⚡22】─2・C─現代の再生可能エネルギーは将来の自然破壊と有毒物質公害。~No.107 

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 2023年7月4日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本人が知らない“外国産”のソーラーパネルの「本当の危険性」とグリーン化の罠 公害を防ぐために
 平野 秀樹
 再エネは圧倒的な「善」として、国を挙げて加速させようというプランが進む。ソーラー発電や風力発電に異を唱える者は少ない。しかし、再エネ礼賛には抜け落ちている視点がある。環境的な側面だ。平野秀樹氏の著書『サイレント国土買収』(角川新書)から一部抜粋し、グリーン化がもたらす避けられない環境問題と外資依存の怖さについて考える。
 日本人が知らない“外国産”のソーラーパネルの「本当の危険性」とグリーン化の罠 公害を防ぐために
 © 現代ビジネス
 総務省の警告
 メガソーラーについては、景観や反射光、土砂災害の問題が発生していて、拙書でも一部紹介しているが、パネルの破損等にともなう土壌や水質の汚染、有害物質の下流域への流出も大きな懸念材料だ。
 FIT制度(政府による再生可能エネルギーの固定価格買取制度)による電力の固定価格買取の終了で2030年代になると、市場価に近い価格でしか売れなくなるから、撤退する事業者が多数出てくるだろうし、ソーラーパネルの寿命は20〜30年だ。以後は用をなさなくなる。
 © 現代ビジネス
 そうなると、膨大な産業廃棄物が30年代後半から出てくる。これは燃やして終わりという種類のゴミではない。正真正銘の産業廃棄物だ。実際、総務省は実態調査を行い、環境省経産省に対し、次のような勧告を出している。
 太陽光パネルには、有害物質(鉛、セレン等)が使用されている。パネルの溶出試験の結果、基準を上回る有害物質(セレン)が検出された。2030年代半ば頃から使用済パネルが急増する(15年:約2400トン→40年:約80万トン)。使用済パネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築に向け、法整備も含め検討すること。
 (17年9月8日抜粋、総務省
 これを受け、経産省は次の見解を公表した。
 太陽光パネルには、種類によって、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物資が含まれている。パネルメーカーが積極的に情報開示をしていないケースもある。使用済太陽光パネルの大量廃棄のピーク時には、産業廃棄物の最終処分量の6%となる試算もあり、一時的に最終処分場がひっ迫する懸念がある。
 (18年7月24日抜粋、経産省
 短くいうと、「太陽光パネルには有害物質が含まれている。今後、大量廃棄のピークを迎え、処分場は満杯になってしまう。法整備を含め検討すべき」というのが総務省の勧告で、経産省は「指摘された事実を是認する」と返している。
 しかし、太陽光パネルについてこんなネガティブな話を聞いていた国民はどれくらいいただろう。
 導入時、このような話は情報として広く公開されず、話題にもならなかった。
 今もそうだが、太陽光発電は脱炭素で環境にやさしいグリーンエネルギーだと、メリットばかりが、喧伝されてきた。今もマイナス面は報道されることはほとんどなく、2022年には東京都では新築の戸建て住宅にソーラーパネルの設置が義務付けられることにまでなった。
 数々の汚染物質があることや、処分しきれず拡散していく可能性があるという問題は、後出しで棚上げされたままだ。
 廃棄物処理法等の規定によると、太陽光パネルは、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、廃プラスチック類の扱いに区分される。
 しかも、特別管理産業廃棄物(鉛、セレン、カドミウムなど)を含んでおり、これらは規則上、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する」産業廃棄物とされていることから、浸出水処理施設が必要な「管理型処分場」で埋め立てなければならず、処理費は高額になる。
 すでに山岳、農地、ゴルフ場跡地などに、メガソーラーなら一か所あたり何十万枚、列島全域だと何億枚ものパネルを並べてしまったが、これらは10年後あたりから大量の産業廃棄物となる。パネル廃棄のピーク時の39年には約78万トンとなり、全国処分場の6%をこれらソーラー関連廃棄物が占めるという試算(環境省、16年)もある。そのとき、果たして想定どおりの処分ができるかどうか。満杯になったから処理できなくなったというのでは困る。
 30年代後半、もし運営していた法人と連絡がとれなくなり、ソーラーパネルの現場放置が増えていくとすると、どうなるか。水は高いところから低いところへ流れるから、ソーラーパネル下流域にある河川、水田、畑は破損したパネルから流出する有害物質で汚染される。
 そうなると当然、植物も動物も影響を受ける。
 タイムラグがあり、程度は不明だが、鉛、セレン、カドミウムを体内に取り込んでしまうだろう。汚染された植物や動物を完全に除外し区分することはできないから、メガソーラーの下流域では水田も畑も耕作には適さなくなり、水も飲めなくなるおそれがある。
 公害――。
 昭和の時代に一度経験した過ちを、再び私たちは令和の時代になってもやらかしてしまうのか。
 なお、改正再エネ特措法により、2022年4月以降は廃棄費用はきちんと用意されるので、「廃棄についての心配は当たりません」と考える人もいるかもしれない。しかし、蛇の道は蛇だと私は考える。
 官をよく知る知恵者はきっと抜け道を指南するだろう。発電効率の低下や訴訟リスクを秤はかりにかけた上で、一般的な源泉徴収方式(廃棄費用を天引きされる方式)を受け入れつつも、20年という満期まで待たず、転売したり、時機を見て解散する者も出てくるはずだ。合同会社の出資者構成を変え、別の業態へ組み替えていく。
 また後々、放置した現場で面倒な問題が発生し、住民から訴えられることを見越し、計画的に事業会社(合同会社)を倒産させたり、別会社に転売したりすることも出てくるはずだ。こうした転売先に国外(外資)も含まれる。糸の切れた凧のようになった所在不明の事業者は、当然ながら火災保険にも、地震保険にも入ることはないだろう。
 海外製パネルの毒性は「企業秘密」
 日本国内に設置されるソーラーパネルの生産地は、大半(8割)が外国産で、そういった外国製のパネルの中には日本国内で禁じられているカドミウム等が使用されているケースがある。
 さらに、ソーラーの海外製造業者は自らの製品について、秘密を明かさない。
 前掲した総務省の実態調査による勧告は、興味深い内容を伝えている。
 製造業者に有害物質に関する情報を照会したことがある5事業者(2排出事業者、3産業廃棄物処理業者)の状況をみると、国内の製造業者から有害物質に関する情報を得られた例(3事業者)がある一方で、海外の製造業者からは、企業秘密などを理由に有害物質に関する情報の提供を断られた例(2事業者)がみられた。
 (17年9月8日、総務省
 どれだけの毒がソーラーパネルの中に入っているか。この問いに対し、海外の製造業者の場合は「答えない」のである。答えない理由を問うと、「企業秘密である」と回答したと、総務省は公表している。
 企業の社会的責任やコンプライアンスという問題に対し、対話する姿勢がない。ソーラーパネルの海外製造業者には、そういう企業が交じっている。
 つまり、パネルにどのような有害物質が含まれているかわからない。そんなソーラーパネルが山一面、また広大な平地に敷き詰められていることになる。この事実は、現状としてかなり深刻だ。しかし、日本政府はなぜかそれを停止させず、コントロールできなくなっている。
 このようなことが続くなら、今後、環境省経産省で「家電リサイクル法」や「自動車リサイクル法」と同系の廃物処理制度を導入したとしても、前途は非常に険しい。
 世界の太陽光パネル(モジュール)の生産能力については世界市場シェアの74.7%(21年)が中国であり、その原材料となるポリシリコンの世界シェアについては約45%(20年)がウイグル地区である。これらは強制労働によってもたらされたウイグル人の涙の産物である。
 こうした海外製造業者に協力を求めても、実行は不可能だろう。新しん疆きようウイグル自治区で生産されている製品ならなおさらで、製造業者は貝となって口をつぐむのではないか。
 30年代以降の日本を占ってみると、暗い。
 採算性の面で、発電を続けられなくなったソーラーパネルは放置され、流れ出す有害物質は下流域に広く及び、将来にわたって使えない死蔵国土(Abandoned land)が、全国の流域で広がっていく。せっかくの日本の原生自然、美しい日本が汚染されてしまう。自然界の植生遷移により、パネルはしだいに蔓や樹木によって覆われ、森の中に隠れていく。さしずめマヤ遺跡のような廃墟になり、何十年経っても朽ちながら汚染物質をたれ流すパネルは残り続けるだろう。
 ただ全てのパネルは隠れない。一部は太陽光を受け、発電し続ける。
 もし誤って入林したなら、感電するおそれがあり危険である。有害物質も排出する。危険なゾーンとして、軀体(くたい)撤去や土壌改良が必要となる。改正再エネ特措法(2022年)によって積み立てられる廃棄費用で足りるだろうか。漂流船体の処理と同じで、最後は地元自治体が高額な処分費を泣く泣く自腹で支払うことになりかねない。その時、自治体に、また国に財力はあるのだろうか。
 このように再エネ発電は、環境にやさしいとされ、もてはやされているが、冷静に考えれば問題が少なくない。化石燃料やウランは確かに使わないけれど、発電そのものはソーラーパネルや巨大風車など、大量の設備を必要とする装置型発電で、年々劣化していく各種設備は必ず更新しなければならない。
 ソーラーパネルやその架台などの設備原料には大量のガラス、鉄、プラスチック、コンクリート、そして前述のとおり、有害な金属部品(鉛、セレン、カドミウム等)が使用されている。
 パネル部材の生産現場やその原材料であるレアメタルの採掘現場では、環境安全基準を無視して採掘していくから安価に調達できている。つまり自然環境や人体保健に配意しないから、安く済んでいる。
 輸入パネルを見ているだけでは想像できないが、そういった原材料を確保するには、鉱物の採掘・精錬に伴う原産地での環境汚染(土壌・水質・大気)も避けられない。
 パネル材料のポリシリコンについていえば、本項で記したとおり、世界シェアの約45%が新疆ウイグル地区だが、そういった現場の実態は決して報道されない。ウイグルでの人権侵害を無視した生産物は、「綿花」や「トマト」だけではないのだ。
 日本国内の太陽光導入容量(IEA、20年末実績)はすでに中国、米国に続いて世界第3位。平地面積当たりの導入量はドイツの2倍で、世界一である。それでもまだ足りないのだろうか。地球と自然にやさしいからと、さらなる再エネ導入が求められている。
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