🌌19}─3─欧州で原発回帰論が広がる。理由はグリーンな再生エネ発電で電力不足。~No.86 

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 2021年12月31日 MicrosoftNews 毎日新聞「なぜ欧州で「原発回帰論」が広がっているのか 再エネ大国にも異変
 © 毎日新聞 提供 原発の使用済み核燃料から再処理されたウランの輸送に反発する環境NGOグリーンピースの活動家=フランス南部ピエールラットで2021年11月16日、AP
 気候変動対策の重要性が高まる中、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない電源として原発の活用を求める声が欧州で広がっている。世界を震撼(しんかん)させた2011年の東京電力福島第1原発事故は欧州の世論にも大きな影響を与えたが、再び原発回帰に向かう背景に何があるのか。
 原発は脱炭素電源
 「これがフランスのメッセージだ」。フランスのマクロン大統領は21年11月9日のテレビ演説で原発の新規建設に着手すると表明した。英国で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を念頭に、脱炭素社会の実現に原発が欠かせないとの認識を世界にアピールした。
 フランスは国内発電量の7割を原発に依存する原発大国。福島第1原発事故を受け、当時のオランド大統領は依存率を5割に下げる「縮原発」を打ち出し、マクロン氏もその方針を引き継いできた。目標とする「50年に温室効果ガス排出実質ゼロ」を達成するために原発が不可欠だと訴えたマクロン氏の演説は、その「縮原発」路線を事実上、軌道修正したものだ。
 COP26の議長国を務め、脱炭素の議論をリードしてきた英国も原発を脱炭素電源と位置づける。ジョンソン首相は10月、脱炭素に向けて昨20年に打ち出した「グリーン産業革命」の具体的な戦略を発表。その中で原発を推進していく姿勢を明確にした。
 再生エネ不発、記録的な石炭火力発電
 欧州は21年、風が例年よりも弱いことが原因で「夏季の発電量は想定の3割減」(英風力発電会社)となり、再生可能エネルギーによる発電が不調となった。新型コロナウイルス禍からの経済回復によるエネルギー需要の増加も加わり、火力発電の比率が急増。欧州の天然ガス価格指標「オランダTTF」は年初比約5倍という記録的な高値で推移している。
 国際エネルギー機関(IEA)が12月17日に発表した報告書によると、石炭火力による世界全体の21年の発電量は前年比9%増の1万350テラワット時(テラは1兆)となり、18年を上回って過去最高になる見通しだ。COP26で石炭火力の削減に向けて努力することで各国が合意した直後とあり、IEAのビロル事務局長は「実質ゼロへの軌道から、いかにかけ離れているか。憂慮すべき兆候だ」と不満を表明した。石炭火力発電が多い国として報告書が指摘したのは、中国、インド、米国、そして欧州だ。
 再エネ大国・ドイツにも異変
 英仏が原発回帰を急ぐ背景にあるのは、脱炭素電源という理由だけではない。化石燃料の大半を域外から輸入する欧州にとって、その価格高騰はガソリン価格や電気料金の上昇を通じて市民生活に打撃をもたらす。欧州連合EU)内の21年上半期の家庭用電気代(1キロワット時)は加盟27カ国平均で前年同期比2・7%増の0・219ユーロ(約29円)。域内で最も高いのはドイツで、前年同期比4・9%増の0・319ユーロ(約42円)となった。
 「脱原発」の国で知られるそのドイツにも異変が生じている。
 メルケル前政権は11年の福島第1原発事故を受け、前年に決めた原発の稼働延長を撤回し、「脱原発」方針を表明。国内の原発を22年末までに全て停止することを決めた。その後、国内の電源構成は大きく変化し、19年には風力や太陽光など再生可能エネルギーによる発電が総発電量の46%を占め、石炭やガスなどの化石燃料を逆転。「再生エネ大国」の名をほしいままにしてきた。
 12月8日に発足したショルツ新政権も脱原発路線を支持するものの、化石燃料の価格急騰に伴い、国内世論には変化の兆しが出ている。福島第1原発事故直後の11年4月に独公共放送ARDが公表した調査では、9割近くが20年ごろかそれ以前の脱原発を支持していた。しかし、ビルト紙が21年10月20日に公表した世論調査では、予定通り22年末までの脱原発に賛成が43%だったのに対し、同じ43%が「もっと遅くすべきだ」と回答した。
 切り札はSMR
 原発推進にかじを切る各国にとっての切り札は、出力が小さく安全性も高いとされる次世代の小型モジュール炉(SMR)だ。英国ではSMRなどの開発に基金を設けて3億8000万ポンド(約580億円)を支援してきたが、新たに1億2000万ポンドを追加する。クワーテング民間企業・エネルギー・産業戦略相は「SMRはコスト削減と建設の短縮を可能にし、クリーンなエネルギーを家庭に届け、化石燃料の利用をさらに減らすことができる」と主張する。
 フランスも10月に発表した国内産業の復興計画でSMRの研究開発を筆頭に挙げた。30年までに10億ユーロ(約1300億円)を投資する。ルーマニアは11月2日、COP26に合わせてヨハニス大統領が米国のケリー大統領特使(気候変動問題担当)と会談。ルーマニアに米社製のSMRを建設することで合意した。ルーマニア大統領府によると、「28年までに国内のエネルギー生産システムにSMRを含める」といい、欧州初のSMR導入国になるという。
 原発はグリーンか、割れる欧州各国
 脱炭素社会を目指す過程で原発とどう向き合うか。気候変動対策の一環で進む政策立案にも、揺れる欧州の実情がみてとれる。
 EU欧州委員会は4月、エネルギー産業や製造業など各分野の経済活動について、環境に配慮した持続可能な経済活動かどうかを定義する「タクソノミー(分類)」と呼ばれる規則を策定。何が「グリーン」「持続可能」かといった基準を明確化することで投資判断をしやすくし、脱炭素に資する事業に市場から資金を呼び込もうという試みだ。ただ、細則で定めることにしている具体的なリストを巡り、原発天然ガス産業に関連する事業については賛否が分かれている。
 原発を「グリーン」と認めさせるように動いたのがフランスだ。ポーランドチェコなども賛同し、計10カ国が原発をリスト化するよう共同声明で訴えた。フォンデアライエン欧州委員長も「安定した(エネルギー)源である原子力も、移行期にはガスも必要だ」と強調する。
 一方、ドイツを筆頭にデンマークオーストリアなどは原発のリスト化に反発。5カ国が欧州委に送った共同書簡によると、使用済み核燃料の処分場がない問題を抱える原発は「(他の環境目標に)重大な悪影響を与えない」というタクソノミーの原則に反すると指摘。オーストリアのゲウェッスラー気候相は原発をリスト化した場合は司法の場で争うことも辞さない構えを示すなど、原発回帰派と反対派との対立が先鋭化している。【パリ久野華代、ベルリン念佛明奈、ロンドン横山三加子】」
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 2022年1月1日 MicrosoftNews 日テレNEWS24「なぜいま電力逼迫?「脱炭素」への重い課題
 © NNN なぜいま電力逼迫?「脱炭素」への重い課題
過去10年で最も厳しいとの見通しが示された、今冬の電力需給。かつては「安定供給の優等生」とまでいわれた日本だが、近年は厳しい状況だ。なぜいま電力が逼迫(ひっぱく)するのか。その裏には世界が目指す「脱炭素」への転換がある。
■昨年に引き続き…厳しい電力事情
 「過去10年で最も厳しい見通し」経産省はこの冬の電力需給についてこう予測している。電力は昨冬も逼迫した。需要に追いつかない地域に対して別の地域から送電する“融通指示”は1か月で200回を超えた。もともと冬は、暖房などで電力の需要が大きくなる時期。
 しかし、かつては「安定供給の優等生」とまでいわれた日本で、なぜ近年になって電力の逼迫が起こるのか。背景にあるのは「脱炭素」によるさまざまな動きだ。
■気分屋?な太陽光発電
 政府は、2030年度には温室効果ガスの排出量を2013年度と比べて46パーセント削減し、2050年に脱炭素を実現する目標を掲げている。温室効果ガスを出さない再生可能エネルギーへの転換が必要で、中でも短期的に増やすことができると注目されているのが太陽光発電だ。
 しかし、太陽光発電は天候によって発電量が大きく左右される。特に、曇りの日が多い冬には、発電量がゼロになる日も多く出てしまう。
 電力は、需要にあわせ全体の供給量を調整して、バランスを取る必要がある。再生可能エネルギーの発電量にあわせて、火力発電の量を増やしたり減らしたりすることで、全体の供給量を調整することになる。
■進む火力発電の休廃止
 しかし、その“頼みの綱”の火力発電にも問題がある。日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一氏は、「再生可能エネルギーが増え、採算の取れない火力発電の休止や廃止が進んでいる」と指摘する。
 再生可能エネルギーの発電量にあわせて、火力発電の稼働率を上げたり落としたりすると、発電の効率は悪くなり、採算が取れなくなってしまう。政府の補助制度に支えられた安価な再生可能エネルギーが市場に流れていることもあって、火力発電から手をひく事業者が増えている。
 経産省は火力発電について、2016年から2030年までの間に、およそ1853万KW(大型の発電所およそ18基分)供給量が落ちるとしている。転換期ともなる今後数年は、電力逼迫の危機に陥る可能性があるという。
■対応を求められる火力発電、しかし世界は…
 こうした中、今冬の逼迫に備えて、政府は休止している火力発電所の再稼働を促すなどの対策を行っている。
 例えば、老朽化により長期計画停止をしていた姉崎火力発電所5号機は、1月から2月に期間限定で運転を再開。修繕をしながら、再稼働に備える。
 大手電力会社の関係者は、「古い発電所発電効率も悪くなってしまうが、安定供給を守るためにも、何か起これば稼働せざるを得ない」と話す。
 一方で、火力発電に対する欧州の目は厳しい。気候変動問題を話し合う国連の会議「COP26」では、化石燃料使用への批判はさらに強まった。こうした情勢をみて、火力発電所や、発電の燃料となる石炭・石油やLNG(=液化天然ガス)調達への投資は滞っている。
 さらに、火力発電に使う燃料価格の高騰が追い打ちをかける。従来のガスより温室効果ガスの排出量が少ないLNGを、中国が「爆買い」。今年は、ヨーロッパではLNGが不足し、電力価格が暴騰している。
 日本は昨冬の1月、LNGが手に入らないことが原因で電力需給がギリギリの状態になった。その反省から、この冬は早い段階から在庫を確保したと政府は説明する。
 しかし、発電にかかせない燃料の不足・価格高騰は今後も続き、この冬の「10年に一度の厳しさ」は、来冬も、その先も起こる可能性がある。
 脱炭素にむけて、世界は大きく舵を切った。しかし、それと引き換えに「安定供給の不安」、つまり、停電が多発し経済に影響が出るかもしれないというリスクを抱えた。日本も安価な電力の安定供給と、脱炭素の「両立」という重い課題が突きつけられている。」
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 1月2日 MicrosoftNews 朝日新聞デジタル原発は「低炭素への移行を加速」 欧州委が位置づけ方針発表
 © 朝日新聞社 ベルギーのティアンジュ原発=2021年11月、青田秀樹撮影
 欧州連合EU)の行政を担う欧州委員会は1日、原発地球温暖化対策に役立つエネルギー源だと位置づける方針を発表した。温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロにする目標の実現に向けて投資を呼び込みやすくする。原発の活用についてはEU内で意見が割れているが、再生可能エネルギー社会に移行する過程で「果たすべき役割がある」とした。
 EUは、発電、交通、建築など様々な経済活動ごとに、持続可能で環境に配慮しているかどうかを仕分けするルール「EUタクソノミー(分類)」を設けている。風力や太陽光などを列挙した発電分野に原発の項目を追加し、投資家や企業、政府当局が共通して使える技術面での評価基準を示す方向だ。1月中に正式決定するという。
 欧州委はEUタクソノミーを「グリーンリスト」と呼んでおり、基準に合致すれば好条件で資金を調達しやすくなる。
 原発は発電時にCO2を排出しない半面、放射性廃棄物の問題や事故への懸念から加盟国間で意見が割れて判断が持ち越されていた。欧州委は国ごとにエネルギー政策が異なることを踏まえつつも、原発をタクソノミーに組み込めば「石炭のような環境に悪いエネルギー源を離れ、より低炭素なエネルギーの組み合わせへの移行を加速できる」と説明した。
 EU内には13カ国に100基余りの原発がある。90年代の33%前後から減少傾向にあるとはいえ、発電量全体の26%をまかなっている(19年)。欧州委のフォンデアライエン委員長は、再エネへの注力を繰り返し強調する一方で、「安定したエネルギー源として原発が必要だ」としていた。また、ロシアを含む資源国への依存を低減させる、エネルギー安全保障の面からも原発を推す声が出ていた。(ブリュッセル=青田秀樹)」
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 1月2日21:34 MicrosoftNews AFPBB News原子力天然ガスを「グリーン」に分類 EUが草案作成
 © LENNART PREISS / AFP ドイツのグンドレンミンゲン原発(2021年2月26日撮影、資料写真)。
 【1月2日 AFP=時事】欧州連合EU)は、原発力発電と天然ガスを投資先として「グリーン」なエネルギーに分類する草案を打ち出した。ただ、EU加盟国の間では何を環境に真に配慮したエネルギーと定義するかについて意見が分かれている。
 AFPが1日に確認した今回の草案は、EU加盟27か国によるカーボンニュートラル(炭素排出量の実質ゼロ化)に向けた移行を支援し、気候変動対策の世界基準としてEUの信用を高めることを目的としている。
 しかし、草案の2021年内の作成は2度延期となり、年末ぎりぎりにまとめられたものが土壇場で加盟国に通知されたことは、作成までの困難な道のりをうかがわせる結果となった。
 加盟国の過半数が賛成すればEU法となり、2023年から発効する。
 欧州委員会(European Commission)は1日、原子力発電と天然ガスを含めることを盛り込んだ今回の草案について、加盟国と協議を開始したことを認めた。
 同委員会は「補完的なこの委任法で対象となる取り組みは、石炭など有害性がより高いエネルギー源からの段階的な脱却と、低炭素でよりグリーンなエネルギーミックスへの移行を早めるだろう」としている。
 フランスは、自国の主なエネルギー源である原子力を率先して推進してきた。一方、オーストリアはこれに強く反対しており、原発をすべて閉鎖する予定のドイツも懐疑的な姿勢を示している。
 ドイツのシュテフィ・レムケ(Steffi Lemke)環境相は1日、独メディアグループ「フンケ(Funke)」に対し、天然ガス原子力発電を含めることは「間違い」であり、原子力は「壊滅的な環境破壊をもたらすおそれがある」と述べた。
 【翻訳編集】AFPBB News
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