🍽87}─3─TPPで、日本農業は安値の外国産で大打撃を受け、日本農家は後継者を失って激減する。和牛。~No.202No.203No.204@⑱ 

TPPと食料安保――韓米FTAから考える

TPPと食料安保――韓米FTAから考える

   ・   ・   ・   
 プロフィールに、6つのブログを立ち上げる。↗
   ・   ・   【東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博】・   
 エマニュエル・トッド「(なぜ、FTAやTPPに反対するか)理由は2つあります。 1つは、自由貿易圏は順調に行っているときはよいのですが、何らかの原因で世界同時不況になったり、それ以上の世界恐慌になったりすると、各国政府が金融市場・株式市場を制御できなくなり、自由貿易圏が手に負えないモンスターのようになってしまう恐れがあるという事です。
 もう一つは、自由貿易は先進国の労働者の収入を減らして生活水準を引き下げるからです。『自由』という言葉は良い響きを持っていて、『自由』貿易も何となく好ましいものと思いがちなのですが、自由貿易というのは、個々の企業にとっては大変な制度なのです。
 自由貿易体制の下では、個々の企業は日々、世界中の同業の会社と競争しなければならない。競争に勝つ為には、他社より安いコストで良い製品・サービスを提供しなければなりません。
 その為には、従業員は同時に製品・サービスを買う消費者であるという事を忘れられ、いかに人件費を安く抑えるかという事に個々の企業は腐心するようになります。その結果が正規雇用の減少、非正規雇用の増大です。非正規雇用の労働者の生活は不安定で下層階級を構成するようになり、結婚もできないから、結婚して子供ができても十分な教育を授ける事ができないので、子供の世代も下層階級に留まる事になり、格差社会になって行きます。このように、自由貿易は労働者を不幸にし、社会を不安定にするのです。
 ……
 (人口減少、高齢化について)私はたとえば医師やエンジニアといった外国人の知的労働者は移民として受け入れるべきだと思います。このような人たちは子供の教育にも熱心ですから、次の世代が社会の底辺を構成することなく、単純労働者受け入れるような心配はありません。
 他方、単純労働者を受け入れたらどうなるかは、ドイツなど西ヨーロッパ諸国の現状を見れば、その社会・経済的コストは明らかでしょう。
 普遍性を追求しがちな欧米的世界の中で多様性の大切さを示している重要な国がにほんですが、国内で単純労働の移民がもたらす人種的な多様性まで受け入れる用意ができるでしょうか」
   ・   ・   ・   
 時代は、地方の生産者より都市部の消費者優位となり、少子高齢化で生産者より消費者が多くなり、人口減少で消費者人口が激減し始めた。
 若者達は、肉食化から草食化にそして女性化して、強欲趣向から低欲趣向となり、浪費に近い大量消費をしなくなった。
 見栄を張り、借金をして、高価な最先端高性能製品を買って部屋に並べてゴージャスに生活する事を嫌い。
 収入に合った生活する為に、最低限必要な商品を安価で数少なく購入してシンプルに人生を楽しむ。
 一般の消費者は、口では日本農業の将来と日本農家を生産を心配するが、実際は、家計を考慮して購入するのは安価な外国産である。
 TPPで安価な商品が大量に押し寄せる事は、都市部の消費者にとって得をする事で損にはならない。
 「食べて生きる」事において、国産でも外国産でも変わりはない。
 事実。日本の食卓から、手軽に調理できて子供受けが良い西欧食アメリカ食が主流となり、手間数が多く子供が嫌がる和食が減少している。
 女性の社会参加、主婦の仕事場復帰などによる共稼ぎが増えれば、なおさら家庭料理から和食は敬遠される。
 それが、時代の流れである。
 家庭のグローバル化という「時流に乗る」ならば、家庭内のローカルな和食は捨てるしかない。
 日本の生産者、日本農家は、後継者不足と収入源減少で激減する。
 そして、日本の食糧自給率は増える事はなく、食糧の海外依存度を高めていく。
 貴重な田畑は、後継者不足から耕作放棄され、人口増加を期待して宅地などで潰されている。
 都市部の消費者は、地方の生産者を心配する振りをするが、実際は気にはしない。
   ・   ・   ・   
 日本農業は、合理的な資本集約的産業ではなく非合理的な無駄が多い労働集約的産業で、費用対効果からして収益が少ない貧弱な産業である。
 そして、競争力が弱い。
 継続能力も競争力もない産業は、それが如何に重要な産業であろうとも淘汰される。
   ・   ・   ・   
 地球規模では、人口爆発による食糧消費の増加と地球温暖化で世界の農産物生産地帯減少で、将来において深刻な食糧不足は避けられなくなっている。
   ・   ・   ・   
 偏執的動物愛護団体は、命は平等であり全ての動物は保護するべきであるとして、屠殺される家畜の数が激減し、畜産農家の数が減少して、日本畜産業が衰退する事を歓迎している。
   ・   ・   ・   
 2016年1月3日・10日号 サンデー毎日「TPPの罠 攻めの農業のウソ  青沼陽一郎
 ブランド和牛は消滅する!?
 但馬牛『神戸ビーフ』が食べられなくなる・・・農水省の『愚策』
 繁殖農家に無気力『もうやめるしかない』
 」2015年10月5日に米国アトランタで開かれた閣僚級会議で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が大筋合意した直後に、農林水産省は国内の農産品への影響について、品目別に分析している。そこで、もっとも影響が懸念されるのは、牛肉、豚肉、それに乳製品だった。
 その後、急務となった自民党の農林部会によるTPP対策、続いて政府が決定したTPP対策要綱では、具体的に牛・豚肉農家への経営安定化、赤字補填などの支援策を盛り込んでいる。
 その一方で、政府が強調するのが『攻めの農林水産業への転換』だった。ここでも『平成32年の農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の前倒しを目指す』と具体的数値を掲げ、農林水産業の体質強化をはかり、優れた経営感覚を備えた担い手を育成、支援をする。
 そこで、期待がかかあるのが『和牛』である。
 第二次安倍政権の発足から、やはり提唱されてきた『攻めの農業』『農業の6次産業化』の狙いと、折からの〝和食ブーム〟もあって、和牛の輸出はここのところ伸びている。
 とはいえ、大筋合意で打撃を受けるとされる牛・豚肉、乳製品は、そもそもTPP交渉参加の前提となる13年4月の国会決議において、米、麦、砂糖類といっしょに、関税撤廃の例外とする『重要五項目』に入れられ、『聖域』として保護の対象になっていたはずだった。それが交渉を進める条件だったはずだ。
 その決議文には、『重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。10年を超える期間をかけて段階的な関税撤廃も含め認めないこと』とする条項まである。
 それが合意内容によると、牛肉は現在の38.5%の関税を、発効時には27.5%に引き下げ、10年で20%、16年目以降は9%に段階的に引き下げらるというもの。一方で豚肉は、安い肉で1キロあたり482円の関税がかけられているものを、発効時に125円に、5年目に70円に、10年目以降は50円に引き下げられていく。
 『交渉内容は一切非公開だったはずなのに、あるときから豚肉は関税が50円になると報道されるようになりました。大筋合意で内容が明らかになると、本当にその通り。本当にショックを受けるばなのに、事前に漏れ伝わっていた分だけ、衝撃もなく、政府にいいように心理操作され、結果的に騙された印象です』
 そう語る養豚関係者がいる一方で、和牛を育てる、ある農家からは、
 『予想はしていたけれど、呆れているよ』
 という声が聞こえてくる。
 『これじゃあ、国会決議違反もいいところ。ところが、交渉にあたった甘利利明TPP担当大臣は「関税はゼロではない、コアは守った」と言うんだ。詐欺みたいなものだと』
 政府は15年度の補正予算案に、農業のTPP対策として3,122億円を計上している。もはや、赤字補填と体質強化が迫られる時点で『再生産可能』ではなく、採択された国会決議の文面にも違反している。
 それでも、この和牛の輸出を促進して、『攻めの農業』を実践したいのが政府の方針だ。
 農家激減で子牛価格が空前のバブル突入
 ところが、現実の和牛の生産現場では、攻めるどころか、TPPの大筋合意以前から、和牛消滅の重大な危機に瀕しているのだ。その現場を歩くと、まさに異常事態だった。 春浅い頃に訪れた東北地方のある農家がいうように、子牛の市場価格が高騰しているのだ。
 日本の牛肉生産は、母牛から子牛を生んで育てる『生産(繁殖)農家』と、その子牛を買ってきて肥(ふと)らせる『肥育農家』がある。生まれた子牛は10ヶ月ほどで市場に出され、競り落とした肥育農家は20ヶ月ほどかけて食肉として出荷する。
 たとえば、『仙台牛』で知られる宮城県の場合、黒毛和種の雄(去勢)で、13年前後までは平均価格が40万円後半から50万円台で推移してきた。それが同年の後半から値が上がりはじめ、14年になると60万円を超す月が出てきた。
 ……
 やがて15年に入ると更に上がり続け、11月の市場で、平均76万8,000円を付けている。この2年で20万〜30万円の値上がりだ。
 その傾向は、全国どの市場でも共通している。
 『こんな高値が付くのは、80年代のバブル期以来』という声も聞こえるほど、まさに子牛市場はバブルを迎えている。
 だが、それは景気が回復、好転してきたから、というようなものでは決してない。
 実は、国内の和牛の数が減っているのだ。
 『だから、14年までは月に4日あった市場が、15年から3日に減っている』
 宮城県の肥育農家が言う。
 『1日の市場に出される牛の数も、いままでだったら400頭を超えていたのに、今年から350頭くらいに減っている。大量に買い付けたい大規模の肥育農家も痛手を受けている』
 つまり、需要に供給が追い付いていかず、全国の子牛価格が高騰しているのだ。
 その理由は、繁殖農家が激減していることによる。
 農家激減の最大の原因は、高齢化だ。
 ……
 繁殖農家を営む中井太一郎を訪ねたのは、TPPが大筋合意する以前の4月のことだった。夫婦の自宅の裏にある木造の牛舎には、2頭の母牛と1頭の子牛がいた。
 『もともとは5頭の母牛がいましたが、1頭ずつ減らしていって、3頭目を売りに出したのが昨年になります』
 80歳になる夫が言った。妻も79歳。いまの牛が子どもを産めなくなったら、そのまま繁殖をやめる。中井はそう言った。
 『年を取ったことがやめる理由です。いままでは、野草を刈ってきて牛に与えていましたが、それもしんどくなってきた。このあたりでは、ほとんどの家で牛を飼っていました。牛舎を母屋とくっつけて繁殖で、農家の副業にしていました』
 いまはこの地域に116戸あるが、そのうち牛を飼っているのは、片手で足りるくらいだという。
 ……
 『TPPで外国から牛がたくさん入って来て、安うなったら、そりゃ、やめにゃあねえ・・・』
 中井の近所で繁殖を営む69歳になる寺谷京子は、同じ頃にそう語っていた。ところが、予想外の高値にいまでは、『まるで夢みたいだ!』と喜びを隠さない。
 ……
 しかし、この高値では子牛を買い取る肥育農家がやっていけない。
 『あと2年、保たない』
 鹿児島県の大隅半島で和牛肥育を営む前田隆は、そう語って憚らない。
 高値で売って辞める生産現場に『負の連鎖』
 鹿児島県と宮崎県の両県は日本最大の畜産地域だ。豚肉、鶏肉の生産は共に鹿児島県が全国1位、宮崎県が2位。牛肉は北海道に次いで2位と3位を占める。
 その南九州の畜産地域でも、宮崎県都城市は牛、豚、鶏ともに日本一畜産農家が多い。ところがそこでも、生産農家の激減は否めない。
 『毎年100軒のペースで生産農家がやめていく』
 同市農政部畜産課の柚木粼誠課長がそう言いながら示した統計資料をみると、06年に2,480軒だった和牛生産農家は、14年になると1,495軒になっていた。当然、牛の頭数も減っている。そして、やはりここでも子牛の価格が高騰している。
 ……
 農家経営が赤字になれば、国から補填される。だが、それも国民の税金だ。
 TPPどころの騒ぎではない。しかも、『子牛が高過ぎて、買えない農家も出てきている』というから驚きだ。
 繁殖農家の側でも子牛の高値を喜んでばかりはいられない。肥育農家が潰れれば、生産農家もやっていけなくなるからだ。
 このままでは負の連鎖で和牛農家が滅びる。
 『だから、繁殖農家もいまの高値のうちに牛を売って、やめようというところが多い』(前田)
 この傾向に拍車をかけたもが、5年前に宮崎県を襲った家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の苦い経験だった。感染した牛は例外なく殺処分され、牛をすべて失う生産農家も多かった。
 『あの時、感染していない母牛を売ってしまおうにも、1万〜2万円のタダ同然だった。いまなら5頭で300万円はする。TPPでこの先どうなるかもわからない。だったら、いまのうちに売り飛ばすのが得策だ』
 肥育農家の新規参入に最低1億円かかる
 あの当時のことを思い出してほしい。宮崎県知事だった東国原英夫は苛立ちを隠さず、民主党政権が発足したばかりで、鳩山由紀夫内閣赤松広隆農水相の対応の遅れに批判が噴出。続く菅直人内閣ではほとんどの閣僚が留任したにもかかわず、赤松農水相は退任を余儀なくされている。
 『その菅内閣がTPPを提唱し始めてから、再び牛を飼い始めようという農家が意欲をなくしていった』(地元農業関係者)
 口蹄疫禍で牛を殺処分し、そのまま廃業する農家が相次いだのだ。牛の数も減ったままだ。
 そして、その次に和牛が激減する事情を生んだのが、福島第一原子力発電所の事故だ。
 原発事故直後、宮城県も含めて東北地方の牛の出荷が止まった。原因は飛散した放射性物質による稲ワラ汚染だ。宮城県登米市や隣の大崎市で獲れる上質な稲ワラは、全国に牛の粗飼料として出荷されていた。それを食べた松阪牛からも、放射性物質が検出されて、当時は大騒ぎになった。
 登米市で『仙台牛』の飼育を営む佐野和夫が言う。
 『それで牛舎の牛の入れ替えもできないから、子牛も出荷できない。一気に繁殖農家の廃業が進んだ』 
 ……
 長引くTPP交渉が、二の足を踏ませたのだ。
 そこに追い打ちをかけるのが後継者不足だ。
 都城市のある高齢の生産農家は、諦観交じりに語る。
 『いまは子牛が高値だから、しばらくは続ける。でも景気がいいのも東京オリンピックまで。その前には牛を売ってやめる』
 全国の肉牛の飼養戸数の推移を見ても、毎年3,000〜4,000戸のペースで減り続け、15年は5万4,400戸。飼養頭数もここ5年で着実に減っている。TPPが大筋合意したことで、今後はさらに減少が加速する可能性もある。
 ……
 しかし、和牛の肥育農家が新規参入しようとすると、最低でも1億円はかかるという。
 『牛舎を一棟建てるのに5,000万円。そこに牛を買い付けて、しかも出荷までに2年はかかるから、どうしてもそのくらいはかかる。そんな資金を融資してくれるところなんてない。だから肥育農家というのは阿倍さんと同じように世襲でなきゃやっていけない』(前出・前田)
 しかも、和牛を育てるには、特別な技術が要る。
 ビタミンA、Bを一切与えず(その手法や技術も農家によって異なる)、本来は食べない穀物を食べさせ、運動もさせず、とにかく肥えさせる。フランス人がフォアグラをつくるのと一緒だ。
 言い換えれば、日本の和牛生産は上質な〝奇形〟をつくるのと同じだ。その『職人技』は子どもにも教えないことがあるほどだ。
 ……
 高級和牛の生産はガラパゴスモデルか
 ……
 その品質の維持が難しくなる傾向にある。まして、和牛は各自治体が独自にブランド化を推進、競争していて、オールジャパンとして横の連携もない。そこが米国と決定的に違うところだ。
 このままでは、日本が世界に誇る和牛は滅びてもおかしくない。たとえ消滅を免れたとしても、その希少価値から価格は高騰し、庶民からは遠い存在になる。そうなれば日本の食卓は安価な米国産牛肉が主流になる。そうだとすると、自国民を賄えない農家とは、いったいどういう存在になるのだろうか。
 『攻めの農業』を唱える政府だが、この現状でも本当に諸外国、米国に勝利できるのだろうか。国力を把握できないまま、精神論と希望的観測で大戦に挑んだかっての日本の姿と重なってみえるのは、気のせいだろうか」 
   ・   ・   ・   
 2016年1月17日号 サンデー毎日「TPPの罠 
 『和牛と競合するつもりはない』ビーフ・ボードCEOが明かした『標的』
 『米国』食肉業界の『滞日戦略』全内幕
 米国の食肉業界は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意前から、すでに日本市場に狙いを定め、動き始めていた。
 ……
 米国が市場開拓狙う低価格の焼き肉用牛肉
 ……
 『消費者に選択肢を』ロビイストは強気
 ……
 では、日本人が懸念する米国産豚肉の安全性についてはどうなのだろうか。彼はこう言い放った。
 『そんなに心配なら、買わなければいいじゃないか!市場を開放して、消費者に選択肢を与えることが重要なんだよ』
 ビーフ・ボードの女性CEOが理知的であったのに対し、ニコラスは強気で挑戦的な側面を見せる。
 だが、こうして併せ持つ積極性と緻密な戦略が世界の市場を広げてきた。
 そしていま、TPPによって再び日本の豚肉市場を広げ、焼き肉作戦で廉価な2番目の牛肉を送り込もうとしている。
 『今さら販路開拓と言われても無理だ』
 安倍内閣は『農業の6次産業化』を提唱し、積極的に推し進めようとしている。
 農産品を生産するばかりでなく、加工、販売のノウハウも農業が独自で切り開き、商品価値を高めて積極的に売り出そうという企(たくら)みだ。前号でも取り上げた、ある和牛農家は言う。
 『いい和牛を育てるのには技術がいる。それだけで精いっぱいだし、いままでそれしかやってこなかった。いまさら販路を探せ、商品開発をしろ、なんて言われても無理だ。6次産業化なんてできっこない「」』
 そもそも、産業構造の地元の違いを表す数字記号を単純に足し算して『6次』とするところからして、どこか勘違いしている。
 『攻めの農業』というのであれば、米国のスタイルに学ぶべきだ。生産農家がロビイストを雇い、研究開発を委ね、世界の諜報活動に専門家を送る。そうした資金調達能力と組織構造があってこそ、強い農業になる。
 本来ならば、そうした役割を農業協同組合が果たすべきだったはずだ。しかし、結果から見ると、いつの間にか農協は農家の管理団体のようになり、農家の自立性を奪っていった。
 米作りも、地元の農協から毎年決まった時期に種籾(たねもみ)が届き、定期的に肥料が送られて、指示に従って農薬を撒く。秋に刈り入れた米を農協が引き受ける。そうしたルーティンが当たり前で、そのまま高齢化が進む。
 期待の和牛においては、各自治体がバラバラに『OO牛』なるブランド牛を命名し、海外での売り込みを画策する。米国のように全米を挙げて、情報収集と販路拡大を目指すような取り組みがない。オールジャパンになれないでいる。
 さらにいえば、技術力によって高級和牛を生み出し、世界に売り込み、『攻めの農業』を実現しようとしている姿は、かつて世界に誇った高い技術力で零戦を誕生させ、米国に挑んでいった日本と重なって見える。米国の食肉事情を前にしてみると、物量だけでなく、世界を見据えた戦略が彼(か)の国にはある。
 その米国の食料戦略にのみ込まれてしまうのが日本だった。それを支えるチェック・オフ・プログラムを導入しようにも、具体的な戦略が見えない。このままでは、いま再びの〝食肉戦争〟に敗北するのではなかろうか」


   ・   ・   ・   

TPPで日本は世界一の農業大国になる

TPPで日本は世界一の農業大国になる