📉28】─4─日本の大学と教授・学生の学力低下が止まらない。東大36位、京大54位。2021年。〜No.60No.61No.62 ⑥ 

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 日本の子供たちの学力を低下させ、未来への夢や希望を潰す大人達。
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 2021年7月16日 MicrosoftNews 朝日新聞社 AERA dot.「東大36位、京大54位、中国の大学は世界トップ20入り 日中格差のなぜ

 (C)朝日新聞社© AERA dot. 提供 世界大学ランキングでアジアトップの中国・清華大
 日本の大学の実力は世界で何番目か――。これを知る指標の一つが「世界大学ランキング」だ。代表的な世界ランキングをみると、中国の大学が近年大きく順位を上げており、2021年版のランキングではアジアの大学で初めて世界トップ20入りを果たした。一方、日本の大学も少しずつ上昇しているものの、上位には食い込めていない。日本と中国の大学の差はどこにあるのか。
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 全世界の大学を評価する機関は複数あるが、影響力があるとされるランキングのひとつが、イギリスの「Times Higher Education(THE)」社が公表するWorld University Rankingsだ。
 各大学は、教育=30%、研究=30%、論文=30%、産学連携=2.5%、国際化=7.5%の5つの指標で評価され、それらを総合したスコアで順位がつけられている。それぞれの指標は次の観点から評価されている。教育=THE社による評判調査(Academic Reputation Survey)、教員数と学生数の比率など。研究=同評判調査、教員1人あたりの学術雑誌掲載論文数など。論文=論文の被引用数。産学連携=教員1人あたりの研究費収入。国際化=外国人留学生の割合、外国人教員の割合など。
 別表では1位~20位と、日本の大学の順位を掲載している。上位を占めるのはアメリカやイギリスの大学。「論文」の指標が軒並み90台後半と高い。アジアの大学をみると、中国の清華大が20位、北京大は23位、その次にシンガポール国立大(25位)が入る。日本トップの東京大は36位、京都大が54位だ。
 ランキングは毎年発表されているが、20位以内にアジアの大学が入るのは、現在のランキング指標が導入された2011年以降初めて。15年には北京大が42位、清華大は47位だったので、大きく順位を上げている。
 日本の大学の順位も上がっている。15年、東京大は43位、京都大は88位だった。だがそれ以上にアジアの他大学の上昇は大きい。今年3月に行われた内閣府による総合科学技術・イノベーション会議(第53回)の資料では、「また、海外に目を向けてみると、アジアの主要大学が研究、予算面で存在感を増しており、我が国は欧米のトップ大学はもとより、アジアの中でも存在感が低下している」と懸念が示されている。
 中国の躍進の背景には何があるのか。比較政治経済政策論が専門で中国の科学技術政策に詳しい角南(すなみ)篤さん(笹川平和財団理事長・政策研究大学院大学客員教授)はこう話す。
 「中国の大学が上位に入るのは時間の問題でした。実力で言えばとっくに世界トップクラスだと思います。中国政府は1990年代の『211工程』政策で百数校の重点大学を指定し、改革を促しました。『必要な支援はするが、改革のやり方については口は出さない』というような政策で、このころから海外大へ行った優秀な中国人研究者などを呼び戻し、研究力を伸ばしていきました」
 前出の清華大の指標を見ると、「国際化」は51.1と上位大学と比べると低いが、「産学連携」は100.0で世界の全大学の中トップだ。
 「産学連携は世界でも特に進んでいます。中国の大学は、かなり以前から校弁企業といわれる大学発ベンチャーが多く輩出しています。その後、あまりにも多種多様な産学連携が進んできたため、利益相反という視点からルール作りを急いで進めてきたくらいです。中国の改革の特徴である、実験的になんでもやってみて、必要な制度は後から整備するという成功事例のひとつです。
 国際化の評価が低いのは、留学生や外国人教員の数が少ないことが要因です。留学生向けの英語による授業や、留学先の海外大での単位を認定するダブルディグリー制など、国際交流プログラムが英語圏に比べてもまだ少ないという課題があります。私も以前、客員研究員として半年間清華大に赴任していましたが、外国人登録の手続きなど日本と同じく複雑でハードルが高いといったこともあると思います」(角南さん)
 一方、日本の大学の評価が大きく上がっていないのはなぜなのか。中国の大学で生命科学の研究を行っている日本人研究者はこう話す。
 「2004年の国立大学法人化によって国の運営費交付金が減り、分野を絞って一部の研究に予算を投下する『選択と集中』政策が始まったことで、東大と京大だけはなんとかメンツを保っているという状況だと思います。主要先進国の中で、論文の数が伸び悩んでいるどころか減っているのは日本だけです。いま、アメリカの国際研究論文で共同研究者として名前が挙がるのは、断トツで中国の研究者です。日本の存在感は減っています」(在中研究者、以下同)
 日本の場合、海外に出た研究者が戻ってくるということは少ないと、前出の研究者は指摘する。そもそも日本の大学に教員のポジションがなく、帰ってきたくても来られない状況があるという。
 「特に国立大学で顕著ですが、研究の予算は年々減らされており、若い人は大学に残ることができず、企業に就職するか、海外大に行くかどちらかを選択するしかない。そうした理由で海外に行った研究者の中にも、実は日本に戻りたいという人は多いのです。しかし、そもそも日本の大学には教員のポジションがない。どこの国の人でも、同じ待遇、あるいは少し下がるぐらいだとしても、海外より母国の大学で研究したいものですが、ポジションがないとなると選択のしようがない。
 また日本の大学では、若手の場合、何年も助教として教授のお手伝いをするといった序列が今も残っています。一方、これは中国に限りませんが、海外では30代前半の研究者が教授のお手伝いではなく独立して自分の研究室をもつことが可能です。これは日本ではほぼ不可能ですから、若い研究者にとって海外には大きなチャンスがあるわけです」
 一方、日本の研究者が中国で研究することについては、国内から問題視する声も上がる。海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクトである「千人計画」だ。菅義偉内閣は今年2月の国会で、千人計画に関する質問主意書に対する答弁書を出した。そのなかで同計画について「研究活動の国際化、オープン化に伴い、利益相反、責務相反、科学技術情報等の流出等の懸念が顕在化しつつある状況」などと触れており、日本政府は対応を検討している。
 先の在中研究者も、千人計画に応募して中国へ渡った一人だ。同氏は匿名で取材を受ける理由として、「自分は技術流出と無縁な基礎研究者であるにもかかわらず、千人計画を通して中国への違法な技術流出や軍事研究に関わっているといった脅迫や嫌がらせを受けたから」と話した。
 「『中国は役に立つ技術をもつ研究者を引き抜いている』と思っている人もいるようですが、むしろ日本のほうがすぐ役に立つ研究ばかり重視しています。基礎科学の研究はかなり余裕がある国でないとできないので、少子高齢化で財政も厳しい日本で予算が減らされてしまうのは仕方のないことかと思います。すぐに役に立つかどうかわからない基礎科学の研究者が日本ではどんどん追いやられ、中国など海外に行って研究をしているのです」
 日本の大学が研究力を伸ばし、国際的に評価されるにはどうしたらいいのか。前出の角南さんはこう指摘する。
 「中国の場合、教員の若返りが大きかったと思います。重点大学を指定して新しい取り組みを始めたときに、海外から多くの教員が帰国し、新陳代謝が起きました。日本は人材の流動性が低く、出身大学に残って教員として学生を教えるということが多い。海外だけでなく、国内でも大学を移動して『武者修行』に行かせ、競争力を高めていく改革が大事かと思います」 (文/白石圭)」
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