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2025年7月9日 MicrosoftStartニュース TBS NEWS「「日本は甘やかされてきた」トランプ氏“新関税率”を示唆…交渉のカギは「農産物」?【Bizスクエア】
© TBS NEWS DIG_Microsoft
日米関税交渉が難航し、トランプ大統領は日本に新関税率を示唆する発言も。今後の合意に向けた打開策とは…?
新たな関税率「10~70%」通知
9日に相互関税の上乗せ分の一時停止の期限が迫る中、7回に及ぶ閣僚協議を経ても未だ五里霧中の日米関税交渉。
1日、トランプ大統領は「関税の延期は考えていない」とし、日本についての不満も口にした。
トランプ大統領:
「日本は“30年、40年にわたり我々から搾取し続け”甘やかされてきた。だから彼らにとって今回の取引に合意することは難しいのだ。“彼らはコメを受け入れようとしない”。ひどくコメを必要としているのに受け入れようとしない」
さらに、自動車についてもいつもの“自論”を繰り返した。
トランプ大統領:
「彼らは何百万台も送ってくるのに、我々はこの10年間で1台も送っていない。受け入れないのに、何百万台も売ってくる。だから『申し訳ないが、そんなことはもうできない』と伝えた」
関税交渉で日本側は“巨額の投資プラン”を示し、自動車関税の引き下げを求めているが、貿易赤字削減に固執するトランプ氏には響いていないのか、こんな発言も…
トランプ大統領:
「私は日本へ手紙を書いて、『協力には感謝するが、我々が求めることができないのならば、“30%か35%か、あるいは我々が決める関税”を支払ってもらう』と伝えるつもりだ」
また、トランプ氏は3日、すべての国と個別の合意をするのは困難だとして
“新たな関税率を通知する手紙”を一方的に送るとの意向を示した。
9日までには通知を終えるとし、「関税率は60~70%や10~20%などそれぞれ適用されるだろう」とのことで、新たな関税率は“8月1日から適用”する考えを示唆した。
何度も会うのは「進展しているから」
すでに7回目となった日米関税交渉だが、「全く進展していないわけではない」と話すのは、日米の通商交渉に詳しい細川昌彦さんだ。
『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「最大の焦点になっている自動車を巡り、お互いに案を出し合いながら事務レベルも含めて交渉を重ねている。毎回毎回同じセリフを赤沢さんが言ってるわけじゃない。そうだったら向こうは会わない。会うのはそれだけ進展しているから」
確かに、交渉を担当するアメリカ側の閣僚も「進展」を口にしている。
▼フォルケンダー財務副長官(2日・CNBC)
⇒(日本との)協議は着実に進展している。進捗状況は近日中に発表できる ⇒“非関税障壁を撤廃”すれば関税の計算式は変わる
関連するビデオ: 米トランプ大統領 日本に新たな関税率通告する書簡「8月1日から25%」 (テレ朝news)
――― 一方で、トランプ氏は「コメを一つも輸入していない」とか「アメリカ車1台も入っていない」など、同じような“ウソ”を何度も言っている。
細川さん:
「閣僚レベルでは進展していて着地はしていない状態だが、問題はトランプ大統領との関係。交渉しているベッセント財務長官あるいはラトニック商務長官が減税法案にかかりっきりで、トランプ氏にほとんど報告できてないと推測できる。だからトランプ氏は昔ながらの思い込みでコメントしているだけで、交渉の実態を反映してコメントしているわけではない」
日本の貢献度アピールで「綱引き段階」
そんな中、米『ウォール・ストリート・ジャーナル』は2日、「5月下旬の協議内容」について報じた。
記事によると、アメリカのラトニック商務長官とグリア通商代表は日本に対し、
▼「アメリカへ輸出する“自動車台数に上限を設ける”よう求める可能性がある」と話したとのこと。
それに対し日本側は、▼「25%の自動車関税を維持するいかなる合意にも応じない」という姿勢を示したと伝えている。
――― 5月の情報が今頃リークされて「自動車交渉がうまくいかないのは日本のせいだ」と言わんばかりだ。
『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「5月下旬の話なので、交渉の初期段階。しかも米英の合意をしたのが10万台で関税割り当てをする。それに引きずられて輸出数量規制はどうかという時期もあったかもしれないが、それはプロセスの途中段階であって、今もそれに引きずられているわけではないと見ている」
――― 細川さんがこれまで言っていた「現地生産など日本の貢献度」をアピールしつつ関税率の引き下げ交渉をしていると。
【米国での日本車の新車販売台数】 2024年:588万2438台(自動車メーカー6社の販売実績より) ▼アメリカでの現地生産⇒328万356台(日本自動車工業会より) ▼日本からの輸出⇒136万9063台(〃)
細川さん:
「現地でこれだけ生産をし雇用にも貢献していることを反映した仕組みを事務レベルでも詰めて議論している。その反映度がどのくらいか。最初の<全部撤廃>から、今は<見直し>という言葉を使っているので、交渉で25%を実質的にどのぐらい下げることができるか。そういう綱引きの段階だと私は見ている」
アメリカは「参院選終わるまで」様子見?
では、トランプ氏が示唆した【新たな関税率】など、今後の動きはどうなるのか?
▼7月9日まで:新たな関税率を通知完了予定 ▼7月20日:参院選 投開票 ▼8月1日:相互関税発動?
『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「米側の閣僚から『日本とは着実な進展をしている』という話もあったが、日本やEU、韓国、インドなどみんな今交渉中。こういう国々をどうするのか、例えばベッセント氏のコメントにヒントある」
▼【ベッセント財務長官】(3日・CNBC)
⇒日本は7月20日に参院選を控えており、それが取引を進める上で多くの国内的制約をもたらしている
細川さん:
「この言葉には続きがあって『ちょっと様子を見ようか』とまで言っている。つまり、参院選が終わってから日本はカードを切ってくるかなと、そう読める。ベッセント氏はトランプ大統領にそういう上げ方をする可能性が高いが、それに対してトランプ氏がどう反応するか。そこがわからない」
細川さんは、「閣僚とトランプ氏の間合いの取り方」がポイントの1つと話すが、もう1つ大事なことがあるという。
細川さん:
「“トランプ氏のこびりついた思い込み”がネックになっているのは事実。ここを氷解させられるのは石破総理だけ。これまで同じことをトランプ大統領は言っている。総理がそこの環境整備をきちんとやれていたのか厳しい目で私達は見なければいけない」
“焦る必要ない”交渉のカギは「農産物」
2日には、アメリカとベトナムの関税交渉が合意に至ったとの発表もあった。
<アメリカ> ▼相互関税46%⇒20% ▼ベトナムで積み替えての輸入⇒40%の関税 <ベトナム> ▼輸入品への関税⇒ゼロ ▼ボーイング機50機購入80億ドル(約1兆1000億円) ▼農産品の購入29億ドル
――― これもひどい。ベトナムはアメリカ製品の輸入の関税をゼロ、アメリカは20%に下げてやると。普通は先進国が高くて、途上国の関税を低くするが…。
『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「ベトナムにしてみれば、アメリカからの輸入品で打撃を受けるのはそれほどないという判断と、もう一つ大事なのは、ベトナムは他のASEANの国々と競争してる。なのでインドネシア、マレーシア、タイなどよりも、自分たちが先に合意をしたら色んな国が投資してくれるだろうと。その見込みもあると思う」
――― ただこれは特殊な例で、インドは合意が近いと言われたが、報復関税も言い始めている。EUも韓国もうまくいっていない様子だ。
細川さん:
「なので、“日本だけが難航してると自虐的に捉える必要は全くない”。EUの方が大変。トランプ氏は日本は30~35%と言っていたが、EUは50%と言われている。インドも自動車や自動車部品について報復関税という構え。韓国は新政権になってまだベッセント財務長官とも会えていない。そう考えれば“焦る必要はない”」
そして、今後の交渉カギは【農産物】だという。
細川さん:
「グリアUSTR代表も議会の公聴会で農産物だと言っている。トランプ氏にとってもコメが日本の市場の閉鎖性のシンボルになってる。ミニマムアクセスの外枠で、アメリカから7万トン買うというのは10年前のTPPでも合意しているので、それぐらいなら日本の農業が犠牲になるというわけではないと思う。参院選中は無理だとしても、ベッセント財務長官の『ちょっと様子を見ようか』という言葉の重みはそこにあるのではないか」
(BS-TBS『Bizスクエア』2025年7月5日放送より)
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