🍠4〗─2─地理学。農業畜産を分ける降水量500mm。~No.12No.13No.14 * 


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 2018年2月15日号 週刊文春「文春図書館
 家族システムと日本の歴史、地理学の入門書 鹿島茂
 トッドの家族人類学を理解するのに不可欠なのが地理学である。しかし、地理の知識としては高校の時に地理を学んだくらいで、はなはだ心もとない。かくてはならじと書店の地理学コーナーをのぞいたところ、水野一晴『自然のしくみがわかる地理学入門』と『人間の営みがわかる地理学入門』(ともにベレ出版 1,800円+税)が目についた。自然地理学と人文地理学の簡単な参考書風の造りだが、河合塾でサテライト授業を担当した経験もある京大教授の著作だけあって、分かりやすい上に専門知識も得られるという素晴らしい地理学入門書である。中でもしっかりと頭に入れておいてほしいのが、著者が予備校講師時代に作成したという農作物の栽培条件の図1−1。縦軸が生育期の気温で横軸が年間降水量。超高温多雨(天然ゴム・カカオ・コーヒー豆)、高温多雨(ジュート・茶)、高温中雨(サトウキビ)、高温少雨(綿花)、中温多雨(米)、中温中雨(トウモロコシ)、低温少雨(冬小麦、春小麦)、超低温少雨(大麦・えん麦)、年降水量500mm以下の超少雨(牧畜)。
 『農作物は植物であり、それぞれ適した気候条件がある。その気候条件を満たしたところがもともと野生していた場所で、そこから同じような気候条件の場所に[ヨーロッパ列強の植民地化で]伝播していったのである』。この図が威力をはっきするのがアングロアメリカ(北米)の農業分布である。
 『図1−8のアングロアメリカの農業地域の分布図を見ると、アメリカ合衆国のど真ん中に年降水量500mmの線が入っている。この500mmラインより西側が500mm以下で乾燥、東に行くにつれて降水量が増える。図1−1で500mm以下は牧畜になっている。農作物を作るには降水量が500mm以上必要であり、500mm以下であれば牧畜を行うしかない。そのためこの500mmラインより西側は、放牧地帯すなわち肉牛を飼う企業的牧畜地帯となる。……図1−1に従えば、降水量500mmより少し多くて気温が温暖であれば綿花、冷涼であれば小麦である。とくに冬が寒い地域では冬を越さない春小麦となる。図1−8のアングロアメリカの農業地帯、不輸小麦地帯、綿花地帯となっている。ただし、綿花地帯では連作障害を抑制するために、土壌の窒素固定を促すマメ科のダイズも植えて、地力の向上を図っている。図1−1で綿花や小麦より少し降水量が多いところに適するのはトウモロコシだ』
 ふーむ、図表を提示できないのが残念だが、なにごとも専門家が築き上げた堅箇なチャートが頭に入っていれば、応用はいくらでも可能だということの良い例である」

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