🏗2〗ー9ー人口激減で自然災害被害者を助ける自衛官不足。令和6年~No.10 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2024年1月8日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「60代の自衛官が80代~90代の命を守る…自衛隊の人材不足が招く「日本の悲惨すぎる未来」
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
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 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
 安全を守る人が大不足
 人口減少がもたらす公務員への影響は、国民の「安全安心」を守る自衛官や警察官、海上保安官、消防士といった職種も襲う。「若い力」を必要とする職務が多いだけにより影響は直接的だ。
 自衛隊の場合、2021年度は定数24万7154人に対し現員数は23万754人で、充足率93.4%だ。防衛省の「2022年版防衛白書」によれば過去10年で一度も定数を満たしたことがない。すでに慢性的な人手不足に陥っているのである。
 指示を受けて最前線で働く「士」と呼ばれる階級に至っては、充足率が79.8%というのだから深刻だ。業務別では、とりわけ艦艇や潜水艦の乗組員、サイバー分野の人材が不足しているとされる。
 自衛隊は、冷戦の終結に伴い一部で組織のスリム化を図ってきた。近年は装備が高性能化している。情報通信技術の革新は少人数部隊による広域警戒を可能とし、部隊運用の即応力を高めた。先進各国では少子化をにらんで、軍隊の小規模化や高機動化に向けた取り組みを進めている。
 だが、こうした装備の技術革新による省力化には限界がある。しかも、ロシアのウクライナ侵攻によって国際情勢は大きく変わった。とりわけ日本の場合には、尖閣諸島をめぐる中国の脅威や台湾有事が現実的な危機になり始めている。中国のみならず、ロシアや北朝鮮の軍備増強も顕著となり、東アジアをとりまく安全保障環境は戦後最悪と言われる。
 さらに、自然災害が多発かつ大型化し、「人海戦術」に頼らざるを得ない被災者の救助活動は増えている。被災後の行方不明者の捜索は対象エリアが広範化し、活動期間が長くなっている。定数を減らすどころか、増やす必要があると思えるほどだ。こんなタイミングでの出生数減少スピードの加速は致命的でさえあり、日本は極めて危うい。
 自衛官をどう増やすか
 こうした状況に対して、防衛省は民間企業と同じく採用対象年齢の拡大や女性の積極登用、雇用の延長に乗り出している。
 自衛官の場合、職務の特殊性から階級ごとの職務に必要な知識、経験、体力などを考慮して大半が50歳代半ばで退職する「若年定年制」や、2~3年を1任期として任用する「任期制」といった一般公務員とは異なる人事管理を実施している。
 「任期制」とはなじみがないが、民間企業でいえば契約社員のような存在である。任期終了時に自衛官として勤務を継続するかどうかを選択することとなるので20代~30代半ばで退職する人が少なくない。
 こうした特殊な人事制度を“少子高齢化対応バージョン”へと改めようというのである。
 手始めに、2018年に一般曹候補生および自衛官候補生の採用上限年齢を「27歳未満」から「33歳未満」に拡大した。応募者を増やす一方、待遇改善も図り、離職者を減らす取り組みを行っている。
 同時に、女性自衛官についても積極的な採用を進めてきている。女性が全自衛官に占める割合を見ると2022年3月末現在で約8.3%(約1万9000人)だ。2012年3月末は約5.4%だったので2.9ポイント増えた。防衛省は、自衛官採用者に占める女性の割合を2021年度以降17%以上とし、2030年度までに全自衛官に対する割合は12%以上とする方針だ。
 また、2020年からは定年年齢の段階的な引き上げを進めている。定年退職後の再任用者は、これまでは大半がデスクワークに就いていたが、今後は部隊などでの活用も促進していくのだという。予備自衛官についても、「37歳未満」だった士長以下の採用上限年齢を「55歳未満」に変更し、継続任用時の上限年齢は「61歳未満」から「62歳未満」などに見直した。
 だが、こうした努力も、少子化に伴う自衛官志望者数の減少の前には焼け石に水である。民間企業も人手不足が拡大しており、勤労世代の奪い合いが激烈になっていくことが予想される。
 国防という仕事は適性を強く問われ、誰にでもできるわけではない。しかも“戦争”がこれまで以上にリアルに感じられる時代となった。採用の上限年齢を引き上げたからといって、そのまま応募者が増えるわけではないだろう。出生数の減少で人材の裾野が狭まり続ける限り、定員割れが改善することは望めない。
 退職者の“現場”への復帰などは、まさに追い込まれての苦肉の策といったところだが、このまま少子化が進めば、「退職自衛官」中心の部隊が国防の最前線に立つことになりかねない。「60代の自衛官が、80代~90代の国民を守るために命をかけて戦う」という未来図が想像される。超高齢国家の国防とは何ともシュールだ。
 河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
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