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2019年3月11日11:30 産経新聞「和牛の受精卵など中国に一時持ち出し 容疑の男ら逮捕 大阪府警
和牛受精卵持ち出し容疑で逮捕された小倉利紀容疑者=9日午前10時19分、大阪市住吉区(彦野公太朗撮影)
国外への持ち出しが認められていない和牛の受精卵と精液が一時中国に持ち出された事件で、大阪府警生活環境課は9日、家畜伝染病予防法違反容疑などで、大阪府藤井寺市林、飲食店経営、前田裕介(51)と、大阪市住吉区長居、無職、小倉利紀(64)の両容疑者を逮捕した。いずれも容疑を認めているという。同課は2人に指示した人物がいる可能性があるとみて調べている。
2人の逮捕容疑は、共謀し、昨年6月29日、動植物を輸出する際には検疫が義務づけられているにもかかわらず、検疫を受けずに、小倉容疑者が大阪発中国・上海行きフェリー内に、凍結した和牛の受精卵を注入したストロー235本と精液を注入したストロー130本をバッグに隠し入れて積み込み、輸出したとしている。
同年7月1日、小倉容疑者が中国に入国しようとした際、中国当局から受精卵などの持ち込みを認められずに帰国し、動物検疫所へ申告したことで発覚。小倉容疑者は農林水産省の調査に対し、「知人(前田容疑者)に頼まれた。持ち出しは違法だとは知らなかった」と説明したが、農水省は今年1月、家畜伝染病予防法違反罪で刑事告発し、府警が関係先を捜索するなどしていた。
府警はこれまでの捜査で、受精卵の流出元を徳島県内の畜産農家と特定。この農家の男性は「面識のない人に数百万円で販売した」などと話しているといい、府警は流出した経緯の解明を進める。
一方、農水省は再発防止のため、和牛の遺伝資源を管理する全国約1600施設に対し、管理方法や販売ルートの調査を初めて実施したほか、和牛の受精卵などの適切な流通管理の方法を議論する有識者らによる検討会を設置し、和牛の遺伝資源の管理方法などについて議論を進めている。」
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3月9日14:36 産経新聞「和牛需要増大、ブランド確保へ求められる管理体制
日本から中国に持ち出された輸送容器の類似品(農林水産省動物検疫所提供)
大阪府警が和牛の受精卵と精液を一時中国に持ち出したとして、家畜伝染病予防法違反容疑などで男2人を逮捕した。日本の高品質な和牛は海外で人気が高く、需要拡大が続けば日本経済の押し上げが期待されるだけに、海外に不正に持ち出されて流出すれば大きな痛手となる。日本が培った高級ブランドをいかに確保するか、管理体制確立が大きな課題となっている。
農林水産省によると、和牛を含む牛肉の輸出は、平成24年の約863トン(約50・6億円)から29年に約2707トン(約191億6千万円)と増加。需要の増加により、卸売価格も高水準で推移している。
世界全体で牛肉の輸入量は拡大傾向にあるが、中でも急激に増加しているのが中国だ。同省によると、16年には約1万トンだった中国の牛肉輸入量は26年には約78万トンに上った。36年には151万トンにまで増加し、世界全体(707万トン)の約2割を占める見通しとなっている。
中国を筆頭に世界の牛肉需要が伸びる中、和牛の人気は特に高い。ゆえに海外での生産を目指し、受精卵と精液を求める声もあるという。
正規ルートでは、研究を目的に10年までに米国へ和牛が247頭、和牛の精液も1万3千本が輸出されており、現在は米国に純粋・交雑種あわせて約9万5千頭、豪州に約43万6千頭が存在、「WAGYU」として各地に輸出されている。
一方、問題となっているのが今回のような不正な持ち出しだ。大渕牧場和牛人工授精所(群馬県沼田市)の大渕一さんは「中国人から『和牛の受精卵を購入したい』と持ち掛けられた経験がある」と明かした上で、「外国は遺伝資源を欲しがっている。外国産和牛の肉は国内産の半値。生産者の高齢化、減少が進む日本の畜産業界は太刀打ちできない」と話す。
近畿大の松橋珠子講師(畜産学)は「農家の長年の努力によって今の良質な和牛がある。今の管理体制では、悪意があれば誰でも持ち出しが可能で、早急な管理方法の構築が必要だ」と話している。」
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3月9日21:46 産経新聞「和牛受精卵持ち出し「違法と知らず」法整備に課題も
海外にも人気が高い和牛の受精卵や精液が中国に持ち出されそうになった事件で、大阪府警は家畜伝染病予防法違反容疑などで男2人の逮捕に踏み切った。今後、流出経路の解明が本格化するが、捜査を通じて明らかになりつつあるのは、日本の貴重な「遺伝資源」が安易に持ち出され得るという危機的な現状だ。
「液体窒素に入った牛の種を中国に運んでほしい」
前田裕介容疑者は知り合いの中国人に電話でこう頼まれ、小倉利紀容疑者に運搬を依頼したとされる。前田容疑者は報酬について逮捕前、府警の任意の調べに「(中国人の)友人の頼みだから受け取っていない。小倉容疑者には数万円を支払った」と話していた。
小倉容疑者は昨年6月、和牛の受精卵や精液が注入されたストローを保冷容器に入れ、大阪市内からフェリーに乗って中国・上海へ向かった。だが中国当局に持ち込みを認められずに帰国し、自ら農林水産省動物検疫所に申告していた。
違法性の認識はなかったのか。小倉容疑者は農水省の調べに対し、「違法とは知らなかった」と説明。前田容疑者も、府警が経営する焼き肉店を家宅捜索した際、「初めて違法と知った」と話したという。
一方、持ち出された受精卵の流出元である徳島県内の畜産農家。男性は府警の調べに「面識のない人に数百万円で販売した」と話している。男性から受精卵を購入した人物は不明だが、何らかのルートで両容疑者の手に届き、違法性の認識もないまま中国へ運搬されたとみられる。
日本に大きな損失を招きかねない両容疑者の行為。それが可能になった背景にあるのは、和牛を保護する環境の脆弱(ぜいじゃく)さだ。
畜産農家が長年品種改良を重ねた結果、肉質の高さから高級ブランド品として海外で人気が高く、輸出量も年々増加している和牛。しかし、万が一受精卵や精液といった「遺伝資源」が流出すれば、海外でも大量の「和牛」の飼育が可能になる。
つまり、遺伝資源はブランドの命であり、流出防止は重要課題だ。だが農水省によると、家畜には国際的な知的財産の保護制度がない。
植物は新品種の保護に関する国際条約があり、新種を開発して国に登録すれば知的財産とみなされ、法律で種の無断輸出も禁止される。一方、和牛などの家畜の輸出は、相手国との取り決めで制限をかけているものの、受精卵などの輸出を直接禁止する法律がない。 同省は平成18~19年に、家畜の遺伝資源保護に関する検討会を実施したが、「法規制は困難」と判断した。植物と違い、動物は受精卵の段階ではその後どのように育つかが不透明で、知的財産とみなすのが難しいためという。
今回の事件を受けて農水省は2月、和牛の遺伝資源に関する有識者らによる検討会を再度発足させた。同省担当者は「和牛の遺伝資源の流通管理の適正化のため、できる限りのことをしていきたい」としている。」
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