🐙2〗─1─欧米の動物を娯楽で惨殺するトロフィーハンティング。カナダのアザラシ猟。日本のイルカ・クジラ漁。反捕鯨と鯨食文化。~No.2No.3No.4 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 世界で非難されるのは、例外なく日本だけである。
 日本よりも残虐な動物虐殺が欧米諸国で行われていても、日本の様に非難される事はあまりない。
 国際的動物愛護団体は、他の国際機関同様に、日本の弁明を一切聞かず、日本を目の敵の様に激しく非難する。
 日本を擁護する国際機関は、ほんの極少数でしかない。
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 日本死生文化とは、生活する為に、生きる為に、やむなく殺した動物の霊魂を弔うべく塚・祠・墓を建てるものである。
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 キリスト教において、動物とは人間が殺す為に絶対神が人間に創って与えた獲物である。
 非白人非キリスト教徒も野蛮な動物と見なされた。
 絶対神に愛される人とは、キリスト教徒のみとされた。
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 2015年9月8日号 ニューズウィーク誌日本版「娯楽で殺されるライオンたち
 ジンバブエ人気者だったライオン『セシル』が、アメリカ人歯科医に狩りで殺される事件が起きたのは、今年7月のこと。世界中から非難の声が上がった。が、スポーツとして大型動物を殺すトロフィーハンティングは、アフリカのいくつもの国で大きな産業となっている。
 その一つは南アフリカだ。国内のライオンのうち野性は2,000頭とされる。人工的に飼育・繁殖されているものは約8,000頭とされる。その多くが、欧米の金持ちたちに娯楽で殺されてるために育てられる。
 手軽に楽しめるハンティングに近年になって人気が高まり、『戦利品』として頭部や剥製が輸出される数も急増している。さらに中国やラオスなどでは、ワシントン条約で国際取引が禁止されているトラに代わる漢方薬の材料として、ライオンの骨の需要が高まっている。
 不思議なのは、多くのハンターが純粋な動物好きに見えることだ。動物に関する深い知識を持ち、その美しさについて畏敬の念をもって語る。特にお気に入りの動物がいる場合が多い。ただ彼らが言う『好きな動物』とはすなわち、最も殺したい動物でもある。」
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 カナダでは、アザラシを皮をとる為に、皮を傷つけない様に棍棒で殴り殺している。
 アザラシの子供の皮は特に高く売れる為に、逃がさず容赦なく殴り殺している。
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 日本のクジラ・イルカ漁は、古代から受け継がれてきた日本の伝統的食文化として、食べる為に漁をし、自然の精霊信仰から殺したクジラやイルカの霊魂を神として祀った。
 カナダのアザラシ猟は、毛皮として高く売る為に殺し、残骸は食べるか生ゴミとして捨てた。
 サファリのゲームであるトロフィーハンティングは、野生動物を遊び半分で追い詰めて惨殺し、子供でも容赦なく嬲り殺しにした。
 国際的動物愛護団体は、日本のクジラ・イルカ漁を残虐行為と激しく非難しても、道楽のトロフィーハンティングやカナダのアザラシ猟は合法的な行為であると容認している。
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 2015年5月5日 産経ニュース「法務省シー・シェパード活動家の入国を拒否 来日活動家は年100人を突破 法整備の動きも
 日本に活動家を派遣し、和歌山県太地町のイルカ漁への妨害を続ける団体シー・シェパード(SS)について、法務省が治安を乱す恐れがあるとして、リーダー格の活動家らの上陸を拒否していることが分かった。入管難民法に基づく措置で、適用された者は十人前後に上るという。活動家の来日は年間100人を超えるなど増加傾向にあり、現行法では対応できない嫌がらせも相次いでいる。与党議員らが対策法の整備に向けて検討を進めている。(佐々木正明)
 入国管理当局が入国を拒否したのは、平成22年にSSが本格的な妨害を始めた際、団体幹部として太地町に派遣された米国人男性や南アフリカ出身の女性ら。先月にはリーダー格の米国人女性も成田空港で入国を拒否された。
 警察庁は、妨害活動を行う外国人をリストアップ。入管当局と連携し、観光などと目的を偽って来日する人物の監視を強めている。
 SSは太地町を標的にすることで寄付金収入を拡大。フランスに逃亡している創始者ポール・ワトソン容疑者が、公式サイトなどで妨害に加わるよう支持者らに呼びかけている。
 来日する活動家は年々増え、関係者によれば23、24年の漁期(9月から翌年春ごろまで)は50人前後だったが、25年の漁期には100人を突破。米国、オーストラリア国籍が中心だが、欧州やアジアなども含め出身国は25カ国以上に上るという。
 活動家は漁の様子をネット上で生中継したり、漁師の顔写真や私生活を公開したりして、「虐殺」「人間以下」などと批判。漁師の小学生の娘に付きまとい、「父親はイルカを殺している」と伝えた者もいるという。フェイスブック首相官邸の英語版サイトにも、SS支持者のものと思われる批判的な書き込みが目立っている。
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 【用語解説】シー・シェパード
 1977年設立。捕鯨やイルカ漁に対して過激妨害を行う。オーストラリアや欧州などに支部があり、2012年の寄付金などの収入は米国内だけで1365万ドル(約16億4千万円)。創始者ポール・ワトソン容疑者は日本とコスタリカの要請により国際手配されている。」
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 5月21日 産経ニュース「【捕鯨問題】「変態民族め」「虐殺者」和歌山県太地町に送りつけられる嫌がらせFAX…常軌逸したイルカ漁批判に町民「うんざり」 (1/4ページ)【水族館イルカ問題】 .
 太地漁協へ送られてくる嫌がらせのFAX。中国語、韓国語表記のメッセージもあるほか、「南京大虐殺」の残忍な写真の添付も目立つ
 イルカ漁が行われている和歌山県太地町への悪質な嫌がらせが絶えない。2010年に同町を題材にした映画「ザ・コーヴ」が米アカデミー賞を取り、国内外の注目を浴びて以来、抗議の便りは世界中から寄せられるようになった。町役場や町漁業協同組合に届くFAXの量は増え、「変態民族め」「大虐殺は日本の文化」などと内容もますます過激に。英語表記のものだけでなく中国語、韓国語のメッセージも目立ち、戦時中の南京大虐殺と関連づけた残忍な写真の添付も散見される。
 太地が捕獲したイルカの水族館展示は内部の倫理規範に違反するとして、世界動物園水族館協会(WAZA、本部・スイス)は、日本動物園水族館協会(JAZA)に改善・除名通告を行った。海洋に根ざす日本の地域社会と食文化を海外に効果的に情報発信することができない戦略のつたなさが、こうした事態を招いているとの指摘は根強い。
 太地町では毎年9月から翌年3月まで、食用のためのイルカを捕獲しているほか、イルカをそのまま生け捕りして、国内外の水族館へ提供している。イルカたちは、子供たちに海洋保護や命あるものの大切さを教える貴重な存在。しかし、多くの水族館にとって人気のイルカショーは太地町の捕獲がなければ、実施できない状況にある。
 町への抗議は、イルカを頭の良い特別な生き物として捉える人々や動物愛護団体反捕鯨団体のメンバーが送付しているとみられる。どんな理由にせよ、イルカを捕獲することは「人殺し」や「拉致」と同じとの趣旨が目立つ。
 WAZA資格停止問題が表沙汰になった後の5月5日、太地町漁業協同組合に、差出人不明の抗議のFAXが寄せられた。送り主はもしあなたがイルカだったらと無理やり仮定し、「あなたは刺し殺されたり、誘拐されて水族館に売られて生涯奴隷になったりされたいのか」と訴える。そうして、太地の漁師たちは「邪悪な虐殺」を行っているとし、その言い訳のために「伝統」という言葉を使うなと強要する。
 イルカの擬人化は抗議する人たちの共通項だ。別の便りには「捕獲は想像を絶する苦痛をイルカに与える」とし、漁師が捕獲する際、「イルカたちは仲間が殺されるのを見て悲鳴をあげている」とイルカをまるで囚われた無辜の民のように比喩して、情緒的に訴える。
 さらには、イルカ漁は「ジェノサイド犯罪」としたり、「日本人は生まれつき残忍」と一方的に罵ったり、イルカ漁を戦時中の南京大虐殺とこじつけて、旧日本兵が殺戮(さつりく)を行っている残虐な写真を一緒に送りつけたりしてくる。漁協組合の関係者は「もう慣れたが、気味悪い写真やメッセージにもううんざりしている」と話す。
 中には、町民に送付しているはずなのに、韓国語や中国語表記もあるほか、たとえ日本語表記だとしても、ネット上で自動翻訳したとみられる文章のおかしいメッセージもある。
 反捕鯨団体シー・シェパードが騒動を起こしたり、捕鯨論争が世界的なニュースになったりした際は抗議の量も増える。昨年1月、米国のキャロライン・ケネディ駐日大使がツイッターで「イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念している」というメッセージを発表し、騒動になった際は漁協には1日当たり300通以上の抗議FAXが寄せられた。中には脅迫めいたものもあり、漁協は電話番号の変更を余儀なくされた。
 一方、世界動物園水族館協会(WAZA)資格停止問題では、日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟している日本の動物園、水族館の152施設が20日、「WAZA離脱」か「WAZA残留」を決める会員投票を行った。多数決の結果、WAZA残留の方針を決定。今後、JAZA加盟の施設は、太地町の追い込み漁で捕獲したイルカを入手することができなくなる。
 今回の騒動の背後でも、オーストラリアのイルカ保護団体が動いていた。太地町のイルカ漁を止めさせることを活動理念に掲げるこの団体は今年3月、JAZAをWAZAから除名するよう、WAZAの本部のあるスイスで法的手段に打って出ていた。
 さらに豪団体は昨年、太地町を相手に訴訟も起こしている。豊富な資金力をもとに運動を多方面に広めており、太地町姉妹都市にある豪北西部のブルーム市にも圧力をかけ、草の根の交流を続けてきた太地町との提携を破棄するよう迫っている。
 この問題は世界中の注目を浴びており、メディアが大きく報じる度に、太地町への嫌がらせは勢いを増すことになる。
 反捕鯨団体シー・シェパード創設者のポール・ワトソン容疑者(国際指名手配)はこの問題に関して声明を発表し、WAZAが今後もJAZAに圧力を強めていくよう要請した。
 ワトソン容疑者は逃亡先のパリから、53万人の支持者がいる自身のフェイスブック公式サイトに声明を発表。2003年から団体が太地町に活動家を派遣してイルカ漁の「監視」活動を続けてきたことを主張し、WAZAが今回の決定を下したのはあくまでシー・シェパードの行動があったからだとその成果をアピールした。
 ワトソン容疑者はこれまでも日本の捕鯨やイルカ漁に関して度々声明を発表、過激な言葉で状況をあおって、寄付金集めを行っているとの批判が出ている。
 今回の発表でも、ワトソン容疑者は2020年の東京五輪開催を拒否するようを呼びかけており、支持者から「東京五輪をボイコットすべきだ」「五輪は日本に面目を失わせるための格好の機会になる」との声が寄せられている。(佐々木正明)
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 2018年2月4日07:25 産経WEST「反捕鯨映画、続編を計画 「ザ・コーヴ太地町のイルカ漁批判 
 「ザ・コーヴ」の公開時、東京・渋谷の映画館前ではデモが行われ、警察も出動する騒ぎとなった=平成22年7月、東京都渋谷区
 和歌山県太地町(たいじちょう)で行われているイルカ漁を批判的に描き、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「ザ・コーヴ」の制作団体が続編の公開を計画していることがわかった。産経新聞の取材に関係者が「今春にも制作したい」と明かした。2009年に発表されたザ・コーヴは世界中で公開され、日本の捕鯨やイルカ漁への批判が強まった端緒になった作品だけに、続編の公開により、国際世論の圧力が高まることが懸念される。
 続編は日本語と英語で編集された「日本メディア向けの短編」で、制作団体「OPS」のサラ・アリ氏は「未公開映像をもとにした新作品だ」と語った。
 太地町には「ザ・コーヴ」に出演した米国のイルカ保護活動家、リック・オバリー氏の支持者や反捕鯨団体シー・シェパード(SS)のメンバーが訪れ、漁師らへの嫌がらせを続けている。続編は、現地で活動家らが撮影した映像が用いられる可能性がある。
 アリ氏は続編制作のきっかけは昨年の「国際メディアの報道」だと説明。12月に報じられた英紙ガーディアンの太地町ルポのことを指すとみられる。記事では、苦痛を与えずにイルカを即死させるため、改良された手法を用いているとの太地町の漁師の証言が紹介された。アリ氏は「漁師の主張に反論する。(続編の公開で)漁師を永久に黙らせる」と述べた。
 OPSは続編制作のための寄付を募っており、17万5千ドル(約1900万円)を目標額に設定。世界中の反捕鯨派に協力を呼びかけている。
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 ザ・コーヴ 題名は「入り江」の意味で、古式捕鯨発祥の地である和歌山県太地町が舞台となった作品。イルカ保護運動家、リック・オバリー氏らが出演し、漁師がイルカを入り江に追い込んで漁をする様子などを隠しカメラで撮影した。2010年に米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。」
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 2月4日08:05 産経WEST「反捕鯨団体東京五輪を標的に 「ザ・コーヴ」第2段でサイバー攻撃強まる恐れ 
 「ザ・コーヴ」の公開時、東京・渋谷の映画館前ではデモが行われ、警察も出動する騒ぎとなった=平成22年7月、東京都渋谷区
 日本の捕鯨やイルカ漁に対する包囲網は2020年東京五輪に向け今後、強まるとみられており、制作計画が判明した米アカデミー賞作品「ザ・コーヴ」の続編は、こうした動きに拍車をかける恐れがある。各国の日本大使館前では毎年、和歌山県太地町(たいじちょう)でイルカ漁が始まる9月1日前後に大規模な抗議運動が展開される。東京五輪の期間中に海外の過激派が押し寄せ、競技施設周辺で挑発行動を行う可能性もあり、警察庁や外務省などが情報収集を進めている。(佐々木正明)
 反捕鯨運動と東京五輪を結びつける動きは、すでに表面化している。反捕鯨団体シー・シェパード(SS)のポール・ワトソン容疑者(67)は昨年9月、「日本が捕鯨とイルカ漁をやめるまで、東京五輪をボイコットすることを奨励する」と主張。SS支持者らはネット上に東京五輪ボイコットを呼びかける専門サイトを立ち上げた。
 国際刑事警察機構(ICPO)の国際手配を受けているワトソン容疑者は2012年5月にドイツで一時拘束されたが、保釈中に国外逃亡。現在、米国に滞在している。反捕鯨国の米国は日本政府の身柄拘束要請を事実上、棚上げしており、ワトソン容疑者は米国内で“SSの顔”として、言論活動を活発化させている。
 一方、日本を訪れる活動家の実態も変化してきた。これまで漁師たちへの嫌がらせはSSやザ・コーヴの支援者らが主体だったが、昨年には欧州の菜食主義者らの団体が来日し、和歌山県内のレジャー施設でイルカショーを妨害したとして逮捕された。最近は日本人グループの現地での活動も目立ってきており、今後も国内外の他の団体が太地町を標的にする恐れがある。
 かつて太地町のホームページ(HP)や日本人映画監督が制作したザ・コーヴの反証作品のサイトが国際的ハッカー集団「アノニマス」のサイバー攻撃を受け閲覧できなくなったこともある。関係者は「世界中に影響が広がり、捕鯨だけでなく東京五輪を標的にしたサイバー攻撃が強まる可能性がある」と警戒している。」
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 8月26日 産経WEST「捕鯨批判映画の反証作品「ビハインド・ザ・コーヴ」を世界配信 八木監督「世界に議論提起したい」
 世界配信が決まった「ビハインド・ザ・コーヴ」について語る八木監督=和歌山市
 イルカや小型鯨類の追い込み漁をテーマに描いたドキュメンタリー映画「ビハインド・ザ・コーヴ 捕鯨問題の謎に迫る」(八木景子監督)の世界189カ国での配信が25日、始まった。八木監督は同日、和歌山県仁坂吉伸知事を表敬訪問し、捕鯨問題について意見を交わした後、県庁で記者会見した。
 同映画は、太地町で行われている追い込み漁を批判的に描き、米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「ザ・コーヴ」への反証作品。太地町民や捕鯨問題の専門家、反捕鯨活動家などさまざまな人物の主張を取り上げ、日本の捕鯨文化や歴史を描いた。今回、米動画配信大手「Netflix(ネットフリックス)」を通じ、22言語の字幕で配信される。
 同映画は昨年1月に全国の劇場で公開されると、すぐに公式ホームページが国際的なハッカー集団「アノニマス」によるとみられるサイバー攻撃を断続的に受け、一時閲覧できなくなるといった被害に遭ったが、11、12月には米国でも上映された。
 「反捕鯨でも『コーヴ』への反対意見を聞いてみたいという人もいて、(『コーヴ』を)うのみにする人ばかりではなかった。この映画には需要があるのではないかと感じた」と八木監督。今年4月からは日本語版が動画配信会社16社19サービスで配信され、6月には米IT大手アップルの子会社で音楽、映像の配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」からも英語版を配信。今月18日にはポニーキャニオンからDVDも発売された。
 八木監督はネットフリックスから、大手映画配給会社以外の作品が世界配信されることは異例だといわれたという。ただ、「世界配信しただけでは(数ある作品の中に)埋もれてしまう。各国でイベントを組みたいが、費用面の問題がある」と今後の課題を口にしたうえで、「捕鯨問題を通じ、WAZA(世界動物園水族館協会)のメンバー構成が先進国の白人中心であることや、ワシントン条約下で絶滅危惧種に飽和状態の鯨が入っていることなど、世界に議論を提起していきたい」と力を込めた。
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 4月30日 06:00 産経ニュース「反捕鯨派の総本山で認められた 映画「ビハインド・ザ・コーヴ」の八木景子氏寄稿(上)
 「ビハインド・ザ・コーヴ」のポスター
 「最優秀監督賞の受賞は『ビハインド・ザ・コーヴ』を制作したケイコ・ヤギ!」
 周囲から拍手と「おめでとう!」との声があがった。司会者に促され、会場の中央に立った私は拙い英語でこうスピーチした。
「これまで、日本の捕鯨は残虐であると一方的に伝えられてきましたが、今回、違う意見があるという機会を与えてくださり、そして、それが評価されたことに感謝しています」
 2018年2月17日、ロンドン市内の四つ星のホテルで開かれたロンドン・フィルムメーカー国際映画祭の授賞式。米アカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した『ザ・コーヴ』の反証作品として、私が2015年に制作した『ビハインド・ザ・コーヴ』が同映画祭長編ドキュメンタリー部門の監督賞、作品賞、編集賞の3部門にノミネートされ、私はこの授賞式に出席していた。
 『ザ・コーヴ』は和歌山県太地町で行われている追い込みイルカ漁を批判的に描き、米アカデミー賞を受賞して捕鯨問題の行方に大きな影響を与えた作品だ。2009年に公開されると、世界各国で日本の捕鯨やイルカ漁に激しいバッシングがわき起こり、この映画を見た複数の反捕鯨団体のメンバーが、争うように紀伊半島の小さな港町に集まり、抗議活動を繰り広げるようになっていた。
 『ザ・コーヴ』は、日本の捕鯨やイルカ漁に反対している人々の取材しかしていないので、シーソーで言えば、片方には反対派の方々が乗っかっているが、もう片方には賛成派が乗っかっていない不釣り合いで、不公平な作品だった。ドキュメンタリー映画というのは、制作者が、その問題の賛成派も反対派に公平に取材して、視聴者に彼らの主張やその背景までを伝えることが、本来あるべき理想ではないだろうか。
 私は『ビハインド・ザ・コーヴ』を制作する際に、『ザ・コーヴ』のような手法ではなく、日本の捕鯨に長年、携わり、クジラとともに生きてきた方々や、一方で捕鯨に反対する活動家にも話を聞いた。双方に突っ込んだ質問を投げかけて、それを映像にとらえ、捕鯨問題の現状をありのままをみせることに努めた。普段の報道では時間や行数が限られており、表面的な事柄しか、伝えられていないのではないかと感じ、映画という長い尺の中では、何が問題かを深く掘っていく必要があると思った。
 ドキュメンタリー作品を制作する際に、明らかに違うモノをシーソーの中心点をずらして、どちらも同等に見えるようにしたものは、ニュートラルとは言えないフェイクだ。現実をそのまま伝えるのが重要なのだ。
 ロンドンは、クジラやイルカを食用に用いることを全く理解できない反捕鯨派の方々が活発に運動を繰り広げている場所だ。捕鯨国・日本はバッシングの対象となり、前日には、日本大使館前で活動家が集まって、「Shame on You!」(恥を知れ!)などと声を荒らげるイベントが開かれていた。
 そうした活動家の総本山の地とも言えるロンドンで、日本からの反論を色濃く描いた私の作品が受賞したことは、捕鯨への理解に大きな意味があるという確かな思いが後からじわじわ沸いてきた。
 私に監督賞を与えることを選んだ選考委員も大半の方々は、捕鯨問題への深い理解があったようには思えない。むしろ捕鯨へ強い反対意見を持つ委員もいたに違いない。それでも、主催者側から、今回、受賞に至った主な理由は「ニュートラル」「情熱的」「映画として素晴らしい」の3点にあったと説明してくれた。
 捕鯨に賛成だろうと、反対だろうと、双方に取材をして、バランスよく編集している作品だと高く評価してくれたことは、とてもうれしかった。
 『ビハインド・ザ・コーヴ』は私が撮影、編集した初めての本格的なドキュメンタリー作品であり、制作する以前は私も捕鯨問題やイルカ漁へのバッシングの背景を深く知らなかった。偶然の縁が重なって、この問題のキーパーソンに深い話を聞くことができた。
 この問題の現状を世界に発信することは自分に課された使命とも感じ、お世話してくださった方々への恩返しの思いも込めて、なんとかこの作品を海外へ広めようと動き回っていた。その一貫でイギリスの映画祭に参加していた。
 苦労は絶えず、途中で、私自身もバッシングを受け、この問題の矢面に立った。日本での作品公開日には、反捕鯨を応援するハッカー集団から標的にあい、作品の公式サイトと映画館のサイトが一時閲覧中止になる事態に追い込まれた。さまざまな逆境を乗り越え、全身全霊でこの作品に投じてきた努力が、今回の監督賞の受賞で、少しは報われた気がした。
 授賞式のスピーチでは、うれしくなり「Whale meat is delicious!」と伝えたが、会場の多くの西洋人の方々は、拍手と笑いで迎えてくれた。(続く)」
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 4月30日 06:01 産経ニュース「言葉の壁とメディアのプロパガンダ合戦 映画「ビハインド・ザ・コーヴ」の八木景子氏寄稿(中)
 反捕鯨団体シー・シェパードの創設者、ポール・ワトソンとカンヌで記念写真を撮る八木景子さん(八木景子さん提供)
 賛成派と反対派が激しく対立する捕鯨問題は近年、解決策が見つからない袋小路に入った感がある。その大きな原因は、言葉の壁とメディアのプロパガンダ合戦にあったと思う。
 これまで海外メディアは「全てのクジラは絶滅に瀕(ひん)している」「日本の捕鯨は違法だ」「日本人は残虐行為をしている」などと報じてきた。一方、日本から、こうしたフェイクニュースや誇張表現に効果的な反論を展開することはなかった。
 日本語ではなく、英語で主張しなければ、世界には伝わらない。これは現在、日本と諸外国の間に起きているさまざまな摩擦の構図と一緒で、その問題が海外でどう伝えられているか、日本人はしばらく気がつかず、事が大きくなってから、問題の深刻さを知ることが多い。
 日本の発信力の弱さは多く方々が指摘してきた。私は国境と言葉の違いを乗り越えるために、映画を製作することが最も適していると考えた。ところが、いざ挑もうとしても「反論はかえってあおるだけで、危険だ」と遠回しに批判する人がいた。堂々と主張しない風潮が根付いてしまい、淡々と「事実を伝える」というニュートラルな営みでさえ放置されてきた。
 海外に事業展開する日本企業のほとんどは捕鯨を支持すれば、反捕鯨派から不買運動が起こるリスクがあり、この問題に直接的に関わるのを避けてきた。映画業界でも例外ではなかった。私の作品も当初は配給会社も海外セールスもつかなかった。自ら海外マーケットに売りに行き、なんとかして海外の方々に見てもらおうと奮闘した。
 素人の私に、業界関係者とコンタクトを取るノウハウは全くなかった。映画祭での上映手続きや、世界から集まるバイヤーへのアポイント取りなど、体当たりで取り組んだ。いま振り返ると無謀だったが、2016年5月には、フランスのカンヌ国際映画祭にも出向き、作品を売り込もうともした。
 カンヌでは、シー・シェパード創立者ポール・ワトソンに出会える機会があった。彼は映画祭の期間中、世界中のメディアを集めて、日本の捕鯨を批判する映画製作のプロモーション活動を行っていた。捕鯨問題の解決に少しでも尽力しようと、暗中模索の中で苦しんでいた私にとって、彼に会えたことは進むべき一つの灯火を見つけたような気がした。彼は世界中に信者がいて、影響力も大きい。今後、最も話し合いを深めていかなくてはいけない相手との面会に意義深いものを感じた。
 映画祭では、彼はまるで人気スターのように扱われていた。彼はフレンドリーに接してくれ、私との写真撮影にも応じた。
 カンヌ映画祭の会場前は地中海に面しており、ワトソンと面会したときに、シー・シェパードの船が停泊していた。私はあの船が日本の捕鯨船に体当たりした船ではないかと思って、ワトソンに「一度、あの船に乗せてもらえないか」と申し出たところ、彼はあっさりと了承してくれた。まだこの企画は実現していないが、チャンスがあれば船の中がどうなっているかこの目で見てみたい。もちろん、ワトソンとの口約束で終わるかもしれない。
 私の挑戦は米国にも及んだ。2016年11月、「ビハインド・ザ・コーヴ」の米国内での劇場公開を果たすことができた。米国メディアによる批評記事もあったが、現地の協力者の支援で劇場公開が実現し、映画界の殿堂であるアカデミー賞の対象作品に入るための条件を満たすことができた。
 形式上は「ザ・コーヴ」と同じ土俵に乗ったことになる。アカデミー賞の審査員に、「ザ・コーヴ」が賞を受賞した後の和歌山県太地町の騒動を見てもらうことを目標にしていたので、これで願いの1つがかなったような気がした。
 しかし、このとき米国で目の当たりにしたのは、大手映画配給会社が大金を費やして、アカデミー賞選考委員に自社の作品を売り込むロビー活動だった。2009年に「ザ・コーヴ」が公開された際、映画製作者側が審査員にアピールする活動は派手だったと関係者から聞かされた。批評記事でさえ、ハリウッドに影響力を持つロビイストの顔が物を言う世界だった。個人で戦う私には太刀打ちできない高い壁が立ちはだかり、正直、精魂を使い果たしていた。
 私はこの映画を製作する前、ハリウッドの映画配給会社の日本支社で勤務していたが、自分自身で一から最後まで配給の手続きをしたことはなかった。ましてや本場ハリウッドに自分の作品を持って乗り込むというむちゃなことをするなんて、当時は考えもつかなかった。
 一生に一度できるかできないかの挑戦だった。多くの時間と労力を費やしたが、世界展開の難しさに直面して途方に暮れた。
 そんなとき幸運が訪れた。世界最大ユーザーを誇るNetflixから世界配信の話をいただいた。僥倖(ぎょうこう)にめぐりあうというのはこういうことかもしれないと感じた。この世界配信で一気に視界が開けたような気がした。Netflixの関係者の方々には、感謝しても感謝しきれない。(続く)」
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 4月30日06:02 産経ニュース「2020年東京五輪で日本の食文化、鯨食紹介を 映画「ビハインド・ザ・コーヴ」の八木景子氏寄稿(下)
 和歌山県太地町には、巨大なクジラの骨が屋外に展示されている(八木景子さん提供)
 現在、『ビハインド・ザ・コーヴ』はNetflixを通じて世界189カ国に配信されており、飛躍的に鑑賞が容易になった。Netflixでの配信は、捕鯨問題の大きな障害だった国境と言葉の壁を取り払ってくれた。2017年8月の配信開始と同時に、私の元に率直な感想や、捕鯨問題に関する意見が寄せられるようになった。
 特に捕鯨問題に関心が高い米、英、オーストラリアの方から、「アメージング!(目からウロコ)」という声をいただく。反捕鯨の立場から関心を持ったのかもしれないが、非難は思いの外少なかった。
 名門大学の教授から、自分たちの住んでいる環境では知ることができなかった歴史的な事柄が、『ビハインド・ザ・コーヴ』では描かれているというメッセージもいただくなど、知的好奇心が旺盛な方々からの好意的な感想が圧倒的に多かった。
 作品では、日本人が古くからクジラとともに暮らし、鯨食文化を育んできた背景や、江戸時代に鎖国を解いた米国のペリー来航が実は、捕鯨のためだったという歴史的事実も紹介している。一部の国がクジラ類を軍事的に利用していることを、まったく知らなかったという感想もあった。
 また、オーストラリアでは英雄扱いのシー・シェパードだが、ポール・ワトソンが国際指名手配されていることを知らない人も多く、映画を見て「ワトソンは犯罪者だったんだ」と驚いた人もいた。
 世界には、実際のクジラの資源量を知らず、「クジラが絶滅の危機にに瀕(ひん)している」という誤った情報を盲目的に信じている人たちが多い。科学者の研究で、世界の海洋を回遊するクジラは全人類が食べる魚の約3〜5倍を消費していることが分かっている。ハクジラ類の生態の胃の中を調べると大量の魚が含まれている。自分自身が映画を制作するまで知らなかったこのクジラの生態にまつわる情報を、今度は私の映画がきっかけで知る方々がいる。
 西洋人の素晴らしいところは、反対側の意見も聞こうとしてくれることだ。一方、多くの日本人は意見の違う人々との論争は、軋轢(あつれき)が高まるだけだとして、避けようとしてはいないだろうか。
 反捕鯨の方々でも正しい情報を知れば、考え方を変える人もいる。もちろん、まったく聞く耳を持とうとしない強硬な反捕鯨家もいる。それはそれで仕方がない。まずは違う側の意見を知ってもらうことが必要なのだ。
 国際捕鯨委員会(IWC)は1980年代から、捕鯨国と反捕鯨国の思惑が絡み合い、政治的な動きに支配されるようになったとの指摘がある。反捕鯨国は、捕鯨をしたことのない小国をIWCメンバーに引き入れ、反対票を急増させている。IWCへの参加費用を潤沢な資金を持つ反捕鯨家が負担しているとの情報もある。
 商業捕鯨モラトリアム(一時停止)が制定されて以来、世界の海洋のクジラの資源量が回復しているという研究データがある。それにもかかわらず、日本は資源的には問題ないはずの商業捕鯨を再開できずにいる。IWCのルールで、メンバーの四分の三の支持票を確保しなければならないからだ。
 その一方で、現在の調査捕鯨が“ニセ商業捕鯨”であるという批判は、起こるべくして起きたことで、これは否定できないのではとの思いもある。IWCで採決されたモラトリアムは、クジラの頭数が回復しているかどうかではなく、反捕鯨国の意向によって維持されている。
 日本は堂々と科学的見地に基づき、商業捕鯨再開を主張すべきだ。そもそもモラトリアムが制定される過程において、商業捕鯨に反対意見する科学者は一人もいなかったと当時の交渉関係者は証言している。
 ワシントン条約絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)も1980年代にIWCのモラトリアムをそのまま持ち込む形で、参加国の多数決により商業取引が制限された経緯がある。同条約に関する国際会議では、現在も科学を無視した不毛な議論が長年続けられていると聞く。
 ワシントン条約の事務局長を務めたカナダ人のユージン・ラポワント氏は自著の中で、「尊厳ある国際条約機構であるべきワシントン条約が、民間団体や一握りの米国政府の官僚に脅迫されることなどを自分で実際に見聞し、身をもって体験した」と暴露している。こうした実態を一般市民が知る機会がほとんどない。
 反捕鯨活動家たちは、各国に2020年東京五輪のボイコットを呼びかけている。私は逆に世界中から訪れる観戦者に対し、日本の食文化の一部である鯨食を紹介すればよいと思っている。日本食は世界でも人気だが、鯨食に関心を抱いている方々に味わってもらえる格好の機会かと思う。
 私の元には、海外各地から『ビハインド・ザ・コーヴ』の上映会を望む声が届くようになった。ほぼ独力でこの映画を広める活動を行っているので、できることは限られている。各国の日本人会や反捕鯨家が主体となって上映の機会を作ってくだされば、現地へ足を運び意見交換をしたいとも考えている。
 映画を通じて、捕鯨問題の本質や現実を世界中の方々に知ってもらうことが私の切なる願いだ。=おわり」
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