🌌33}─5─遺伝子汚染。在来種は外来種との交雑で絶滅の引き金になる。~No.167 

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 2023年9月30日 MicrosoftStartニュース 上毛新聞ニュース「「遺伝子汚染」群馬県内でも 外来との交雑が絶滅引き金に
 東毛地域のペットショップで販売されていたチュウゴクスジエビ(内田さん提供)(上)と遺伝子汚染が見つかった県産の野生メダカ(佐藤准教授提供)
 © 上毛新聞社
 外来生物と在来生物が交雑して起こる「遺伝子汚染」=ズーム=という現象が群馬県内で広がっている。種や個体群の存続に関連する要素がこれにより変化した場合、絶滅の引き金になるとも指摘される。生きたまま売られているさまざまな生物は、野生に放されると近縁の在来生物と交雑する可能性がある。県内ではメダカなどで遺伝子汚染の報告があり、目に見えない脅威が自然界に広がりつつある。
 今年4月、東毛地域のペットショップで販売されていた小エビの中に、中国などが原産の「チュウゴクスジエビ」が紛れ込んでいたとする論文が、県立自然史博物館(富岡市)の研究報告に掲載された。
 チュウゴクスジエビは、釣り餌などに利用する目的で国内に持ち込まれた淡水エビ。論文の筆頭著者で、環境調査を手がける環境指標生物(東京)の内田大貴さんによると、繁殖力が強いこのエビは、生息環境が重複する在来種「スジエビ」と競合する上、両種は遺伝的に近い関係だという。本県でチュウゴクスジエビの定着は確認されていないが、内田さんは「川や池に放流されるとスジエビと交雑し、雑種が生まれる可能性がある」と危惧する。
 交雑による遺伝子汚染の影響は、異種間だけにとどまらない。群馬大共同教育学部の佐藤綾准教授(行動生態学)によると、同種の生物でも、長期間にわたり地理的に隔離されてきた集団間では、遺伝的な差異が存在する。移入された個体との交雑が進んだ場合には「地域オリジナルの集団がいなくなってしまう」と指摘する。
 さらに、遺伝子の変化が次世代にどのような影響を与えるのかという評価が難しい。仮に繁殖や生存などに関する要素が変化した個体が広がれば、種や個体群が存続できなくなり、絶滅する危険性も生じる。
 在来生物の遺伝子汚染は県内でも確認されている。佐藤准教授らは2018、19年、前橋市館林市に生息する野生メダカの遺伝子を解析し、販売品種のヒメダカやクロメダカに由来する特徴を発見した。「誰かが放流した個体や、捨てられた水草などに付着した卵から生まれた魚と交雑した可能性が高い」という。
 県版レッドデータブックによると、本県の在来種「ミナミメダカ」は絶滅の危険性が最も高い「絶滅危惧ⅠA類」に分類されており、遺伝子汚染が広がれば、希少となった個体群の存続にも悪影響を与える恐れがある。佐藤准教授は「遺伝子という目に見えない存在にも関心を持ってほしい」と訴えている。
 ズーム 遺伝子汚染 人間が持ち込んだ生き物が、近縁の野生生物と交雑することで、在来の遺伝的特徴が失われる現象。生物多様性環境保護の観点から問題視されている。「遺伝的撹乱(かくらん)」「遺伝子移入」とも呼ばれ、国内では魚類や両生類、昆虫、植物などで広く報告されている。
 東毛地域のペットショップで販売されていたチュウゴクスジエビ(内田さん提供)(上)と遺伝子汚染が見つかった県産の野生メダカ(佐藤准教授提供)
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