🍘43〗ー2ー2035年に訪れる“世界食料恐慌”。政府が公表する日本食料自給率「38%」の根拠は。~No.133 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本はバブル経済で世界第二位の経済大国になった事で傲慢となり、日本人は食糧は外国で必要なだけかって輸入すれば良いとして、日本農業を切り捨て、日本人農家を見捨てた。
 当時の大人達は「逃げ切り組」としてその付けを、将来の日本、未来の子供達にまわした。
 エセ保守とリベラル左派のメディア、アナリスト、経済界、教育は、日本のグローバル化の為と称して日本農業不要論を主張し子供達を洗脳した。
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 日本の農業・農家と深い関係を持っていたのが、稲神話の皇室・天皇家であった。
 つまり、日本における正統保守は民族の伝統文化と神話物語に生きる昔ながらの百姓であった。
 そして彼等こそが、天皇家・皇室を命を犠牲にして護ってきた真の勤皇派・尊皇派であった。
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 2023年10月28日 MicrosoftStartニュース AERA dot.「世界の穀物の半分を食べる国になるインドと中国 2035年に訪れる“世界食料恐慌”
 高橋五郎
世界の穀物の半分を食べる国になるインドと中国 2035年に訪れる“世界食料恐慌”
© AERA dot. 提供
 発展途上国を中心に増え続ける世界の人口。今後、食料不足がさらに進むが、人口・経済力・国際収支がそろった中国とインドが世界の食料の大半を占めるという。愛知大学名誉教授で、同大国際中国学研究センターフェローの高橋五郎氏の著書『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。
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■世界穀物生産は2039年がピーク
 世界穀物生産量(コメはモミ付き・穀物の副産物を含む)は2001年19億8000万トン(実績)だったが、2020年に1.5倍以上の30億3000万トン(実績)に、2039年に36億8000万トン(予測値)に、約40年間で約1.9倍になることを示している。
 この増加をもたらした基本的な理由は化学肥料(窒素肥料だけで2600万トン増加)と化学農薬の大量使用に加え、耕作放棄地が1億ヘクタール以上ある一方で、穀物作付面積がこの20年間で15%に当たる1億1000万ヘクタール増加し、さらに耕地面積1単位当たり生産量が増えたことにある。(使用したFAO[国連食料農業機関]統計によると、増加は10アール当たり小麦59キログラム・トウモロコシ140キログラム・コメ76キログラム・大豆31キログラムなど)。耕作放棄地がもう少し少なければ、穀物生産量はその分増えたにちがいない。
 2040年に、世界人口は22年の80億人から数えて18年間で11億人増え、91億人になるとみられている。
 この頃に年間の穀物生産量はピークを迎え、以後少しずつ減少していく模様である。その最大の理由は気象学者をして過去の人類史になかった「未知の領域」に入ったといわしめるほど深刻な地球温暖化(国連のグテーレス事務総長は「地球の沸騰化」の時代に入ったと述べ始めた)の進行、新規の耕地開墾の停滞、世界的な都市化による農業従事者の減少、土壌の劣化、化学農薬の効き目の低下などである。高収量新品種の登場なども期待されるが、同時に高い栽培技術も要求されるのが一般的なので、効果は限定的と見られる。
 2050年の穀物生産量は36億6000万トンにやや減少、この傾向は世界人口が104億人のピークを迎えると予測される2087年を経て、2100年に引き継がれていく見通しだ。この年の予測生産量は31億トン、ピークとみられる時を5億8000万トンも下回る見通しなのだ。その理由は後述する。
 人口は減りはじめているとはいえ100億人の大台を優に超える状態ながら、穀物生産量は減少する年が60年間も続く可能性がある。もしこれが事実になれば、人口が減少して穀物の1人当たり分配量が増加に転じるまで、人類は経験したことがない大飢饉の暗くて長い時代を過ごさなければならない。もちろん人類が半世紀以上もの長い間を大飢饉のままやり過ごすとは考えにくく、穀物に代わるさまざまな人工食料などの開発を進めることは想定できる。しかしそれは本書が持つ食の思想とはかけ離れた、人類がまったく別の食生活に移ることを意味することでもある。
■食料危機の震源はアフリカだけではない
 2020年の世界人口78億人のうち、たった2つの国で28億人(36%)を占める中国とインド。
 中国は、一国で世界の穀物輸入の16%を握り世界の穀物市場を揺るがす影響力を持つ一方、今後経済力を増すとの声が大きいインドは、中国を超える食料消費大国にのし上がることが目に見えている。
 食料消費の量的な増え方は人口の増え方・所得の増え方・国家の経済力との関係が強いので、順番に見ていくとしよう。
 まず人口である。国連は2035年の世界人口を88.5億人、うち中国14億人・インド15.6億人、合わせて30億人とみている(2か国で34%を占める)。
 次いで国家の経済力のモノサシでもある1人当たりGDP。2020年時点、中国は1万ドルと少し、インドは1930ドル、両国とも先進国レベルからかなりかけ離れ、特にインドはケニアバングラデシュ並みの低レベルである。
 しかし予想される2035年では、中国がいまの2倍の2万ドル強、インドが3倍強の6400ドルに達するとみられる。そのとき、国全体のGDPは中国がアメリカを抜いて、世界一に躍り出る可能性が高いとする専門家が少なくない。インドは世界第3位になる見通しだという(日本は10位程度とみる専門家が多い)。
 インドの2020年当時の食料輸入量は国内需要の1%にも達していないが、これは経常収支が恒常的に大幅な赤字構造にあり、輸入制限がかかっているためでもある。
 1人1日当たりの摂取カロリーでは、インド人は2320キロカロリー、中国人を120、日本人をも100キロカロリーも下回っている。インド人の青年男子の平均身長はほぼ日本人並みであり、体格を基準にすると摂取カロリーが少ないことがうかがわれる。
 もっと食べたいインド人は経済的理由から、食料の輸入が増やせない状態に甘んじてきたのである。しかし経済成長が本格化しつつある中、経常収支は黒字に転換することが予想され、輸入を抑えてきた足かせは一気に解けるであろう。
 となると、食料輸入は国内消費の必要な分だけ増える可能性がある。食料輸入を決める基準は経済力だからだ。
 人口・経済力・国際収支、三拍子そろった力をつける中国とインドは、世界食料需要の面でも世界の頂点に立つ可能性が十分にある。
 将来、たとえば2035年の主要穀物(小麦・コメ・トウモロコシ・大豆)の需要見込み量は中国が8億8000トン、インド7億8000万トン、合わせて16億6000万トンに達するとみられる。中国の人口はピークを越えたといわれるが、再び増加する可能性もあると同時に、所得の向上が社会の隅々に浸透することによって濃厚飼料による高級な畜産物需要が大幅に拡大するだけでなく、高級小麦粉やスイートコーン、ビール原料の大麦などの需要が高まることが予想される。
 このときの穀物の世界生産量は35億7000万トンと見込まれ、中国とインドがその半分近くを食べるという、信じられない事態が起こりうる。
 繰り返しになるがそのときの世界人口は88.5億人、中国とインドを除くと58.5億人、強者の中国とインドという2つの国家の取り分を除く穀物の残りは19億トン。これを残る58.5億人が分け合うとして1人当たり分配量はわずか320キログラム、畜産物の飼料分や加工用途その他の用途分を合わせると、約200キログラム近く不足するであろう。2035年以降、中国とインドが食料を奪い、世界の畜産物生産がこのまま増えていくと、経済力の乏しい国を想像もできない飢餓が襲う可能性がある。
 1人当たりの穀物が500キログラムはないと、世界の飢餓は解消されないことがこれまでの経験が示す基準値である。経済レベルがなお低いインドが取ろうとしている方法は、遺伝子組換え穀物の大幅な植え付けであることが明らかになっている。インドばかりではなく、同じような対策に多くの国が触手を伸ばしている。
●高橋五郎(たかはし・ごろう)
 1948年新潟県生まれ。農学博士(千葉大学)。愛知大学名誉教授・同大国際中国学研究センターフェロー。中国経済経営学会名誉会員。専門分野は中国・アジアの食料・農業問題、世界の飢餓問題。主な著書に『農民も土も水も悲惨な中国農業』2009年(朝日新書)、『新型世界食料危機の時代』2011年(論創社)、『日中食品汚染』2014年(文春新書)、『デジタル食品の恐怖』2016年(新潮新書)、『中国が世界を牛耳る100の分野』2022年(光文社新書)など。
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 10月26日 MicrosoftStartニュース AERA dot.「政府が公表する日本食自給率「38%」の根拠は? 専門家が指摘する5つの疑問
 食料危機の未来年表 #2
 高橋五郎
 ※写真はイメージです(Getty Images)
 日本の食料自給率は38%と公表されているが、その算出方法には不可解な点があると、愛知大学名誉教授で、同大国際中国学研究センターフェローの高橋五郎氏は指摘する。『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。
 【図】日本の穀物自給率はこちら
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 政府が発表する食料自給率38%の闇
 国民が食料自給率を正しく認識することがますます重要になっている。その意味から、まずは「あるべき食料自給率」とは何かについて述べていこう。
 さて最も一般的な食料自給率の指標として「カロリーベース食料自給率」というものがある。これは、国民が食べるすべての食料のカロリーを合算し、そのうち純粋な国産部分の割合がどのくらいかを割り算した数字をいう。
 日本の農水省が公表しているカロリーベース食料自給率は1965年では73%、1987年には50%、2006年には40%を割り込み、最新の2022年は38%である。農政や農地制度がこのままでは、残念ながら政府目標(2030年度までに)の45%を実現することは間違いなく不可能な情勢である。この目標が達成されるとすれば、日本が輸入各国との競争に負け、国内供給量(消費量)が減る場合だけであろう。
 農水省のカロリーベース食料自給率は、16項目の食料群を対象に、国民1人が口を通して摂取した食料(経口食料)が持つカロリーをはじき出し、次いでこれを消費(供給)と国産とに分け、2021年を例に取ると、食べたとする食料群の合計2265キロカロリーのうち国産部分を860キロカロリー、これを割り算して38%とするものである。
 16項目の食料群とは、コメ・小麦・豆類などの穀物・野菜や果物・肉類や牛乳などの畜産物・魚介類・砂糖類・油脂類・みそなど日本人の日常的な食生活を反映したものだ。
 こういってしまうと簡単のように見えるが、実際は、農水省のホームページの説明をいくら読んでも、その計算プロセスと結果はわからないほど手が込んでいる。本書が農水省の食料自給率担当官に何度も問い合わせたところ、とても丁寧に説明いただいた。担当者としてできる範囲の回答をいただいたと思うが、なお不明な点が残った。
 以下、大きく5つの疑問を挙げるが、やや専門的で細かい部分になるので、いずれも数字の根拠となる説明がないということだけ理解していただければよいと思う。
【1】農林水産物と油脂類など一部加工食品の国産部分と輸入部分を合わせた国内消費仕向量は粗食料(原形のまま)・飼料用・種子用・加工用・減耗量の5つに分けられているが、そのうち穀物の半数近くが飼料用(特にトウモロコシは8割近く)とした根拠、穀物の1割以上を加工用とした根拠などが不明。
【2】粗食料から純食料(食べられる状態の食料-可食部)となる割合を「歩留り」としているが、主に飼料用途のトウモロコシや加工向け大麦などは年ごとの変動が比較的激しく、摂取カロリーを中心とする成分摂取量が年による変動を起こしかねない。このような数値を使うには変動を平準化するための方法、例えば数値の固定化あるいは移動平均化などの措置が必要と思われるが、このようにしない理由は不明。
【3】「飼料自給率」を牧草・わら・発酵剤であるサイレージ・野草などの粗飼料とトウモロコシやコメの副産物であるフスマ(コメの場合は玄米を精米にすると出る粉、麦の場合は粉にする際に出る外皮部と胚芽部分でやはり粉状)、貝殻粉、人工栄養剤、抗菌剤などを混ぜたもの全体の供給量を分母とし国産を分子にして割り算、結果を26%(2021年度の例)としている。しかし、飼料は豚や鶏とでは内容が同じではない。畜産物の差を無視した一律の飼料自給率とする理由は不明であり、果たして科学的といえるか疑問。
【4】さらに「飼料自給率」の計算だけは、多くの種類の飼料や原材料をTDN(可消化養分総量という)という単位に置き換えて試算している。農水省がこうした方式をとっているのは畜産物の飼料だけであり、ヒトが食べるコメや小麦、魚介類や野菜などその他には採用していない。その理由は不明だ。
 畜産物・食用油・みそ・しょうゆのように原料となる生産物から二次的に作る食料のカロリーベース自給率の試算に当たっては、畜産物であれば家畜の種類ごとに、食用油であれば原料ごとに、みそやしょうゆであればその原材料である大豆・コメとそれぞれの加工形態である2次製品との間の飼料要求率(重量単位で牛肉1はトウモロコシ11など)や還元率(例えば重量単位で大豆油1は大豆5.3に相当など)を用いてカロリー換算すべきだ。なぜ飼料だけにTDNという異なる単位を計算に用いるのか。
 TDNはほぼ日本でしか使われていない。自給率を出している国では飼料についてもカロリーを用いている。畜産学系大学の某教授もこの状況には疑問を呈している。
【5】農水省のホームページには、日本の食料自給率のほか、アメリカ・カナダなど11か国の自給率が「諸外国・地域の食料自給率等」として掲載されている。しかし、実はその試算方式は日本の自給率で使う試算方式とは違うことが確認された。計算方式が違えば比較すること自体に意味がない。そのようなものを発表する意図が不明。そもそもそこで示された諸外国と同じ方式による日本の食料自給率は試算しない方針だそうだが、その理由も不明である。
 重量ベースと生産額ベースという自給率
 農水省の食料自給率についてはカロリーベース以外にも、重量ベースと生産額ベースがある。3種類もの食料自給率を同時に作成している国は日本だけであるが、一応これについてもふれておこう。
(1)重量ベース食料自給率
 長い間、少なくとも日本政府や中国の情報筋は重量ベース食料自給率を作成し続けている。中国の場合、「糧食自給率」などの表現以外の食料自給率は公表していない。作成すらしていない可能性がある。また、公式的に発表された食料自給率は存在しない。
 農水省は2021年度の飼料を含む穀物全体の重量ベース自給率を29%、牛肉や豚肉を肉類として合算した自給率を53%と公表している。肉類については、このほか牛肉、豚肉など個別の重量ベース自給率も掲げている。
 穀物を1つに合算した自給率を試算する場合、食料としての用途も栄養成分も異なるコメとトウモロコシを合算することにほとんど意味がないだろう。
 ただし、ある食料単独の、たとえば「コメ」や「豚肉」などと個別の自給率を出すことにおいては意味がある。この場合には、コメの食料自給率60%、豚肉35%というように。もちろん、豚肉は飼料を1次原料とする2次製品という性格を持つから、飼料の自給率を厳密に把握した上でなければならない。
(2)生産額ベース食料自給率
 これについては、まったく意味がないばかりか消費者を迷わすものであろう。こんなやり方をとっている国は、世界広しといえども日本を含むわずか3つの国・地域 にすぎない。イギリス政府と台湾が同様の試算を公表しているが、双方とも「生産額ベース」という表現は使っていないばかりか、「食料」の範囲が日本とは異なるうえに、計算の方法も同じではなく、日本の生産額ベースと並べて比較すること自体に意味は乏しい。
 農水省は、「生産額ベース食料自給率」を国民に供給される食料の国内消費仕向額(1年間に市場に出回った額)に対する国内生産額の割合を示す指標と説明している。2021年度のものでは58%となっていて、カロリーベース自給率よりもずっと高い。2021年度は66%だったので年度間の変動が大きいという、この方式の欠点ともいえる現象が浮き彫りになったようである。
 しかし、そもそも価格は毎日のように変動するし、自給率の試算に当たって、どの品種でどこの市場のどの価格をとるか、消費時点(年度)とその食料の生産時点、そして為替変動を含めて輸入時点で変動しうる輸入価格をどう決めるのか、など単純な問題がこの方式では放置されている。こうした点をひとまずおいて、とにかく「消費量」といったところで、価格変動はつきものだから不安定なことは変わりなかろう。
 そして、もう一つ問題なのは、食料自給率の算式では分母に位置する輸入価格の方が分母と分子双方に位置する国産価格よりも安いのが一般的なはずだから(そうでなければ輸入に意味はない)、計算上、分子が相対的に高くなりやすい。
 単純化して説明しよう。ある穀物が国産100キログラム、輸入50キログラム、すなわち消費150キログラムとする。そして1キログラム当たり単価が、国産2円、輸入1円。この場合、生産額ベース自給率は、
 (100×2)/((100×2)+(50×1))=0.8(自給率80%)
 もし、輸入価格が下がって1キログラム0.5円となったとすると、
 (100×2)/((100×2)+(50×0.5))=0.888(自給率89%)
 国産量も輸入量も変わらないのに、輸入農産物が価格低下あるいは円高により、自給率は逆に上がってしまうのである。逆もまた真である。輸入価格が上昇あるいは円安になれば自給率は低下しよう。この本質を見落とすことは「食料危機」の現実から目を逸らすもの以外のなにものでもないだろう。
●高橋五郎(たかはし・ごろう)
 1948年新潟県生まれ。農学博士(千葉大学)。愛知大学名誉教授・同大国際中国学研究センターフェロー。中国経済経営学会名誉会員。専門分野は中国・アジアの食料・農業問題、世界の飢餓問題。主な著書に『農民も土も水も悲惨な中国農業』2009年(朝日新書)、『新型世界食料危機の時代』2011年(論創社)、『日中食品汚染』2014年(文春新書)、『デジタル食品の恐怖』2016年(新潮新書)、『中国が世界を牛耳る100の分野』2022年(光文社新書)など。
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