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2024年5月27日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本沈没はまだまだ止まらない…!トヨタもソニーも、アップル、テスラ、アマゾンに「勝てない理由」を徹底的に考えてみました!
鈴木 貴博(経営戦略コンサルタント)
この記事では
ソニーグループ株式会社
SONY
▼-0.63%
トヨタ自動車株式会社
TM
▲ +0.99%
タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング
TSM
▲ +1.85%
日米を比較して見える「日本の沈没」
経済評論家の鈴木貴博です。
「どうすれば日本経済は再び成長できるのか?」というのは、私が一番頻繁に訊かれる質問です。
この問題、複数の要因が噛み合っている単純な問題ではないのですが、そのうちのひとつの要因として「日本には80年代のような世界経済をけん引する企業がほとんどなくなった」という問題があります。
ソニーの社長・会長として70年代~80年代に世界を席巻した盛田昭夫氏(1921~1999)Photo/gettyimages
ソニーの社長・会長として70年代~80年代に世界を席巻した盛田昭夫氏(1921~1999)Photo/gettyimages
© 現代ビジネス
いい会社はたくさん存在するけれど凄い会社はほとんどなくなった。そのことを理解するためにアメリカの誇るマグニフィセントセブンと、それと対比する日本の優良企業7社を対比して、どこが違うのかを考えてみたいと思います。
マグニフィセントセブン、つまり凄い7社とはアップル、エヌビディア、アマゾン、グーグル、テスラ、メタ、マイクロソフトの7社です。面白いことに製造業3社、小売業社、サービス業3社という形で業種は分散しています。
それに対抗する日本の7社の選び方には多少苦労しますがこの記事ではソニー、東京エレクトロン、セブンアンドアイ、ソフトバンクG、トヨタ、リクルート、三菱商事を挙げてみましょう。それぞれ対比してみるとどのような違いが見えてくるでしょうか?
なお、各社の時価総額は日本時間5月20日時点で算出しました。
ソニーもトヨタも時価総額で惨敗のワケ
1 ソニーグループ(時価総額16兆円)vs.アップル(同453兆円)
どちらの企業も、そのジャンルではプレミアムなブランド価値のある家電製品メーカーです。
1990年代にはむしろソニーの時価総額の方が高く、あのまま行くと世界のIT家電市場はソニーが席捲するのではないかと言われたほどの存在感がありました。現在でもソニーはミラーレス一眼レフカメラ、ゲーム機の分野では世界的な存在感があるとともに、映画、音楽分野でも世界市場を相手に高収益を上げています。
商品力でアップルに引けを取らないソニーだが…Photo/gettyimages
© 現代ビジネス
野望という観点でもこの2社はとてもよく似ています。驚くべき製品によって世界を変えていこうという気概では、ソニーはアップルに負けている気がしません。
ただ時価総額を比較すると、ずいぶん格差が広がったものだと感じざるをえません。ひとつ大きな差を挙げるとしたら、アップルはパソコンが支配する世界をスマホで壊したということが現在の地位を生んでいます。
そしてスマホを壊す次のデバイスを生み出す企業が未来のアップルを超える会社になるとすれば、自動車、ペットロボットなど野望ある製品に力を入れているという観点でソニーには期待できるかもしれません。
壊滅した日本の半導体メーカー
2 東京エレクトロン(時価総額17兆円)vs.エヌビディア(同、354兆円)
どちらも半導体業界でその存在がなければ業界が立ち行かなくなるほどの重要企業です。
いずれも完成品メーカーであり、どちらも高収益企業である。ここまでが類似点です。一方で違いとしては、エヌビディアは半導体の完成品メーカーであり、東京エレクトロンは半導体の製造機器のメーカーだという点です。
米エヌビディアのような半導体完成品メーカーは、日本にはいなくなった…Photo/gettyimages
© 現代ビジネス
もっとわかりやすく言えば、東京エレクトロンは台湾のTSMCのような製造会社が顧客です。そのTSMCが顧客としているのがエヌビディアなので、カネの流れとしてはエヌビディアがTSMCに支払ったマネーが、TSMCから東京エレクトロンに製造機械の購入代金として流れる構造です。
問題はこの半導体のバリューチェーンの中で、製造機械メーカーの取り分がわずかでしかないという点です。エヌビディアの具体的な商品で考えてみましょう。
エヌビディアの主力商品であるH100という半導体チップは、約500万円で売られています。エヌビディアは売上高純利益率56%という企業ですから、そもそも売上の半分以上は利益です。
では、エヌビディアからTSMCに払われる製造原価はというとわずかに25万円程度と価格の20分の1です。そのTSMCの製造原価に占める東京エレクトロンの製造機械の減価償却費は、さらに数分の1から数十分の1ということになります。
このことから、「取り分が小さい割には時価総額で東京エレクトロンは健闘している」とも言えるのですが、逆に言えば90年代の日米半導体交渉の結果、日本の完成品半導体メーカーが壊滅的になくなってしまったことがこの差を生んでいるとも言えそうです。
さて、つづけて、トヨタvs.テスラ、セブンアンドアイvs.アマゾンなどこの続きを見ていきますが、そこから見えてくるのは、必ずしも劣っていない日本企業でも、アメリカ企業に途方もない差をつけられた3つのポイントです。
この3つさえクリアできれば、日本企業もまたいつの日か世界を席巻できる日が来るかもしれません。逆に言えば、それが出来ないから日本はアメリカ企業に大きく溝をあけられたともいえるのです。
では、それは何か。後編「トヨタもセブンも時価総額でみんな惨敗…!それでもなお、20年後も一流であり続ける「日本唯一の巨大企業」の名前」でじっくりお伝えしていきましょう。
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