💫5}─6─「ヒト」と「バナナ」の遺伝子は「50%同じ」。〜No.50 ④

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 2023年12月27日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「ヒト」と「バナナ」の遺伝子は「50%同じ」!……全ての生物は「たった一つの細胞」から進化した!
 人間以外の生物は「老後」を経ずに死ぬ。つまり「老い」に長く直面する生物は人間だけだ。
 【画像】ヒトの進化(系統樹
 「老い」にはどんな意味があるのか? 
 それを探るためには、まず、生物の起源にさかのぼってみることが必要だ。
  (本記事は小林武彦『なぜヒトだけが老いるのか』を抜粋、編集したものです)
 「あなたは進化が生物を作ったと信じられますか?」
 街を歩いていると「あなたは神を信じますか?」と話しかけられることがあります。私は創造主としての神は信じていないので、正直に「すみません、信じていません」と答えて、それ以上の会話はしません。
 逆に、私が皆さんに「進化が生物を作ったと信じられますか?」と尋ねたら、皆さんはなんと答えますか? 答えに困る方もおられるかもしれません。
 私も含めて「進化が生物を作った」という事実を、理科の教科書で学んでも感覚的に捉えることはなかなか難しいものです。それは私たちの寿命の長さに比べて、進化のスピードはとてつもなくゆっくりだからです。
 しかし、私たちがわかろうとわかるまいと、進化が生物を作ったことは事実であり、その過程を考えることなく、生き物を、そして自分たちの存在を理解することはできません。
 あなたの30万世代前の先祖はチンパンジー
 私は生物学者なので、何か疑問があると進化の過程にいつも思いを巡らしてみます。
 新しい遺伝子が見つかると、他の生物に似たような遺伝子がないかと配列データベースというDNAの配列情報を溜め込んでいるサイトを調べます。
 近縁種(親戚のような種)にしかなければ、それは最近できた遺伝子で、それら近縁種と共通のご先祖から受け継いだ遺伝子となります。
 また、動物にも植物にもあるようなさまざまな生物に共通する遺伝子だと、それは動物と植物の違いができる前の遠いご先祖様が持っていたもので、その後多くの種に引き継がれたということになります。
 たとえばヒトとバナナの遺伝子は、ざっくり50%同じです。これは、かなり昔に共通のご先祖様から分かれたことを意味します。
 一方、チンパンジーとヒトは、見た目はずいぶん違いますが、遺伝子はなんと98.5%が同じです。ヒトとチンパンジーは最近、と言っても約600万年前に共通の祖先から分かれたと考えられています。つまり600万年かけて1.5%の違いが生じたわけです。
 1世代が約20年として、600万年は世代数で言うとだいたい30万世代に相当します。自分の親の親の親の親の............を30万回繰り返すと、ヒトとチンパンジーの共通のご先祖様にたどり着くわけです。遠い親戚なのです。私も含めて多くの人は、自分の親の親の親、つまりひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんにも会ったことがないと思います。ましてや30万世代前のご先祖様がどうであったかなど、想像すらできませんね。
 ここでご理解いただきたいのは、遺伝子の変化のスピードから判断して、ヒトとチンパンジーは共通の祖先から進化しているのは明らかで、もっと遡ればヒトとバナナの共通の祖先まで行き着き、もっともっと遡れば最初に誕生した全ての生物の元となった1つの細胞にまでたどり着きます。
 つまり1つの細胞からの進化が、地球上のさまざまな生物を作ったわけです。
 そして今私が皆さんと考えたいのは「死の起源」についてです。生物の「死ぬ」という性質は全ての生物に共通なので、大元の最初の細胞から存在していたと考えられるのです。
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 ベストセラー『生物はなぜ死ぬのか』の著者・小林武彦氏の待望の最新作『なぜヒトだけが老いるのか』は、ヒトだけが獲得した「長い老後」の重要な意味を生物学で捉え、「老い」の常識を覆します! 
 小林 武彦(理学博士)
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