💫7}─3─アフリカから世界中に広まったオルドワン石器。300万~258万年。~No.64 

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 2023年2月18日 MicrosoftStartニュース ギズモード・ジャパン「誰が作った?最古のオルドワン石器が発見される
たもり によるストーリー
 最古の石器として知られちるオルドワン石器は、ホミニン(ヒト族)が過酷な世界で生き抜く上で欠かせない道具でした。この石器について、新たな研究が発表されました。
 ケニアの発掘現場Nyayangaで作業する発掘チーム
 © Photo: J.S. Oliver, Homa Peninsula Paleoanthropology Project
 ある研究者チームが、ケニア南西部で300万年~258万年前のものとされるオルドワン石器を発見。それに伴い、同石器の地理的分布は既知のものより広がりました。また、彼らは知能を持っていたのはヒト属だけではない可能性を示唆する、動物の骨数百本とパラントロプス(初期のホミニン)の歯も発掘。見つかった歯は大臼歯で、その1本はこれまで発見されたホミニンの歯として最も大きいそう。チームの研究成果はScience誌に掲載されました。
 アフリカから世界中に広まった石器
 ニューヨーク市立大学クイーンズ校の古人類学者で論文の筆頭著者であるThomas Plummer氏は、「オルドワン石器は東アフリカで始まってアフリカ全域に広がり、最終的にはアフリカを離れてはるばる中国まで広まった。これぞまさに長く続いて普及した最初の技術」だと電話取材にてコメントしています。
 「もし人類の技術への適応と依存に関心があるなら、人類の祖先との関係は注目し始めるには本当に興味深いところで、今回の場合は技術もだ」と補足していました。
 300万~258万年という数字は、地磁気の逆転から堆積物の年代測定する磁気年代学という手法で導き出されました。ウラン-トリウム法で堆積物内のアパタイト結晶を測定した結果が、287万年±79万年と298万年±50万年という年代。この現場が前述の期間の上限値に近い可能性が高いことを示しています。
 今回の出土品はオルドワン石器では最古の事例になりますが、それより前の2011年と2012年には、ケニアで推定330万年前というさらに原始的な石器が見つかっています。ただ新たに発見された石器の年代の上限値もほぼ同じくらい昔で、初期のヒト属以外のホミニンが石同士を打ち付けてより良い石器を作っていた可能性を示唆しているのです。
 国立自然史博物館の古人類学者Rick Potts氏は、「研究者たちの間では長らく、石器を作る能力を持っていたのは現生人類が属するヒト属だけだと仮定されていた」とスミソニアンのリリースにてコメント。「石器と一緒にパラントロプスを見つけたことで、石器を作ったのは誰なのかという興味深い謎が浮かび上がる」と指摘しています。
 パラントロプスとは絶滅した人類の近縁種で、幅の広い顔と咀嚼のために発達した咀嚼器(歯のこと)を有していました。パラントロプスの歯は霊長目の中で最も大きく、体格はゴリラより小柄でも歯の大きさでは勝っていたとPlummer氏。Nyayangaで発掘されたホミニンの化石はパラントロプスの大臼歯2本で、そのうち1本はこれまで発見されたホミニンの歯としては最も大きかったとか。
 パラントロプスの食生活も推察
 パラントロプスの歯にある同位体を解析したところ、草や草本植物を中心とする食事を示すある炭素の同位体が多量だと判明。以前発見されたほぼ同時代の別のホミニンの化石も、そういった植物(もしくはそれらを食べていた動物たち)を含む食物を示しており、古代アフリカのホミニンは似たような開かれた生態系に住み着いていたと示唆しています。
 しかし、Nyayangaでの発見で、このホミニンが菜食ではなかったと示されました。オルドワン石器やパラントロプスの歯と共に、ヴィクトリア湖の東岸にある2つの発掘現場からは1,776本もの化石骨が見つかったのです。これらにはカバ科やウシ科の切断の痕跡のある骨や、現地の湖水沿いの環境に生息していたと思われるカメにネズミ、サーベルタイガーやサル、クロコダイルといった動物たちの骨が含まれていました。
 カバとアンテロープの骨にはカットマークと破砕や薄く切り落とした痕跡があって、残骸は遺跡で集められただけでなく、そこにいたホミニンによって加工されたことを示しています。研究者たちは解体していたのがホミニンのどのグループだったかまでは特定できませんでしたが、パラントロプスの歯があったという点には注目せずにいられません。
 考古資料において火を使用したという最初の痕跡は約40万年前まで現れないため、動物の肉はおそらく生食されていたと考えられます。
 研究者たちによると、Nyayangaから出土した巨型動物類の食肉解体と植物加工の痕跡は、他の遺跡のものより少なくとも60万年以上早かったとか。また脳の巨大化も、ヒト属に起きたとされる約200万年前より先んじていたとも論文には記されていました(脳が大きくなったのは私たちの種であるホモ・サピエンスが進化する前で、だから最も近い種であるネアンデルタール人も頭蓋が大きかったのです)。
 「東アフリカは私たちの種の先祖にとって安定した揺りかごではなかった」とPotts氏。「どちらかというと豪雨や干ばつに、多様で絶えず変化する食事のメニューを伴う環境変化の煮え立つ大鍋だった」そう。
 ネアンデルタール人を知能が低く野蛮だと見なしていたのはそれほど前のことではありませんが、今度は大昔のパラントロプスの化石から他のホミニンが持っていた能力やその時期について考えることになりそうです。
 進歩していく手法でさらに多くの遺跡が調べられていくにつれて、人類の歴史や絶滅してしまった近縁種についてもっと細かな部分が解明されていくのでしょう。
 Source: Science, Nature, EurekAlert!, The Smithsonian's Human Origins Program
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