🐙7〗─1─【食料安保を問う】(上)低空飛行続く食料自給率 幅広い共感どう醸成。~No.20No.21No.22 ④ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 太平洋戦争の原因は、石油ではなく食料の為であった。
 軍国日本は、食糧・物資・石油の輸入国であったが、アメリカ・イギリス・オランダによる日本資産凍結と輸入禁止の経済封鎖によって食糧を購入する事も輸入する事もできなくなり、惨めに飢えて死ぬか武士として戦って死ぬかの二者選択で、戦っても勝てない事が分かっている武士らしく戦って死ぬ事を決断した。
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 現代日本人は昔の日本人ではない。
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 現代日本には、武士・サムライはもちろん庶民(百姓・町人)もいない。
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 2020年10月6日 産経新聞「【食料安保を問う】(上)低空飛行続く食料自給率 幅広い共感どう醸成
 食料の安定供給は国家の最も基本的な責務の一つとなっている(本文と写真は関係ありません)
 「食料の安定供給は、必ずしも確定的なものでは決してない」。9月8日、食品メーカーのトップらとテレビ会議で行った意見交換で、江藤拓農林水産相(当時)はこう強調した。新型コロナウイルス禍もあり、国民が十分かつ良質な食料を合理的な価格で常に入手できる「食料安全保障」への関心が高まっている。
 その指標の一つが、国内の食料消費が国内の農業生産でどれだけ賄えているかを示す「食料自給率」だ。
 8月に発表された令和元年度のカロリーベースの食料自給率は、過去最低水準だった前年度から1ポイント上昇の38%(概算値)だった。前年度から上がったのは実に11年ぶりだが、厳密には0・40ポイント上昇にすぎず、本格的な回復には程遠い。先進国では最低レベルだ。
 政府は3月、今後10年間の農政の指針となる「食料・農業・農村基本計画」を5年ぶりに改定し、カロリーベースの食料自給率を12年度に45%とする目標を掲げた。だが、7ポイントの隔たりを埋める道筋はみえない。
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 カロリーベースの食料自給率は昭和40年度に73%あったが、平成元年度に50%を切り、5年度と30年度は過去最低の37%に沈んだ。食生活の変化で、ほぼ自給できている米の消費が減少する一方、飼料や原料の多くを海外に頼る畜産物などの消費が増えたためだ。
 政府は12年から5年ごとに食料・農業・農村基本計画を策定し、その時点から10年後のカロリーベースの食料自給率の目標を45%(22年策定の基本計画は50%)に設定し、向上を目指した。だが、実際には低下傾向にあり、この間に45%に届いたことはない。
 「食料自給率の向上は政府が旗を振っている話としか認識されておらず、地方や農業者、消費者なども含めて幅広く共感を得られる『皆のもの』になっていない」。JAグループを代表する全国農業協同組合中央会(JA全中)で食料安保に長年携わってきた馬場利彦専務理事はこう語る。
 なぜ食料自給率を向上させるのか。幅広い国民の意識や行動に働きかける取り組みはまだこれからだ。
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 食料自給率の在り方には異論も聞かれる。元農水省官僚でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「食料自給率は食料供給力の指標ではない。食料自給率の向上は、予算獲得や関税維持のための看板にすぎない」と厳しい。
 山下氏は「食料自給率が向上すれば、もう農業予算などいらないのではないかといわれてしまう。農水省にとっては、低いままのほうがいいのだ」と話す。
 9月3日に開かれた自民党の農林関連の会議。令和3年度の農林予算の概算要求に向けた党内議論が始まる中、出席者からは「政府の経済財政運営の指針『骨太方針』に明記された『食料安全保障の確立』を前面に出すべきだ」と、食料安保への言及が相次いだ。食料安保には農業保護と結びつきやすい一面がある。
 さまざまな見解があるとはいえ、江藤氏の後任となった野上浩太郎農水相が指摘するように、「食料の安定供給は国家の最も基本的な責務の一つ」である。第2次安倍晋三政権を継承した菅義偉政権には、国民への食料供給を盤石にする政策の深化が求められる。」
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 10月10日 産経新聞「【食料安保を問う】(下)コロナ禍、食料安保に一石 供給網の強靭化が急務 
 スイスでは約3年前、食料安全保障の憲法への明記を国民投票で決めた=北部フィリゲン近郊(ロイター)
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 「新型コロナウイルスの感染拡大は、食料安全保障を見直す一つの契機になった」。農林水産省の幹部はこう強調する。感染症という従来はあまり考慮されていなかったリスクが、食料安保を揺さぶっている。
 「コロナ禍」のもと、食料囲い込みのために農産物・食品の輸出を制限したのは累計で20カ国に達した。10月6日時点のまとめでは6カ国が続けている。こうした動きは、2008年に食料価格が世界的に高騰した局面でもみられた現象だ。国際機関などは輸出制限の乱用を戒めている。
 また、コロナ禍に伴う出入国制限の影響で、欧米では出稼ぎ労働者、日本では中国などアジア圏からの外国人技能実習生の確保が難しくなり、農業の生産現場は人手不足に悩まされた。
 足元ではコロナ禍以外の脅威もある。アフリカ東部やインドなどでは、大発生したサバクトビバッタの食害が深刻化。アジアで感染が拡大するアフリカ豚熱には有効なワクチンがない。
 「悪いときに悪いことがいくつも重なっていくと、『食料危機』が発生することもある」。農林中金総合研究所の平澤明彦基礎研究部長はこう警鐘を鳴らす。
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 ただしコロナ禍の中でも、世界全体でならせば食料の不足感はさほどない。米農務省が9月11日に発表した穀物などの需給報告によると、20~21年度の小麦やトウモロコシ、米、大豆の世界の生産量はいずれも過去最高となる見通し。穀物の国際価格も08、09年や12年といった過去の高騰局面と比べれば水準は低い。
 野上浩太郎農水相は「現時点で(日本の)国民への食料供給に大きな問題は発生していない」と話す。
 他方、コロナ禍では国内外で買いだめの動きがみられるなど、食料事情への鋭い反応が鮮明になった。
 生産者から消費者に食料を届ける「フードサプライチェーン(食料供給網)」の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したのもコロナ禍の特徴だ。米国で今春、食肉加工工場の従業員の間で新型コロナの集団感染が広がり、工場閉鎖が相次ぎ、食肉の供給不安が持ち上がったのはその好例だ。
 「食料供給網の強靱(きょうじん)化が世界の食料安保の確保に大きく貢献する」。9月上旬に開かれた国連食糧農業機関(FAO)アジア・太平洋地域総会で、日本の河野義博農林水産政務官(当時)はこう訴えた。
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 食料安保を重視する動きは、海外ではコロナ禍の以前からあった。スイスでは17年、食料安保憲法に明記することの賛否を問う国民投票があり、8割近い賛成を得た。農地など農業の生産基盤の維持、国際貿易の構築といった計5項目を促進する内容だ。
 スイスは酪農国だが、山岳地が多く耕地は少ない。17年のカロリーベースの食料自給率は52%と欧州では低いほうで、日本との共通点もある。農林中金総合研究所の平澤氏は「食料安保を実現するための条件を具体的に示しただけでなく、国民的合意を得られる内容とした」と意義を語る。
 世界の人口は途上国を中心に増加し、食料需要は増大する。異常気象や大規模な自然災害の多発も農産物の生産を脅かす。世界有数の農産物の純輸入国である日本は「総合的な食料安保の確立」に向けて入念なかじ取りが求められている。
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 この連載は森田晶宏が担当しました。」
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