🐡10〗─1─災害国ニッポンの末路は人口激減の国家衰退で中国の「属国化」。〜No.38No.39No.40 

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 日本民族は、自然災害を人口増加で乗り切ってきた。
 日本の人口増加とは、平均寿命は50歳代で、若者が多く老人が少ない子供社会であった。
 男は外で力仕事をして、女は内で頭脳仕事をしていた。
 自然災害では、男と女の役割と仕事が違っていた。
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 2024年5月16日 YAHOO!JAPANニュース ダイヤモンド・オンライン「災害国ニッポンの末路は中国の「属国化」だ!【養老孟司×茂木健一郎×東浩紀鼎談】
 © ダイヤモンド・オンライン
 明治以来人口が拡大してきた日本は、いま人口減少局面に入っている。子どもは減り、老人は増え、GDPの世界ランクがずるずると低下するなかで、しかし天災だけは定期的にやってくる。次の大地震が人口密集地を直撃したとき、日本はどう生き残ればいいのか。現代日本が誇る三賢である養老孟司茂木健一郎東浩紀が、議論を交わした。※本稿は、養老孟司茂木健一郎、東 浩紀『日本の歪み』(講談社現代新書)の一部を抜粋・編集したものです。
 次の大震災が人口密集地で
 起きたら日本はどうなる?
 養老 NHKで「西の半割れ」をテーマにした、南海トラフ巨大地震が来たら何が起こるのかを描いたドラマ仕立ての番組をやっていました。和歌山県沖で地震があった場合、関西一円、瀬戸内一円で震度7だそうです。当然それだけでは済まなくて、それに伴ってあちこちの活断層が連動する可能性もあるし、東側にもいずれ来ます。東南海地震もずっと来ると言われているし、南海トラフと連動して起こるかもしれない。首都直下型地震や富士山噴火が連動する可能性もある。
 茂木 前回の東南海地震は1944年ですが、覚えていらっしゃいますか。
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 養老 覚えていないです。戦争中でしたから、報道管制で、そういう景気の悪い話はしなかった。
 東 M7.9で、相当大きな地震だったようですね。
 養老 そうらしいですね。
 茂木 養老先生がお生まれになったのは関東大震災の14年後ですが、名残はありましたか?
 養老 全くないです。でも母の話は聞いたことがあります。大震災の日は横浜の本牧に泊まっていて、歩けなくて庭に出られなかったそうです。ただ、その旅館がなぜか虎を飼っていて、なんとか庭に出たら虎がうおーと吠えていたと言っていました。
 茂木 関東大震災もM7.9と言われていますね。1923年だから、今年でちょうど100年か。
 養老 日本の場合は天変地異がしょっちゅう起こるので、起こった後にどう復興するかに賭けたい。NHKの番組によれば、大阪では津波が川をさかのぼって梅田まで入ってくるそうです。そうなったら大阪は壊滅します。もちろん東京にも同じことが起こる可能性が十分ある。大事なのは、その後どういう社会をつくるかということです。報道では災害による損害ばっかり言うけど、災害の後すぐに起こるのは復旧です。
 具体的な課題で考えると、例えば東海地震が来たら新幹線はダメになります。浜松あたりが津波をかぶるだろうし、新丹那トンネルも断層でズレるかもしれない。そのときに、復旧するかどうか。あんなもんやめたとするのか、どうしても元に戻すのか。
 東 新幹線は戻すしかないでしょう。リニアはこれを好機と工事を中止するかもしれませんが。
 養老 都内のビルだってどのくらいもつかわかりません。震度7地震が一度しか来ないとは限らないわけで、二度三度来たときに、本当に耐えられるのか。
 被害によっては、いまのような生活を続けるのは無理になります。小さな自給自足の集団を日本中に置いていくしかない。でも島根県鳥取県の可住地面積あたりの人口密度がヨーロッパと同じくらいで、日本では過疎と言われている地域でも世界基準で見たら標準です。つまり人口もかなり減らないと、小さな自給自足の社会はやっていけないかもしれない。
 東 その通りだと思います。しかし、そうなってしまうと、強い隣国に依存することになりそうです。たとえば中国。
 養老 外側で見るとそういうことになりやすい。どのくらい金を必要とするのかにも関係してきます。
 天災で壊滅した日本は
 中国の「属国」として生まれ変わる
 東 現実的に考えても、人も減り、金もなくなり、小さい社会しかないという状況になったら、外国人がどっと移住してきそうですが……。
 養老 そうですね。食料がない、エネルギーがない、となったら買わなければなりません。それが今年のように食糧難だ、エネルギー不足だ、円安だというときだと余計にお金がかかる。そのときに大きな額を日本に投資してくれる国があるとすれば、アメリカは時間がかかるでしょうから、おそらく中国です。
 東 つまり、すごく要約すると、日本は天災によって実質壊滅し、中国の属国になることによって新しく生まれ変わるしかないのではないか、というのが養老さんのお考えでしょうか。
 養老 そうですね。つまり属国とはなにかという問題です。中国の辺境は昔からたくさんあったわけで、今でも中国がないと成り立たないという状況を作ってしまえば、それは中国の一部であるのと同じことですから。政治的にどうレッテルを貼るかの話でしかない。
 東 いまはそういう意見は反発が大きいかもしれませんね。
 養老 みんな不愉快かもしれないけど、いちばんありうるシナリオです。明日食べるものに困っているときに「中国のお金を受け取るべきじゃない」と言っても誰も聞きませんよ。背に腹は代えられないというのはそのことです。
 東 われわれは災害の起こる国に住んでいる。だから、なるようになる、という考え方しかもてない。そんなわれわれの行く末は属国しかない。それが結論ということになりますが、それでいいのでしょうか。
 養老 (笑)
 茂木 アメリカの属国の次は中国の属国になると。
 養老 独立とはなんだという話ですよね。
 東 憲法9条と同じように、「独立」も解釈で乗り越えるのだと。
 茂木 たしかに憲法9条はアメリカの属国である実態を表しているものだから、その実態が変わらないなら変えなくてもいいのかもしれないですね。養老先生がおっしゃるように、その実態に政治的に「平和主義」というレッテルを貼っているだけで。
 東 現実に日本国内には、主権者である日本国民がコントロールできない外国の軍事基地がいくつもある。ロシアが北方領土を返さないのも、要は米軍基地が北方領土に作られる可能性があるからです。東京上空ですら横田基地の管理下にあって、羽田や成田に行く飛行機のルートも制限されている。ある意味、既に「独立」の意味は変えられているのかもしれません。
 隣人であり続ける中国とロシアに
 強硬な態度を取り続けていいのか
 茂木 いまでもよく覚えているのは、森喜朗さんが首相で、皆から「サメの脳」だとか言いたい放題言われていたとき、養老先生が「茂木くん、昔はああいうことは言わなかったものだよ。外交ってものがあるからね」とおっしゃったことです。いくら反対することがあっても、一国の首相は国益を代表して外国と折衝する立場である以上、そこまでバカにすることはないんだ、と。
 茂木 さすがだなと思ったんですが、それは東さんが言った「忘れる」(編集部注/平等主義的で、他人の視線を気にして、熱しやすく冷めやすく、誰かを一斉に叩いて、その人が消えたら嘘のように忘れるという日本の民主主義の歪みを、東は指摘している)ということにも関係する気がします。例えば大地震が起きたら中国から経済的支援を受けざるをえないかもしれないのだから、対中強硬策と言ってもほどほどにしようね、というのも、一つの「忘れない」ということですよね。
 東 それは、鈴木宗男氏が言うように、ロシアはずっとあの位置にあって、基本的に付き合っていかなければならない国なのだからウクライナに全振りしている場合じゃないという話にもつながりますね。僕は鈴木氏の戦争理解は間違っていると思いますが、言いたいことはわかる。短期的な善悪とは別に、長期的なオプションもしたたかに抱えておかなくてはいけない。
 茂木 本当にそうだよね。
 東 でも、日本はそういうのこそ苦手な国なんですよ。
 『日本の歪み』 (講談社現代新書養老孟司茂木健一郎・東 浩紀 著
 © ダイヤモンド・オンライン
 茂木 実際には、日本はアメリカのような軍事力があるわけでもないし、もはや経済も弱いし、条件としてはあまり偉そうなことは言えない国なんですよね。絶対的な何かをもっているというより、どこともうまくやっていかないと生存が難しい。
 話は少しずれますが、僕が出会ったときには養老先生は東大医学部の現役の先生でしたが、養老先生が偉そうだったことが1度もないんですよね。イデオロギーで生きていないからなんでしょうか。例えばいま、人工知能の研究者とか、なんでそこまで偉そうなのっていう人が多いですよ。とりわけ、アメリカで人工知能やっている人たちって、俺たちが世界をつくる、みたいな勢いがある。サム・アルトマンとか、本当のトップは案外謙虚なのですが。養老先生は、なぜ謙虚なのか?
 養老 知らないよ(笑)。別に何も変わりないですよ。
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 5月16日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「「東日本大震災」よりはるかに多い…「南海トラフ巨大地震」で「衝撃的な数」になると予測される死因
 家がつぶれれば机もつぶれる
 南海トラフ巨大地震は、広い範囲で津波襲来が懸念されている。津波の伝搬速度は――海の水深によって異なるが――水深4000メートルならジェット機並みの時速約700キロメートル、水深500メートルなら時速約250キロメートル、水深100メートルでも時速約110キロメートルの速度でやってくる。しかし、大津波襲来の前に大揺れから命を守らなければならない。なぜならば、地震波が伝播してくる速度は津波の伝搬速度よりも数十倍速いからである。
 地震波は主にP波(小さく揺れる「初期微動」)と、S波(大きく強く揺れる「主要動」)の2種類の波がある。P波は秒速約7キロメートル(時速約25200キロメートル)、S波は秒速約4キロメートル(時速約14400キロメートル)の速度で伝播してくる。その速度差などを利用し、気象庁地震発生直後に緊急地震速報を発表して大揺れに備えるよう呼びかけている。震源の場所によっても異なるが、地震発生と共に放射状に地震波が発出され、津波よりも早く、初期微動の小さな揺れと主要動の大揺れが襲ってくる。とくに南海トラフ巨大地震の場合、激しい揺れが長時間続く可能性があり、発災直後の数秒~数分の行動に重要な意味があり、この限られた短い時間が生死を分けると言っても過言ではない。
 そして、これまで防災常識とされてきた「地震! 机の下へ」がいつも正しいとは限らない。なぜならば、家がつぶれれば机もつぶれる危険性があるからだ。とはいっても、ほかに方法がない時や安全な場所に移動する時間がない場合は机の下もありで、実際に家屋の下敷きになりながら机の下にいて助かった事例もある。つまり、地震時の行動に絶対の法則はなく、その場の状況によって臨機応変の対応が求められる。
 © 現代ビジネス
 とくに、耐震性の高い鉄筋コンクリート造りの学校やマンションであれば「地震! 机の下へ」で良いが、古い木造家屋の場合、築年によっては倒壊又は大破する可能性があるので、建物の耐震度や建築年によって地震直後の行動を考えなければならない。そして、奇跡的に助かった稀な事例を標準の行動基準とするのではなく、多角的に検証した知見・知識を踏まえ、命が助かる確率の高い安全行動を基本にすべきである。そのためにも、大揺れに自宅は耐えられるのか、その時居る場所や状況に応じ最善対応ができるよう知識と知恵が重要となる。
 例えば、活断層地震であった2024年能登半島地震では、犠牲者の8割以上が家屋倒壊や閉じ込められたことによるものと推定されている。犠牲者222人の死因を分析した石川県警によれば、「圧死・窒息」が41%、「呼吸不全」が22%、「低体温・凍死」が14%、「外傷性ショック」が13%だったという。圧死、窒息、呼吸不全だけでなく、多くが家屋倒壊に起因していると推定されている。同じ活断層地震の1995年阪神・淡路大震災や2016年熊本地震でも、倒壊家屋の下敷きによる圧死が8割を超えていた。
 他方、海溝型地震である2011年東日本大震災による犠牲者の主な死因は、警察庁の調べによると溺死が92.4%に上り、ほとんどが津波によるもので、建物の下敷きとみられる圧死は4.4%だった。東日本大震災の震央は、宮城県牡鹿半島の東南東約130キロメートルの太平洋(三陸沖)の海底(北緯38度06.2分、東経142度51.6分)、震源の深さは約24キロメートルだった。この地震により震度7が観測されたのは宮城県栗原市築館だけで、そのほか宮城県福島県茨城県、栃木県の4県で震度6強が観測された。私が発災1週間目に現地に入った時、M9.0にしては地震の揺れによる震害が意外と少ないように思った。とくに津波被害の多かった三陸地域では、海岸付近から流れ着いた建物の屋根瓦が落ちておらず、ガラスも割れていない住宅が多くあり、死因内訳と符合しているように感じた。
 一口に地震と言っても、その都度、顔(様相)が全く違う。地震を発生させた震源断層の位置、深さ、壊れ方などによって発出・伝播される地震波が異なることによるものと考えられている。東京大学地震研究所によると、東日本大震災東北地方太平洋沖地震)の揺れは、木造家屋の被害に直結する周期1~2秒前後の応答スペクトル(Velocity Response Spectrum)が100センチメートル/秒程度以下と小さく、阪神・淡路大震災兵庫県南部地震)の鷹取地点等で観測された200~300センチメートル/秒の約半分以下であったという。断層破壊継続時間は3分ほどと、長く揺れたにもかかわらず、木造家屋が倒壊しやすい揺れ周期の成分が少なかったことにより、揺れによる建物被害が少なかったことが東日本大震災の特徴のひとつである。
 しかし、同じ海溝型地震でも南海トラフ巨大地震震源領域は東日本大震災のような海域だけでなく、広い内陸域の地下が多く含まれている。そのため、地域によってはゆっくり長く揺れる海溝型地震的揺れ方と直下型地震のような激しい揺れ方が同時又は混在して長く続く可能性がある。つまり、阪神・淡路大震災熊本地震能登半島地震のように耐震性の低い建物が多数倒壊し、多くの死傷者が出る危険性があるのだ。
 では、地震直後にどう行動すべきかを次項で考察する。
 <「地震が起きたら机の下」で、ほんとうに良いのか>の記事に続きます。
 関連するビデオ: 【解説】「南海トラフ臨時情報」発表基準は?発表後の防災対応は? (日テレNEWS NNN)
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 日本にとって命を預けられる頼れる「トモダチ」は、法を遵守する自由・民主主義のアメリカであって法を無視する権威主義全体主義中国共産党ではない。
 現代の日本人には、国に対する愛国心はないし、民族への愛着心もない。
 アメリカと中国共産党政府とが違うのは、阪神淡路大震災東日本大震災などでの両国の行動を見れば一目瞭然であり、アメリカは信用できるが中国共産党は信用できないと言う事である。
 人の真価は、相手が困った時にどう行動するかでわかる。
 アメリア、台湾、イギリスなどはボランティアの国であり、中国共産党政府、韓国、ロシアはボランティアの国ではない。それは歴史が証明している。
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 戦争してでも日本を守ろうとしない覚悟なき自立心・独立心を捨てた現代人には、自由・民主主義のアメリカを取るか権威主義全体主義中国共産党を取るかの二者択一しかなく、第三の道は存在しない。
 エセ保守やリベラル左派は、存在しない第三の道をいかにも有るように真顔で子供達に語りかけている。
 反米派・反安保派、媚中派琉球独立派、アイヌ独立派、反天皇反民族反日的日本人達は、アジアの日本はアメリカを切り捨て中国に従う道べきだと確信している。
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 日本列島とは、春夏秋冬、季節に関係なく、広範囲に同時多発的に頻発する複合災害多発地帯である。
 日本の自然は、数万年前の旧石器時代縄文時代から日本列島に住む生物・人間を何度も死滅・絶滅・消滅させる為に世にも恐ろしい災厄・災害を起こしていた。
 日本民族は、自然の猛威に耐え、地獄の様な環境の中を、家族や知人さえも誰も助けずに身一つ、自分一人で逃げ回って生きてきた、それ故に祖先を神(氏神)とする人神信仰を受け継いで来た。
 日本人は生き残る為に個人主義であり、日本社会は皆で生きていく為に集団主義である。
 日本の宗教・文化・言語は、こうして創られてきた。
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 日本民族人間性である価値観・人格・気質を作り出したのは、人間(他国・異民族・異教徒)の脅威ではなかったし、唯一絶対神(全智全能の創り主)の奇蹟と恩寵ではなく、自然の脅威と恩恵(和食)である。
 つまり、日本人と朝鮮人・中国人は違うのである。
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 コンサルタントコラム
 「津波てんでんこ」を正しく理解しよう~災害に強い組織づくりへの第一歩~
 所属 リスクマネジメント第一部 リスクエンジニアリング第二グループ
 役職名 コンサルタント
 執筆者名 加藤 真由 Mayu Kato
 自然災害
 2023年6月2日
 「津波てんでんこ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「津波てんでんこ」とは、「津波が来たら、いち早く各自てんでんばらばらに高台に逃げろ」(岩手県HPより)という津波襲来時の避難に関する三陸地方の言い伝えである。2011年3月に発生した東日本大震災にて、従来から津波防災教育を受けていた岩手県釜石市の小中学生が、この「津波てんでんこ」の教えを実践した。これにより、多くの命が助かった事例は「釜石の奇跡」として大々的にメディアに取り上げられた。その一方で、「津波てんでんこ」は、その注目度の高さ故、言葉がひとり歩きした結果、「自分だけが助かればよい」という意味で誤解され、「利己的で薄情である」と批判された事例も見受けられる。津波被害から身を守り、災害に強い組織づくりをするためにも、まず「津波てんでんこ」という言葉の意味を正しく理解する必要がある。
 京都大学の矢守克也教授は、「津波てんでんこ」は4つの意味・機能を多面的に織り込んだ重層的な用語であることを述べている(2012年)。
 1つ目は、「自助原則の強調」である。「自分の命は自分で守る」という考え方は重要だとされている。しかし、単純に津波避難における「自助」の重要性にとどまるものではなく、自己責任の原則だけを強調するものではないことに注意が必要である。
 2つ目は、「他者避難の促進」である。避難する姿が目撃者にとっての避難のきっかけとなり、結果的に他者の避難行動を促す仕掛けとなる。
 3つ目は、「相互信頼の事前醸成」である。「津波襲来時はお互いに"てんでんこ"する。」という行動を、事前に周囲の他者と約束する。この信頼関係が共有されていれば、「てんでんこ」の有効性が飛躍的に向上する。
 4つ目は、「生存者の自責感の低減」である。被災時には、津波で命を落とした他者に対して自責的感情に苛まれやすい。しかし、事前に他者と「てんでんこ」を約束しておくことで、「亡くなった人も"てんでんこ"した(しようとした)にも関わらず、それも及ばず犠牲になった」と考え、生存者の自責的感情を低減する可能性がある。
 この4つの意味・機能より、「津波てんでんこ」という言葉には、自助だけでなく、共助の重要性を強調する要素が含まれている。加えて、一刻を争う津波避難時の行動原則だけでなく、事前の社会のあり方や事後の人の心の回復等にも大きな意味を持つものである。
 東洋大学の及川康教授は、「津波てんでんこ」という言葉に対する考えを認識度別に調査した。その結果、「津波てんでんこ」に対する真の理解を得るためには、一義的・表面的な原義を提示するのみでは不十分で、適切な解説・解釈がなされる必要があることを示唆した(2017年)。
 「津波てんでんこ」という1つの言葉から学ぶべきことは非常に多い。災害に強い組織を作るためにも、東日本大震災をはじめとした過去の災害を振り返り、1つの言葉をテーマに皆さんで深い議論を重ねてみてはどうだろうか。
 以上
 (2023年5月25日 三友新聞掲載記事を転載)
 古川 崚仁 Ryoto Furukawa
 氏名 加藤 真由 Mayu Kato
 役職 リスクマネジメント第一部 リスクエンジニアリング第二グループ コンサルタント
 専門領域 自然災害リスク/カーボンニュートラル/スポーツ・リスクマネジメント/イベント・リスクマネジメント/施設等(指定管理者)の安全管理
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