🍞13〗ー5ー「コメ不足」のさなか、コメ農家の倒産・廃業が急増。~No.55 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 コメ農家の倒産・廃業は、日本人農家の事であって、日本農業・耕作地の消滅ではない。
 日本人農家が減少すれば、外国人移民(主に中国人移民)を農業労働者として日本農業を任せて食糧生産をしてもらえれば問題は解決する。
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 20~30年前。メディアは、食糧自給率が40%以下に急落しても、コメの自給率100%と水産業における漁獲高の好調を報道していた。
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 日本農業の崩壊は、メディアがバブル経済期に広めた「日本農業不要論」から始まった。
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 2924年9月5日10:00 YAHOO!JAPANニュース  帝国データバンク「「コメ不足」のさなか、コメ農家の倒産・廃業が急増 過去最多を更新へ 肥料などのコスト増負担が重く
 生産者の高齢化・後継者不足も追い打ち
 コメ農家の倒産・廃業が過去最多を更新する見通し(写真=イメージ)
 全国的なコメ不足と価格高騰のなか、米作農家の倒産や廃業に歯止めがかからない。2024年1-8月に発生した米作農業(コメ農家)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が6件、休廃業・解散(廃業)が28件発生し、計34件が生産現場から消滅した。倒産・廃業の件数は23年通年の件数(35件)を大幅に上回り年間最多が確実で、初の年間40件台到達も想定される。
 主食用のコメを生産するコメ農家で倒産や廃業が相次ぐ背景には、生産コストの上昇と深刻な後継者・就農者不足があげられる。農林水産省の調査によると、2023年における農業に必要な生産資材の価格は、20年平均に比べて1.2倍に上昇した。なかでも、原料の多くを輸入に頼る肥料は1.5倍、ガソリン・軽油などの値上がりで光熱動力費は1.2倍、農業薬剤は1.1倍と、主な資材のほとんどが値上がりした。
 「米作農業」倒産・休廃業解散件数 推移
 他方で、国内の主食用米の消費量減少などを背景に販売価格への転嫁が難しく、利益が残らないことから翌年の苗床やトラクターなどの機材調達費用が捻出できず、コメづくりを断念するケースも多かったとみられる。また、小規模なコメ農家では就農者の高齢化や離農が進む一方、次世代の担い手が見つからないなど後継者不足の問題が顕在化している。
 足元では主食用米の価格は上昇しているほか、低農薬米や無農薬米など高付加価値米の需要拡大などで業績を伸ばすコメ農家もある。また、JAを中心に新規就農支援の取り組みが進むなど、後継者不足に悩む生産基盤の強化が進んでいる。
 ただ、資材高騰と値上げ難で農家が経営をあきらめる状況が続けば、将来的に主食のコメが安定的に供給できなくなる可能性もある。
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 9月5日 MicrosoftStartニュース 産経新聞「コメ農家の倒産・廃業過去最多ペース、1~8月34件 価格転嫁難しく資材高騰で利益薄く
 コメの品薄と価格高騰が顕在化する中、コメの生産農家の倒産や廃業が相次いでいる。帝国データバンクが5日公表した調査結果によると、2024年1~8月に発生したコメ農家の倒産(負債1000万円以上)が6件、休廃業・解散(廃業)が28件の計34件に上った。生産資材の高騰やコメ需要減少の継続により件数がさらに増えるのは不可避で、過去最多だった23年通年(35件)を上回るのは確実視されている。
 (帝国データバンク調べ)
 © 産経新聞
 農林水産省の調査によると、23年の農業生産資材の価格は、20年平均に比べて1・2倍に上昇。大半を輸入に頼る肥料が1・5倍と上昇率は高く、農家の経営に大きなダメージを与えている。
 一方で、国内の主食用米の消費量減少などを背景に販売価格への転嫁が難しいこともあり、売り上げが減少。さらに、就農者の高齢化による離職や担い手不足も追い打ちとなり、倒産や廃業が急増した。
 足元では主食用米の価格が上昇しているが、帝国データは「小規模のコメ農家は利益が出せていない状況」と分析。「利益を出せているのは農地を集約して大規模で経営している農業法人で、小規模な零細農家は生産資材のコストアップ分を吸収できず赤字となっている状況」と説明し、もうかる農家ともうからない農家の二極化がさら進むと予想する。
 関連するビデオ: コメ不足 農水省と生産者が意見交換 (テレ朝news)
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 9月5日 MicrosoftStartニュース SmartFLASH「【コメ問題】「国民は何食えばいいんだ」「今日も売ってない」農水大臣の「スーパーでは水曜に入荷」発言に総ツッコミ“店員の声”が政府見解の衝撃
 【コメ問題】「国民は何食えばいいんだ」「今日も売ってない」農水大臣の「スーパーでは水曜に入荷」発言に総ツッコミ“店員の声”が政府見解の衝撃
 © SmartFLASH
 ツッコミを食らっている、坂本農水相(写真・共同通信
 コメ不足が深刻だ。スーパーの売り場は空っぽだが、そこに表示されている価格を見ると5キロ袋でおよそ3000円。例年の5割ほど高くなっている。
 「コメが売り切れている理由はいろいろありますが、8月8日の宮崎県日向灘沖の地震発生直後に発表された『南海トラフ地震臨時情報』、さらにノロノロ台風10号が1週間ほど日本列島を直撃したことで、備蓄用に買いだめる人々が続出したことがあげられます」(経済担当記者)
 しかしコメ不足の予兆はかなり前からあった。昨年の猛暑でコメの作柄はよくなく、そのためずっと市中に出回る量は少なかった。
 6月に農林水産省が開いた生産者や小売業者との意見交換会でも、「小売価格は1割以上高くなっている」「インバウンドで外食産業が活況。コメの引き合いが強い」などと指摘されていたという。
 「それでも政府は深刻にはとらえていなかったようです。坂本哲志農林水産相も、6月12日の記者会見では『一部の店舗で特定銘柄の欠品はあるが、主食用米の需給がひっ迫している状況ではない』と静観していました。その危機感のなさが今回の事態を招いたのではないでしょうか」(政治担当記者)
 8月26日には大阪府の吉村洋文知事が、政府に「備蓄米」の放出を要請したが、坂本氏は「米の需給や価格に影響を与える恐れがある」「備蓄米放出は著しい不作、2年連続の不作など生産量が大幅に減少したとき」と否定的な見解を示していた。
 そして9月3日の閣議後の会見では、信じられない発言が飛び出した。
 坂本大臣は、「新米の価格は、品薄状態なので平年よりも多少の割高感はある」としつつも、「各産地の情報によると、2024年産米の生育は全国的に順調に進んでいる。コメが品薄となっている状況は順次回復していく」と楽観的な予想を示した。しかし、記者が「いつごろからスーパーに並ぶのか」と質問すると「昨日、スーパーに行ってみて、店員さんの話では、『水曜日には入る予定』ということを言っておられました。早晩この米不足状態は解消すると思っています」と返答。なんと、店員情報を政府見解として発表したのだ。
 こうした政府の「無策」に国民の怒りは沸点に達している。Xにはこんな投稿が見られる。
 《米無いんだよ! 国民は何食えばいいんだ?》
 《関西、今日も米売ってない》
 《こんな悠長なことを言ってるから、何も問題が解決しない。仕事をしないのと一緒だ》
 《日本人の主食のお米が高騰してるのは農水大臣の政策失敗》
 政府が食糧危機を招いてどうする。
 関連するビデオ: コメの不足・高騰で意見交換 農水省に農家や卸売業者ら集まる (テレ朝news)
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 9月5日 MicrosoftStartニュース テレ朝news「こんにゃく農家悲鳴「生産するほど赤字」去年は暴落 若者離れ、温暖化でおでん消費減
 © テレビ朝日
 物価高のなか、お手軽な値段で家計を助けるこんにゃくですが、農家は赤字生産に悩まされているといいます。そんなこんにゃく業界は魅力の再発見を打ち出しています。
 【画像】次世代こんにゃく素材はペースト “ウニ”に変身 唐揚げの衣にも
■こんにゃく農家「作れば作るほど赤字」
 コンビニ大手・ローソンの一部店舗では3日、「おでん」の販売がスタートしました。
 SNSの声
 「この間まで夏だったよね?早くない?」
 「アイス目的でコンビニ行っておでん買った」
 おでんの定番メニューといえばこんにゃくですが、群馬県渋川市にあるこんにゃく農家は、これまで経験したことがない取引価格の下落に頭を悩ませています。
 こんにゃく芋生産農家 八高啓輔さん
 「こんにゃくの価格が去年の大暴落で、こんにゃく農家の皆さん、すごく大きな打撃をこうむっている。生産にかかるコストというところで計算すると、作れば作るほど赤字というのが去年の販売価格だった」
 畑作業に使う肥料や機材の高騰に加え、若者のこんにゃく離れや温暖化などで冬場のおでん消費が減少。需給のバランスが崩れ、廃業する農家も増えています。
 八高さん
 「なんとかこんにゃくにしがみついてやっていかなきゃならない。あとは、こんにゃくにもう一度消費者の皆さんがおいしさに気が付いてくれるとうれしいなと思っています」
■米に混ぜてカロリー抑制「こんにゃく米」
 そんなこんにゃく業界が打ち出すのは、「魅力の再発見」です。
 群馬県甘楽町にある「こんにゃくパーク」では、定番の刺身に田楽をはじめ、焼きそばやラーメン、かき揚げといったメニューを扱った「こんにゃくバイキング」が無料で振る舞われています。
 利用者
 「料理で出てくる時には必ず食べていますけど」
 利用客
 「いっぱい(お皿に)乗り切らない。困っちゃいます」
 こんにゃくパーク広報 齊藤ちな実さん
 「皆さんに飽きないこんにゃく商品というのをご提案していく。こんにゃくの消費につながると信じて、今後もこんにゃくパークの活動を続けていきたいと思っています」
 米不足が深刻な今、都内のカレー店では、驚きのこんにゃくの使い方をしていました。
 見た目では分かりづらいのですが、米をよく見てみると、透明なのが、こんにゃくを米粒の形に加工した「こんにゃく米」です。
 これを12%使うことで、本来の米の食感など満足感を損なうことなく、カロリーを抑えることができたといいます。
 Kitchen723店主 小出奈津実さん
 「お米の甘みもこんにゃく米にうつって、食べた時は全く自然に食べられるので。全然臭みとかもない。楽しくおいしく食べられる」
■化粧品&唐揚げの衣 万能なこんにゃく
 こんにゃくには大きなビジネスチャンスもあります。
 化粧水やパック、さらにはプニプニとした感触のやわらかなせっけんのように、肌に触れるものも販売されています。
 こちらは次世代こんにゃく素材、その名も「ニンジャペースト」です。
 ベンチャー企業「シデカス」 寄玉昌宏代表
 「こんにゃくの力で他の食材を固めていくことができるという素材。忍者みたいに隠れて他のモノになんでもなりきる。ウニみたいなものから、唐揚げの衣など」
 一般的に食品に使われるツナギはゼラチンや小麦粉、卵や水あめなどですが、次世代こんにゃく素材は低糖質・低カロリーかつヴィーガンにも対応が可能だといい、世界にアピールしていきたいと意気込みます。
 寄玉さん
 「(こんにゃく)芋を栽培するだけでなく、口に入るまで加工していく技術は日本独自の進化を遂げていて、正直、他の国に全然ない」
 (「グッド!モーニング」2024年9月5日放送分より)
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 9月5日 MicrosoftStartニュース JBpress「【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
宮前 耕也 によるストーリー
 コメが消えたスーパーの棚
 1994年の「平成の米騒動」、そして2004年の米価格高騰は、いずれも前年産が冷夏で凶作となった影響が大きい。すなわち、一時的な天候要因による供給不足が背景であり、作柄が豊作または平年並みに戻ったことで価格高騰は短期間で収まった。
 だが、足元の「令和の米騒動」では、需要面と供給面の双方に一時的な要因と構造的な要因が絡み、価格高騰につながっている。先行きの米価格は不透明で、高騰が長引くリスクもある。(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト
 <米価格が高騰>
 このところ、米の入手が困難になるとともに価格も高騰しており、「令和の米騒動」と呼ばれる状況となっている。
 全国CPI(消費者物価指数)によれば、米類の価格は2024年7月に前年同月比+17.2%と大きく上昇。伸び率は「平成の米騒動」と呼ばれた1994年5月に記録した+21.4%、そして2004年2月に記録した+25.2%に迫る高水準へ達した。
 米価格は8月以降さらに上昇しているとみられる。
 全国に先行して公表される8月中旬速報の東京都区部CPIによれば、米類の価格は前年同月比+26.3%となり、7月の+17.7%から伸び率が拡大した。気象庁より「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発令され、備蓄のためのまとめ買いが発生、価格高騰につながったとみられる。
 8月下旬以降は台風10号に備えたまとめ買いも生じ、折からの価格高騰に拍車が掛かっている。
 【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
 前年比で92万トン減少していた米の在庫
 <在庫水準が切り下がり、価格高騰につながる>
 過去そして現在の価格高騰は、当然といえば当然であるが、需給逼迫で在庫水準が切り下がったことによりもたらされている。
 民間流通と政府備蓄を合わせた在庫水準は、2004年6月末に273万トンとなり、2003年6月末の365万トンから大きく切り下がった。前年差では92万トンの大幅減少である。直近の在庫水準を確認すると、2022年6月末に309万トンだった在庫は、2024年6月末に247万トンと2000年代半ばを下回る水準まで切り下がっている。2年間で62万トン減り、「令和の米騒動」につながった。
 「平成の米騒動」前後における民間流通と政府備蓄を合わせた在庫水準については、時系列のデータを得られない。ただ、「食料需給表」等を用いて簡易的に試算すると、1992~93年頃に250万トン前後あった在庫水準は、1994年に100万トン前後まで急速に切り下がったとみられる。当時、在庫を取り崩しても供給不足が解消されず、政府はタイ米などの緊急輸入に踏み切った。
 【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
 異例の凶作だった1993年産
 <過去の価格高騰は凶作が背景だが…>
 過去と現在ともに、価格高騰は需給逼迫で在庫水準が切り下がったことによりもたらされているが、需給逼迫に至った背景は異なる。1994年の「平成の米騒動」、そして2004年における価格高騰は、前年の1993年産、2003年産がいずれも冷夏で凶作となった影響が大きい。
 作柄の良否を示す指標としては、農林水産省公表の作況指数が参考になる。
 作況指数は、10a(アール)当たりの平年収量を100とした、その年の実際の10a当たり収量のことである。
 平年収量とは、気象条件や病虫害などが平年並みになるものとみなした上で、水稲を作付けする前の段階で予想される収量を意味する。作況指数が106以上なら「良」、102~105なら「やや良」、99~101なら「平年並み」、95~98なら「やや不良」、91~94なら「不良」、90以下なら「著しい不良」に位置づけられる。
 価格が高騰した1993年産の作況指数は、平年100に対して74であった。2003年産の作況指数は90だ。いずれも「著しい不良」、いわゆる凶作を示す低水準となった。
 全国の収穫量をみても、1993年産は781万トンとなり、1992年産の1055万トンから274万トン減少、率にして▲25.9%の大幅減少であった。2003年産は778万トンとなり、2002年産の888万トンから110万トン減少、率にして▲12.4%の減少である。凶作の影響は、在庫が縮小する翌年春頃に顕在化し、価格高騰につながった。
 【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
 あきらめる米農家の存在
 2021年以降、減少が続いている米の作付面積
 <現在の価格高騰は作付面積縮小が一因>
 現在の「令和の米騒動」については、巷間では昨年夏の猛暑の影響、具体的には高気温による品質低下で店頭向けの流通量が減ったと指摘されている。
 では、米全体の作柄や収穫量はどうであろうか。
 まず、作柄について、2023年産の作況指数は101と「平年並み」であった。豊作とまでは言えないが、少なくとも1993年産や2003年産のような凶作ではない。そもそも凶作や不作は、猛暑というよりも冷夏で生じやすい。作況指数は2019年以降、平年並み(99~101)が続いており、面積当たり収量も近年安定している。
 にもかかわらず、全国の収穫量はこのところ減少が続いている。2019年産および2020年産がいずれも776万トンであったが、2021年産が756万トン、2022年産が727万トン、2023年産が717万トンへと3年連続で減少している。減少幅は2021年産が前年差▲20万トン(率にして前年比▲2.6%)、2022年産が▲29万トン(▲3.9%)、23年産が▲10万トン(▲1.4%)だ。
 関連するビデオ: コメの品薄、いつ解消?「新米」収穫順調も価格は上昇 “コメ離れ”懸念も… (日テレNEWS NNN)
 日テレNEWS NNN
コメの品薄、いつ解消?「新米」収穫順調も価格は上昇 “コメ離れ”懸念も…
 すなわち、このところ作柄は「平年並み」で安定しているにもかかわらず、2021年産以降、作付面積の縮小が続いている影響により、米の収穫量、供給量が減少しており、足元の価格高騰の一因となっていよう。
 <減反政策後も作付面積減少>
 米の収穫量は、一時的には豊作や凶作など作柄に左右されるが、長い目でみれば作付面積に連動する。1960年代に食生活の洋風化に伴い、主食用の米の需要が縮小傾向へ転じる一方、政府による増産促進に豊作が続いた影響等が重なり、過剰米が発生。政府の在庫が積み上がり、その財政負担が問題となった。
 過剰米問題を受けて、政府は1970年より減反政策を開始。その後、長らく作付面積は縮小傾向を辿った。
 減反政策が廃止された2018年から2020年にかけて、米の作付面積および収穫量はほぼ横ばいで推移した。だが、コロナ禍後の労働供給縮小もしくは外食需要縮小に対応して、2021年以降、作付面積および収穫量は再び縮小している。
 需要面はどの程度影響しているのか?
 <米の需給バランスを確認>
 足元の米価格高騰は凶作ではなく、コロナ禍後の作付面積縮小に伴う供給減少の影響で生じているが、需要面はどの程度影響しているであろうか。ここで、農林水産省が公表する「食料需給表」に基づき、米の総需要量と総供給量を算出してみる。
 総供給量は「国内生産量+輸入量」として算出している。総需要量は「国内消費仕向量(飼料用、種子用、加工用、純旅客用、減耗量、粗食料)+飼料用の政府売却数量+輸出量」として算出している。
 飼料用の政府売却数量とは、主食用に適さなくなった古い備蓄米や、ミニマム・アクセスで輸入した米を政府が飼料用向けに売却した分のことだ。
 なお、グラフ中の「在庫水準の増減量」は農林水産省による公表値だが、「総供給-総需要」の算出値に一致している。
 【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
 2020年度に35万トンも減少した「主食用」
 <2020年度は供給超過、在庫増>
 近年の動向を振り返ると、2020年度には総需要量が前年差▲32万トン減少の871万トンとなり、総供給量の896万トン(前年差▲7万トン)を下回った。「食料需給表」ベースでみて、供給超過となり、在庫水準が25万トン分切り上がった。
 総需要の変化の内訳をみると、「主食用」が35万トン、「加工用」が5万トン、「純旅客用」が3万トン減少している。「純旅客用」とは、一時的な訪日外国人による消費分から一時的な出国日本人による消費分を控除した数量のことで、2018年度より農林水産省が算出、計上している。
 すなわち、2020年度は、コロナ禍後の外出自粛やインバウンド消滅により、外食需要が縮小した影響が表れたほか、工場稼働縮小などにより加工用原料の需要も縮小したとみられる。
 【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在
 インバウンドよりも影響が大きい供給要因
 <2021年度以降は供給不足、在庫減>
 2021年度以降、在庫水準は縮小が続いている。2021年度の在庫水準は5万トン切り下がった。総供給量が前年差+5万トンの小幅増加にとどまる一方、総需要量が同+45万トンの大幅増加となった。総需要量(916万トン)が総供給量(910万トン)を小幅に上回って供給不足となり、在庫水準の縮小につながった。
 総需要の変化の内訳をみると、主食用は6万トンの増加にとどまる一方、飼料用が28万トン増加した。飼料用は政府売却分も合わせれば42万トンの大幅増加だ。外食需要の回復が緩やかにとどまる一方、トウモロコシ等の国際市況高騰により飼料用需要が拡大し、補助金を活用して主食用米から飼料用米へ転作する動きが生じたとみられる。
 在庫水準は2022年度に26万トン、23年度に44万トン縮小した。この2年間の在庫水準の縮小は、需要サイドというよりも供給サイドの影響が大きい。
 総需要量は2021年度の916万トンから、2022年度に916万トン、2023年度に917万トンとなり、2年間で僅か1万トン分の増加にとどまった。内訳をみると、2年間で飼料用が8万トン分、純旅客用が5万トン分増加したものの、主食用は11万トン分減少した。
 他統計を踏まえれば、インバウンドを含め外食需要は回復しているとみられるものの、人口減などを背景に全体として主食向け需要が低迷していると考えられる。
 一方、総供給量は2021年度の910万トンから、2022年度に891万トン、2023年度に872万トンへ、2年間で38万トン分減少。上述の通り、作付面積縮小が影響していよう。
 主食向けをあきらめる米農家
 <価格高騰の背景は?>
 1994年の「平成の米騒動」、そして2004年の価格高騰は、いずれも前年産が冷夏で凶作となった影響が大きい。すなわち、一時的な天候要因による供給減少が背景であった。作柄が豊作または平年並みに戻ったことで、価格高騰は短期間で収まった。
 だが、足元の「令和の米騒動」は、需要面と供給面の双方の変動によりもたらされている。
 コロナ禍直後、外食需要の縮小により、総需要が減少し、供給超過につながった。米価格は2020年秋頃から約2年間下落が続いた。だがその後は、飼料用を中心に需要が回復する一方、作付面積の縮小により供給が縮小し、需給逼迫につながっている。
 作付面積は、2018年に減反政策が終了して以降、一旦下げ止まったが、2021年以降に再び縮小している。コロナ禍で外食向け需要が縮小、その後の需要の戻りが弱く、主食向けの米作りを諦める動きが生じた可能性がある。需要動向や作付面積動向をみる限りでは、主食向けから飼料向けや他の作物に作付けを転換する動きが生じたとみられる。
 先行きの米価格は予想が難しい。短期的には、2024年産の新米供給により、価格高騰は一服する可能性があるが、8月末から9月初にかけて日本列島を直撃した台風10号の被害の影響が懸念材料だ。中長期的には、人口減等を背景に主食用の需要縮小が続き、同時に高齢化などにより労働供給も縮小が続く見込みだ。
 過去のような一時的な天候要因による価格高騰ではなく、需給双方に一時的な要因と構造的な要因が絡むため、判断が難しい。
 【宮前 耕也(みやまえ こうや)】
 SMBC日興証券㈱日本担当シニアエコノミスト
 1979年生まれ、大阪府出身。1997年に私立清風南海高等学校を卒業。2002年に東京大学経済学部を卒業後、大阪ガス㈱入社。2006年に財務省へ出向、大臣官房総合政策課調査員として日本経済、財政、エネルギー市場の分析に従事。2008年に野村證券㈱入社、債券アナリスト兼エコノミストとして日本経済、金融政策の分析に従事。2011年にSMBC日興証券㈱入社。エコノミスト、シニア財政アナリスト等を経て現職。
 著書に、『アベノミクス2020-人口、財政、エネルギー』(エネルギーフォーラム社、単著)、『図説 日本の財政(平成18年度版)』および『図説 日本の財政(平成19年度版)』(東洋経済新報社、分担執筆)がある。
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