🌌21}─2─ 温暖化で解ける永久凍土で、目覚める毒性の強い病原体と有害物質の放出。~No.101 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2014年3月 フランス国立中央研究所は、シベリアの永久凍土の中で眠っていた3万年前のウイルスの蘇生に成功した。
 地球の温暖化によって、極寒地帯の氷が溶けると共に眠っていた古代のウイルスが活動を開始する恐れがある。
 その中には、猛毒を持った致死率の高いウイルスがいる可能性があり、人類には未知のウイルスに対する免疫もなければ、治療するクスリもない。
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 2015年7月19日 朝日新聞 「地球異変
 極北 大地に謎の穴
 ロシア・ヤマル半島に出現したクレーターのような巨大な穴
 これはまるで、地球の表面にぱっくりと開いた口のように見える。
 ……
 地元政府の緊急要請でロシアの科学者が調査を始めた。穴は直径約37メートル、深さ約75メートルあった。その後、同様の穴の報告が相次ぎ、4個が確かめられている。
 ……
 真冬には気温が零下40度まで下がる極寒の地。地中には永久凍土が数百メートルの厚さで広がっている。メタンが多く含まれ、近くには世界有数の天然ガス田もある。研究者の間では『永久凍土が溶け、メタンガスの圧力が地中で高まって爆発した』との説が有力だ。
 ロシア科学アカデミー石油ガス調査研究所のワシリー・ボゴヤブレンスキー教授は『ここのところの異常に高い気温の影響を受けた可能性がある』と話す。将来地球温暖化が進み、凍土全体から、温室効果の高いメタンの大量放出が始まれば、さらに温暖化を加速させかねない。
 溶ける凍土 メタンの脅威
 ……
 地中のガス 圧力増し噴出か
 ロシア科学アカデミー地球雪氷圏研究所のマリーナ・レイブマン首席研究者による衛星写真の分析では、この穴は2013年10月から11月の間に出来た。
 その前年の平均気温は零下4.1度。前後数年より最大約4度高く、雨も多かった。この熱と雨が1年かけて地中に伝わり、永久凍土中に閉じ込められていたメタンガスが地中で発生。行き場を求めたガスが閉鎖空間にたまり、次第に圧力が上昇。当初は周囲の土で抑えられていたが、さらにガスが増え圧力が増し、ある時点で周囲の土を吹き飛ばした。とみる。
 昨夏の調査では、穴の中のメタンガス濃度は9,8%あった。濃度5%を超えると爆発する恐れがあるとされる。穴から遠ざかるほど濃度は低下したという。
 ……
 メタンの温室効果、CO₂の25倍
 温暖化進む恐れ
 永久凍土はシベリアだけでなく、カナダやアラスカなど、北半球の大陸表面の24%に存在する。
 温暖化による極地の気温上昇は、世界平均の2倍の速さで進むとされる。国連環境計画(UNEP)が2012年にまとめた報告書によると、今から2100年までに全地球の気温が3度上がれば北極では6度上昇し、地表付近の永久凍土の30〜85%が失われる可能性がある。
 特に心配されているのが、温室効果ガスの大量放出だ。全世界の永久凍土にあるメタンや二酸化炭素(CO₂)の炭素量は、現在の大気に含まれる量の2倍。メタンの温室効果はCO?の25倍ある。どれほどの影響があるのか、専門家でもまだ見通せていない。
 名古屋大学地球水循環研究センターの檜山哲哉教授は『永久凍土の融解が進めば温暖化は加速し、大地や植物だけでなく人間社会にも大きな影響を及ぼす。100年後、1000年後を見通すための研究が必要だ』と話す」
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 2016年8月15日 gooニュース AFP「解ける永久凍土と目覚める病原体、ロシア北部の炭疽集団発生
 発信地:モスクワ/ロシア [ ロシア・CIS ロシア ]
 ロシア・ヤマル半島のヤルセールで、トナカイの体調を診る獣医師ら。ロシア非常事態省提供(2016年8月8日提供)。(c)AFP/Russian Emergency Ministry
 【8月15日 AFP】ロシア極北ヤマロ・ネネツ(Yamalo-Nenetsky)自治管区で今月初めに起きた炭疽(たんそ)の集団発生で、先週までに23人の感染と少年1人の死亡が確認された。同国政府は感染拡大を防ぐことを目的にレスキュー隊や兵士らを数百人規模で配備した。
 ロシア北部同自治管区にあるヤマル(Yamal)半島での集団発生については、炭疽菌に感染したトナカイの死骸が永久凍土の融解により露出し、他の動物に感染したことが感染拡大の原因と考えられている。
 今後の懸念は、温暖化によって永久凍土が解け、その他の病原体が今回と同じように露出することだ。中には氷河時代にまでさかのぼる病原体もあると考えられている。
「今回の感染は、70年前に炭疽菌の感染で死んだ動物の埋葬地で氷が解けたために起きた可能性が高い」と、永久凍土の生物学的問題に取り組む「Institute for Biological Problems of Permafrost Zone」の研究所所長は述べる。
 ロシアは世界平均よりも2.5倍の速さで温暖化が進んでおり、また北極に近い地域では同国のその他の地域よりもさらにその進み方が早い。
 カラ海(Kara Sea)とオビ湾(Gulf of Ob)に挟まれたヤマル半島には、トナカイの遊牧をする人々がわずかだが住んでいる。ヤマル半島の今年7月の最高気温は35度に達した。これは、例年より8度ほど高いという。
 炭疽は、炭疽菌の感染によって起きる感染症で、動物からも感染する。皮膚接触により自然感染することが多く、感染すると皮膚に黒い病斑ができる。治療を受けなければ、死に至ることもある。
 北極には炭疽菌以外の病原体が何世紀にもわたって眠っているとされ、これらは氷の融解とともに露出する恐れがあると考えられている。
 疫学研究所「Central Research Institute of Epidemiology」のビクトール・マレイエフ(Viktor Maleyev)副所長によると、同国北部には、19世紀末に天然痘が流行した際の感染体埋葬地がある他、最近では、マンモスの死骸の中からも「巨大なウイルス」が新たに発見されているという。これについては、詳細はまだ特定されていないが、同氏は、研究の継続を訴えている。
 ■「ヤマルは小さな警鐘」
 現在の状況についてマレイエフ氏は、「気候変動は私たちに多くの驚きをもたらすだろう」としながら、「人々の恐怖心を煽るつもりはないが、私たちはその時のために備えておくべきだ」と主張する。
 また、今回の炭疽集団発生については、炭疽菌が眠っている地域での放牧行為によって起きたと考えられているため、本来ならトナカイへのワクチン接種で回避あるいは軽減できたとしている。この地域では、これまでに2000頭以上のトナカイが死んでいる。
 ヤマロ・ネネツ自治管区のドミトリー・コブイルキン(Dmitry Kobylkin)知事によると、家畜へのワクチンの投与は約10年前に廃止されたという。これについては、同地区は安全との誤った判断に基づくものだった可能性が高いと説明した。同知事によると、同管区で感染の影響が及んだ地域の面積は約1万2650平方キロメートルだという。
 自治管区政府は先週、これまでに1500人以上が予防接種を受け、706人が抗生物質を投与されていることを発表。住民らは、消毒処置が施された後、汚染されていない地域に移された。汚染地域では、兵士ら約270人が配備され、感染動物の死骸焼却などに当たっているという。
 今回の感染拡大について、同国の科学者たちは、政府の場当たり的な問題への対処を批判しており、温暖化対策の研究に十分な予算が確保されていないことを指摘した。
 海洋学者のバレリー・マリニン(Valery Malinin)氏によると、ロシア政府は2010年、泥炭火災による深刻なスモッグ問題に対応するため、気候プログラムを創設しているが、現在では、すでに機能しておらず、人々の記憶からも忘れ去られているという。
 環境問題へのこうした対応についてマリニン氏は、「ヤマルは小さな警鐘にすぎない。自然は私たちに挑戦し続けるだろう」と厳しい口調で警鐘を鳴らした。(c)AFP/Maria ANTONOVA」
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 2018年12月12日 gooニュース AFP「永久凍土融解、北極インフラの7割が危機に 研究
 発信地:東京/東京 [ アジア・オセアニア ]
カナダ・ヌナブト準州の永久凍土とイヌイットの集落(2015年9月17日撮影、資料写真)。(c)AFP/Clement Sabourin
 【12月12日 AFP】気候温暖化による永久凍土の融解が進行中で、北極地域のインフラの最大70%が危険にさらされるとする最新の研究結果が12日、発表された。これには主要な油田と天然ガス田も含まれるという。
 研究チームは2050年までに危険にさらされると考えられる建物、道路、鉄道、その他の建築物について、これまでで最も詳しくモデル化するため、北半球の永久凍土地帯全域のインフラに関する詳細なデータを利用・評価した。
 11日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文の筆頭執筆者で、フィンランド・オウル大学(University of Oulu)のヤン・ヨルト(Jan Hjort)教授(自然地理学)は「脅威の規模は、ある点で驚くほどだった」と話す。
 論文は、「特に驚くべきは、永久凍土領域にある現在のインフラの約70%が、地表近くの永久凍土層の融解の可能性が高い地域に存在することだ」と指摘し、「永久凍土融解の影響を受けるインフラへの損害によって2050年までに360万人が影響を受ける可能性がある」ことを補足している。
 また、ロシア北極圏にある主要な油田とガス田の半数近くが、2050年までに永久凍土融解に起因する「危険が及ぶ可能性が高い」地域内に存在するとも警告した。
 論文によると、世界の指導者らが地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で交わした約束を守ることができても、2050年までのインフラへのリスクは変わらないという。
 その一方で、気温の上昇幅を産業革命前の水準から2度未満に抑えることで、2050年以降に発生し得る潜在的な荒廃状態を軽減できる可能性は高いと、執筆者らは指摘している。
 ヨルト教授は、「今回の研究結果は『警鐘』として受け止められることが考えられる」として、永久凍土融解に起因すると考えられる損害をより詳細に理解するために、局所的なリスク評価を拡充させる必要性を訴えている。(c)AFP」
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 12月15日 gooニュース AFP「温暖化で解ける永久凍土 傾く建物、有害物質放出の恐れも シベリア
 発信地:ヤクーツク/ロシア [ ロシア ロシア・CIS ]
 ロシアのシベリア東部ヤクーツクで、ひびが入ったアパートの横を歩く女性(2018年11月26日撮影)。(c)Mladen ANTONOV / AFP
 【12月15日 AFP】世界有数の寒冷地であるロシア・シベリア(Siberia)東部ヤクーツク(Yakutsk)では、温暖化の影響を受けて永久凍土が危険なレベルにまで解け始めている。
 ヤクーツクの9階建てアパートに住むエドゥアルド・ロマノフ(Eduard Romanov)さんは、アパートを支える梁(はり)が沈下し、ひびが入り始めている箇所を見せながら、建物全体が不安定になっていると説明した。
 建設作業員で環境活動家でもあるロマノフさんは、「2年前から建物がゆがみ始め、40センチほど傾いた」と語った。
 世界で唯一、永久凍土の調査を行っている「メルニコフ永久凍土研究所(Melnikov Permafrost Institute)」の科学者によると、ヤクーツクの平均気温は過去10年で2.5度上昇した。地元民によると、20年前までは気温が氷点下55度以下になると学校が数週間休校になったが、今ではそのように極端な寒さが続くことはまれだという。
 ヤクーツク市内にある旧ソ連時代に建てられた大半のアパートはコンクリート製で、床下の通気性を考えて建物が支柱の上に載せられた構造になっている。このため永久凍土に熱が伝わることはないが、安定性を保つには地面が凍っていることが条件となる。
 だが、夏の気温上昇によって、この永久凍土が破壊される可能性が出てきている。永久凍土が解けると、道路や建物など、その上に造られているものは沈んでしまう。
 ロシアは、国土の約65%が永久凍土だ。人口約30万人のヤクーツクは、永久凍土に造られた都市としては世界最大規模となる。
 古い建物の建設時は、温暖化については全く考慮されておらず、1960年代の建築基準では、支柱は永久凍土層の6メートルの深さまで掘ることが定められていた。だが温暖化が進んだ今は、この深さでは不十分となり、ひびだらけの建物や、既に取り壊された建物もある。
 北極圏に領土を持つロシアは、他国に比べ約2.5倍の速さで温暖化が進んでいる。ロシアの天然資源環境省は今年公表した報告書で、永久凍土の溶解は、水資源、下水施設、原油パイプラインに影響する他、永久凍土に閉じ込められている化学物質、病原体、放射性物質などの放出につながる危険があると指摘している。
メルニコフ永久凍土研究所の地下研究室では、永久凍土での建築技術や、温暖化の影響を受けても凍土を維持する技術の開発を行っている。
 フロンやケロシンなどの不凍剤を詰めた金属製の筒を建物周辺の凍土に、先端を突き出した形で垂直に埋める方法は既に実用化されている。冬になると、筒の中の不凍剤が冷気で凝縮し、地面の寒さを保つ仕組みになっている。しかし、この方法は高額だ。
 永久凍土の溶解によって、ロシアの北極海沿岸は浸食が進んでいる。ヤクーツクの地元議員、ウラジーミル・プロコプエフ(Vladimir Prokopyev)氏は、ヤクーツクの海岸線は毎年約2メートルずつ、失われていると指摘する。
 ヤクーツクは今年、永久凍土の保全と監視に関する法律を国内で初めて制定し、政府にも全国規模で同じような法律を整備するよう働き掛けている。だが、政府は乗り気ではないと、プロコプエフ氏は嘆く。
「永久凍土を保全し、ロシア北部とシベリアの環境に深刻な影響を及ぼさないようにするには、全国的な法律が必要だ」(c)AFP/ Maria ANTONOVA」
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 2019年1月20日 gooニュース AFP「「地球の時限爆弾」永久凍土溶解が引き起こす危機 温暖化ガスや病原菌放出
 ロシアのシベリア東部ヤクーツクで、ひびが入ったアパートの前を歩く人(2018年11月26日撮影)。(c)Mladen ANTONOV / AFP
(AFPBB News)
 【AFP=時事】地球温暖化の影響で、広範にわたる永久凍土の溶解が懸念されている。永久凍土は数十億トンに上る温室効果ガスを内包しているが、溶解によりそれらが大気中に放出されるだけではなく、長年氷に閉じ込められてきた病原菌なども解き放たれる恐れがあるとして、科学者らは警告している。
 ■北半球の陸地の4分の1
 永久凍土とは、凍結した状態の土壌を指すが、その名とは異なり必ずしも「永久」に凍結しているわけではない。大部分は北半球に存在し、その陸地の約4分の1を覆っている。通常は何千年も前から凍ったままで、深さは数メートルから100メートルまでさまざまだ。
 永久凍土は、米アラスカ、カナダ、欧州北部、ロシアをまたぐ北極圏と北方林地帯に広がっている。北半球ほどの規模ではないが、南半球でも南米アンデス山脈南極大陸に存在する。
 ■大気中のほぼ2倍の炭素
 永久凍土には、凍った大昔の植物や動物の死骸という有機物の形で、推定1兆7000億トンもの炭素が閉じ込められている。
 永久凍土が解けると、有機物が温められ、分解され、最終的に温室効果ガスの二酸化炭素とメタンとして放出される。永久凍土は大気のほぼ2倍の炭素を保持しており、その大部分をメタンとCO2が占めている。
 ■温暖化の悪循環
 永久凍土の溶解による温室効果ガスの放出は、2015年に結ばれた地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で決定された、世界の気温上昇幅を産業革命以前と比べて1.5度に抑えるという努力目標を危うくするものだ。
 CO2は地球温暖化の最大要因とされているが、メタンの温室効果はCO2の25倍もある。永久凍土の温室効果ガスが大気中に放出されると、地球温暖化が悪化し、氷が解け、さらに永久凍土の溶解が進み、地球温暖化の悪循環に陥ってしまう恐れがある。
 米マサチューセッツ州ウッズホール研究センターのスーザン・ナタリ研究員は2015年、たとえ地球温暖化が2度前後の上昇に落ち着いたとしても、2100年までには永久凍土の30%が失われると指摘している。
 ナタリ氏は研究で、温室効果ガスの排出が現在のペースで続けば、永久凍土の最大70%が失われる恐れがあると指摘し、「永久凍土からの(温室効果ガスの)排出により、地球温暖化がコントロールできない状況に陥ってしまう可能性がある」と警告した。
 ■凍結された病原菌やウイルス
 永久凍土の溶解は、長い間氷に閉じ込められていた病原菌やウイルスの放出につながる恐れもある。
 これは既に現実のものとなっている。ロシア・シベリアで2016年、子どもが炭疽(たんそ)症により死亡した。70年前に炭疽で死亡したトナカイの死骸を埋葬した場所の永久凍土が解けたことが原因だと、科学者らは指摘している。放牧されていた家畜の群れが、解けたトナカイの死骸から放出された炭疽に感染したとみられている。
 科学者らは、地球温暖化により昔の天然痘患者の墓など、凍土に埋葬され、氷の中で眠っている他の病原菌も活動を再開する可能性があると警告している。
 ■インフラの危機
 永久凍土の融解は石油産業や鉱業にとっては朗報だ。これまで近づくことが困難だった埋蔵地へのアクセスが可能となるからだ。
 だが、土砂崩れの発生や建物、道路、石油パイプ来の破損など、インフラへ深刻な影響を与えることも懸念されている。
 環境保護団体グリーンピースが2009年に発表した報告書によると、ロシアの永久凍土の融解が、建物や橋、パイプラインの変形や崩壊を引き起こしており、シベリア西部では修理費は、年間13億ユーロ(約1620億円)に達しているという。 【翻訳編集】AFPBB News


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🌌17}─1─国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)。~No.70No.71No.72 @ 

温暖化とエネルギー (エネルギーフォーラム新書)

温暖化とエネルギー (エネルギーフォーラム新書)

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 CO₂排出は30年で上限の約3兆トンを超え、気温上昇2度未満を突破する。
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 2013年8月22日「今世紀末、温暖化で海面が81センチ上がり、気温は4・8度上昇の恐れ
 今世紀末の地球の平均海面水位は、最近20年間と比べて最大81センチ上がり、平均気温は最大4・8度上昇すると予測した気候変動に関する政府間パネルIPCC)第1作業部会の第5次報告書最新案が22日、明らかになった。報告書の改定は6年ぶり。
 人間の活動が原因で地球温暖化が起きている可能性は「極めて高い」(95%以上の確率)とこれまで以上に踏み込んだ表現となっており、二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務の課題であることを示す内容。今後の世界の温暖化対策の議論に大きな影響を与える。
 報告書は、9月下旬にスウェーデンストックホルムで開かれる世界の科学者と政府関係者らの会合で最終調整した上で確定し、公表される。
 IPCCは、CO₂排出量が今後どのように推移するか4種類のシナリオを想定して、将来の地球の気候を予測。今世紀末の2081〜2100年と、最近20年間の1986〜2005年の平均を比較した。」
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 11月26日 msn産経ニュース「地球温暖化防止 排出削減へエネ計画急げ[天気・気象]
 地球温暖化防止のためにポーランドワルシャワで開かれていた、国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)が終わった。
 今回のCOPの目標は、2020年からスタートさせることになっている温室効果ガス削減の新枠組みに向けて準備を整えることだった。
 それがまたもや途上国の抵抗で難航した。地球を人質に資金支援を迫るに等しい交渉術は改めなければならない悪弊だ。気候はフィリピンを襲ったようなスーパー台風が出現するまでになっている。人類共通の危機に立ち向かう精神は、どこに行ったのか。
 新枠組みでは、すべての国が削減の自主目標を設定し、二酸化炭素の排出を減らす計画になっている。目標が甘くなる懸念はあるが、先進国だけが削減義務を負う現行の京都議定書に比べると、途上国も参加することで取り組みは前進するはずだった。
 それが、今回の交渉の場で、途上国の目標設定があいまいな形に後退してしまった。これは重大な問題だ。今や二酸化炭素の排出は、先進国より途上国の方が多くなっている。
 一方、日本はCOP19で3・8%という低めの削減値表明を原発停止のために余儀なくされた。これは短期目標だったが、原発の再稼働が見えにくい現状では、15年中に国連に提出する新枠組み用の削減目標値をこれ以上、向上させることは困難だろう。
 福島事故を受けて見直し中のエネルギー基本計画は、年内策定に向けて議論されている。計画では、温暖化対策の観点からも原子力に重要電源としての明確な位置づけを与えることが不可欠だ。
 日本のエネルギー自給率は先進国中、際立つ低さである。原発に背を向ければ、火力発電所化石燃料使用で二酸化炭素の排出は増加に向かう。15年提出の削減目標値は、日本の国際的な立場にも直接、影響を与えるものである。
 日本の環境技術を途上国で生かす方策も重要だ。政府は途上国を対象とした2国間クレジット制度(JCM)の普及に力を入れている。海外での二酸化炭素の排出削減分を日本の削減量としてカウントできれば、日本と相手国と地球に効果がもたらされる。
 原発とJCMを環境戦略に生かしたい。それが技術国・日本の進むべき道である。」
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 木本昌秀(東京大学気象学教授)「これから本格的に温暖化することは間違いない」
 「その年、その場所の天気や気温などの一つ一つの事象は『自然のゆらぎ』によって変動がある。ですが、地球温暖化が進むというIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)や科学者の見解は、微動だにしない」
 「IPCC第五次報告書には産業革命以降の気温上昇を2度程度に抑えるなら、今後は過去の排出量の積算分と同じ量しか出してはいけない、と読める部分がある。解決を先延ばしにし、将来になってから排出量を大幅に抑制したとしても、時すでに遅しになる可能性は極めて高い」
 江守正多(国立環境研究所・気候変動リスク評価研究室長)「長期的な傾向として温暖化している。特定のある年のある場所の気温が気象条件によって低くなることと温暖化には直接の関係はないのです」
 鬼頭昭雄(筑波大学生命環境系気象学主幹研究員)「1年で降る雨の量も増えるし、1回あたりに降る雨の量も増えるようになるでしょう」
 「平均的に雨量が増えるといっても、すべての場所で増えるわけではなく。降りやすい場所により高い頻度で、より強く起こることになるでしょう。梅雨があり台風が来やすい日本では、集中豪雨の頻度も増え、雨の量も増えることになる」
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 12月16日 msn産経ニュース「日本は50位で「落第」 温暖化対策の通信簿、原発ゼロ響く? 中国にも抜かれ [原発
 世界の主要58の国と地域で、地球温暖化対策が最も進んでいるのはデンマークで日本は50位で「落第」とする温暖化対策ランキングをドイツの環境シンクタンク「ジャーマンウオッチ」などがまとめた。温室効果ガスの排出量が増加傾向にあるため2013年の日本の順位は前年の44位から後退。48位から46位にランクを上げた中国に抜かれた。中国は再生可能エネルギーが大幅に拡大していることなどが評価された。
 温室効果ガスの排出量や再生可能エネルギーの比率、エネルギーの利用効率に関するデータに、政策分析の結果を加えた指標を作り、採点した。
 産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑える国際目標の達成に向け十分な対策を取っている国がないことから前年同様、1〜3位は「対象国なし」で、トップは4位のデンマーク。日本はエネルギーの利用効率でやや成績がよかったものの47・21点で、「落第」とされた15の国と地域の中の一つに。大排出国の米国は43位、インドは30位だった。」
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 12月29日 読売新聞「世界の気温3度上昇なら
 20億人以上 水不足に
 地球温暖化で世界の平均温度が3度上がると、今世紀後半に20億人以上が水不足に陥るとの予測を、東京などの研究チームが米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
 東大など予測
 国連の『気候変動に関する政府間パネルIPCC)』の最新報告は、今世紀の平均温度が0.3〜4.8度上昇すると予測している。チームは、1〜3度上昇した場合の水資源の変化を、人口の変化も考慮しながら地域ごとに細かく計算した。
 12種類の計算プログラムを使い、スーパーコンピューターで予測した結果、人口の少ない北極周辺の寒帯で降水量が増える一方、ブラジルや地中海沿岸などは乾燥が進んで河川の水量が減少。生活に必要とされる『1人当たり1日2.7トン』の水を利用できない人口は、現在の1億人余から10億〜22億人に増える事がわかった。このうち約半数は、必要量の半分しか利用できないという。
 東京工業大学の鼎信次郎教授(水文学)の話『複数のプログラムで計算して、予測の信頼性は高い。温室効果ガスの適切な排出削減量を決める上での判断材料になるだろう』」
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 2014年1月4日 msn産経ニュース「温暖化、適応に限界 食料減、人間脅かす IPCC報告書原案
 地球温暖化によって食料生産が減少し人間の安全が脅かされると指摘した、国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)の第2作業部会報告書原案が明らかになった。今年3月に横浜市で開かれる会合で、7年ぶりの改定となる報告書を承認する。
 「温暖化が進むほど克服困難な悪影響が広範囲に生じ、人間や自然が適応できる限界を超える恐れが高くなる」と従来以上に踏み込んで警告。「今後数十年で温室効果ガス排出を抑制すれば、今世紀後半の気候変動リスクを軽減できる」として、対策の強化を促した。
 報告書は政策立案の基礎資料になり、温暖化対策をめぐる国際交渉に大きな影響を与える。
 原案は熱波や洪水、生態系の異変などの気候変動の深刻な悪影響が「既に陸、海とも広範囲で観測されている」と指摘。小麦、米、トウモロコシなどの穀物生産は、10年ごとに0〜2%減るとした。産業革命前と比べて世界の平均気温が2・5度上昇すると、世界経済の損失は収益の0・2〜2・0%に達するとしている。また、水や漁業資源の分布も大きく変わり、分配をめぐって国家間の紛争が増える恐れがあるという。」
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 2月28日 読売新聞「温暖化『年148兆円損失』
 今世紀末まで最悪の場合
 穀物など打撃
 IPCC報告原案
 地球温暖化が暮らしや生態系に与える影響を評価する国連の『気候変動に関する政府間パネルIPCC)』第二作業部会の最新報告の原案が明らかになった。温暖化の影響で世界全体の穀物生産量は今後10年ごとに最大2%ずつ減少。経済損失の総額は、海面上昇による土地の消失や観光への影響を含めて最大に見積もった場合、今世紀末までに年間148兆円と予測している。損失額は日本政府の来年度一般会計予算案(95兆円)を上回る。報告書は温室効果ガスの削減に加え、温暖化の進行に備えた『適応策』の重要性を強調している。」
 ……
 原案はまず十分な削減対策をとらなければ、大規模な河川洪水の被害を受ける人口が、対策をとった場合の3倍に増えると予測した。海面上昇や高潮の影響で土地が水没したり、浸食されたりするため、今世紀末までに、沿岸部の数億人が移住を強いられるとも指摘している。影響が大きい地域としてr、日本を含む東アジア、南アジア、東南アジアを挙げてた。
 降水量の変動が大きくなって、干ばつや高温も増え、主要穀物の小麦、米、トウモロコシの生産量は10年ごとに最大2%ずつ減少。逆に人口増で需要は14%ずつ増えることから、気温の上昇幅が大きい地域では、食料確保が危機に直面すると指摘した。
 温暖化が世界経済に与える影響を分析した18の研究結果を踏まえ、気温が2.5度上昇すると、国内総生産(GDP)の世界総額の0.2〜2%が失われると予測。2012年のGDP総額に当てはめると、15兆〜148兆円になる。農業の収量減、海面上昇による土地の消失、労働生産性の低下といった要因が大きい。
 熱帯を中心にサンゴ礁が激減。海洋生物の種類は熱帯で減り、その他で増えるため、乱獲を招き、国家間の緊張が高まると指摘した。
 適応策については、高温に強い農作物の品種の開発などで、収穫量を現在より15〜18%増やせると指摘した。アジアで熱波対策には、健康影響の警告システムが有効と指摘している。
 土地の喪失による移住や、かんがい施設の整備などに必要なコストは、途上国だけで7兆〜10兆円と見積もった」
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 4月7日 読売新聞「温暖化報告書
 排出削減策と適応策を両輪に
 地球温暖化による被害をいかに抑えるか。国際社会が協力し合い、対策を急がねばならない。
 国連の『気候変動に関する政府間パネルIPCC)』が、地球温暖化の影響と対策に関する報告書を横浜市で開いた総会でまとめた。
 気温の上昇は今後、数十年は止まらないという。報告書は『全大陸と海洋で影響が生じている』と警鐘を鳴らし、温暖化の進行を前提に被害を軽減させる『適応策』の必要性を強調した。
 現状を見据えた適切な問題提起と言えよう。
 世界の科学者らで構成するIPCCの報告書は、温暖化対策の国際的ルールを決める国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)の議論の基になる。各国が報告書を重く受け止め、危機感を共有することが求められる。
 報告書によると、20世紀末より気温が2度上がれば、熱帯や温帯地域は主要穀物の生産量が減少する。4度以上の上昇で、世界は深刻な食料危機に見舞われる。
 温暖化が加速すれば、水資源が不足し、貧困も拡大する。紛争の危険性が高まるだろう。安全保障の観点からも、世界規模での適応策の実行は待ったなしだ。
 高温多湿な地域の多いアジアは、気温上昇の悪影響を強く受けやすい点も気がかりだ。大雨による洪水が頻発する可能性がある。熱波の襲来で都市部の住民は深刻な危機に直面するとされる。
 高温に強い農作物への品種改良、高潮や洪水に備えた警報システムの整備、熱中症を防ぐための緑化促進など、社会の様々な分野で適応策が求められる。
 日本は台風の被害を数多く経験し、河川堤防の強化やハザードマップの作成といったハード、ソフト両面での対策を講じてきた。
 その経験と技術を途上国の適応策に生かしたい。実効性のある国際貢献となろう。
 COPの交渉は、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減策に重点が置かれてきた。世界全体の排出量を減らし、温暖化の進行を可能な限り食い止めることが重要なのは、言うまでもない。
 それに加え、今後は適応策の議論も深めていく必要がある。広範囲な被害を抑えるには莫大な費用も要する。財政基盤の弱い途上国に対する先進国の支援策などが、大きな課題となる。
 排出削減策と適応策を両輪に、温暖化対策を着実に進めていく。それが、世界共通のリスクに対処する現実的な道筋だろう」
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 日本は、深刻な少子高齢化社会に対する対応策として、毎年20万人の外国人移住計画の検討を初め、最終的には1,000万人の移民受け入れを本気で考えている。
 日本の食糧自給率は40%前後で、減りこそすれ増える事はない。
 農村部の若者は仕事を求めて都市部に出て、農家の後継者は減少している。
 農業では生計が成り立たないとして、農業離れが加速している。
 都市部は、増税と給料削減で生活苦に陥り、高値の国内農産物ではなく安値の輸入農産物を買っている。
 日本農家の労働不足に伴い、日本農業は回復不能なまでに衰退しつつある。
 後継者がいない日本農家を救済するより、日本農業を守る為に外国人移住者を農村部に移民させるべきであると言う意見がある。
 地球温暖化にともなう地球規模の農地破壊と地球規模の人口爆発によって、深刻な食料不足が襲来する事は避けられない現状に於いて。
 日本人は恵まれた都市部に生活の場を移し、1,000万人規模の貧困層の外国人を農業労働者として入植させ食糧を依存するのか。
 日本に大挙して移住してくるのは、反日的中国人だけである。
 それ以外の外国人は、日本に働きに来ても何時かはいなくなり、賃金と待遇の良い国へと移って日本に定住しない。
 残るのは、反日的中国人だけである。
 戦後日本人は、目先の利益・金儲けを優先して先の先を真剣に考えず、口先だけの綺麗事を言って自己陶酔におちいって自己満足して、本当の危機から目を逸らし、被害を予想できず、如何なる回避行動もとらない。
 昨今。想像力の欠如による自然災害の被害は拡大して、増えるこそすれ、減る事がない。
 将来、必ず襲来する未曾有の災害に対しても、小手先の対応はしても、根本的な対策は取らない。
 温暖化にともなう深刻な問題は、食糧問題である。
 日本には、依然として日本農業不要論が都市部に存在している。
 かっては生産者が消費者よりも威張っていたが、現代は消費者が生産者より優位にある。
 生産者にとって、無理をして都市部へ安値で出荷するよりも、地元で高値で売った方が収入が良い。
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 11月1日 産経ニュース【関西の議論】「広島だけではない… 豪雨、台風、地震 人工造成地に迫る危険とは【自然災害】 .
 74人が死亡した広島土砂災害。斜面崩壊や土石流が発生しやすい環境にあるということが、防災面では生かされなかった
 広島など全国の住宅造成地で、豪雨や台風による土砂災害が相次いでいる。こうした災害は、過去の地震の揺れでも発生しており、必ずしも、雨による被害とは限らず、注意が必要だ。専門家は事前の対策の必要性を訴えている。
 瀬戸内海周辺地に特徴的な「斜面崩壊や土石流が発生しやすい」環境
 8月の豪雨で、死者が74人にのぼった広島市では、15年前にも、同様の災害が発生している。この時は、発生時間帯が平日の昼間だったため、死者数は今回の被害の半数以下だったが、住宅造成地が被災地となった点は共通している。
 もともと太田川の中州で形成されていた広島市は、高度成長期以降の人口集中により、市域が拡大した。その結果、住宅地は、広島市の地形の特性である平坦(へいたん)地のすぐ背後にきりたつ山地や丘陵地の間際まで造成されていった。
 こうした地形特性に加え、広島市の山地や丘陵地は花崗(かこう)岩で構成されており、この花崗岩が風化した「まさ土」が山地岩盤を覆っていることから、もともと、斜面崩壊や土石流が発生しやすい環境にある。
 同様の環境は、瀬戸内海周辺地の特徴でもあり、神戸市など阪神間でも、昭和13年の阪神大水害(兵庫県の死者・行方不明約700人)に代表されるような災害がたびたび発生してきた。
 阪神大震災でも、大きな被害が
 こうした住宅地の造成に関連する災害は、雨によるものだけでなく地震によっても発生する。また、地震ですぐ被害が出なくとも、その後の台風や豪雨による複合被害も考えられる。
 京都大学防災研究所斜面災害研究センターの釜井俊孝教授によると「震度6以上になると、人工的な造成地は地すべりなどを起こす危険性が高くなる」。
 同教授らの調査では、平成7年の阪神大震災により200カ所以上で地すべりなど斜面変動が生じ、西宮市で34人が犠牲となった。
 また同教授らが、平成23年の東日本大震災の被災地となった宮城県福島県で調査したところ、人工的に盛り土などをした51カ所で地すべりを確認した。これらの場所は昭和53年の宮城県沖地震(M7・4)でも地すべりを起こしていた。
 調査によると、これらの被災地は1990年代までに、郊外の丘陵地に造成された。造成で斜面を削った切り土部分や、土を盛って平らにした盛り土部分があり、これらの境界部分で、盛り土側への沈下や、斜面の変動、液状化による隆起や沈下などがみられた。
 研究者「住民への周知が必要」
 東日本大震災では、国土交通省が東北3県を中心とする9県56市町の被災宅地の危険度判定を実施している。それによると、計6456件のうち1450件が、居住が困難となった「危険」と判定された。
 このうち、半数以上の886件が宮城県内で、さらにそのうち794件が仙台市に集中していた。
 国土交通省の調査の危険度判定の対象となった被災宅地は、広島市で土砂災害に見舞われたような郊外の人工造成地に立地しているケースが多い。
 南海トラフ巨大地震震度6が予測されている大阪府内でも、府北部や泉北地区にニュータウンがあり、注意を要する。
 釜井教授は「危険箇所を住民に周知することが必要だ。対策としては、万全ではないがくい打ちをしたり、地下水をぬくなどの対策は必要だ」とする。
 東日本大震災の被災地では、こうした対策が施されたり、緑化されていた造成地は被害が小さかったとされており、住居の立地環境を知り事前に対策したり、被災した場合、一時的な避難を検討しておくことは安全確保に不可欠だろう。(編集委員 北村理)」
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 11月2日 産経ニュース「今世紀末には平均気温2.8度上昇 福岡
 デンマークコペンハーゲンで、国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」の総会が開かれ、地球温暖化について論議が進んでいる。福岡管区気象台がこのほどまとめた長期予測によると、21世紀末、九州・山口では年平均気温が2・8度上昇し、真夏日が年間44日、猛暑日も13日増加するという。
 「九州・山口県地球温暖化予測情報」は、2076〜2095年の気候を、20世紀末(1980〜1999年)と比較した。年平均気温は、夏場より冬場の上昇が目立つ。九州北部地方でみると、夏の上昇は2・6度、冬場は3・2度に達した。
 この結果、日中の最高気温30度以上の真夏日が約44日、35度以上の猛暑日が約13日増加するという。猛暑だった昨年夏をみると、福岡市で真夏日は77日、猛暑日は30日あった。単純計算すれば、21世紀末には年間120日、実に1年の3分の1近くが、真夏日になると試算される。
 温暖化は大気の不安定化を促し、突風や短時間の強い雨、いわゆるゲリラ豪雨も増加するとみられる。気温上昇に伴い、大気が水蒸気を保持する上限(飽和水蒸気量)が増加するため、一度の雨で降る両が増えるからだという。
 一方、地表から蒸発する水分量はそれほど増加しない。このことから、飽和水蒸気量に達するのに長い時間が必要となることから、雨と雨の間隔は長くなるという。
 年間を通じてみると、雨が降らない日が増加し、一端降り出せば、短期間に激しい雨になるとみられる。
 こうした予測は、昨年3月に気象庁が公表した21世紀末の日本の気候予測の結果を元に作成した。
 地球全体の温暖化がどうなるか−。IPCCは2日にも、第5次統合報告書をまとめ、公表する。」
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 11月3日 読売新聞
 「IPCC統合報告書
 CO₂排出 30年で限界
 地球温暖化の将来予測や影響を評価する国連の『地球変動に関する政府間パネル(IPCC)』は2日、最新の統合報告書を公表した。今世紀末までの気温上昇を2度未満に抑えるという国際目標の達成には、産業革命以来の世界全体の二酸化炭素(CO₂)の累積排出量を、約3兆トンに抑える必要があるとの見解を盛り込んだ。すでに約2兆トンを排出しており、現在のペースで排出が続けば、あと30年で限界を超えるという厳しい見通しを示している。
 気温上昇2度未満 上限は3兆トン
 統合報告書は、コペンハーゲンでの総会で1日に承認され、2日に公表された。12月1日からペルーで開かれる国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)で報告され、温室効果ガスの削減交渉の科学的根拠とされる。
 IPCCラジェンドラ・パチャウリ議長は2日の記者会見で、『温暖化対策のための科学的根拠を示した。国際社会は真剣に受け止めてほしい』と述べた。
 IPCCは昨年9月〜今年4月、温暖化の将来予測、暮らしや生態系への影響、温暖化対策をテーマにした報告書をそれぞれ公表している。統合報告書は、この三つの報告書と、それ以前に公表した再生エネルギー、温暖化に伴う気象災害に関する二つの特別報告書の要点を取りまとめた。
 昨年11月にワルシャワで開かれたCOP19では、今世紀末までの世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑制することが確認された。2度以上になると、異常気象や、生態系に悪影響が出るリスクが高まるとされる。
 IPCCは今回、19世紀後半以降の世界全体のCO₂の累積排出量と、平均気温の上昇はほぼ比例し、この傾向は将来も続くと予測。『2度目標』の達成に必要な排出量の上限は2兆9,000億トンになるとした。排出済みの1兆9,000億トンを差し引くと、今の排出量の30年分に当たる1兆トンしか排出できない計算になる。
 2度目標達成の道筋として、IPCCは、温室効果ガスの排出量を2050年までに10年比で40〜70%削減し、今世紀末にはゼロか、さらにCO?回収・貯留する技術でマイナスにするシナリオを提示した。その実現には、太陽光や風力発電、バイオエネルギー、原子力発電を含むCO₂排出の少ない低炭素エネルギーの割合を、3〜4倍に増やす必要があると。
 対策遅れ コスト高を招く
 今回の統合報告書で注目されるのは『2度目標』を実現するためには、今後のCO₂排出量を約1兆トンに抑える必要があるとした点だ。
 約3兆トン入るコップに例えると、その3分の2はすでにいっぱい。国際社会は今後、コップがあふれないよう努力を続けなければならない。経済発展が著しい新興国で、大幅削減が期待できない現状を踏まえれば、極めて厳しい指摘と言える。
 IPCCは、再生可能エネルギーのほか、大気中のCO?を回収し、貯留する技術に期待をかけるが、運用中の回収・貯留施設の回収量は、先行する米国やカナダなどでも年間2,500万トン程度にとどまる。
 報告書は、2030年までに十分な対策が行われないと、その後の対策に必要となる費用は約1.4倍に増えるとした。後手に回れば高くつくとの指摘だ。日本は自国のCO₂の削減と並行し、優れた環境技術の蓄積を生かして世界に貢献する必要がある。
 (科学部 小日向邦夫)」
 産経ニュース 「気温高い年は激しい雨増加 大気中の水蒸気要因
 日本で気温や海面水温が高い年には、激しい雨の回数も増加するとの研究結果を気象庁気象研究所がまとめた。地球温暖化に伴って激しい雨が増えるとの懸念を裏付ける結果で、大気中に含まれる水蒸気量が増えることが要因とみている。長期的には気温の上昇傾向とともに激しい雨が増加していることは知られていたが、年ごとの変化にも関係があることを示している。
 環境・応用気象研究部の藤部文昭部長は、全国のアメダス(地域気象観測システム)のうち、観測漏れが少ない983地点を選び、昭和54〜平成25年の1時間雨量の年最大値を調べた。
 その結果、1時間雨量の年最大値の増減が、平均気温や平均海面水温の変動と似た傾向を示すことが判明。気温が1度上がると、雨量は4〜13%程度、海面水温が1度上がると7〜19%程度増えていた。
 藤部氏は「気温や海面水温が上昇すると、大気に含まれる水蒸気の最大量が増加する。強い雨の頻度も増えるため、最大値が大きくなりやすい」と判断した。
 ただ、夏の西日本や南西諸島に限ると、気温が高い年に1時間雨量の年最大値は小さくなる傾向も見られた。藤部氏は「暑い夏は高気圧に覆われて安定した晴天が続き、雨そのものが降りにくい」と分析した。
 年ごとのばらつきをならして長期的傾向を調べた結果では、1時間雨量の年最大値は10年当たり3.6%増加。気温は0.29度、海面水温は0.21度上昇していた。
 藤部氏は「長期的な変化だけでなく、年ごとの変化においても短時間の強雨と気温や海面水温との間に高い相関があるのは意外だった」と話している。
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 12月4日 産経ニュース「今年の気温は史上最高か 世界気象機関が発表
 世界気象機関(WMO)は3日、今年の世界の年平均気温が観測史上最高になる可能性が高いと発表した。このままでは年平均気温上位15年は今世紀に入ってからの14年が占めることになり、WMOは「地球温暖化は止まることなく続いている」と警告している。
 ペルー・リマで開催中の気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)に合わせて発表した。同条約のフィゲレス事務局長は「地球の気候が変わり、年を追うごとに極端な気象や人間への悪影響の恐れが増している」と指摘。COP20で温暖化対策の新たな国際枠組みづくりが進展するよう期待した。
 発表によると、今年1〜10月の平均気温は14・57度だった。1961年からの30年間の平均より0・57度、昨年までの最近10年間の平均より0・09度高い。
 平均海面水温はこれまでで最も高く、海が蓄えている熱も水深700メートルまでと、2千メートルまでのいずれもこれまでで最大だった。(共同)」
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 12月23日 産経ニュース 「世界の平均気温 最も高い見通し
 気象庁は22日、今年の世界の平均気温は平年を0・27度上回り、1891年の統計開始から最も高くなる見通しだとする速報値を発表した。11月までのデータから分析した。日本の平均気温も0・28度高く、明治31(1898)年の統計開始以降、117年間で11番目の高さだった。
 気象庁は、世界の平均気温が上がった理由について、陸地ではアジアやヨーロッパの広い範囲で気温が高い状態で推移し、海洋でも熱帯域を中心に水温が高かったと分析。夏に発生したエルニーニョ現象も一つとして挙げた。
 これまでの最高は、平年より0・22度高かった1998年で、このときも大規模なエルニーニョ現象が発生していた。
 世界の年平均気温は100年当たり0・7度の割合で上昇。特に90年代半ば以降は高温の年が多く、平年より高い順の上位10位は最近の10年のうち7年が占め、気象庁は「温室効果ガス増加に伴う、地球温暖化の影響が考えられる」としている。
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今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機

今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機

🗡16〗─1─日本は国産セメントで近代に成功し軍事国家になった。~No.50No.51No.52 * ⑥

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 セメントは、兵器工場や要塞・軍港・飛行場の建設に必要な軍需物資である。
   ・   ・   ・   
 日本が独立した近代国家・軍事国家になれたのは、セメントのお陰である。
   ・   ・   ・   
 日本産業の強みは、セメントを海外に依存せず自国で生産できた事である。
   ・   ・   ・   
 古代ローマは、セメントを使って各地に巨大な建造物を造って国力差を誇示して世界帝国を築き、2000年の歴史を保った。
   ・   ・   ・   
 ローマ皇帝の権威は、インフラを整備し、ローマ市民に清らかな水を供給する事である。
 インフラ整備には、鉄だけではなくセメントと石材が欠かせず、生産量に制限がある煉瓦では限度があった。
   ・   ・   ・   
 近代化は、セメントがあって成功する。
   ・   ・   ・   
 2019年2月号 歴史街道磯田道史氏 歴史家から見たセメントの底力
 小野直樹氏
 高価だった輸入セメント
 小野 日本初のセメント工場ができたのは明治6(1873)年のことです。新政府の『殖産興業』の方針により、東京・深川の官営工場として設立されます。当時は輸入セメントがとても高価で、国産化の必要に迫られていたのですね。そこで英仏の技術を導入して、明治8年にセメントの製造に成功しました。
 磯田 『鉄は国家なり』と言われますが、鉄だけでは国家の建造物を造るのは無理で、もう一つ、重要な資材がセメントです。近代国家の建設には鉄とセメントの2つが必要なわけです。明治初年のセメントの価格を調べると、1トン50円以上する。当時の1円は労賃で換算すると今の約3万円に相当します。セメント1トンが150万円の感覚なんですよ。10トン投入するだけで1,500万円を費やす状況で、これでは何も造れません。だから、明治政府はセメントを国産化したかったのですね。
 小野 そうした国の動きの一方で、山口県小野田(現・山陽小野田市)では、明治14年に民営のセメント工場が立ち上がります。旧萩藩士の笠井順八が、旧士族の生活難を救うために興したものです。
 磯田 この笠井には泣ける話があるんですよ。彼はものすごく秀才なんです。萩藩の明倫館に藩士を集め、成績上位の3名に入ると、藩主にご進講をさせる。で、笠井は2位になったのに、身分が低いからと、外されてしまうんです。これは非常に失礼な話で、笠井はつらくなって学校にいられなくなる。ところが、藩がつぶれて武士が路頭に迷わんというときに、彼らを救うために立ち上がったのが、笠井だったのです。
 小野 セメントは石灰石が主原料で、山口には石灰石もあれば、製造に用いる石炭もある。笠井も輸入セメントが高価なことは知っていて、セメント製造に乗り出すあけです。石灰石は全国に存在し、100%国産ですから、その後、各地に工場が造られます。
 国の独立とセメント
 磯田 セメントは明治9年ぐらいまではほとんど輸入ですね。国内でのセメント製造が始まって、初めて国は独立するというふうに私は思います。セメントの独立なくして日本の独立なしという状況ですよ。明治16年時の国内製造量は約1,500トンで、まだ同じくらいの量を輸入している。ところが、明治25年には製造量がもう5万トンに達しています。このときセメント会社が14社あり、今のセメント協会の加盟社数が17だそうなのですから、今とそう変わらないぐらいまで増えているんですね。
 小野 私も、セメント産業が興るのは、国としての力が本当についてきていたからだと思います。インフラの整備と、それに必要な資材の供給が自国でできるようになるのは、本当に大きなことだと思いますね。
 磯田 セメントと国力ということでは、私、セメントのありがたみが一番わかったのは、大学院1年生のときです。当時、日本の援助でフィリピンのネグロス島に井堰(いせき)ができたときに、その頃、私は農業経済史をやろうと思っていたので、見に行ったんです。すると、井堰が水を送るおかげで米がどんどんできるんですよ。で、井堰を造るためのセメントの値段を村人に訊くと、異様に高い。生産力が乏しくて容易には入手できないと言うんです。帰国して、笠井順八の事績に触れて、明治維新とはこれだと思いました。維新とは、セメントが造れるようになる革命だったんだと。維新の志士たちがセメント工場を造るという発想を持っていたことが大きい。日本が経済大国として発展したのは、人々の生活を良くする生産技術を改良したこと。たとえばセメントを造る力ですね、それも民間会社が造る力を短期間で持てたというところにあるのではないかなと思いました。
 リサイクルへの貢献とコンクリート舗装
 磯田 その上、明治のセメント人たちは、アジアで最初に環境との折り合いに苦闘します。要するに粉塵を飛ばさない技術改良です。キルン(回転窯)を改良したり、集塵機をつけたり、環境対策技術の高いセメント産業にしていく。今、途上国がどこも、環境に優しい技術でセメントを造れているかというと、まだ疑問が多い。日本のセメント産業には、環境対策を世界に広めるという大きな使命もあるのではないかと思います。
 小野 環境に優しいという点では、セメントは製造過程で、副原料やエネルギーの代わりに廃棄物・副産物を使う技術が、日本はかなり進んでいます。この美しい地球を守るために、我々の技術は世界的に絶対必要になってくると思いますね。
 ……
 命を守るコンクリート
 小野 最近の日本は、豪雨や洪水といった自然災害が多いですからね。磯田先生は『天災から日本史を読みなおす』という防災史の本もお書きになっていますが、歴史の中の災害に着目するきっかけは、何かおありだったのですか。
 磯田 私の母方は先祖代々、徳島の牟岐(むぎ)というところで、津波をかいくぐって生き延び炊いて、その子孫が私なんです。母親も2歳のときに、昭和南地震津波に巻き込まれそうになり、高台に駆け上がって事なきを得ました。だから天災、特に津波は先祖の仇なわけですよ。そこで大学生の頃、地震津波の古文書を見つけるとファイルしてきました。
 ……
 磯田 それが人命を救うことになりました。コンクリートは正しく使うと、命を守るものになります。セメントを造っている人々も、人命を救う仕事なんだと、自覚されていいと思うんですよ。
 小野 ありがとうございます。コンクリートの力と人間の知恵との合わせ技が命を守ったということですね。
 景観を考えた防波堤
 磯田 東日本大震災の後、私は浜松の大学に移りました。南海トラフによる地震津波常襲地で津波の古文書を探すためです。
 ……
 小野 国土強靱化が叫ばれている中で、私どもはその一翼を担って、〝命の鎧〟にふさわしい、より品質が良く、機能の高いセメントを供給していきたいと思います」
   ・   ・   ・   
 ウィキペディア
 セメント(cement)
 歴史
 セメントの利用は古く、古代エジプトのピラミッドにもモルタルとして使用されたセメント(気硬性セメント)が残っている。水酸化カルシウムとポゾランを混合すると水硬性を有するようになることが発見されたのがいつごろなのかは不明だが、古代ギリシア古代ローマの時代になると、凝灰岩の分解物を添加した水硬性セメントが水中工事や道路工事などに用いられるようになった。そういった時代には自然に産出するポゾラン(火山土や軽石)や人工ポゾラン(焼成した粘土、陶器片など)を使っていた。ローマのパンテオンやカラカラ浴場など、現存する古代ローマの建物にもそのようなコンクリート(ローマン・コンクリート)が使われている。ローマ水道にも水硬性セメントが多用されている。ところが、中世になるとヨーロッパでは水硬性セメントによるコンクリートが使われなくなり、石壁や石柱の芯を埋めるのに弱いセメントが使われる程度になった。
 現代的な水硬性セメントは、産業革命と共に開発され始めた。これには以下の3つの必要性が影響している。
 雨の多い季節に建物の表面仕上げをするために水硬性の漆喰が必要とされた。
 海水にさらされるような築港工事などで水硬性のモルタルが必要とされた。
 より強度の高いコンクリートの開発。
 産業革命時代に急成長を遂げたイギリスでは、建築用のよい石材の価格が上がったため、高級な建物であってもレンガ造りにして表面を漆喰で塗り固めて石のように見せかけるのが一般化した。このため水硬性の石灰が重宝されたが、固まるまでの時間をより短くする必要性から新たなセメントの開発が促進された。中でもパーカーのローマンセメントが有名である 。これはジェームズ・パーカー (James Parker) が1780年代に発明し、1796年に特許を取得した。それは実際には古代ローマで使われていたセメントとは異なるが、粘土質の石灰石を1,000 - 1,100 ℃と推定される高温で焼成し、その塊を粉砕して粉末としたセメントであり、天然の原料をそのまま使っていた。これを砂と混ぜたものがモルタルとなり、5分から15分で固まった。このローマンセメントの成功を受けて、粘土と石灰を人工的に配合して焼成してセメントを作ろうとする者が何人も現れた。
 イギリス海峡の三代目エディストン灯台の建設(1755年 - 1759年)では、満潮と満潮の間の12時間で素早く固まる上に、ある程度の強度を発揮する水硬性モルタルを必要とされた。この時土木工学者のジョン・スミートンは生産現場にも出向き、入手可能な水硬性石灰の調査を徹底的に行ったことで石灰の「水硬性」は原料の石灰岩に含まれる粘土成分の比率と直接関係していることに気づいた。しかし土木工学者のスミートンはこの発見をさらに研究することはなかった。この原理は19世紀に入ってルイ・ヴィカーにより再発見されたが、明らかに彼はスミートンの業績を知らなかったと思われる。1817年、ヴィカーは石灰と粘土を混合し、それを焼成して「人工セメント」を生産した。ジェームズ・フロストはイギリスで「ブリティッシュセメント」と呼ばれるほぼ同じ製法のセメントを同時期に開発したが、特許を取得したのは1822年だった。1824年、イギリス・リーズの煉瓦積職人ジョセフ・アスプディンが同様の製法について特許を取得し、これを「ポルトランドセメント」と称した。このポルトランドセメントは今日のセメントの主流であり、単にセメントと言った場合、このポルトランドセメントを指すことが多い。ポルトランドセメントのつづりは、Portland cementであり、アスプディンはイギリス人であり、イングランドポートランド島特産の石灰石の色調に似ていたことから、Portland cementと命名された。
 これらの製品は石灰とポゾランによるコンクリートに比べると、固まる時間が速すぎ(施工可能な時間が不十分)固まった直後の強度が不十分だった(型枠を外すのに数週間かかる)。天然セメントも人工セメントも、その強度は含有するビーライト(Ca2SiO4)の比率に依存する。ビーライトによる強度は徐々に高まっていく。1,250 ℃ 以下で焼成されているため、現代のセメントで素早く強度を発揮するエーライト(Ca3SiO5)を含んでいない。エーライトを常に含有するセメントを初めて製造したのは、ジョセフ・アスプディンの息子ウィリアム・アスプディンで、1840年代のことである。こちらが今日も使われているポルトランドセメントと同じものである。ウィリアム・アスプディンの製法には謎があったため、ヴィカーやI・C・ジョンソンが発明者だとされていたが、ウィリアムがケントのノースフリートで作ったコンクリートやセメントに関する最近の調査で、エーライトをベースとしたセメントであることが判明した。しかしウィリアム・アスプディンの製法は「大雑把」なもので、現代的セメントの化学的基盤を確立したのはヴィカーと言っていい。またジョンソンは、混合物を窯の中で焼成することの重要性を確立した。 ウィリアム・アスプディンの行った改良による製法では(父が集めるのに苦労していた)石灰をより多く必要とし、窯の温度もより高くする必要があり(そのため燃料も多く消費する)、出来上がったクリンカーは硬すぎて石臼がすぐに磨り減ってしまうという問題があった(当時、クリンカーを粉にする方法は石臼しかなかった)。このため製造コストがかなり高くなったが、その製品は適度にゆっくり硬くなり、固まると即座に強度を発揮するもので、製造過程にデメリットがたくさんあっても用途が格段に広がった。1850年代以降、コンクリートが建築にどんどん使われるようになり、セメントの用途のほとんどを占めるようになった。
 日本では、幕末の頃に高価なフランス製のポルトランドセメントを輸入したのが最初とされる。 1875年(明治8年)、日本で最初の官営セメント会社である深川セメント製造所にて、当時の工部省技術官宇都宮三郎がポルトランドセメントの製造に成功した。その後、1884年にこの工場は民間に払い下げとなり、日本セメント(現在の太平洋セメント)となった。また、1881年には山口県野田市に、民営セメント工場として最初のセメント製造会社小野田セメント(現在の太平洋セメント)が誕生した。当時の生産高は両工場で月産約230t程度であった。
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 コンクリート(concrete、混凝土)
 歴史
 ヴェスビオス火山山麓にあった火山灰、石灰、砕石を混合したものが水中で硬化したことを発見したのがコンクリートの歴史の始まり。
 歴史は古く、ローマ人がヴェスビオス火山山麓にあった火山灰、石灰、砕石を混合したものが水中で硬化し、強度を増すことに気付き、橋、水道橋、伽藍など建築物や構造物、構築物を造っていたことに始まる。ローマにある伽藍のドームは型枠すら使用されていた痕跡が確認されている。ローマに現在も残るパンテオンは鉄筋を使用していないコンクリート建築としては世界最大級のコンクリート製ドームの墓であり、ローマン・コンクリートがむき出しの状態である。現在とは異なり、当時のローマではコンクリート壁をレンガなどで覆っていた。ローマ帝国で使用されたローマン・コンクリートは、生石灰、「ポッツオーリの土」とも称される火山灰、軽石を骨材に使用していた。それまでの石、レンガを使用した建築に対し、コンクリートは革命的な材料で、制限されない自由で斬新な設計が可能となり、アーチやヴォールト、ドーム形状などに素早く硬化して剛体となり、それまでの石・レンガ建築で問題であった内部の圧縮・引張りを気にする必要が薄れ、建築史を大きく塗り替えた。
 最近の評価では、ローマン・コンクリートは現代使用されるポルトランドセメントと比較しても圧縮に対する強度は200kg/cm2と大して変わらないが、鉄筋を使用していない分、引っ張りに対する強度ははるかに低かった。ローマン・コンクリートの骨材には細かく砕いた煉瓦などの瓦礫を主に使っていた。
 古代ローマ帝国遺跡のコンクリートを調査した東北大学教授の久田真は、火山灰を混ぜることで緻密になり、耐久性が増したと分析している。北海道立総合研究機構北方建築総合研究所の谷口円は、劣化の原因となる二酸化炭素や塩分の染み込みを、火山灰が妨げて耐用年数が長くなると推測している。ローマ帝国滅亡後の中世ヨーロッパでは大型建築物は石造となり、コンクリートが再び使われるようになったのは産業革命後である。

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 日本が近代産業国家として急成長できたのは、セメントの原料である石灰岩が100%自給できたからである。
 「鉄は国家なり」といっても、鉄を生産する大規模工場群を建設しなければ始まらない。
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 煉瓦は、窯で焼く為の燃料が必要で、均質の製品を大量生産できなかった。
 そして、焼く為の燃料である石炭がなければ材木を使うしかなく、大量の材木を確保するには山野の樹木を伐採した。
 建材を煉瓦の頼っていた地域や国は、樹木を伐採しすぎて森林が消え、自然が破壊された。
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 全国規模の大量セメント生産は、地方分権的な幕藩体制では不可能で、どうしても強力な権力を持った中央集権体制でなければならなかった。
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 日本が近代化に成功し、中国や朝鮮が近代化に失敗したのはセメントを自国で100%生産できなかったからである。
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 インフラ整備には、国産セメントが欠かせなかった。
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 日本と古代ローマが似ている点は、100%セメントを生産していた事である。
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 明治時代の産業力の強みは、国内産業の為の石灰岩と主要輸出品の原料である生糸を100%自給できたからである。
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 日本の近代化は、石灰石・鉄鉱石・石炭の炭鉱が近くに点在していた北九州と西中国地方から始まった。
 東日本や東北の近代化が遅れたのは、この為であって、朝敵の旧佐幕派東北諸藩への懲罰ではなかった。
 関東内陸部や東北地方が近代化していったのは、鉄道網の延伸により石灰岩・鉄鉱石そして石炭の鉄道輸送が可能になってからである。


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⛲215}─2─日本国内で増え始めている安価で危険な中国製品。〜No.559No.560No.561No.562  *     

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 2019年1月18日25日号 週刊ポスト「危ない中国製品 2019年版
 命を脅かす『家電』『医薬品』『玩具』ほか最新リスト
 『放射能キーホルダー』『破裂する防犯ブザー』
 『細菌入りシャボン玉』『発がん性住宅建材』・・・・
 『怖いのは食品だけ』ではない──
 『メイド・イン・チャイナ』のリスクはこんなに拡大していた!
 アメリカでは中国製品の危険性が国家レベルの問題となる一方、日本ではかつてほどその危険性が叫ばれなくなっている。だがこの間、医薬品から家電、衣類、子供向け玩具まで、危険な〝メイド・イン・チャイナ〟は、身の回りの至るところにまで浸透していた。219年、私たちの身の安全を脅かす可能性がある中国製品は何か──。
 降圧剤に発がん性が!
 中国製品の〝締め出し〟が世界的に加速している。
 狙い撃ちにされているのは、中国の通信機器大手『華為(ファーウェイ)』と『ZTE』。米国は中国によるサイバー攻撃や機密情報の漏洩を警戒し、両社の通信機器には『安全保障上の脅威がある』として同盟国に使用禁止を要求。日本政府も各府省庁や自衛隊などから両社の製品を排除する方針を決めた。
 中国製品事情に詳しいジャーナリストの福島香織氏が語る。
 『中国の通信企業は、政府の要請があればあらゆる情報の提出を義務づけられている。共産党の不満分子を発見するため、端末に監視プログラムが組み込まれている可能性は以前から指摘されていました。欧米や日本が警戒し、市場から排除したのは当然の対応です。中国製品には世界の常識が通用しませんからね』
 この騒動で〝メイド・イン・チャイナ〟の危険性が改めて注目されているが、問題は通信機器だけではない。
 08年に起きた『中国産毒ギョーザ事件』以降、たびたび問題視されてきた中国産食品の〝汚染〟はいまだ健在で、今日も日本中に問題食品が流通している。
 ……
 前出の奥窪氏が次世代技術と共に警戒するのは、中国製の〝家〟だ。
 『中国国内では、住宅建材からホルムアルデヒドが検出されたり、石膏ボードから発がん性物資が見つかるケースが多発している。安価な建材ゆえ、すでに日本国内にも輸入されています。消費者は自宅の建材の生産国など知る由もありませんから、知らず知らずのうちに健康が害されていく、というケースも考えられる』
 世界で流通量を加速度的に増やしている中、中国製品の危機から身を守るには消費者自ら注意を払わなければならない。」
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 外国人移民・難民、特に中国人移民が増加すれば、誰も信用できず当てにできず、自分の事は自分で守るしかない。
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 現代日本は、安全性の高い高額な国内産商品なより安全性が低い低額な外国産商品(特に中国産商品)に人気がある。
 中国資本は、日本の赤字企業や倒産企業を購入し中国産が分からないようにして販売している。
 日本国内で売られている商品には安全性が薄れている。
 日本国内で、中国産、中国系日本産そして安全・安心を気にしていたら何も買えず、生活どことか生きていけない。
 反日派の中国共産党と中国軍の対日謀略「静かに侵略」は、日本の中に広く浸透している。
 その対日謀略「静かに侵略」に、協力する日本人が各分野で存在し、中国人移民・難民の増加で活動家・工作員が増えていく。
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🌌4}─2─猛暑の原因。ダブル高気圧、チベット高気圧とフィリピン沖気流・太平洋高気圧。~No.17No.18No.19No.20 @ ③ 

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 現代の地球温暖化は、偶然がもたらす自然現象ではなく人類が自ら招いた必然的な人災である。
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 2018年8月2日 読売新聞「猛暑の原因、チベット高気圧とフィリピン沖気流
 7月の記録的猛暑の原因は、大気の上層と下層の両方で、日本列島に高温をもたらす条件が重なったためだ。地球温暖化による平均気温の上昇も影響したとみられる。
 気象庁によると、猛暑の一因となったのが、フィリピン沖からの気流だ。これが大気上層の偏西風を北に押し上げ、大陸のチベット高気圧が張り出しやすくするとともに、大気下層の太平洋高気圧の勢力も強めた。その結果、2個の高気圧が重なって列島を覆う形となり、晴天が増えた。
 大気上層からの下降気流も影響した。下降気流が生じると、地表の空気が圧縮されて温度が上がる。今回はチベット高気圧の気流と、フィリピン沖から来た気流が列島上空で合わさって強い下降気流となり、列島の大気を暖めたという。」
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 7月18日 ウェザーニュース「猛暑見解2018
 今夏、猛暑ピークは今を含め2回
 原因は“ダブル高気圧”
 今年は例年より早く梅雨明けし、各地で連日厳しい猛暑が続いています。この後の暑さはどうなるのか、詳しく解説します。
 全国的に平年より暑い夏、猛暑ピークは2回到来
 7月下旬?9月は、平年並の暑さと厳しい暑さを繰り返す見通しです。特に“猛暑”となるタイミングは、今(?7月いっぱい)と8月下旬?9月上旬の2回とみています。
 先週より、日本列島の広範囲が夏の高気圧に覆われ、全国的に猛烈な暑さが続いています。この暑さは7月いっぱいまで続く予想で、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の被災エリアでも、35℃以上の厳しい暑さとなります。ボランティア活動や復旧作業、避難生活では熱中症に厳重な警戒が必要です。
 今後9月までの気温は、全国的に平年よりやや高い〜高い傾向で、猛暑が続く予想です。特に、九州北部から東北北部では、高気圧にしっかり覆われるので、平年より気温が高くなる傾向です。沖縄県周辺は、台風や湿った空気の影響を受けて晴れる日の少ない時期があり、平年並の予想です。
 暑さの要因は“タブル高気圧”
 今夏の気圧配置の特徴
 太平洋高気圧:勢力の強まるエリアがやや北に偏りやすい
 今年は太平洋高気圧の強まるタイミングが平年よりもやや早く、各地で夏の到来が早いのが特徴です。まだ梅雨明けしていない東北北部も、平年(7月28日)より早く梅雨明けする見込みです。
 今夏は、7月下旬と8月下旬?9月上旬にフィリピン近海で積乱雲が発生しやすい影響で、その北側に当たる日本付近では下降気流が発生し、太平洋高気圧の勢力を強めます。平年に比べると北への張り出しが強く、9月になっても太平洋高気圧の日本付近への張り出しが強い状態が続くため、西・東日本の広範囲で残暑が厳しくなりそうです。
 一方、8月上旬?中旬は、太平洋高気圧の勢力が弱まり、暑さは少し収まる予想です。また、9月中旬以降は、少しずつ秋らしくなっていく見込みです。
 チベット高気圧:日本付近への張り出しが強い
 今夏は、太平洋高気圧が強まる同時期に、チベット高気圧も勢力を強めて日本付近を覆う見通しです。チベット高気圧とは、今のこの時期に、チベット付近を中心に広範囲に広がる上空の高気圧です。太平洋高気圧とチベット高気圧は広がる高度が違うので、チベット高気圧が日本付近まで張り出すと、上空で重なり合う“ダブル高気圧”となります。非常に背の高い一つの高気圧のようになり、ますます勢力が強まります。
 今夏は、この2つの高気圧の張り出しが重なったタイミングが“猛暑”のピークとなる予想です。」
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 8月6日 産経ニュース「岐阜・下呂市で国内2位の41・0度…東海・西日本は7日も猛暑に
 最高気温が41度を記録した岐阜県下呂市の飛騨金山駅前で、40度を超える気温を示す手元の温度計=6日午後
 日本列島は6日も東海を中心に気温が上がり、午後には岐阜県下呂市で国内2位タイの記録となる41・0度を観測した。東海や西日本では7日も高気圧に覆われて気温が上昇するとみられ、気象庁熱中症対策を呼び掛けた。一方、前線の影響で大雨になった東北や新潟県では地盤が緩み、増水した河川もあるため土砂災害に警戒が必要だ。
 気象庁によると、41度台に達したのは埼玉県熊谷市で41・1度を観測して国内最高記録を更新した7月23日以来だ。41・0度は平成25年8月12日に高知県四万十市でも観測された。
 6日は他に岐阜県多治見市で40・4度、同県美濃市で40・3度、名古屋市で39・4度、三重県桑名市山梨県甲州市、長野県飯田市で38・4度を観測した。日本海側からの風が山を下って熱を帯びる「フェーン現象」の影響もあるという。
 厳しい暑さは8月中旬以降も続きそうだ。気象庁は6日、「異常天候早期警戒情報」を発表。関東甲信、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州北部で11日ごろから、東北で13日ごろから、それぞれ1週間程度はかなりの高温が予想されるとして注意を呼び掛けた。
 一方、前線の影響で東北は大雨になった。新潟県加茂市では6日午前、1時間に84・0ミリの猛烈な雨を観測した。山形県金山町では24時間雨量が312・5ミリに達した。」
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 日本の天災は、宗教的な絶対神の天罰・神罰ではなく、気象条件による自然災害である。
 偶然ではなく、必然である。
 日本民族日本人が自然災害で死ぬのは、悪逆非道な罪深い人間だからではない。
 日本の自然災害・天災は、宗教とは無関係である。
 生きる日本民族日本人は、偶然ではなく必然として死ぬのであり、絶対神の定めた理不尽な罪科で死ぬのではない。
 日本民族の宗教観・死生観・人生観は、そこに日本独自の神や仏を見る。
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 自然災害は天災であったが、被害者・犠牲者は人災であった。
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 生き残るのは偶然であったが、死ぬのは必然であった。
 大半の自然災害は、事前に備えていれば生き残る事ができたが、慎重に対策を講じていれば死ぬ事はなかった。
 犠牲者を出しのは、天災だから仕方がない、想定外の災害だからやむを得ない、行政・政府が悪いとか、自分は悪くない誰某が悪いとか、神の天罰・神罰だとか、愚にも付かない寝言の様な言い草は、自分の愚かさを隠して責任を逃れようとする犯罪行為である。
 持つともえげつないに日本人は、「災害など惨事を言葉にすると本当になるから、決して口してはならない」という、心穢れた「エセ言霊信仰者」である。
 日本の自然災害は、口にしようがしまいが、言葉にしようがしまいが、かなわず起きるのである。
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 ウィキペディア
 チベット高気圧とは、春から夏にかけての暖候期前半に、チベット高原を中心としてアジアからアフリカにかけての広範囲を覆う、対流圏上層の高気圧である。
 概要
 上層の高気圧であり、100Pa(高度15−16Km)や200Pa(高度約11Km)の高層天気図では明瞭に確認できるが、海面気圧の地上天気図では認められない。特に中心付近は対流活動が活発なため、海面付近の高度では逆に低気圧となっている。
 4月ごろマレー半島やその周辺のインド洋上に順定常的な高気圧として現れ始め、5月にはインドシナ半島付近の定常的な高気圧として解析されるようになる。6月になると中心がチベット高原に移り、8月頃まで活動が維持される。特に、7−8月頃には勢力が拡大して東に張り出すことがしばしばある。
 熱帯の海洋の中でも西太平洋やインド洋は海面水温が高く、対流活動が活発である。そして、夏期のアジアでは海から陸へ向かう大規模な季節風(モンスーン)が吹いている。これにより、インド洋・西太平洋・アジアではモンスーンの移動に付随して対流活動の活発な領域が移動する。この領域では、大量の降水に伴う潜熱加熱(非断熱加熱)が加わって大規模な対流が維持されている。周囲よりも温まりやすいチベット高原の熱特性に、北上してきた対流活動の活発な領域の潜熱加熱が加わった結果として、対流圏上層が高圧となることで生じるのがチベット高気圧である。
 日本付近では、夏季には対流圏下層を太平洋高気圧が広く覆っている。太平洋高気圧が平年よりも北西に偏り、その上、チベット高気圧が平年より東に張り出す年の夏は、猛暑になりやすいことが知られている。
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 太平洋高気圧(英語:Pacific High)は、太平洋に発生する温暖な高気圧である。亜熱帯高気圧の内の一つ。北太平洋に存在する北太平洋高気圧(North Pacific High)と、南太平洋に存在する南太平洋高気圧(South Pacific High)の2つがある。日本において単に「太平洋高気圧」と言う場合北太平洋高気圧を指す。また、大西洋ではアゾレス高気圧がこれに相当する。
 北太平洋高気圧の中心はハワイ諸島近辺、北東太平洋上にあり、東西に張り出して、東側ではアメリカ合衆国西海岸に年間を通じて温暖で乾燥した気候をもたらし、夏の日本の天気を支配する。その他の季節にも影響を及ぼすことがあり、冬に勢力が強いときは、寒気の南下を妨げることがある。広大な太平洋高気圧のうち、日本の南海上付近のものは小笠原諸島付近に中心を持つことが多いことから小笠原高気圧(Ogasawara High)とも呼ばれる。
 成因
 亜熱帯高気圧は太平洋特有のものではなく、北大西洋のアゾレス高気圧の他、南半球にも同様のものがある。これらの高気圧は地球規模の大気の大循環の一環として生成するものである。夏だけではなく年中存在する(夏だけしか存在しないと誤解されやすいが、それは正しくない)。
 赤道付近は強い日射のために暖められた海面や地上の空気が上昇し、対流圏界面まで達すると両極に向かって流れるが(ハドレー循環)、地球自転の影響を受けて次第に西寄りに向きを変え、北緯30度付近に来ると偏西風(亜熱帯ジェット気流)となり、赤道から来る空気が滞留、積もるため、地上に高気圧を形成し、余分な空気が下降気流となって海面(地表)付近に達して周囲に吹き出す。北太平洋海域の北太平洋高気圧は、夏季に最盛期を迎え、小笠原諸島方面から日本付近に張り出す。
 性質
 北半球では、夏期には大陸は熱せられて全体が低圧部となり、冬期はユーラシア大陸ではシベリア高気圧が発達するためこうした高気圧帯は寸断されて大洋上に孤立して見られるが、陸地の少ない南半球では高気圧の帯が取り巻いているのがわかる。
 北半球においても、砂漠地帯は一般に亜熱帯高気圧帯の下に見られる。亜熱帯高気圧の圏内では下降気流があるため空気が乾燥し、降雨がほとんど無いためである。冬季のシベリア高気圧の上限がせいぜい上空2kmから3kmであり、「背の低い高気圧」と呼ばれるのに対して、この高気圧は上限が10km以上に達し、対流圏の上層部から下降流が発生しているため、「背の高い高気圧」と呼ばれる事もある。 高気圧の勢力圏内は海上でも雲の無い晴天域が広がるが、周辺部では、温められた海面から発生した水蒸気が高気圧からの風で運ばれるため、湿度の高い気候になる。
 日本列島も、太平洋高気圧(狭義には小笠原高気圧)の圏内に入れば乾燥した高温の晴天となるが、周辺部に入ると蒸し暑く、湿った気流の流入によって雷雨が起こりやすくなり、前線や、上層への寒気の流れ込みと重なると豪雨となって災害が起こる場合もある。小笠原高気圧を構成する小笠原気団は海洋にあるため高温・多湿と説明されることが多いが、夏季はその温度の割に湿度が低いため、乾燥する。仮に、小笠原諸島周辺に大陸があったと仮定すれば、砂漠になっていた可能性がある。
 チベット高気圧との関連
 日本列島付近は太平洋高気圧の勢力範囲としてはむしろ周辺部に当り、この高気圧のために定常的に高温乾燥気候が持続する事は少ないが、夏期にチベット高原の上空の圏界面近くに発達するチベット高気圧が、時に西日本付近にまで伸びてくることがあり、その場合は太平洋高気圧の更に上層部に高気圧が重なる形になるので、高気圧の背が更に高くなり、しかも安定する。そのため西日本を中心に高温で雨の降らない状態が長続きし、深刻な干ばつ・渇水をもたらす事がある。


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🌌4}─1─二酸化炭素濃度。平均気温40度時代。~No.14No.15No.16 @ 

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 2018年8月2日09:19 産経ニュース「二酸化炭素濃度が過去最高に 2017年、米政府機関報告
 1981〜2010年の平均と比較した2017年の世界の平均気温。濃い赤ほど高い(米海洋大気局提供・共同)
 米海洋大気局(NOAA)などの国際チームは1日、地球温暖化に大きな影響を及ぼす二酸化炭素(CO2)の2017年平均の大気中濃度が過去最高だったとする報告書を公表した。世界の平均気温も観測史上2〜3番目の高さ。「さまざまな指標が、温暖化が進行していることを示している」と指摘した。
 報告書によると、17年の平均CO2濃度は405ppm(1ppmは100万分の1)で、過去最高だった16年を2・2ppm上回った。深刻な温暖化影響を避けるには、420ppm程度に抑えることが必要だと考えられている。
 また地球表面での年平均気温は1981〜2010年の平均を0・38〜0・48度上回った。強力なエルニーニョ現象が起きなかった年としては最も高温だったという。
 世界の平均海面は1993年比で7・7センチ高く、氷床が減少し続けていることをうかがわせた。
 異常気象も世界で頻発。日本でも昨年7月に福岡県朝倉市で1時間に129・5ミリの降水量を観測し、川の氾濫や土砂災害が発生したと紹介した。(共同)
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 8月2日12:43 産経WEST「岐阜・多治見で39・9度、名古屋で39・6度 猛暑続く、局地的雷雨に注意
 名古屋市では、午前中に気温38度を超える猛暑となった=2日
 日本列島は2日も高気圧に覆われて気温が上昇し、岐阜県多治見市で39・9度、名古屋市で39・6度を観測するなど厳しい暑さになった。気象庁は小まめな水分、塩分の補給や冷房の適正使用など熱中症対策を呼び掛けた。
 気象庁によると、特に関東甲信、東海では日本海からの気流が山を越える「フェーン現象」の影響で気温が高くなりそうだ。また、気温の上昇に伴って東日本や西日本で大気の状態が不安定になり、山沿いを中心に局地的に雷を伴った激しい雨が降る恐れもある。
 他に浜松市38・3度、大分県日田市で37・8度、東京都府中市で37・7度、甲府市や津市、松江市で37・4度、埼玉県鳩山町で37・3度、群馬県桐生市で37・1度を観測した。
 一方、台風12号は鹿児島・奄美大島の西の東シナ海に停滞した。今後は発達しながら中国大陸に進む見通し。九州南部、南西諸島は引き続き雷雨や突風に注意が必要だ。2日正午現在、中心の気圧は990ヘクトパスカル、最大瞬間風速は30メートル。」
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 8月3日15:16 産経WEST「名古屋で40・3度、岐阜・美濃で40・1度 三大都市で初の「40度超え」
 最高気温が39・9度となった岐阜県多治見市で、温度計を背景に写真を撮る人たち=3日午後
 気象庁によると、3日午後、名古屋市で40・3度、岐阜県美濃市で40・1度を観測した。最高気温が35度以上となる厳しい暑さは東日本で8日にかけて、西日本では10日ごろにかけて続く見通し
 日本列島は3日も広く高気圧に覆われ、各地で厳しい暑さとなった。気象庁は東北から九州の広い範囲に高温注意情報を出し、熱中症予防を呼び掛けた。
 名古屋市は1890(明治23)年の統計開始以来、最も高かった39・9度(昭和17年8月2日に観測)を更新した。東京(23区)、大阪、名古屋の三大都市で40度を超えたのは観測史上初めて。」
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 8月3日22:16 産経ニュース「温暖化対策「脱炭素姿勢明確に」 政府有識者懇、長期目標達成へ議論
 パリ協定で掲げた目標達成に向けた長期戦略を検討する有識者懇談会の初会合であいさつする安倍首相=3日午前、首相官邸
 政府は3日、地球温暖化対策のパリ協定で掲げた目標達成に向け、長期戦略を検討する有識者懇談会の初会合を安倍晋三首相も出席して首相官邸で開いた。「2050年に温室効果ガス80%減」との目標を確実に達成し、経済成長にもつなげる具体的方策を議論し、今年度中に提言をまとめる。
 会合冒頭に安倍首相は「もはや温暖化対策は企業にとってコストではなく競争力の源泉だ。世界の動きを俯瞰(ふかん)しながら国際潮流を牽引(けんいん)できるビジョンを示してほしい」とあいさつ。その後、学識経験者や経済界などから選ばれた委員が、非公開で議論した。
 出席した中川雅治環境相によると、複数の委員が温暖化の原因の二酸化炭素を大幅に減らす「脱炭素」の姿勢を明確に示すべきだと強調した。」
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 8月4日 産経ニュース「ポルトガルで45・2度 欧州も猛暑
 猛暑の中、ビーチのジャンプ台から海に飛び込む女性ら=3日、スペイン・サンセバスチャン(AP)
 猛暑に見舞われているポルトガルは3日、各地で気温が上昇、内陸部の中部アブランテシュで45・2度となり、2003年に記録した同国の史上最高気温47・4度に迫る勢いとなった。AP通信が伝えた。
 熱波がイベリア半島から北アフリカに至る地域を襲っているためで、週末にかけてさらに気温が上がる可能性があるという。
 酷暑で蚊もへたばった? 殺虫剤売り上げ10%減
 欧州での史上最高気温は1977年にギリシャで記録した48・0度。(共同)」
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🐟6〗─6─食料輸入国日本。安価で輸入される中国食品の問われる安全性。 ~No.29 @ 

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 貧富の格差が食の格差となる。
 低所得者の貧困家庭は、安価な中国食材を買って食べるしかない。
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 飢えるより、空腹に堪えるよりまし。
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 どくをくらわばさらまで。
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 2019年1月15日 msnニュース「危ない中国食品 春巻きから農薬、落花生から発がん性のカビ
 c SHOGAKUKAN Inc. 提供 中国製品の危険性が指摘されている(共同通信社
 アメリカでは中国製品の危険性が国家レベルの問題となる一方、日本ではかつてほどその危険性が叫ばれなくなっている。だがこの間、危険な"メイド・イン・チャイナ"は、身の回りの至るところにまで浸透していた。
 中国製品の"締め出し"が世界的に加速している中、狙い撃ちにされているのは、中国の通信機器大手「華為(ファーウェイ)」と「ZTE」だ。
 米国は中国によるサイバー攻撃や機密情報の漏洩を警戒し、両社の通信機器には「安全保障上の脅威がある」として同盟国にも使用禁止を要求。日本政府も各府省庁や自衛隊などから両社の製品を排除する方針を決めた。中国製品事情に詳しいジャーナリストの福島香織氏が語る。
 「中国の通信企業は、政府の要請があればあらゆる情報の提出を義務づけられている。共産党の不満分子を発見するため、端末に監視プログラムが組み込まれている可能性は以前から指摘されていました。欧米や日本が警戒し、市場から排除したのは当然の対応です。中国製品には世界の常識が通用しませんからね」
 この騒動で"メイド・イン・チャイナ"の危険性が改めて注目されているが、問題は通信機器だけではない。
 2008年に起きた「中国産毒ギョーザ事件」以降、たびたび問題視されてきた中国産食品の"汚染"はいまだ健在で、今日も日本中に問題食品が流通している。
 昨年3月、イオンが販売していた中国産の冷凍春巻きから食品衛生法の基準値の3倍の農薬「ホキシム」が検出され、全品が回収された。11月にも中国産のくわいから基準値の14倍となる農薬「パクロブトラゾール」が検出され、回収処分となっている。
 2017年7月にも、中国産の落花生から発がん性のカビ毒が検出され、保健所から回収命令が出た(岐阜市)。
 さすがに近年は購入前に製造元を確認し、中国産を避けているという消費者も増えている。
週刊ポスト2019年1月18・25日号」
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