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2024年9月13日 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「原発処理水の海洋放出 世界に広がる「安全への取り組み」と「おいしさの理解」日本の水産物、そう遠くない中国依存からの脱却
原発処理水放出後も、東北産水産物のおいしさと安全性は損なわれなかった(東海新報社提供)
【東日本大震災から13年半 忘れない、立ち止まらない】
科学的根拠のない主張
「原発処理水の放出が始まったけれど、半年もたつころには野党も活動家も、かたくなに『汚染水』と呼称し続けたメディアも、もうこの件を話題にさえしなくなっているだろう」
【写真】爆竹の白煙を上げ、祥芝中心漁港を出港する中国漁船
1年前、私は小紙(東海新報)の紙面を通じてこう予測していた。実際には半年どころか、3カ月としないうちにほぼその通りとなった。
東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関しては、国内外ともに反発する層があった。だが、その論の多くが科学的根拠に基づいたものではなかった。〝国民の不安〟という言葉を盾に取った、政争の具としての主張でしかなかったことは今さら振り返るまでもない。
韓国の野党は「放射能まみれの魚、日本の核テロだ」といった〝放射能怪談〟と呼ばれるデマを垂れ流しさえした。
しかし、韓国政府が韓国と日本両国の水産物や海水を対象に計4万4000回もの放射性物質検査を実施したところ、基準値に迫るような検査結果は1件もなかったどころか、99%以上は濃度があまりに低く、検出装置で測定すらできないレベルであった。
韓国大統領府はこれを受け、「不安を煽った野党は国民に謝罪を」と、同国のデマ屋にくぎを刺した。また、東北産魚介類の消費促進イベントを打ち出すなど、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を先頭に公正な態度を貫いてくれた。
他方、中国だけはいまだ振り上げた拳を下ろせず、日本産水産物の全面禁輸措置を続ける。
これにより、日本の漁業者が大きな痛手を被っていることは事実である。福島沖から離れた本県(岩手県)でも、その影響は決して小さくない。日本政府は、生産者に対する損害補償を迅速かつ着実に行ってほしい。
一方で、ホタテの国内消費額は1・5倍に伸びた。米国への輸出量は前年同時期と比べて6割以上増えているほか、タイや欧州各国でも人気が高まっているという。先日は「ホタテを食べる習慣がなかったハンガリーでもそのおいしさが認識され、日本産が歓迎されている」という報道にも接した。
処理水放出前までは、日本の主要な水産物輸出先は中国・香港でおよそ4割を占めていたから、「脱中国」にかじを切ることなど到底できなかった。だが、幸運にも今、新規販路は着実に増えている。そのさらなる開拓を目指せば、中国依存から脱却できる日もそう遠くあるまい。
福島の人たちは風評被害と戦うため、この10年以上にわたって放射性物質に関する正しい知識を身につけ、同県産農林水産物の安全性と魅力を発信してきた。その努力はしっかりと実を結んでいる。安全への取り組みとおいしさについての理解が広がるほどに、「常磐もの」をはじめとする東北の魚介類を求めてくれる人と国が増えていくのは、当然の結果なのである。
■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大学卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。震災時、記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当。現在は、同社社長。
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