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2022年4月18日 MicrosoftNews VAGUE「トヨタだけじゃない! EV化時代に実はこっそり水素燃料電池発電機を開発しているメーカーとは
古賀貴司(自動車王国)
発電機+水素の組み合わせはかなり有望?
内燃式エンジンの高効率化を図ったり、内燃式エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドを投入してきたり、自動車の動力源は高出力・低燃費化において日進月歩してきた。しかし、「脱炭素」という大義名分の元に内燃式エンジンを捨てて、いっきに電気自動車化を推し進めようという風潮が漂っている。
つまりは、自動車は大きなパラダイムシフトを迎えようとしている。
【画像】全ては水素の製造方法確立にかかっている? 「各社が模索する水素エネルギー」を見る(11枚)
(C)トヨタ自動車© VAGUE 提供 燃料電池車であるMIRAIを販売しているトヨタは、水素を重要視する数少ないメーカーのひとつだ(C)トヨタ自動車
●水素燃料電池の開発はGMでもおこなわれている
トヨタは「全方位網」という言葉を明確に使っており、電気自動車の開発はしながらもプラグインハイブリッド車、燃料電池車、水素エンジンなど、非EVによる脱炭素開発にも注力する、としている。脱炭素への道のりは電気自動車だけではない、というのはトヨタの意地でもあり、各国において電力供給網の事情が異なるという点もある。なかでもトヨタが重要視しているのは水素を用いた燃料電池や内燃式エンジンの開発だ。
自動車メーカーの多くは電気自動車へのシフトを明確に打ち出してはいるものの、水素燃料電池の開発も実は余念がない。GMは、アメリカ・ユタ州の「リニューアブル・ソリューション社」と共同で水素燃料電池を用いた発電機の生産を開始する。
発電機は建設現場、災害復旧や計画停電エリアなどでの用途を目論んでいる。既存のガスやディーゼルで稼働するものよりも圧倒的にクリーンで、静粛性が高いのでコンサート会場での需要も高い。また、来るEV時代のモバイル充電ステーションとしての活用も見込んでいる。
複数のサイズで提供することを計画しており60kWから600kWの範囲の電力を出力するという。販売当初は商用および軍用として販売されるが、将来的には一般家庭向けのものを投入する予定だ。
どうしても気になってしまう水素の供給インフラについてだが、GMの水素燃料電池部門「ハイドロテック」でエグゼクティブ・ディレクターを務めるチャーリー・フリース氏は、「水素の需要が高まるにつれ、課題は解決されると思う」と意外なほどに楽観的だ。
ホンダはクルマは諦めても発電機は諦めていなかった!?
なおトヨタでは、2019年9月から本社工場内で定格出力100kWの水素燃料電池発電機を実証運転中だ。2020年からは総合化学メーカーである株式会社トクヤマが、苛性ソーダを製造する時に副次的に発生する副生水素を、燃料電池発電機の燃料として活用する実証実験もおこなっている。
(C)Honda USA© VAGUE 提供 2016年に販売されたホンダ「クラリティ フューエル セル」。ホンダが2000年代から開発を続けていた燃料電池技術の集大成であるが、日本では2021年9月に販売が終了した(C)Honda USA
●水素燃料電池発電機でエネルギー革命が起きる!?
ほかの自動車メーカーはというと、水素燃料電池車の開発を諦めたと噂されるホンダが、2023年はじめから水素燃料電池発電機の実証実験を開始する。しかも、生産を中止したホンダ「クラリティ」(水素燃料電池車)の部品を流用して発電機に仕上げるという。カリフォルニア州トーランスに構える北米本社ならびにデータセンターの非常用電源として、水素燃料電池発電機が用いられる予定になっている。
水素燃料電池については、自動車メーカーごとにトップによる“ポジショントーク”が散見される昨今。「水素なんて馬鹿げている」とまで公言する自動車メーカーのトップもいるくらいだが、水素燃料電池発電機は自動車に限らず活用できる場面は幅広いのではないか、と思わせてくれる話だ。
水素ステーションのインフラ整備にとどまらず、水素の生成方法についても技術革新が起れば原油や天然ガスなどのエネルギー呪縛から解放される……。そんな日がいつか来るのかもしれない。」
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