⚜10〗─2─新たな経済成長戦略としてのリープフロッグ(カエル飛び)。~No.29No.30No.31 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 1940年体制とは、昭和15年に近衛文麿首相、東条英機陸相松岡洋右外相らが戦争遂行の為につくった国家総力戦体勢である。
 それは、マルクス主義社会主義統制経済・計画経済で、国家主導による対外進出の護送船団方式である。
 1940年体制のもと天皇・国家・国民そして軍部が一丸となって、政府決定に従って団結し行動した。
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 忠良なる臣民は、天皇や国家を疑わず信じきり、政府と軍部の命令を天皇の命令として命を捨てて実行した。
 それは国難であり、国家存亡の危機であり、民族生存の危機であったからである。
 日本は四面楚歌として、敵国に囲まれ猛攻を受けていたからである。
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 日本陸軍内の朝鮮人の将軍や高級将校は、日本人兵士に命令をくだしていた。
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 2021年5月号 Voice「経済大波乱 危機の日本、リープフロッグの条件
 なぜ日本はこれまでに凋落してしまったか。それは『1940年体制』を見直すことなく、80年代に訪れた基本条件の変化に対応できなかったからだ。企業と政府、それぞれがいま期すべきこと──
 野口悠紀雄
 80年代の世界的変化に適応できなかった日本
 日本経済の長期的な衰退は、多くの国民がコロナ以前から承知していたことでしょう。
 一人あたり名目GDPや労働生産性(就業者一人あたり付加価値)は、OECD経済協力開発機構)加盟国37カ国のなかで、それぞれ19位と26位と低迷を続けています(いじれも2019年調査)。一人あたり名目GDPでは、OECDに加盟していないシンガポールや香港のほうがはるかに上です。あえていえば、わが国は遠くない将来、OECDから追い出されても文句はいえません。日本はもはや『先進国』とはいえない状況に追い込まれています。
 日本凋落の原因は、戦後の世界を規定していた基本条件が、1980年ごろに変わったことです。第一は新興国の工業化で、とくに重要なのは中国です。それまで製造業で、とくに重要なのは中国です。それまで製造業は先進国の主要産業であったのですが、これが新興国にとってかわられた。この変化に対応できたか否(いな)かが、その後の各国の運命を明確に決定づけました。
 第二の変化は、情報技術の内容が大転換したことです。すなわち、メインフレームコンピュータとデータ通信という集権的な仕組みから、PC(パーソナルコンピュータ)とインターネットという分散型の情報を中心とする仕組みへの変化、つまりは『IT革命』が社会を大きく変えました。
 ドイツやフランスはこうした変化に対応できませんでしたが、より顕著な例が日本です。正反対なのがアイルランドで、70年代ごろまではヨーロッパでもっとも貧しい国の一つであったにもかかわず、IT革命に適切に対応した結果、現在では一人あたりGDPや生産性で世界の戦闘集団の一員です。大国ではアメリカ成功しています。これらの国々は産業構造を変えたことによって現在でも顕著な成長を続けています。
 そうした状況下で世界を襲ったのが、新型コロナウイルスです。日本ではじつに多くの問題が暴露されました。まず、政府が何もできなかった。新型コロナ禍が発生して以来、政府はいくつもの政策を打ち出しました。布マスクの配布から始まり、特別定額給付金の支給、そして接触確認アプリ『COCOA』の開発などしかし、これらはいずれも不備や遅れが指摘され、大混乱を生むケースさえありました。
 たとえば、特別定額給付金は全体で約13兆円という莫大な支出がなされました。しかし、コロナ禍で日本人の所得が下がったかといえば、多くの世帯ではそんなことはなかった。『家計調査』によれば、勤労世帯の勤務先収入は、対前年同月比で1~2%落ち込んだ程度です。それにもかかわず、1世帯平均20万~30万円を給付したのは、明らかに過剰給付です。ほとんどの家庭は給付金を貯蓄に回したため、消費を増加させる効果もなかった。特別定額給付金は『史上最大の無駄なばら撒(ま)き』にほかなりません。
 いま、勤労者世帯の勤務先収入は下がらなかったと延べました。しかし、著(いちじる)しく影響を受けた分野があることは事実です。企業規模でいえば、大企業ではなく零細企業がダメージを受け、営業利益が赤字になっています。なかには利益余剰金(内部保留)がマイナスになるという、信じがたいような状態も起きています。とりわけ宿泊や飲食、娯楽などの対人サービス業に代表される産業は苦境に立たされ、売上が50%以上おちていることも珍しくはありません。法人企業以外の分野、つまり個人企業やフリーランサーでは職を失うような状況も生まれています。
 したがって、政府が本来為(な)すべきだったのは、一律の定額金をばら撒くことではなく、どこが大きなダメージを受けているか、困っているかををはっきりと捉えて、そこに援助を集中することだったはずです。その点において無策だったため、日本社会の格差が目に見えて拡大してしまったのです。『格差拡大』は象徴的な概念として語られがちですが、統計を細かく分析し、実際にどの分野がどれほどのダメージを受けているかを明確に捉えていかなければいけません。
 『リープフロッグ』で躍進した中国
 このように、日本の苦境が深刻化しているわけですが。そうした状況下で学ぶべきが『リープフロッグ』の仕組みと歴史です。
 リープフロッグは直訳すれば『カエル飛び』のことで、遅れている者が先行者に追いつくのではなく、カエルが勢よく跳ねるように飛び越えて先を行くことを指しました。この現象は世界史には幾度も起きています。
 人類史においては中国が長いあいだ最先端に君臨していましたが、やがてヨーロッパが大航海時代に中国を追い越した。産業革命をリードしたイギリスはその典型例ですが、しかしそのイギリスも19世紀末から20世紀にかけて電気の時代が訪れると対応できず、ドイツやアメリカが追い抜いた。
 そして、現代社会においてリープフロッグをはたして先頭の一国に返り咲いたのが中国です。中国がいま、さまざまな分野で世界の最先端を走っています。……
 スマートフォンの普及についても、同じことがいえます。日本やアメリカ、ヨーロッパの先進国では、国民のほとんどが早くから固定電話を引いていて今したから、スマートフォンが登場した当初は、どうしても使わないといけないという状況ではありませんでした。一方の中国では固定電話が普及していなかったために、人びとはスマートフォンという新しい技術に躊躇なく飛びついた。これも典型的なリープフロッグです。……
 すでに確立された仕組みは、改革や革新に対して阻害(そがい)要因となります。商業施設があればeコマースは必要ないし、固定電話があればスマートフォンに移行しない。ビルは更地のうえに建てるのが早く、木造建築が密集しているところを選ぶと、むしろ時間がかかるのと同じです。つまり、中国は更地であったために劇的な発展が可能だったのであり、日本をはじめとした国々は木造建築=既存の社会システムがあったために身動きがとれなかったのです。
 『1940年体制』のシステムに縛られている
 冒頭で日本が遅れた要因として、80年代までの情報システムから抜け出せなかったことを指摘しました。このシステムは、いまでも残っています。とくに大企業は、『レガシーシステム』に足を縛られて時代の変化に適応できていません。典型例が、みずほ銀行のシステム障害でしょう。
 これは社会あるいは組織の仕組みが完全に固定されていることの反映です。だから新しい情報技術に対応できない。私は、このような戦後日本社会の仕組みを『1940年体制』と読んでいます。これらが、いずれも戦時中に総力戦体制を確立するためにつくられた仕組みだからです。会社第一主義、終身雇用、年功序列。組織は閉鎖的で、労働市場は流動的ではありません。
 この仕組みは製造業の発展には適していました。労働者が一つの企業に留まり、技術を高めることができるからです。これが、かつての高度経済成長を支えたのは事実です。しかし80年代以降、新興国が工業化して世界的水平分業に舵を切るげき局面において、また分散的な情報システムを使うべき状況において、1940年体制の日本の組織は対応できませんでした。これは、非常に根が深い問題ですが、私たちはこの状況を40年近く放置していたわけです。
 とこりで、リープフロッグとキャッチアップは異なるものです。遅れた者が有利になる『後発的利益』という点では同じですが、キャッチアップは、先行者を手本とし、それを真似て追いつく現象です。リープフロッグのように『追い抜く』ことではない。見本があるから追いつきやすいのはたしかですが、飛び越えるわけではありません。欧米を手本とした日本の明治時代の工業化や、戦後の高度経済成長は典型的なキャッチアップです。
 明治日本にしても戦後日本にしても、一部で欧米を追い抜いた面があるのは事実です。伊集院信管などの開発でロシア・バルチック艦隊を撃破した日露戦争日本海海戦、あるいは戦後のエレクトロニクスや自動車産業の躍進はその例です。しかし、社会全体として欧米諸国を追い抜いたわけではありませんでした。
 なお、後発的利益とは、決して自明のことではありません。先進国の周りに貧しい国があれば、利益は中心に吸い上げられて周辺国はますます不利になる。これは、たとえればアフリカが発展できないことを説明する際に用いられる議論です。
 『後発』であることは、リープフロッグが起きるための必要条件です。しかし、十分条件ではありません。もし日本人が、自分たちはいま遅れているから、いつかりできると安易に考えてしまえば、ますます遅れるだけに終わるでしょう。
 失われた企業の独立心と改革意欲
 では、リープフロッグを起こすための条件とは何でしょうか。まず、『更地』を生み出すために、1940年体制の社会や組織を壊すことが挙げられます。これは決して容易な課題ではありませんが、日本の凋落がここまできたいまこそ、必要なことです。
 第二の条件は、新しいビジネスモデルを生み出すことです。……
 ……
 新しいビジネスモデルを構築するには、企業の力に依(よ)るしかありません。アメリカのGAFAはアメリカ政府が援助したから成長したわけではないのです。ところが日本では2000年代以降、とくにリーマンショックが起きてからは、製造業の大企業にまであからさまな補助金が与えられるようになった。その結果、企業が政府に頼る傾向が広がってしまったのです。政府と企業が連携していた戦時体制下の悪い面だけが、いま膨(ふく)らんでいるといってもよい。企業の独立心が失われたわけで、これでは新しいビジネスモデルが生まれるとは思いません。
 日本がリープフロッグをめざすためには、政府が『国がリードすれば経済がよくなる』という幻想をふりまかないことから始めるべきです。政府が積極的に口を出せば、そのぶんだけ経済成長は弱まります。アリババの場合、その驚異的な成長は中央政府の後押しが理由ではありません。中国では鄧小平の改革開放政策以降、重要な産業は政府が主導してきたのですが、電子マネーやeコマースに関しては補助も与えず、自由に活動させています。その状況下で躍進を遂げたのがアリババです。
 企業にせよ個人にせよ、政府に依存せず、自分たちがリープフロッグできることを信じ、新しいビジネスモデルに向けた努力を重ねる。このほかに現在の窮境(きゅうきょう)を打開する道はありません。その積み重ねが日本という国全体を押し上げるはずです。
 政府は国民の信頼を取り戻せ
 しかし、だからといって政府は何もしなくてもいいというわけではありません。デジタル庁創設の動きは評価すべきと考えますが、その一方で、総務省幹部の接待問題などが報道されました。国民の政府への信頼度が棄損(きそん)されたのは間違いないでしょう。デジタル化にしても、政府の政策は何かの利権が伴っていると疑われてしまうことが大問題であり、私はその意味で一連のスキャンダルは決して無視できないと捉えています。
 政府がはたすべきこととして、国民の信頼を獲得すること以外にありません。もしそれがなければ、いかにデジタル化を唱えても、いかに素晴らしい新しいシステムを導入すると語っても、誰もついていきません。
 信頼さえ獲得できれば、政府には多くの可能性がある。バルト3国の一つであるエストニアは世界でもっともデジタル化が進み、政府がプロックチェーンを用いた新しいシステムを構築して、コロナ禍でも問題なく稼働させました。同国の政府がいうには、デジタル化とは技術の問題ではあるが、それと同時に国民が政府を信頼することが重要だとしています。
 エストニア旧ソ連の一部であり、独立したあともロシアの危機に脅かされ続けました。デジタル国家に変貌を遂げたのも、ロシアからのサイバー攻撃に対抗する意味合いもあったからです。
 日本ではこれまで漠然(ばくぜん)として危機感を共有されていましたが、コロナ禍が顕在化したわけです。もちろん、ロシアの脅威ほどではないにせよ、ある意味ではこれを革新へのチャンスに変えなければなりません。
 繰り返しますが、そのために、政府は国民の信頼を得なければなりません。そして、企業や国民は独立心をもって、自分たちの手で新たなビジネスモデルを生み出していく。私たちにいまもっとも必要なのは、リープフロッグが可能だと信じて、努力することです。」
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 「人口こそが国力である」との思想のもと、戦争勝利には最強の兵士を、経済成長には最優秀な技術者・労働者を、必要な人員を増やす事が国家緊急の最優先課題として、人口を増やす為に「産めよ殖えよ」の育児政策を行った。
 国家は人口を増やすべく、国策として結婚と出産を奨励した為にベビーブームが始まった。
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 総人口は、明治初期には約3,000万人で、昭和20年には約8,000万人で、昭和55年には約1億3,000万人に急増した。
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 人生50年時代の人口爆発マルクス主義社会主義の国家主導経済で、戦後復興、高度経済成長、バブル経済が成功した。
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 日本民族の伝統文化の特性は、換骨奪胎(かんこつだったい)ではなく接木変異(つぎきへんい)である。
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 現代の高学歴な知的エリートと進歩的インテリは、敗戦後の政治家や官僚はおろか、戦前の革新官僚らに比べものにならない。
 現代の高学歴な知的エリートと進歩的インテリとは、ガラパゴス化・蛸壺化してデジタル改革・AT改革に反対・抵抗している時代遅れのリベラル派戦後民主主義世代とその薫陶を受けた頭脳明晰な優れた次世代である。
 リベラル派戦後民主主義世代とその薫陶を受けた頭脳明晰な優れた次世代こそが、1940年体制での最大の恩恵を受けた日本人で、敗戦後日本をG7先進国・科学技術立国に押し上げたが、同時に新しい科学技術によるモノ作りを壊し製造業を衰弱させ経済を衰退させ後進国並みにまで落とした張本人である。
 一般国民は、リベラル派戦後民主主義世代と次世代を信用していない。
 日本を新しい国に生まれ変わるのを妨害する時代遅れの抵抗勢力は、アナログ信奉者のリベラル派戦後民主主義世代と次世代である。
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リープフロッグ 逆転勝ちの経済学 (文春新書)
ブロックチェーン革命[新版] 分散自律型社会の出現 (日経ビジネス人文庫)
経験なき経済危機――日本はこの試練を成長への転機になしうるか?