🌀6〗─3─日本は中国共産党への忖度で懲りずに敗北を繰り返す。~No.21No.22 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 
 2020年3月15日 産経新聞「【新聞に喝!】中国への忖度、政権も新聞も失策 元東大史料編纂所教授・酒井信彦
 中国の習近平国家主席(右)と握手する安倍晋三首相=令和元年6月27日、大阪市北区(代表撮影)
 観光庁は2月19日、1月の訪日外国人旅行者数を発表、翌20日の各紙朝刊に詳報が掲載された。各紙が注目しているのは中国の春節期間(1月24日~2月2日)における中国人訪日客の減少で、昨年と比較して約2割減少したという。それは例の新型コロナウイルスによる影響のためであるが、2月以降さらに客数が減ることが心配されている。
 しかし、本当に心配しなければならないのは全く逆のことである。1月全体だと中国人訪日客数は昨年より22・6%増加し、92万4800人であった。各紙は、この1月全体の訪日客数に少しも脅威を感じていないようだが、この数字こそ、わが国の新型コロナウイルスの拡散と、直接関係する数字といえよう。
 ところで、震源地である武漢から日本への入国者はどれほどあったのか。朝日新聞2月1日、高田正幸記者の記事によると「第一財経は昨年12月30日~1月22日に武漢を出発した飛行機の座席数から、国外への渡航者数も予想。最も多かったのはタイで、航空便が満席だったと仮定すると、最大2万7千人が訪問。2位の日本は同じく約1万8千人、3番目のシンガポールは約1万1千人との結果だった」とある。(「第一財経」は中国の経済系メディア)
 武漢が封鎖されたのは1月23日であるから、感染者はそれ以前に大量に日本に入国していたのだ。そのため、日本でも感染者が出現し、観光バス運転手の感染や屋形船での集団感染がおこった。いずれも原因は、今から約2カ月も前の1月上~中旬、武漢の観光客との接触だろう。
 しかし武漢からの入国者、1万8千人という数字は、ほとんど注目されなかった。この間、日本では主にチャーター便やクルーズ船を問題にしていたが、市中感染は確実に進行していただろう。現在イタリア、フランス、アメリカでも感染者が増えているが、感染源は春節時期の中国人観光客である疑いが強い。
 安倍晋三政権は中国人の入国には諸外国と比較すると極めてルーズであった。当の中国からさえ行動制限措置を開始されていたが、今月9日、ようやく中国全土からの入国制限強化を開始した。
 安倍政権は中国への忖度(そんたく)により、失策を犯した。そして全国の小中高校の学校閉鎖という極端な策で混乱も引き起こした。新聞などのメディアも、この問題に関して毎日大騒ぎする割には、政権と同じく、最も重要な点に鈍感だったと言わざるを得ない。
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 【プロフィル】酒井信彦(さかい・のぶひこ) 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で『大日本史料』の編纂に従事。」
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 新型コロナ対中「情報戦」 懲りずに敗北を繰り返す気か
 『山岡鉄秀』 2020/03/13
 山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)
 海外暮らしが長かった私の思考回路は、日本在住の今でも外から日本を眺める感覚のままだ。そして、海外在住者たちと毎日交信して情報提供を受けている。
 そんな人たちが今、頭を抱えて落胆している。外から見ていて、日本の新型コロナウイルス(COVID-19)への対応が緩慢で後手に回り、「危機管理能力が非常に低い」という印象を世界に与え、国際的信用とイメージを著しく低下させてしまったからだ。
 日本国内にいると、それがなかなか実感できないのが問題だ。つまりは、国際情報戦の大敗北だが、実はこれまで散々繰り返してきた「歴史戦」の敗北と同じ構造なのだ。「歴史」はあくまで過去の出来事だが、「新型コロナ」は今現在の問題だからより深刻である。
 なぜ日本は性懲りもなく敗北を繰り返すのか。その答えは単純だ。自らの言動が外からどう見えるか、どう解釈されるか、誤解を防ぎ、好意的に解釈されるにはどうすべきか、といった発想がすっぽり抜け落ちているからだ。
 島国で均一性の高い民族構成、単一言語など、恵まれた要素が国際性を育む上では障害になり得るのは理解できる。しかし、自らに欠けている思考回路を認識して会得する努力が不十分なのも確かで、国内でしか通用しない議論に時間を費やしてしまう癖が抜けない。
 何より、日本政府は自国が五輪開催国であることを忘れてしまったのか。世界中から超一流のアスリートと大勢の観光客が押し寄せる五輪開催国に求められるのは、当然ながら高い危機管理能力だ。
 だから、今回の新型コロナウイルス騒動では、日本政府は大げさなぐらいに他国に先んじて行動し、さまざまな施策を矢継ぎ早に講じる姿勢をことさら見せつけなくてはならなかった。ここで重要なのは、個別の施策にどの程度の効果があるかを考えて逡巡(しゅんじゅん)としてはならない、ということだ。
 まず、できることはすべてやる。結果は後で検証すればよい。アクションファーストだ。そして走りながら考える。
 全力を尽くした上で、たとえ今の状況に陥っても、日本への信頼は損なわれないが、理解不能な行動を重ねて感染国になり果てれば軽蔑と嘲笑の対象となる。そして、五輪を失う大失態にもつながりかねない。
 最大の失敗はもちろん、中国からの入国を迅速かつ全面的にストップさせなかったことだ。
 この点について、「入国制限は感染症対策としては効果がない。むしろ、ビジネスを損なうデメリットの方が大きくなる」という議論があった。ではなぜ、諸外国は早々に全面的入国禁止に踏み切ったのか。それは、この問題を「未知のウイルスに対する国家的危機管理の問題」と捉えたからだ。
 初期段階での情報は限られている。従来のものとは根本的に異なる可能性が常にあり、過去の研究が直接役に立つとは限らない。
 権威に弱い日本人は世界保健機関(WHO)や英医学誌「ランセット」などの論文を引き合いに出したがる。ただ、いくら真面目に分析されていても、その段階で入手できる限られたサンプルで最大限分かることを書いているにすぎない。
 後から全く予期しなかった発見があって、前提が崩れるのはよくあることだ。現に、新型コロナウイルスにはいまだによく分からないことも多い。
 したがって、初期段階の分析をベースに楽観論で応じたのは、危機管理として失策だった。まして今回のウイルスは渡り鳥が運んでくるのではなく、人から人への感染が明らかで、かつ発生源が明確だった。
 さらに、潜伏期間でも感染力があるため、水際作戦が無力なのも早くから分かっていた。早期の全面入国制限が有効であり、不可欠であると判断するのは合理的だった。
 ここで重要なポイントなのだが、私は専門家の意見を軽視してもよいと言っているのではない。専門家の意見も多様だ。悲観論も楽観論もあれば、それぞれの根拠もある。経済活動とのバランスももちろんある。
 そうしたさまざまな情報を素早く吟味して、総合的に政治判断を下すことが国家として極めて重要である。それはまさしく政治家の仕事であり、その最高責任者は総理大臣だ。総合的な政治判断をせずして官僚に任せるのは無責任であり、政治家を養う意味がない。
 例えば、専門家がこうアドバイスしたとしよう。
 「入国制限は初期段階なら効果が見込めるのですが、中国政府が1カ月以上も情報を隠蔽(いんぺい)しているうちに、日本に武漢からだけでも100万人近くが入国してしまいました。日本国内も既に相当汚染されていると推測されます。今から制限してもさしたる効果が望めません。つまり、汚れてしまった水に汚水を加えても大差ないということです。むしろ、入国制限することで経済的損失の方が大きくなってしまう可能性が高いといえるでしょう。」
 このアドバイスは、それ単体で見れば間違っているとは言えない。しかし、私なら2月25日に安倍首相に送った手紙にしたためたように、あえて全面入国禁止に踏み切る。
 米国、オーストラリア、シンガポールなどの主要国は中国人の入国全面禁止を決定している。日本だけ中途半端な制限にとどめてしまえば、日本は五輪開催国にもかかわらず、危機管理に真剣ではないという印象を与えることになる。その上で、感染者数が急速に増加する事態にでもなれば、完全に信頼を失ってしまう。
 既に中国が団体旅行を禁止したことで、日本に入国する中国人の数は減少していたが、そのビジネスを守るために他国のビジネスを全て失い、五輪開催まで危うくなる可能性がある。目先の利得のために中長期的な大損害を被(こうむ)ることは避けなければならない。
 たとえ結果として同じ状況に陥っても、全力を尽くす決意を示したか、中途半端な姿勢に終始したかでは世界に与える印象が全く違ってしまう。したがって、中国の全地域からの入国を禁ずるという総合的政治判断を迅速に下すべきだった。
 この観点からは、「実際に入国している中国人の人数は少ない、感染者の数はさらに少ないと推測されるから問題ない」といった議論は意味を成さない。世界はそんなことに関心を払わないからだ。「日本はいつまでも中国に国を開いて、感染拡大を許している国だ」としか思われないのである。
 そういう国に遊びに行きたい外国人はいない。理屈ではない。印象なのだ。海外では、日本人が中国人だと思われて差別されるケースが出ていたが、日本への渡航を禁止したり、日本人の入国を制限する国が増えるにつれて、最近では日本人であることで差別されるケースが出てきた。簡単にレイシズム(人種差別主義)に結びついてしまうほど感覚的、感情的なものなのだ。もちろん、そのような国に虎の子の「オリンピックアスリート」を送りたい国はない。
 果たして、日本はどのような経緯をたどったか。2月26日、安倍晋三首相は人が大勢集まるイベントの自粛や延期を、27日にも全国の公立小中高学校の休校などを含む感染拡大阻止行動を国民に要請した。
 現在の日本はアウトブレイク(流行)直前の武漢そっくりであり、このままでは武漢と同様の状況に陥る可能性もあるという。それを阻止する最後のチャンスが2週間程度の全国的な活動停止というわけだ。
 当然ながら、「唐突過ぎる」という批判を呼んでいるが、私はやむを得ないと思う。ここまできたら、それぐらいやるしかない。武漢と同じ状況に陥ったら完全にジ・エンドだ。
 だが、強い違和感はある。初期段階の楽観論は何だったのだろう。インフルエンザと同じように対処すれば十分だという話は何だったのだろうか。手洗いとうがいで対処できるはずではなかったのか。
 楽観論を広めて国民に「慌てるな」と言い、目先の中国人観光ビジネスを守っておいて、今になって1億総開店休業しろと言うのか。まるで下手な戦闘を重ねた揚げ句に「本土決戦」「一億玉砕」を迫った旧軍部のようではないか。
 今ごろになって、ウイルスの本当の危険性を悟ったのか。危機管理としては「下策」のそしりは免れない。初期段階で全力を尽くしていれば、このような事態は避けられたかもしれない。
 予想される経済的損失は中国インバウンド(外国人訪日客)どころの話ではない。あの中国がだてに1千万都市を完全封鎖するわけがないではないか。備蓄のマスクや防護服を送っている間に、気が付けば自分の尻に火が付いてしまった。
 そして驚くべきことに、全国民に自己犠牲を強いながら、中国からの入国を全面禁止しなかった。これは人数の多寡の問題ではなく、道義的な問題だ。こんな理不尽な仕打ちを受けてもメディアも野党も攻撃せず、暴動も起きない国は日本ぐらいのものだろう。
 さらに驚くべきは中国の態度だ。日本と韓国が「中国忖度」を続けるうちに、山東省威海市と北京市が逆に日韓からの入国者全員を14日間隔離するという措置を打ち出した。今や危険なホットスポット(高感染地域)は日韓に移り、他国に感染を拡大させるリスクも中国より高いと言わんばかりだ。
 それでいて、中国は日韓への支援を惜しまないという。中国の電子商取引(EC)最大手、アリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は、日本に100万枚のマスクを送ると表明した。もちろん、巧妙に計算された情報戦だ。今や、世界に迷惑をかける「厄介者」は、日本、韓国、イタリア、イランなどで、中国は慈愛の精神で助ける側に回った「正義の国」というわけだ。
 日本の経済的凋落(ちょうらく)は周知の事実だったが、それでも日本は勤勉で、危機管理能力が高い国だと信じられていた。しかし、今回の一件で、実は危機管理能力が極めて低く、中国の属国化した国だとの印象を広げてしまった。国民の命よりも中国の意向を優先したのだ。
 この情報戦大敗の構造は、南京大虐殺慰安婦性奴隷、朝鮮人労働者強制連行の諸問題と全く同じだ。世界がどう受け止めるか、どのような印象を持つか、自国に有利に導くにはどうするべきかを常に考慮して総合的政治判断を下し、即時実行する能力が欠落しているのだ。そして、そんなことには頓着せず、中国にとことん媚びる人間が政権の中枢や霞が関に侵入している。
 今から少しでも挽回するためには、中国と韓国からの入国者に2週間の待機を要請するだけではなく、中韓からの入国を全面的に制限すべきだ。
 そして、GDP(国内総生産)を大幅に落としてでも日本列島を「開店休業」状態にするからには、たとえ世界がパンデミックに陥っても感染者数と死亡者数を低く抑え、時期をずらしてでも五輪開催を実現することだ。世界の目にはっきりと見えるアクションで結果を出す、それしかないと断言する。
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