🏗2〗ー24ー避難所運営になぜ女性が不足しているのか。令和6年~No.25 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本の避難所の多くは声が大きい男性やイデオロギー活動家が中心で、女性、子供、老人そして障害者など社会的弱者に対する配慮が欠如している。
 「日本人は思いやりがあって優しい」はウソである。
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 2024年2月17日 YAHOO!JAPANニュース Yahoo!ニュース オリジナル 特集「避難所運営になぜ女性が不足しているのか――性トラブルや健康被害を減らすためにできること #災害に備える
 石川県輪島市の避難所(写真:毎日新聞社/アフロ)
 能登半島地震からひと月半が過ぎた。災害対策に女性の視点が足りないことが指摘されている。これまでの災害時も、避難所では「ついたてがなく、着替えができない」「生理用品が受け取れなかった」といった困りごとのほか、DVや性暴力など、さまざまな問題が起きてきた。避難所のリーダーは男性が中心で、女性委員が一人もいない市区町村防災会議は全国で2割以上におよぶ。誰もが快適に過ごせる環境を作るために、女性の視点は不可欠だと専門家は言う。日頃から知っておきたいことや避難所運営の現状と課題、備蓄に加えたいものなどについて医師と専門家に聞き、図解とともにまとめた。(Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
 ナプキンの節約やトイレの我慢で重症化のリスク
 産婦人科医の重見大介さん
 「性に関する特有の困りごとや生理現象は、知らないと問題意識も持てませんから、お互いに知っておくことが重要です。性教育というと、子どもや若者に向けて伝えることが多くなりますが、災害はいつ誰にでも起こり得るので、どんな年代の人も知っておくべきだと思います。学校や職場でも、災害研修などに盛り込んでいただけるといいですね」
 産婦人科医の重見大介さんは、避難所などにおける二つの課題を指摘する。知識や情報の共有と、対面での配慮だ。
 「知識や情報の共有として挙げられるのは、例えば女性の月経。実際どんなふうに起きていて、どのくらいの経血量や日数で、個人差がどの程度あるのか。放っておくとどうなるのか。男性は知らない場合も多いでしょうし、女性でも『自分は軽いので、大変な人のケースは分からない』という人はいるでしょう。知っておくことで埋められるギャップがあります」
 災害時には、避難所で生理用ナプキンが「ぜいたく品とみなされる」「1人に1枚ずつしか配られない」など、知識や理解が足りないためにさまざまな困りごとが起きている。
 「衛生状態は非常に大事です。ナプキンを節約したり、タンポンや月経カップを放置したりすることで、菌が繁殖します。月経は血液が出るわけですが、血液は栄養が豊富なので菌が繁殖しやすい。腟、子宮、骨盤はすべて一つの通り道でつながっていますから、菌が奥に入り込んで骨盤まで達して、骨盤内感染症を引き起こすケースがあります。ひどくなると血液中に菌が巡って、菌血症や敗血症になることがあるのです」
 そのほかに知っておきたい症状として、膀胱炎や更年期障害を挙げる。
 「女性は膀胱炎になりやすいので注意が必要です。プライバシーが配慮されていないといった理由でトイレを我慢してしまうと、膀胱炎になり、ひどくなると腎臓まで感染が広がって重症化してしまいます。また、男性にもありますが、女性に症状が出やすいものとして挙げられるのが、更年期障害です。関節の痛みや不眠、それから温度調節が難しく、ほてりや寒気がつらい場合があることも認識しておきたいですね」
 二つ目の課題である対面での配慮については、女性同士がコミュニケーションを取りやすい体制を作ることが大切だという。
 「避難所で生理用品や下着が支給物品として届いた際、配る人が男性だと、受け取りに行きづらかったり、大変さを伝えられなかったりするなど、心理的抵抗が生じる場合がある。女性がなるべく配るようにするなど、対面での配慮はやはり必要だと思います」
 また、妊産婦は要配慮者であり、特有の注意点もある。
 「妊娠初期だと周りの方からわかりづらいこともありますので、避難所では妊娠していることを必ず伝えるべきです。避難所の体制としても意識してほしいですね。マタニティーマークも常に携帯しておくとよいでしょう。妊産婦は必要な摂取カロリーが非妊娠時より多いですし、なるべくビタミンやミネラルも取ってほしい。塩分を取るとむくみが出やすく、つらくなることがあります。体を動かさない、水分が取れないという状況が続くと血栓症のリスクが上がるので、注意が必要です」
 能登半島地震においては、被災地の妊産婦や子育て世代へオンライン相談サービスを提供しているという。
 「小児科医や産婦人科医、助産師に無料で相談できるサービスを地震の前から能登町に試験導入していただいていました。通信状況などの問題もありますが、今後こうしたオンライン相談のサービスが広がっていくと心強いのではないかと思います」
 備蓄に関しては、自分に合わせて準備しておくことを勧める。
 「必要なものや数には個人差がありますよね。市販の防災セットに女性用品が入っていない場合も多いですし、ご自分で、あるいは家族が、それぞれに合わせたものを追加で用意しておくとよいでしょう」
 「女性委員ゼロ」の地域も多数 どう増やす?
 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の松川杏寧准教授
 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の松川杏寧准教授は、女性の視点は女性だけのためではなく、快適な環境にするために不可欠だと語る。
 「人口の半分は女性ですから、女性の視点を入れるのは本来当然ですが、そうなっていません。避難所は、仮の生活を送る場。復興に向けて踏み出せるように、身体的にも精神的にも元気で、安心して過ごせる環境を整えなくてはなりません。普段から家事労働の多くを女性が担っている状況がありますから、女性の視点を入れなければ快適な生活環境にするのは現実的に難しいでしょう。環境が悪いと健康被害が出て、災害関連死につながることもあるのです」
 避難所を設置、管理するのは行政だが、運営は基本的に各地域に委ねられている。避難所のリーダーの決め方は地域により、自治会や町内会の会長など、地域のリーダー的な存在が担う場合もあれば、その時にリーダーシップを取れる人が自然と役割につく場合もある。
 「減災と男女共同参画 研修推進センター」で共同代表を務める浅野幸子さんもこう言う。
 「自治会や町内会をベースとした自主防災会のリーダーが運営に携わることが多く、男性が中心です。防災指導は消防が担っていますから、力仕事のイメージも大きい。しかし、避難所ではケアの問題がとても大きいのです」
 避難所でついたてがなく、着替えなどを含むプライバシーが守られていないケースがしばしば問題視されている。東日本大震災でも、「地域の人々は家族だからついたてはいらない」というリーダーの方針に、周囲の人々が反対できなかった避難所があった。地域の人間関係が運営に影響する。
 松川さんによれば、避難所の女性リーダーの割合など、地域の防災組織にどのくらい女性が関わっているか、現状は把握できていないという。
 では、地域の防災計画を決める地方公共団体の防災会議はどうか。内閣府男女共同参画局は、防災会議の女性委員の割合を3割以上にすることを目標にしている。2023年4月1日時点で、女性の割合は都道府県防災会議で21. 8%、市区町村防災会議で10. 8%。女性委員が一人もいない市区町村防災会議の割合は、全国で 23.8%におよぶ。
 (作成:Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
 防災会議の女性委員比率が高いほうが、プライバシーの確保、健康や栄養状態、心のケア、ペット対策など、さまざまな観点について考慮されているという調査結果がある。「女性委員がゼロ」の地域は早期に女性を登用することが望まれる。
 (作成:Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
 女性の視点を取り入れるべく、独自に取り組んでいる自治体もあると浅野さんは言う。
 「例えば千葉市は、平常時から地域の町内会、自治会、自主防災組織などが一体となった『避難所運営委員会』を立ち上げ、そこに女性を増やしています。自治会や町内会で指導的役割を担うのは負担が大きいかもしれませんが、運営委員として研修に参加するのであれば、そう大変ではないでしょう。徐々に運営委員の女性が増え、現在は全市平均で約3割となっています」
 浅野さんによれば、2016年に起きた熊本地震の前後に意識の変化があったという。2015年に国連防災世界会議が仙台で開催され、2016年に内閣府が避難所運営ガイドラインを出した。メディアでも女性の視点の必要性が積極的に取り上げられるようになり、行政の意識も変わってきたが、課題は山積しているという。
 「2020年には改訂版の『男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン』も出ていますが、行政は縦割りなので共有が容易ではなく、ガイドラインの情報が行き渡っていないという課題がありますね」
 浅野さんはこう続ける。
 「女性は、家族のニーズが満たされないと、自分自身の問題を声に出せない場合も多いのです。あなたが困っていることは他の人も困っているから、声を上げていい。一人では難しいなと思ったら、周りの人に話してみる。するときっと共通点が見つかると思うので、支援者やリーダーに伝えましょう。支援者やリーダーは女性の声に耳を傾け、一緒に意思決定をしていきましょう。そういうことを繰り返し伝えていかなければならないと思っています」
 性暴力を抑止するためにできる具体策は
 (作成:Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
 これまでの災害時に、DVや性暴力が発生したことが明らかになっている。
 「DVは災害後に増える傾向があります。もともとDV傾向のある人がひどくなる場合が多い。避難所では人目があるので表面化せず、仮設住宅に移ってから、ということも多いですね。そのため、早くから被害者支援や相談窓口などを周知しておく必要があります」(前出の松川さん)
 性暴力については、支援者も含め、どういう“手口”があるのか知っておくことが抑止につながると松川さんは指摘する。
 「暗い屋外やトイレだけではなく、例えば『お風呂を使わせてあげる』と誘うなど、支援を口実に性的搾取されるケースもあります。支援者側も過去に起きた事例や手口を知っておくことで、被災者が不安なく支援を受けられるようにするにはどうすればいいか、考えることができるでしょう」
 (作成:Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
 仮設トイレをどう配置するかなど、環境のデザインが大事だと松川さんは言う。犯罪が起こりにくい環境や体制づくりについて、浅野さんはこう語る。
 「相談先や情報の提供は有効です。相談先を記したポスターを避難所の見えるところに貼っておくだけでも、抑止の効果はあると思います。周りの人と話題にしやすくなりますし、すぐに相談できなくても、相談先を把握できます。また、プライバシーが守られていない環境では、相談しているところを誰が見聞きするかわかりません。ある程度避難所の状況が落ち着いてきてからになりますが、ハンドマッサージやネイルケアなどの支援の場を作ると、声を拾える場合がありますね」
 アウトドア防災ガイドのあんどうりすさん
 アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんは、第三者の目があることをさまざまな形で伝えておく必要があるという。
 「第三者が傍観者にならないための啓発は大事ですね。避難所の中には、トイレにナースコールを置いているところもあります。具合が悪くなった時にも役立ちますし、身の危険を感じた時に押すこともできるわけです」
 トイレにナースコールを設置(写真提供:親子支援・災害看護支援*てとめっと 山中弓子)
 あんどうさんは、防犯の視点から備蓄に加えておきたいものをアドバイスする。
 「避難所内では、防犯ブザーより災害用のホイッスルのほうが周りの人を疑っているように見えず、手元に持ちやすいという声もありました。また、トイレに行く際、両手があくヘッドライトが役立ちます。ご自宅の備蓄に加えておくとよいでしょう。避難所用の備蓄には、ソーラーセンサーライトでかなり明るくなるものがありますので、事前に準備があればと思います」
 「自分がもしかしたら被害を受けるかもしれない」という視点で環境を整備する必要があると、松川さんは言う。
 「被害を受けるかもしれない人たちが守られる環境を作る。性的搾取をされやすいのは、弱い立場に置かれている人たちです。権力構造の中で搾取されない状態を作るため、末端まで支援が行き届くような災害対応を、一日でも早く行わなければなりません。日本では人権や性に関する教育が遅れているため、本来はそこから変えていかなければなりませんが、災害は待ってくれない。被災地においても、平常時の備えでも、今できることをとにかくやりましょう」
 (取材・文:塚原沙耶)

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