🌌21}─2─ 温暖化で解ける永久凍土で、目覚める毒性の強い病原体と有害物質の放出。~No.101 @ 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2014年3月 フランス国立中央研究所は、シベリアの永久凍土の中で眠っていた3万年前のウイルスの蘇生に成功した。
 地球の温暖化によって、極寒地帯の氷が溶けると共に眠っていた古代のウイルスが活動を開始する恐れがある。
 その中には、猛毒を持った致死率の高いウイルスがいる可能性があり、人類には未知のウイルスに対する免疫もなければ、治療するクスリもない。
   ・   ・   ・   
 2015年7月19日 朝日新聞 「地球異変
 極北 大地に謎の穴
 ロシア・ヤマル半島に出現したクレーターのような巨大な穴
 これはまるで、地球の表面にぱっくりと開いた口のように見える。
 ……
 地元政府の緊急要請でロシアの科学者が調査を始めた。穴は直径約37メートル、深さ約75メートルあった。その後、同様の穴の報告が相次ぎ、4個が確かめられている。
 ……
 真冬には気温が零下40度まで下がる極寒の地。地中には永久凍土が数百メートルの厚さで広がっている。メタンが多く含まれ、近くには世界有数の天然ガス田もある。研究者の間では『永久凍土が溶け、メタンガスの圧力が地中で高まって爆発した』との説が有力だ。
 ロシア科学アカデミー石油ガス調査研究所のワシリー・ボゴヤブレンスキー教授は『ここのところの異常に高い気温の影響を受けた可能性がある』と話す。将来地球温暖化が進み、凍土全体から、温室効果の高いメタンの大量放出が始まれば、さらに温暖化を加速させかねない。
 溶ける凍土 メタンの脅威
 ……
 地中のガス 圧力増し噴出か
 ロシア科学アカデミー地球雪氷圏研究所のマリーナ・レイブマン首席研究者による衛星写真の分析では、この穴は2013年10月から11月の間に出来た。
 その前年の平均気温は零下4.1度。前後数年より最大約4度高く、雨も多かった。この熱と雨が1年かけて地中に伝わり、永久凍土中に閉じ込められていたメタンガスが地中で発生。行き場を求めたガスが閉鎖空間にたまり、次第に圧力が上昇。当初は周囲の土で抑えられていたが、さらにガスが増え圧力が増し、ある時点で周囲の土を吹き飛ばした。とみる。
 昨夏の調査では、穴の中のメタンガス濃度は9,8%あった。濃度5%を超えると爆発する恐れがあるとされる。穴から遠ざかるほど濃度は低下したという。
 ……
 メタンの温室効果、CO₂の25倍
 温暖化進む恐れ
 永久凍土はシベリアだけでなく、カナダやアラスカなど、北半球の大陸表面の24%に存在する。
 温暖化による極地の気温上昇は、世界平均の2倍の速さで進むとされる。国連環境計画(UNEP)が2012年にまとめた報告書によると、今から2100年までに全地球の気温が3度上がれば北極では6度上昇し、地表付近の永久凍土の30〜85%が失われる可能性がある。
 特に心配されているのが、温室効果ガスの大量放出だ。全世界の永久凍土にあるメタンや二酸化炭素(CO₂)の炭素量は、現在の大気に含まれる量の2倍。メタンの温室効果はCO?の25倍ある。どれほどの影響があるのか、専門家でもまだ見通せていない。
 名古屋大学地球水循環研究センターの檜山哲哉教授は『永久凍土の融解が進めば温暖化は加速し、大地や植物だけでなく人間社会にも大きな影響を及ぼす。100年後、1000年後を見通すための研究が必要だ』と話す」
   ・   ・   ・   
 2016年8月15日 gooニュース AFP「解ける永久凍土と目覚める病原体、ロシア北部の炭疽集団発生
 発信地:モスクワ/ロシア [ ロシア・CIS ロシア ]
 ロシア・ヤマル半島のヤルセールで、トナカイの体調を診る獣医師ら。ロシア非常事態省提供(2016年8月8日提供)。(c)AFP/Russian Emergency Ministry
 【8月15日 AFP】ロシア極北ヤマロ・ネネツ(Yamalo-Nenetsky)自治管区で今月初めに起きた炭疽(たんそ)の集団発生で、先週までに23人の感染と少年1人の死亡が確認された。同国政府は感染拡大を防ぐことを目的にレスキュー隊や兵士らを数百人規模で配備した。
 ロシア北部同自治管区にあるヤマル(Yamal)半島での集団発生については、炭疽菌に感染したトナカイの死骸が永久凍土の融解により露出し、他の動物に感染したことが感染拡大の原因と考えられている。
 今後の懸念は、温暖化によって永久凍土が解け、その他の病原体が今回と同じように露出することだ。中には氷河時代にまでさかのぼる病原体もあると考えられている。
「今回の感染は、70年前に炭疽菌の感染で死んだ動物の埋葬地で氷が解けたために起きた可能性が高い」と、永久凍土の生物学的問題に取り組む「Institute for Biological Problems of Permafrost Zone」の研究所所長は述べる。
 ロシアは世界平均よりも2.5倍の速さで温暖化が進んでおり、また北極に近い地域では同国のその他の地域よりもさらにその進み方が早い。
 カラ海(Kara Sea)とオビ湾(Gulf of Ob)に挟まれたヤマル半島には、トナカイの遊牧をする人々がわずかだが住んでいる。ヤマル半島の今年7月の最高気温は35度に達した。これは、例年より8度ほど高いという。
 炭疽は、炭疽菌の感染によって起きる感染症で、動物からも感染する。皮膚接触により自然感染することが多く、感染すると皮膚に黒い病斑ができる。治療を受けなければ、死に至ることもある。
 北極には炭疽菌以外の病原体が何世紀にもわたって眠っているとされ、これらは氷の融解とともに露出する恐れがあると考えられている。
 疫学研究所「Central Research Institute of Epidemiology」のビクトール・マレイエフ(Viktor Maleyev)副所長によると、同国北部には、19世紀末に天然痘が流行した際の感染体埋葬地がある他、最近では、マンモスの死骸の中からも「巨大なウイルス」が新たに発見されているという。これについては、詳細はまだ特定されていないが、同氏は、研究の継続を訴えている。
 ■「ヤマルは小さな警鐘」
 現在の状況についてマレイエフ氏は、「気候変動は私たちに多くの驚きをもたらすだろう」としながら、「人々の恐怖心を煽るつもりはないが、私たちはその時のために備えておくべきだ」と主張する。
 また、今回の炭疽集団発生については、炭疽菌が眠っている地域での放牧行為によって起きたと考えられているため、本来ならトナカイへのワクチン接種で回避あるいは軽減できたとしている。この地域では、これまでに2000頭以上のトナカイが死んでいる。
 ヤマロ・ネネツ自治管区のドミトリー・コブイルキン(Dmitry Kobylkin)知事によると、家畜へのワクチンの投与は約10年前に廃止されたという。これについては、同地区は安全との誤った判断に基づくものだった可能性が高いと説明した。同知事によると、同管区で感染の影響が及んだ地域の面積は約1万2650平方キロメートルだという。
 自治管区政府は先週、これまでに1500人以上が予防接種を受け、706人が抗生物質を投与されていることを発表。住民らは、消毒処置が施された後、汚染されていない地域に移された。汚染地域では、兵士ら約270人が配備され、感染動物の死骸焼却などに当たっているという。
 今回の感染拡大について、同国の科学者たちは、政府の場当たり的な問題への対処を批判しており、温暖化対策の研究に十分な予算が確保されていないことを指摘した。
 海洋学者のバレリー・マリニン(Valery Malinin)氏によると、ロシア政府は2010年、泥炭火災による深刻なスモッグ問題に対応するため、気候プログラムを創設しているが、現在では、すでに機能しておらず、人々の記憶からも忘れ去られているという。
 環境問題へのこうした対応についてマリニン氏は、「ヤマルは小さな警鐘にすぎない。自然は私たちに挑戦し続けるだろう」と厳しい口調で警鐘を鳴らした。(c)AFP/Maria ANTONOVA」
   ・   ・   ・   
 2018年12月12日 gooニュース AFP「永久凍土融解、北極インフラの7割が危機に 研究
 発信地:東京/東京 [ アジア・オセアニア ]
カナダ・ヌナブト準州の永久凍土とイヌイットの集落(2015年9月17日撮影、資料写真)。(c)AFP/Clement Sabourin
 【12月12日 AFP】気候温暖化による永久凍土の融解が進行中で、北極地域のインフラの最大70%が危険にさらされるとする最新の研究結果が12日、発表された。これには主要な油田と天然ガス田も含まれるという。
 研究チームは2050年までに危険にさらされると考えられる建物、道路、鉄道、その他の建築物について、これまでで最も詳しくモデル化するため、北半球の永久凍土地帯全域のインフラに関する詳細なデータを利用・評価した。
 11日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文の筆頭執筆者で、フィンランド・オウル大学(University of Oulu)のヤン・ヨルト(Jan Hjort)教授(自然地理学)は「脅威の規模は、ある点で驚くほどだった」と話す。
 論文は、「特に驚くべきは、永久凍土領域にある現在のインフラの約70%が、地表近くの永久凍土層の融解の可能性が高い地域に存在することだ」と指摘し、「永久凍土融解の影響を受けるインフラへの損害によって2050年までに360万人が影響を受ける可能性がある」ことを補足している。
 また、ロシア北極圏にある主要な油田とガス田の半数近くが、2050年までに永久凍土融解に起因する「危険が及ぶ可能性が高い」地域内に存在するとも警告した。
 論文によると、世界の指導者らが地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で交わした約束を守ることができても、2050年までのインフラへのリスクは変わらないという。
 その一方で、気温の上昇幅を産業革命前の水準から2度未満に抑えることで、2050年以降に発生し得る潜在的な荒廃状態を軽減できる可能性は高いと、執筆者らは指摘している。
 ヨルト教授は、「今回の研究結果は『警鐘』として受け止められることが考えられる」として、永久凍土融解に起因すると考えられる損害をより詳細に理解するために、局所的なリスク評価を拡充させる必要性を訴えている。(c)AFP」
   ・   ・   ・   
 12月15日 gooニュース AFP「温暖化で解ける永久凍土 傾く建物、有害物質放出の恐れも シベリア
 発信地:ヤクーツク/ロシア [ ロシア ロシア・CIS ]
 ロシアのシベリア東部ヤクーツクで、ひびが入ったアパートの横を歩く女性(2018年11月26日撮影)。(c)Mladen ANTONOV / AFP
 【12月15日 AFP】世界有数の寒冷地であるロシア・シベリア(Siberia)東部ヤクーツク(Yakutsk)では、温暖化の影響を受けて永久凍土が危険なレベルにまで解け始めている。
 ヤクーツクの9階建てアパートに住むエドゥアルド・ロマノフ(Eduard Romanov)さんは、アパートを支える梁(はり)が沈下し、ひびが入り始めている箇所を見せながら、建物全体が不安定になっていると説明した。
 建設作業員で環境活動家でもあるロマノフさんは、「2年前から建物がゆがみ始め、40センチほど傾いた」と語った。
 世界で唯一、永久凍土の調査を行っている「メルニコフ永久凍土研究所(Melnikov Permafrost Institute)」の科学者によると、ヤクーツクの平均気温は過去10年で2.5度上昇した。地元民によると、20年前までは気温が氷点下55度以下になると学校が数週間休校になったが、今ではそのように極端な寒さが続くことはまれだという。
 ヤクーツク市内にある旧ソ連時代に建てられた大半のアパートはコンクリート製で、床下の通気性を考えて建物が支柱の上に載せられた構造になっている。このため永久凍土に熱が伝わることはないが、安定性を保つには地面が凍っていることが条件となる。
 だが、夏の気温上昇によって、この永久凍土が破壊される可能性が出てきている。永久凍土が解けると、道路や建物など、その上に造られているものは沈んでしまう。
 ロシアは、国土の約65%が永久凍土だ。人口約30万人のヤクーツクは、永久凍土に造られた都市としては世界最大規模となる。
 古い建物の建設時は、温暖化については全く考慮されておらず、1960年代の建築基準では、支柱は永久凍土層の6メートルの深さまで掘ることが定められていた。だが温暖化が進んだ今は、この深さでは不十分となり、ひびだらけの建物や、既に取り壊された建物もある。
 北極圏に領土を持つロシアは、他国に比べ約2.5倍の速さで温暖化が進んでいる。ロシアの天然資源環境省は今年公表した報告書で、永久凍土の溶解は、水資源、下水施設、原油パイプラインに影響する他、永久凍土に閉じ込められている化学物質、病原体、放射性物質などの放出につながる危険があると指摘している。
メルニコフ永久凍土研究所の地下研究室では、永久凍土での建築技術や、温暖化の影響を受けても凍土を維持する技術の開発を行っている。
 フロンやケロシンなどの不凍剤を詰めた金属製の筒を建物周辺の凍土に、先端を突き出した形で垂直に埋める方法は既に実用化されている。冬になると、筒の中の不凍剤が冷気で凝縮し、地面の寒さを保つ仕組みになっている。しかし、この方法は高額だ。
 永久凍土の溶解によって、ロシアの北極海沿岸は浸食が進んでいる。ヤクーツクの地元議員、ウラジーミル・プロコプエフ(Vladimir Prokopyev)氏は、ヤクーツクの海岸線は毎年約2メートルずつ、失われていると指摘する。
 ヤクーツクは今年、永久凍土の保全と監視に関する法律を国内で初めて制定し、政府にも全国規模で同じような法律を整備するよう働き掛けている。だが、政府は乗り気ではないと、プロコプエフ氏は嘆く。
「永久凍土を保全し、ロシア北部とシベリアの環境に深刻な影響を及ぼさないようにするには、全国的な法律が必要だ」(c)AFP/ Maria ANTONOVA」
   ・   ・   ・   
 2019年1月20日 gooニュース AFP「「地球の時限爆弾」永久凍土溶解が引き起こす危機 温暖化ガスや病原菌放出
 ロシアのシベリア東部ヤクーツクで、ひびが入ったアパートの前を歩く人(2018年11月26日撮影)。(c)Mladen ANTONOV / AFP
(AFPBB News)
 【AFP=時事】地球温暖化の影響で、広範にわたる永久凍土の溶解が懸念されている。永久凍土は数十億トンに上る温室効果ガスを内包しているが、溶解によりそれらが大気中に放出されるだけではなく、長年氷に閉じ込められてきた病原菌なども解き放たれる恐れがあるとして、科学者らは警告している。
 ■北半球の陸地の4分の1
 永久凍土とは、凍結した状態の土壌を指すが、その名とは異なり必ずしも「永久」に凍結しているわけではない。大部分は北半球に存在し、その陸地の約4分の1を覆っている。通常は何千年も前から凍ったままで、深さは数メートルから100メートルまでさまざまだ。
 永久凍土は、米アラスカ、カナダ、欧州北部、ロシアをまたぐ北極圏と北方林地帯に広がっている。北半球ほどの規模ではないが、南半球でも南米アンデス山脈南極大陸に存在する。
 ■大気中のほぼ2倍の炭素
 永久凍土には、凍った大昔の植物や動物の死骸という有機物の形で、推定1兆7000億トンもの炭素が閉じ込められている。
 永久凍土が解けると、有機物が温められ、分解され、最終的に温室効果ガスの二酸化炭素とメタンとして放出される。永久凍土は大気のほぼ2倍の炭素を保持しており、その大部分をメタンとCO2が占めている。
 ■温暖化の悪循環
 永久凍土の溶解による温室効果ガスの放出は、2015年に結ばれた地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で決定された、世界の気温上昇幅を産業革命以前と比べて1.5度に抑えるという努力目標を危うくするものだ。
 CO2は地球温暖化の最大要因とされているが、メタンの温室効果はCO2の25倍もある。永久凍土の温室効果ガスが大気中に放出されると、地球温暖化が悪化し、氷が解け、さらに永久凍土の溶解が進み、地球温暖化の悪循環に陥ってしまう恐れがある。
 米マサチューセッツ州ウッズホール研究センターのスーザン・ナタリ研究員は2015年、たとえ地球温暖化が2度前後の上昇に落ち着いたとしても、2100年までには永久凍土の30%が失われると指摘している。
 ナタリ氏は研究で、温室効果ガスの排出が現在のペースで続けば、永久凍土の最大70%が失われる恐れがあると指摘し、「永久凍土からの(温室効果ガスの)排出により、地球温暖化がコントロールできない状況に陥ってしまう可能性がある」と警告した。
 ■凍結された病原菌やウイルス
 永久凍土の溶解は、長い間氷に閉じ込められていた病原菌やウイルスの放出につながる恐れもある。
 これは既に現実のものとなっている。ロシア・シベリアで2016年、子どもが炭疽(たんそ)症により死亡した。70年前に炭疽で死亡したトナカイの死骸を埋葬した場所の永久凍土が解けたことが原因だと、科学者らは指摘している。放牧されていた家畜の群れが、解けたトナカイの死骸から放出された炭疽に感染したとみられている。
 科学者らは、地球温暖化により昔の天然痘患者の墓など、凍土に埋葬され、氷の中で眠っている他の病原菌も活動を再開する可能性があると警告している。
 ■インフラの危機
 永久凍土の融解は石油産業や鉱業にとっては朗報だ。これまで近づくことが困難だった埋蔵地へのアクセスが可能となるからだ。
 だが、土砂崩れの発生や建物、道路、石油パイプ来の破損など、インフラへ深刻な影響を与えることも懸念されている。
 環境保護団体グリーンピースが2009年に発表した報告書によると、ロシアの永久凍土の融解が、建物や橋、パイプラインの変形や崩壊を引き起こしており、シベリア西部では修理費は、年間13億ユーロ(約1620億円)に達しているという。 【翻訳編集】AFPBB News


   ・   ・   ・