ということになる。
 南半球の夏には南極の海氷が溶けて氷で覆われた海面の面積が縮小し、冬には再び海水が凍結して海氷面積が拡大する。6、7月は氷で覆われた面積が最も拡大する真冬の8月に向けて、再び海水が凍結し始める時期だが、今年は例年に比べて南極大陸の周りに漂う氷が非常に少なく、その面積は1991~2020年の平均から大きく外れている。
 引退した数学とコンピューター科学の教授であるエリオット・ジェイコブソンが、日本の国立極地研究所のデータを基に作成したチャートで、異常な逸脱が浮き彫りにした。
 ジェイコブソンはこのチャートをツイッターに投稿。気候ジャーナリストのジョン・ギボンズがこのチャートをシェアしてこうコメントした。
 「不安をあおるつもりはないが......南極では今、いわゆる6シグマ級のイベントが起きている。言い換えれば、750万年に1度レベルの特異事態が起きているということだ。要注意だ」
 観測史上最大の減少ペース
 その後、ジェイコブソンとギボンズツイッター上で議論し、計算をやり直して、最終的に「750万年に1度」ではなく、「およそ270万年に1度のレベル」という結論に落ち着いた。
 ギボンズのチャートの赤い線は2023年の初めから7月までの標準偏差を示している。南極の夏の終わりから冬にかけて偏差が広がり、7月時点で6シグマ級に達したことが分かる。
 実際、メーン大学気候変動研究所は7月19日、南極の海氷面積が昨年同時期に比べ約200万平方キロ縮小しているという分析結果を気候データサイト「クライメート・リアナライザー」で発表した。
 「ここ数年、南極周辺の海氷面積は急激に縮小している。南極では今まで、これほど急速な海氷の減少が観測されたことはなかった」と、気候科学者・プレゼンターのエラ・ギルバートはこの発表を受けて本誌に語った。
 「これが一時的な現象なのか、大きな変化の始まりなのかは、今の段階でははっきりしない。だが温暖化の進行に伴い、引き続き南極の海氷が減ることは予測できる」
上と下から温められて
 ギルバートによると、南極の海氷は、温暖化が進む大気と海水に「上と下から温められている状態」で、融解が進むことは容易に予測できても、「多くのファクターが複雑に絡んでいるため、これまではどの程度減少するか予測しづらかった」という。
 「それでも、人間の活動で気候が変わり続けている以上、南極の海氷も、北極のそれと同じ運命をたどることは避けられそうもない」
 今年に入って急速に減少が進んだメカニズムは不明だが、気温と海水温の上昇が重なったことが一因とみられる。
 「海氷システムは大気と海洋と切り離し難く結びついている」と、オーストラリア南極観測局で海氷の調査を行なっている物理学者のペトラ・ハイルはABCオーストラリアに語った。
 「調査海域のすぐそばか、はるか遠くかを問わず、様々な要素の、ほんの小さな変化が、海氷に影響を与える。今は大気にも海洋にも平年よりはるかに大きなエネルギーがたまっている。そのため当然、海氷の動きも変化するし、海氷に働く熱力学的なファクターも通常とは違ってくる」
 負の連鎖が始まる?
 NASAによると、南極大陸の氷床は年間約1500億トンのペースで融解しているという。
 元凶は人間の活動だと、ハイルは言い切る。「海氷に影響を与える海洋の温暖化と大気の激しい撹乱はおおむね人為的な要因によるものだ。今ではそれを認めない専門家はまずいない」
 南極の海氷は「アイス・アルベド・フィードバック」と呼ばれる現象を通じて、地球の気温を調節しており、世界の気候と生態系に非常に大きな影響を及ぼす。アルベドとは太陽光の反射率のこと。白い氷は太陽光を反射し、熱を大気圏外に放出して、温暖化を抑える効果があるが、氷が解けると、熱が吸収されて温度が上がり、氷の融解が加速され、負の連鎖が始まる。
 極地の海氷は、海生哺乳類やペンギンなど多くの生物種の生存に欠かせない。また、夏に海氷が解け、冬に再び凍結する季節的なサイクルは、世界の海流の循環を促し、栄養分に富んだ海水を世界中に行き渡らせて、海の生態系を支えている。海氷が減少の一途をたどれば、当然この働きも失われる。
 文明の存続も危うい
 さらに南極の氷床の融解が進めば、海面が上昇し、世界中の多くの地域(しかもその大半は貧しい国々)で、膨大な数の人々が生活の場を奪われる。
 南極の氷の融解はもはや「ポイント・オブ・ノーリターン(後戻りできない臨界点)」を過ぎ、どんな対策を取っても止められないと、多くの科学者はみている。
 「これまでとは異なる状況になるだろう」と、ハイルは予測する。「人間が地球上でこれまでのような生活を続けられる保証はない」
 温暖化の影響が現れるのは何十年も先のことで、自分たちの生活には関係がないと、人々は高を括っていたが、地球規模の危機に直面するのは「私たちの世代だ」と、ハイルは警告する。
 ジェス・トムソン
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 7月28日 MicrosoftStartニュース ハフポスト日本版「重要な海流が、今世紀中に停止する可能性。150年分のデータを基に科学者が分析
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 地球の水の循環に重要な役割を果たしている海流システムが、著しく減速もしくは停止する可能性があるとする研究が、学術誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
 崩壊の可能性が指摘されたのは、大西洋内で温かい水を北へ、冷たい水を南へと循環させる「大西洋子午面循環(AMOC)」と呼ばれる海流システムだ。
 AMOCは、地球のさまざまな地域に温かさをもたらすほか、海の生き物たちに必要な栄養分を運ぶ、世界の海の「ベルトコンベヤー」の一つとされる。
米国海洋大気庁(NOAA)によると、AMOCはもともと水の塊を約1000年かけて運ぶほどゆっくりとした速度で循環しているものの、さらに減速していることがわかっている。温暖化によりこれ以上動きが弱くなり続ければ、干ばつや海面上昇など大きな影響が出るとされている。
 今回調査をしたデンマークコペンハーゲン大学の2人の研究者は、AMOCの強度を予測するために、1870〜2020年までの150年分の海面の水温を分析。AMOCが不安定になっていることを示す「早期警戒信号」の統計モデルを作成した。
 その結果、温室効果ガスを削減するための劇的な措置が講じられなければ、AMOCが現在から2095年の間に、最も早い場合は2025年に停止するだろうと結論づけた。
 重要な海流が、今世紀中に停止する可能性。150年分のデータを基に科学者が分析
重要な海流が、今世紀中に停止する可能性。150年分のデータを基に科学者が分析
 © ハフポスト日本版
 冷たい海水と温かい海水を循環させ、世界の「ベルトコンベアー」の役割を果たしている海流
 AMOCの崩壊は、気候システムの「ティッピング・ポイント(一度超えてしまうと、再び元の状態に戻れない転換点)」の1つとされており、研究者らは論文で「AMOCの破綻は、北大西洋地域の気候に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と述べている。
 ちなみに、グリーンランド氷床や永久凍土層の融解、アマゾンの熱帯雨林の破壊などもティッピング・ポイントとされている。
 一方、国連気候変動政府間パネル(IPCC)は第6次評価報告書で、AMOCが今世紀中に完全に崩壊する可能性は低いとしており、今回の研究結果とは異なる見解を示している。
 また、ワシントンポストによると、AMOCが弱くなっていることは2004年から収集されているデータから明らかになっている一方で、短期間のデータを基に、今後数十年の海洋の変化を予測するのは難しいとされている。
 さらに、今回の調査に携わった研究者たちも、今回の分析で見過ごしたもしくは発見できなかったAMOCの変化に関連したメカニズムがあることは否定できないとしている。
 重要な海流が、今世紀中に停止する可能性。150年分のデータを基に科学者が分析
 © ハフポスト日本版
 大西洋に浮かぶアゾレス諸島
 それでも、ペンシルベニア大学気候科学者のマイケル・マン氏は、今回の調査結果にはいくつかの疑問が残るとしつつ、説得力がある内容で「研究者らは現実をよく理解していると思う」とAxiosに語っている。
 研究に携わったピーター・ディトレブセン氏は「非常に心配な結果です」とワシントンポストに述べた。
 「これは、私たちが(温室効果ガスの排出に対して)さらに強くブレーキを踏まなければいけないということを示しています」
 ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。
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 7月28日 MicrosoftStartニュース GIGAZINE「シベリアの永久凍土で4万6000年も眠っていた線虫が復活し繁殖、ゲノム解析で「新種」と判明
 シベリアの永久凍土で4万6000年も眠っていた線虫が復活し繁殖、ゲノム解析で「新種」と判明
 © GIGAZINE 提供
 シベリアの永久凍土で見つかった古代の線虫をよみがえらせる国際的な取り組みより、この線虫が以前考えられていたよりも古い約4万6000年前の時代から復活した新種であることがわかりました。この研究結果が確かであれば、クマムシなどが厳しい環境を生き延びるクリプトビオシスの最長記録が大きく塗り替えられることになります。 A novel nematode species from the Siberian permafrost shares adaptive mechanisms for cryptobiotic survival with C. elegans dauer larva | PLOS Genetics https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1010798 Ancient Worm Resurrected After 46,000 Years of Death-Defying Limbo : ScienceAlert https://www.sciencealert.com/ancient-worm-resurrected-after-46000-years-of-death-defying-limbo
 Scientists Resurrected an Extinct Animal Frozen for 46,000 Years in Siberia https://www.vice.com/en/article/n7e397/scientists-resurrected-an-extinct-animal-frozen-for-46000-years-in-siberia 46,000-Year-Old Worm Possibly Revived from Siberian Permafrost - Scientific American https://www.scientificamerican.com/article/46-000-year-old-worm-possibly-revived-from-siberian-permafrost/ 2018年に、シベリアの永久凍土で見つかった2種類の線虫が解凍され、息を吹き返しました。2種のうち、アラゼヤ川流域で見つかったものは4万2000年前の種だと推定され、コリマ川の下流で発見されたもう1種は約3万2000年前の線虫だと推測されました。 シベリアの永久凍土の中で4万年も凍りついていた虫が息を吹き返す - GIGAZINE
 シベリアの永久凍土で4万6000年も眠っていた線虫が復活し繁殖、ゲノム解析で「新種」と判明
 © GIGAZINE 提供
 今回の研究で、ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームが、コリマ川付近の永久凍土から復活した線虫を100世代以上繁殖させてからゲノム解析を行ったところ、新種だということがわかりました。研究チームは、線虫がPanagrolaimus属に属することと、コリマ(Kolyma)川で見つかったことから、新種の線虫をPanagrolaimus kolymaensisと名付けました。 研究チームによると、P. kolymaensisは単為生殖する種であるため、メスだけで繁殖できるとのこと。交尾する必要がないおかげで、温度と湿度を適切に保った状態で寒天培地の上に置いておけば単体で卵を産んで殖えますが、それでも遺伝子解析を行うために必要な2000~4000匹の線虫を繁殖させるのは簡単ではなかったそうです。 遺伝子解析ではまた、実験動物として広く用いられている線虫であるカエノラブディティス・エレガンスがクリプトビオシスに入るために使っている遺伝子を、P. kolymaensisも持っていることがわかりました。
 シベリアの永久凍土で4万6000年も眠っていた線虫が復活し繁殖、ゲノム解析で「新種」と判明
 © GIGAZINE 提供
 さらに、研究チームは線虫と同じ場所で採取された植物の放射性炭素年代測定結果から、線虫は3万2000年前ではなく4万6000年前から氷漬けになっていたことを明らかにしました。これまでクリプトビオシス状態から復活した最長記録は39年で、P. kolymaensisの記録はそれをはるかに上回ることになります。 2021年には、シベリアの永久凍土で見つかったワムシが2万4000年ぶりに息を吹き返しましたが、P. kolymaensisはこの記録をほぼダブルスコアで塗り替えました。 永久凍土から回収した微生物が2万4000年の時を経て復活 - GIGAZINE
 シベリアの永久凍土で4万6000年も眠っていた線虫が復活し繁殖、ゲノム解析で「新種」と判明
 © GIGAZINE 提供
 研究チームは今後、クリプトビオシスに関連する共通の遺伝子の役割や、線虫が冬眠状態で生存できる期間の上限について解明したいと考えています。 「これらの発見は、進化の過程を理解する上で重要な意味を持ちます。なぜなら、本来は数日で死ぬ線虫の世代が数千年に延びる可能性や、個体が長期にわたって生存することで一度は絶滅した系統が再び登場する可能性があるからです」と研究者らは論文に記しました。
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 7月28日7:32 YAHOO!JAPANニュース TBS NEWS DIG Powered by JNN「12万年で1番 命を脅かす猛暑 気温上昇がもたらす暑さより怖いもの…【報道1930】
 連日“危険な暑さ”が続いているが、世界ではそれ以上の“殺人的”熱波にさらされている地域も少なくない。カリフォルニア・デスバレーの摂氏56度を筆頭に、40度を超える気温が、イタリア、スペイン、メキシコ、新疆ウイグル自治区など世界各地で記録されている。ヨーロッパでは去年1年間に6万人が暑さで命を落とした。大規模な山火事も後を絶たない。カナダの山火事では、東北6県と関東7都県を足した面積に匹敵するほどの森林が焼失した。7月4日のワシントンポストはその日の暑さを“12万5000年間で一番暑い日”と表現した。世界気象機関は、これらは“異常気象”ではなく、今後“新たな日常”になるとして、それは地球温暖化と一致していると警鐘を鳴らした。この現象の延長線上にどんな未来があるのか?人はどう対処すべきなのか議論した。
 【写真を見る】12万年で1番 命を脅かす猛暑 気温上昇がもたらす暑さより怖いもの…【報道1930】
■気候変動が進めば環境、政治経済、社会の大混乱が起こる
 毎年“この夏は去年より暑い”と聞く。だが、東大未来ビジョン研究センターの江守教授は言う。
 東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多教授
 「大事なことは(今の暑さは)序の口に過ぎないということ。これからどんなに対策をしても世界平均気温は暫く上がっていく。これより暑い夏が来ることは間違いないということ。」
 さらに“今年が一番涼しい夏”だというのは、環境危機の解決策を示した「人新生の『資本論』」の著者、斎藤幸平氏だ。
 東京大学大学院 斎藤幸平 准教授
 「気候変動が進んでいくと、単に自然災害が起こるとか熱中症で亡くなるとかいう問題だけじゃなく、経済損失はもちろん、水不足、食糧危機、インフレが加速、飢餓や貧困がアフリカで増えていく。そうすると難民が増えて、それに対する排斥運動。更に資源争奪の紛争とか…。様々な右派ポピュリズムの台頭、つまり環境、政治経済、社会の大混乱がやってくる。」
 私たちの身の回りの暑さだけでも、その延長線上に想像もしていない大混乱が待っているというが、実は私たちの目に見えない所でも気温上昇は進み、深刻化問題が既に起きている。
 そこは北極圏だ。
■「ドミノ倒しのように連鎖し、地球の気候システムが崩壊。人間には止められなくなる」
 北極圏には長い年月、気温が0度以下であるため凍ったままの大地がある。永久凍土という。これが解け始めると凍土に閉じ込められていたメタンが放出され地球温暖化は加速度的に進むという。この永久凍土の面積を最も有するのはロシアだ。実は永久凍土の危機とウクライナ戦争が無関係ではないようだ。研究者に聞いた。
 ストックホルム大学 環境・気候学 オルヤン・グスタフソン教授
 「北極圏では世界平均の3倍から4倍の速さで平均気温が上昇している。(中略)ロシアの北極圏には広大な永久凍土がある。陸上や海底の永久凍土に貯蔵され温室効果ガスとして放出される可能性のある有機物の量は、地球大気中の二酸化炭素の約3倍、大気中のメタンの200倍にもなる。(中略)ロシアには世界で最も永久凍土の科学者が多い。膨大な知識がある。
 ロシアによるウクライナ戦争でロシア連邦に制裁をもたらし、国際レベルでの協力ができなくなった。その結果、北極圏の永久凍土から放出されるメタンを今後予測することに悪影響を及ぼしている」
 戦争による思わぬ弊害。さらにロシアの東シベリアでは森林火災が頻発している。そして森林火災が永久凍土の溶解を加速させていた。
 同じく北極圏を研究しているアラスカ大学の岩花剛准教授からロシアの研究員に送ってもらったという東シベリアの映像を見せてもらった。普段は凍っている永久凍土の上に水があふれていて、車で走ると波のようになっていた。水量が多いため、マイナス40度でも凍らない状態になっているという。
 アラスカ大学岩花剛准教授
 「永久凍土の研究を始めたころは生きているうちにこんな激しい変化がみられるとは全然思っていなかったですね。もっとゆっくりゆっくり少しだけ温度が上がるような研究だなと思っていたんですが最近はダイナミックに地形が変化したり洪水が起こったりとか、ちょっと個人的には予測しなかったことが起こり始めているなという気がします」
そして永久凍土が解けてメタンが放出される。こうした現象がある時期を越えると地球温暖化が暴走を始めるという。それを「臨界点(ティッピングポイント)」という。
 東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多教授
 「臨界点を越えるとそれがドミノ倒しのように連鎖し、地球の気候システムが崩壊。人間には止められなくなる。+4℃くらいまで温暖化が進んでしまう仮説も…。(中略)温暖化の影響っていうのはジワジワと上がっていくんじゃなくって、ある時点で急激に立ち上がる。そこがティッピングポイントで、永久凍土だったら、解け始めるとメタンが出てきて、メタンが出てくると温暖化が進んで、さらに凍土が溶け出して…、悪循環が始まる。そいう悪循環が始まる要素は地球のシステムの中にたくさんある。グリーンランドの氷がティッピングするとか、南極の西側の氷がティッピングするとか…。そうすると海面が上昇するとか、海流が変化するとか…。これらが連鎖する恐れがある。」
 悪循環を始めた自然現象が連鎖した時にはもう人間が何か対処しようとしても後の祭りだと江守教授は言う。ただし、+4℃まで上昇するというのは何百年かけて動くもので今すぐ急にどうこうという話ではないという。しかし、手をこまねいているわけにはいかない。現在の私たちにはどんな選択肢があるのだろう…。
■「気候変動対策と同時に“脱成長”が必要」
 人間には止められなくなる前に、何ができるのか…。地球温暖化の速度を緩めるためには温室効果ガスの削減。そのための第一歩が化石燃料の廃止だった。今年5月の広島サミットでも石炭火力の全廃時期が議論されたが、日本の反対で先送りとなった。日本は温暖化に対しどのようなスタンスなのだろうか。自民党の環境・温暖化対策調査会長を務める井上議員に聞いた。
 元環境副大臣 井上信治 自民党幹事長代理
 「政府も勝負の10年間だと思っていて、GX法案を2つ成立させた。150兆円という投資を促し、国費も20兆入れる。制度もいろいろ用意している。やってはいるが、事態の進行は想像していた以上に進んでる。法律は作ったがそれに甘んじることなくやらないと止められなくなってからでは遅い」
 しかし、日本は再生可能エネルギーへの転換は遅れている上に、石炭を中心にした政策も戦争以前からのことだ。それに対し井上議員は日本の石炭火力の技術の高さや今後の水素やアンモニア混晶によって石炭比率を下げる計画などを力説した。政治の責任として経済的側面と環境面の両立は避けて通れないという。
 元環境副大臣 井上信治 自民党幹事長代理
 「石炭火力全廃をなるべく早く実現すべきと私も思います。ただ他方でそれには手順が必要で…。とりわけウクライナ戦争で世界のエネルギー情勢も変わっています。ロシアの石油や天然ガスが使えなくなってしまって…。暫定的に石炭火力ということに…(中略)端的に言って、エネルギーと環境っていうのは裏表になってしまう。どうしても環境に関心のある議員はエネルギー(産業界)に関心がある議員より少なかったり…。時代が進んでカーボンニュートラル宣言から意識は変わりつつあるが、与党の国会議員がもっと関心を持って対策を打ち出す必要があると思う」
 これに対し斎藤淳教授は…
 東京大学大学院 斎藤幸平 准教授
 「正直GX推進法はグリーンウオッシュ(環境配慮をしているような見せかけ)だと思っている。石炭火力を使いながら、アンモニア混晶でごまかそうとしてる。アンモニアを作る過程でハーバー・ボッシュ法化石燃料使いますし、実際のCO2削減量はそれほどではない。またCO2を回収貯蔵するってCCSって技術があるって言うんですがほとんど実用化に達していない。夢の技術に過度な期待をかけている。(中略)炭素税は2028年までやらないって言うし…。自民党に危機感が共有できてるのは不安…」
 と、成立したGX推進法を非難とした上で、“成長を止める”のは勇気が必要だという持論を展開した。
 東京大学大学院 斎藤幸平 准教授
 「日本は非常に資本主義的な国。地球をどう守っていくかという意識が希薄。気候変動対策と同時に“脱成長”が必要。資本主義の大量生産大量消費が地球を破壊している。まぁ再生可能エネルギーと電気自動車。二酸化炭素は吸収して・・・。それで経済は発展して、脱炭素も進んでっていうけれどそんな簡単な話か。歴史的に見ると、経済成長と資源エネルギーの増大は極めて密接に連関して増え続けてきてる。これを急にあと10年20年で経済を成長させながら、二酸化炭素の排出は抑えるってかなり難しい。(中略)私は、省エネ、再エネや炭素税とかも大事ですけど、短距離飛行機の廃止フランスでは既に始まってますが、クルーズ船やプライベートジェット禁止とか、牛肉とかスポーツカーにはもっと重い税金をかけるとか・・・。それを低所得者の補償に使うなど大胆なことをしないとダメでしょうね」
 (BS-TBS 『報道1930』7月25日放送より)
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 7月28日11:34 YAHOO!JAPANニュース AFP=時事「国連総長、「地球灼熱化」時代到来と警告
 熱波に見舞われたアルジェリアのアルジェ(2023年7月18日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
 【AFP=時事】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は27日、今年7月が観測史上最も暑い月となる見通しとなったことは、地球温暖化の時代から「地球灼熱(しゃくねつ)化の時代」に入ったことを示していると警告し、気候変動への抜本的な対策を早急に講じるよう訴えた。
 【写真】ガラパゴスのウミイグアナに迫るエルニーニョの脅威
 米ニューヨークで演説したグテレス氏は、北半球全体の猛暑を「過酷な夏」「地球全体にとっての大惨事」と表現。「今後数日のうちにミニ氷河期が訪れない限り、2023年7月はあまねく記録を塗り替えるだろう」と述べた。
 また、「気候変動が起きている。非常に恐ろしく、しかも始まりにすぎない。地球温暖化の時代は終わり、地球灼熱化の時代が来た」と警告。気候変動の極めて甚大な影響は、科学者が「予測し、繰り返し警告してきた」通りだが、「唯一驚くべき点は変化の速さだ」と指摘した。
 さらに、「悲劇的な」結果になる前に、再び化石燃料業界を中心に迅速かつ広範囲な対策が必要だと改めて強調した。【翻訳編集】 AFPBB News
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 7月28日14:00 YAHOO!JAPANニュース Forbes JAPAN「迫り来る「6回目の生物大量絶滅」は当初の予測よりも深刻である可能性
 現在、地球上の動物種の半数以上が減少しているが、過去の大量絶滅とは異なり、今回はすべて人類が原因であると論文は主張している。
 悲しいことに、現在進行中の世界的大量絶滅は、当初予測されていた以上に深刻であると最近の研究は指摘している。国際的科学者チームは、全世界の動物種(哺乳類、鳥類、両生類、魚類および昆虫類)7万1000以上の個体数推移を調べ、観測開始以来どのように変化してきたかを分析した結果、上記の結論に至った。
 一般に、種が置き換わるよりもずっと早く消失している場合、大量絶滅が起きていると科学者は認識する。自然史博物館によると、通常、大量絶滅事象とは全世界の生物種の約75%が、短期間の地質学時代(280万年以内)に失われることであると定義されている。
 現在の絶滅率は背景絶滅率より1000~1万倍高いことが、過去の研究によって立証されており、地球上の生命が6度目の大量絶滅に突入したと主張する科学者もいる。しかし、過去5回の大量絶滅と比べて特徴的なのは、これがただ1つの種である人類の行動の結果起きている初めての大量絶滅であるということだ。
 人類のさまざまな破壊的行動が全世界で起きており、特に殺虫剤、除草剤その他にも化学薬品の広範囲にわたる使用による生息地の喪失、断片化および劣悪化、 さらには増加の一途をたどる気候変動によって深刻化する侵襲的外来種の影響によって、多くの種の個体数が減少している。
 伝統的に、ある生物種の「保全状況」は、国際自然保護連合(IUCN)が発行する評価に基づいている。15万300種以上の個体数および絶滅リスクがIUCNによって評価された結果、28%が絶滅の危機に直面していると考えられ、約1%が絶滅種であると宣言されている。しかし著者らは、絶滅の前には、漸進的な個体数減少が起こり、差し迫る絶滅を警告する個体数の動態的「フットプリント(足跡)」が残されていると主張する。そしてこの個体数減少の推移こそが、研究チームが分析した対象だ。
 チームの分析によると、49%の種は個体数が安定しているが、48%は個体数が減少しており、個体数が増加している種はわずか3%だった。さらにチームは、IUCNのレッドリストで現在「軽度懸念」に分類されている生物種の33%が、実際には絶滅傾向にあるという証拠を見つけた。
 さらに研究チームは、分類学上の特定の綱(こう)の動物が、他の綱と比べて、より深刻な脅威に直面していることも明らかにした。たとえば、両生類は動物のあらゆる綱の中で個体数が最も減少している。地理的要因も重要だ。熱帯に生息する動物は、温帯地域の種と比べて減少率が高く、おそらくそれは熱帯種が変化に敏感な傾向にあるためだろう。
 大規模な生物多様性喪失の理由は明白
 「総合的に見て、私たちの発見は生物多様性が絶滅危機の間際にあるという警告を強化するものです」と著者らは指摘し、生態系全体が崩壊している現状を踏まえると、この絶滅事象は過去の研究が示唆していたものよりはるかに深刻であることを強調した。
 「この危機が生態学的、生態系的に広大な影響をおよぼすことは、個体の減少およびその結果起きる群衆の構成における変化が、生態学的機能に強く影響することを考えれば明らかです」
 さらに研究チームは、IUCNのレッドリストのみに依存することは、生物多様性の喪失を過小評価するリスクをともなうことも指摘した。とりわけ本研究では、絶滅の危険がないと分類されている種の33%で、実際には個体数が減少していたことを発見した。たとえば、鳥類種はわずか13%がIUCNによって絶滅危惧種であると考えられているが、著者らは53%の種で個体数が減少していることを明らかにしている。
 それにも関わらず、IUCN分類は今も自然保護科学者にとって「優れた情報源」であるとされているが、本研究の方法は、差し迫る生物多様性の喪失に関する新たな情報を提供するものだ。IUCNのデータと本研究の発見を組み合わせることによって、現在、何がなぜ起きているかを適切な厳密性をもって示すことができるだろう。
 迫りくる大規模な生物多様性喪失の理由は明白だ。人間の活動が絶滅の唯一の原因であることは否定できない。人間が土地、水、エネルギーを持続不可能な方法で使用し、さらには暴走する気候変動を引き起こしているためだ。現在、地球の陸地全体の40%が、増加する人口を維持するための食糧生産のみの目的で改造されている。農業だけで世界の森林破壊の90%、淡水消費の70%を占めており、そこに生息している種を絶滅へと追いやっている。
 「さらに悪いことに、食糧の持続不可能な生産と消費は、温室効果ガス排出の明らかな原因であり、大気温度を上昇させ、地球全体に大きな被害をもたらしています」と著者らは述べている。「気候危機は深刻な干ばつから頻繁な暴風雨までさまざまな被害を起こしています。さらに、気候変動は食糧生産に関連する課題を悪化させて動物種にストレスを与えるとともに、生物の生息地を荒廃させています。干ばつや洪水の増加は、一部の地域で収穫を維持して十分な食糧を生産することを不可能にしています。食料システムと気候変動と生物多様性の相互に絡み合った関係は、私たちの地球に計り知れない圧力をかけているのです」
 出典:Catherine Finn, Florencia Grattarola, and Daniel Pincheira-Donoso (2023). Review: More losers than winners: investigating Anthropocene defaunation through the diversity of population trends, Biological Reviews | doi:10.1111/brv.12974
 GrrlScientist
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 7月28日 MicrosoftStartニュース Forbes JAPAN「地球温暖化が進めば、いつ地球に住めなくなるのか?
 https://images.forbesjapan.com/media/article/64863/images/main_image_6be8947306e4cf2bdbe2705eef67989ae7d6be87.jpg 地球温暖化が問題になっていることは広く知られているが、実際にどれほど深刻な状態なのかを理解している人は少ない。
 2020年に東京大学などが行った国際会議「東京フォーラム」では、「私たちが地球を守るために残された猶予は残り10年しかない」と専門家が警鐘を鳴らした。
 このまま温暖化が進むとすれば、いつ地球に住めなくなってしまうのだろうか。
 20億人が強制移住!?
 ジャーナル誌『Nature Sustainability』で発表された論文によると、現在住んでいる場所に住めなくなる人は2100年までに約20億人にのぼると予想されている。実は、気候変動により、すでに6億人以上がかつて住んでいた地域に住めなくなっている。
 2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で策定されたパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて「1.5度」に抑えることが努力目標として掲げられた。これを達成できれば、どのような世界が待っているのだろうか。
 パリ協定の目標を達成すると?
 地球温暖化が進めば、いつ地球に住めなくなるのか?
 © Forbes JAPAN 提供
 東京大学の記事によると、パリ協定の目標である「1.5度」に温度上昇を抑えることができれば、前例のない暑さにさらされる人口は最大で5分の1まで減少する。しかし裏を返せば、目標の1.5度まで温度上昇を抑えたとしても、約4億人が強制移住になる可能性があるということになる。
 特に熱帯地方では気温がすでに高いため、温暖化によるさらなる気温上昇によって、住めなくなったり、感染症精神疾患が増加したりするだろう。
 最悪の場合、日本は熱帯に
 東洋経済オンラインの記事によると、最悪の場合、日本は2100年には熱帯化する。夏の東京では昼間に40度を超えることが当たり前となり、夜もほとんど30度を下回らなくなると言われている。
 関連するビデオ: 「地球沸騰の時代が来た」 国連事務総長、劇的で迅速な気候対策求める(字幕・28日) (Reuters)
 日本人の主食であるお米は栽培できなくなり、関東や近畿で熱帯の果物であるバナナやパイナップルの栽培が適するようになる。
 食料にも大きな影響が...
 地球温暖化が進めば、いつ地球に住めなくなるのか?
 © Forbes JAPAN 提供
 このまま温暖化が進んでいくと、異常気象が頻発するようになり、食料危機が発生するリスクが高まる。食料不足になれば、食べ物を奪い合うために戦争が起こる恐れもある。
特にアフリカでは、最大で耕作地の90%がダメージを受け、1人あたりの食料は15%減少すると予想されている。
 水がより希少なものに
 1995年、世界銀行環境担当副総裁は「21世紀は水をめぐって戦われるだろう」と警告した。
 食料不足も深刻だが、水不足はそれ以上に深刻な問題になるかもしれない。すでにアフリカでは、気候変動により2億5000万人が水不足に直面している。
 アジアでも水不足のリスクが高まっており、世界で利用できる水の量は現在の3分の2まで減少する見込みだ。
 私たちにできること
 地球温暖化が進めば、いつ地球に住めなくなるのか?
 © Forbes JAPAN 提供
 私たちにできることは、マイボトルを使ってペットボトルを買わないようにしたり、カーボンニュートラルな商品を積極的に選ぶようにしたり、あきらめずに小さなエコからコツコツと取り組むことだ。
 世の中には「2100年の話だから私には関係ない」と考えている方が多いかもしれないが、私たちひとりひとりの今の行動が未来をつくる。
 美しい地球を守っていくために、無理なく、楽しみながら、できる範囲で取り組んでいこう。
 【参考】
東京大学
 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00199.html
 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00218.html
・Nature Sustainability
 https://www.nature.com/articles/s41893-023-01132-6
東洋経済オンライン
 https://toyokeizai.net/articles/-/410663?page=2
 ※この記事は、2023年6月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。
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