⚡23】─1─火山・地震災害列島日本は世界3位の地熱資源国。日本で地熱発電が普及しない本当の理由。~No.108No.109 ⑫ 

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 2023年5月16日11:30 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン「日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?
 温泉の街・別府の観光名所「血の池地獄」 Photo by Chang W. Lee / The New York Times
 日本には膨大な地熱エネルギーが眠っているが、不可解なことに、その豊富な資源はまったく生かされていない。なぜ安価でクリーンな純国産エネルギーを開発しないのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が答えを探ってみると、日本ならではの葛藤が見えてきた。
 【画像】日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」
 総発電量のわずか0.3%
 日本を旅する人々に愛される保養地といえば、山あいや風光明媚な沿岸部に位置する温泉リゾートだ。国内に何千ヵ所もある温泉地のなかには、何世紀にもわたって観光客でにぎわってきたところもある。
 そうした温泉地のすべてを支えているのが、日本の豊富な地熱エネルギーだ。実際、日本の地下には膨大な地熱エネルギーが眠っており、発電に利用されれば、国内の石炭・ガス火力発電や原子力発電に代わる重要な役割を果たす可能性がある。
 だが、地熱エネルギーの普及を目指す日本の野望は何十年もの間、驚くほど強力な温泉地の抵抗に阻まれている。
 福島県の山中にたたずむ隠れ家的旅館「二岐温泉大丸あすなろ荘」の佐藤好億社長は、「地熱開発が乱立すれば、私たちの文化が脅かされる」と話す。二岐温泉は開湯1300年の歴史があるとされる。「万が一にでも私たちの温泉に何かあったら、誰が代償を払うのでしょうか」
 日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる。新しくクリーンな発電方法を切望している資源の乏しい国にとって、せっかくの機会が生かされていないとアナリストらは指摘する。
 この謎に対する答えの一つは、佐藤が経営する旅館のような由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。
 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている。
 政府官僚や日本の電力大手、さらには製造業大手でさえ太刀打ちできない。東京に本社を置く電源開発(Jパワー)の阿島秀司は「開発を無理やり進めるわけにはいかない」と話す。地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった。
 「地熱発電所は決してゲームチェンジャーにはなれませんが、(二酸化炭素を排出しない)カーボンフリーエネルギーの一翼を担うことはできると考えています」と阿島は言う。
 「日本に必要なものはそろっている」
 温泉は、岩石に浸透した雨水が地熱で温められ、数年から数十年の歳月をかけて地表に湧き出してくる自然界の小さな奇跡だ。
 日本全国に点在する温泉旅館や立ち寄り湯は1万3000ヵ所を超える。入浴には厳しいルールがあり、壁の張り紙にはさまざまな言語で注意事項が書かれている。水着の着用禁止、せっけんのついた体での入湯禁止……。
 一方、地熱発電所は、地下深く掘った井戸から高温の蒸気・熱水をくみ上げ、巨大なタービンを回して発電する。開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。
 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い。
 京都大学名誉教授で、地熱科学の専門家である由佐悠紀は、地熱開発がもたらす影響の全容はまだ充分に理解されていないと語る。
 世界5位の温暖化ガス排出国である日本は、気候関連目標を達成し、化石燃料の輸入依存を低減するため、よりクリーンなエネルギーを必要としている。2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故以降、国内の原発は多くが稼働を停止したままだ。
 そうしたなか、環境に配慮した地熱発電は比較的安価であるうえ、24時間安定的に電力を供給できることから、再生可能エネルギー源として有望視されている。
 2030年までに国内の地熱発電容量を3倍にすることを目指す日本政府は、国立・国定公園内の地熱開発にかかる規制を緩和し、環境アセスメント(影響評価)を迅速化することで、より多くのプロジェクトに道を開こうとしている。
 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」によると、日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る。
 地熱エネルギーは「国産であり、再生可能」だと語るのは、南カリフォルニア大学のエネルギー専門家ジャック・ハイマンスだ。「日本に必要なものはすべてそろっているのです」
 Hiroko Tabuchi
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 5月16日 YAHOO!JAPANニュース「なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?
 日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」 世界3位の地熱資源大国なのに…
 温泉の街・別府の観光名所「血の池地獄」 Photo by Chang W. Lee / The New York Times
 ニューヨーク・タイムズ(米国)
 Text by Hiroko Tabuchi
 日本には膨大な地熱エネルギーが眠っているが、不可解なことに、その豊富な資源はまったく生かされていない。なぜ安価でクリーンな純国産エネルギーを開発しないのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が答えを探ってみると、日本ならではの葛藤が見えてきた。
 総発電量のわずか0.3%
 日本を旅する人々に愛される保養地といえば、山あいや風光明媚な沿岸部に位置する温泉リゾートだ。国内に何千ヵ所もある温泉地のなかには、何世紀にもわたって観光客でにぎわってきたところもある。
 そうした温泉地のすべてを支えているのが、日本の豊富な地熱エネルギーだ。実際、日本の地下には膨大な地熱エネルギーが眠っており、発電に利用されれば、国内の石炭・ガス火力発電や原子力発電に代わる重要な役割を果たす可能性がある。
 だが、地熱エネルギーの普及を目指す日本の野望は何十年もの間、驚くほど強力な温泉地の抵抗に阻まれている。
 福島県の山中にたたずむ隠れ家的旅館「二岐温泉大丸あすなろ荘」の佐藤好億社長は、「地熱開発が乱立すれば、私たちの文化が脅かされる」と話す。二岐温泉は開湯1300年の歴史があるとされる。「万が一にでも私たちの温泉に何かあったら、誰が代償を払うのでしょうか」
 日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる。新しくクリーンな発電方法を切望している資源の乏しい国にとって、せっかくの機会が生かされていないとアナリストらは指摘する。
 この謎に対する答えの一つは、佐藤が経営する旅館のような由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。
 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている。
 政府官僚や日本の電力大手、さらには製造業大手でさえ太刀打ちできない。東京に本社を置く電源開発(Jパワー)の阿島秀司は「開発を無理やり進めるわけにはいかない」と話す。地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった。
 「地熱発電所は決してゲームチェンジャーにはなれませんが、(二酸化炭素を排出しない)カーボンフリーエネルギーの一翼を担うことはできると考えています」と阿島は言う。
 アイスランドが「再生可能エネルギー」100%で電力をまかなえている理由
 「日本に必要なものはそろっている」
 温泉は、岩石に浸透した雨水が地熱で温められ、数年から数十年の歳月をかけて地表に湧き出してくる自然界の小さな奇跡だ。
 日本全国に点在する温泉旅館や立ち寄り湯は1万3000ヵ所を超える。入浴には厳しいルールがあり、壁の張り紙にはさまざまな言語で注意事項が書かれている。水着の着用禁止、せっけんのついた体での入湯禁止……。
 一方、地熱発電所は、地下深く掘った井戸から高温の蒸気・熱水をくみ上げ、巨大なタービンを回して発電する。開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。
 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い。
 京都大学名誉教授で、地熱科学の専門家である由佐悠紀は、地熱開発がもたらす影響の全容はまだ充分に理解されていないと語る。
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 4月5日 YAHOO!JAPANニュース「おかしいほど安い光熱費とねたましいほどの生活の質
 アイスランドが「再生可能エネルギー」100%で電力をまかなえている理由
 地熱資源の有効活用により、アイスランドはこの1世紀で貧困国から世界15位の富裕国へと生まれ変わった Photo: Arnaldur Halldorsson / Bloomberg
 ブルームバーグ(米国)
 Text by Danielle Bochove
 日本と同じく火山国のアイスランドは、その豊富な地熱資源を最大限に活用しているという。エネルギー問題に悩む世界の国々はいま、この「再生可能エネルギー立国」から何を学べるのか。米経済メディア「ブルームバーグ」記者が現地を取材した。
 ここはアイスランド南西部のヘトリスヘイジ地方にある雪化粧した山の中だ。道路の下には、熱湯の川が穴だらけの火山岩の中を流れている。道路の上には、太いスチールパイプが何本も走っており、複数のジオデシックドームにつながっている。各ドームは、地熱井(ちねつせい)を囲っている。
 国有企業「アイスランド・ジオサーベイ」の地質学者ステインソウル・ニーエルソンは、その丸い形をした小屋のそばに車を駐める。
 ニーエルソンと彼のチームは、掘削孔から採取した岩のサンプルを分析してベストな掘削方法を見極めてから、熱湯の供給がその蒸気を利用することでどのような影響を受けるのか追跡する。その蒸気は、この地域と首都レイキャビクの電力をまかなう発電に使われている。
 6000万年前にできたアイスランドは、地質的には地球上で最も若い国であり、いまなお成長している。
 アイスランドは、北米プレートとユーラシアプレートが接する太い“縫い目”の真上にある。その縫い目は両側から引っ張られており、“ひと縫い”がほどけるごとに新しいマグマが放出される。
 その影響は甚大で、火山噴火や地震、そしてアイスランドをこの1世紀で貧困国から世界15位の富裕国へと変えた、大量の地熱資源を発生させるのだ。
 原油価格が高騰すればグリーンエネルギーへの移行は加速するのか?
 電力の10割が再生可能
 他のヨーロッパ諸国が暖房を弱めるか、さもなくば石炭火力発電に戻るかと懸念するなか、アイスランドはおかしいほど安い光熱費とねたましいほどの生活の質を享受している。それもこれも豊富な水、というよりも、やけどするほど熱いお湯のおかげだ。
 いまや、アイスランドの全家庭は再生可能エネルギーで暖められている。そのうちの9割が、熱湯を地下から直に汲み上げて利用する地域の暖房システムによるもので、残りの1割が、その熱湯の蒸気を使った発電か水力発電によるものだ。アイスランドの電力も、10割が再生可能エネルギーでまかなわれている。
 アイスランドの全家庭は再生可能エネルギーで暖められている Photo: Arnaldur Halldorsson / Bloomberg
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