📉77】─6・B─日本人に「週休3日制」が浸透しないのは“脳の仕組み”にあった。~No.182 ⑯ 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2022年12月25日18:00 YAHOO!JAPANニュース 集英社オンライン「日本人に「週休3日制」が浸透しないのは“脳の仕組み”にあった!? 脳科学者が指摘する導入停滞の意外な理由
 働き方改革が叫ばれる昨今において、「週休3日制」を導入する企業が少しずつ増えてきている。だが脳科学的に考えると、日本人は向いていないという意見もあり……? 脳神経外科医で脳科学に関する著書を多く刊行する奥村歩氏に解説していただく。
 【画像】日本人に「週休3日制」が浸透しないのは“脳の仕組み”にあった!? 脳科学者が指摘する導入停滞の意外な理由
 まわりに流されやすいという、日本人ならではの特性
 2021年6月に政府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針」に「選択的週休3日制の促進」が加えられたことが注目を集めている。
 政府としては、ワークライフバランスの実現、長時間労働の防止などの狙いがあるようで、企業の導入を推奨する方針のようだ。現在、ファーストリテイリング、日本マイクロソフト電通など大企業の一部で導入されており、注目が集まっている働き方だが、現状一般企業への導入はさほど進んでいない。
 その一因として、日本人の脳の仕組みが大いに関係しているかもしれない、というのは脳科学者の奥村氏である。聞いたところ、大きく2つの理由があるという。
 「週休3日制がなかなか導入されないのは、“まわりに合わせよう”という思考が日本人には強いからだと考えられます。古来より、日本は四方を海で囲まれた島国という地政学的に特殊な場所に位置しており、欧米、大陸とは異なる社会性が育まれてきました。
 日本で村社会を生きるとなると、少なからず他人に対して気を遣って生活しなくてはいけません。なぜならば、仮にほかの村民に嫌われて別の村に行こうとしても、大陸とは違い海に囲まれているため遠方の地に移住しづらく、全くの新天地でのリスタートがしづらいからです。『村八分』という言葉に代表されるように、邪魔者は排除するというのは日本社会における特色と言えるでしょう。
 ですから必然的に、変な人に思われたくないという意識が常に働きます。なので、週休3日制が導入されづらいのは、企業の代表が他社の導入状況と比較し、『時期尚早だ』と空気を読んで先延ばしにしている……といった具合に思えます。
 現に週休2日制が本格的に導入された1980年代当時も、当初は抵抗が強く、違和感を覚える方が大半でした。要するに日本人は変化、変革を恐れている民族なのでして、極端にパラダイムシフトでも起こらなければ現状は大きく変わらないでしょう」
 第2の理由は「コントロールされるほうが楽」という日本人
 週休3日制になった場合、勤務日は月・火・木・金となることが多いそうだが、そうなると1日働いて、もう1日働けばまた休みというサイクルになる。おのずと勤務日は“休日明け”か“休日前”になると聞くと夢のような働き方に思えるが、実際のところそうでもないのでは、と奥村氏は語る。
 「日本人は変化を好んで人生を切り拓くというより、実は人にコントロールされるほうが楽という人が多いのです。先ほどの島国の話とも関係してきますが、日本の村社会では自分の意見を主張して、全体の波風を立てることはご法度とされてきました。
 したがって、自分で自分を管理するのが苦手なのです。仮に週休3日制が導入されたとしても、休みにどう過ごせばいいのかわからず、むしろ会社で働いていたほうが楽に過ごせるという方が出て来るのではないでしょうか」
 現状の週休2日制でも暇を持て余して、仕事をしてしまう日本人は少なくないかもしれない。実際に奥村氏のもとにも診察しに来る患者の多くは、会社に生活をコントロールされていた弊害に悩まされているそうだ。
 「定年退職された後に、うつ病認知症の症状に悩まされるという方は非常に多いです。会社という自分をコントロールしてくれる存在がなくなり、やることを見失ってしまい、生きる活力が減衰している場合がほとんど。
 そのため、私はよくそういった患者さんに再就職を促します。多くの患者さんがもう働きたくないとおっしゃりますが、そうして何もしないままの方は大抵半年ももたずにうつ病になったり、ボケてきたりしてしまいます」
 よく「日本人が勤勉な民族だ」と言われているが、勤勉というよりも無意識に支配されることを望んでいる割合が多いということなのだろうか。
 「そうですね。自分の責任で能動的に行動を起こすことが苦手な人が多いのでしょう。勤務日に働いているうちは会社の責任となりますが、休日に趣味を楽しむことには自分の責任が伴います。ですから週休3日制になって休みが増えると、逆に体調を崩したり、以前のほうがよかったと思ったりする方が出てきてもおかしくないでしょう」
空気を読みすぎず、変化を楽しむ習慣づくりを
 週休3日制を健全な形で導入するためには、やはり“空気を読みすぎない”ことが重要だという。
 「空気を読む、つまりまわりの動きに合わせるという行為は、セロトニン、アドレナリンを大量に分泌させるため、脳を疲弊させるおそれがあります。心身のバランスを崩す原因になるので自分を犠牲にしてまで徹底する必要はありません。
 2022年の日本人の『世界幸福度ランキング』は54位と、先進諸国のなかで最低ランクの順位です。支配されたいという願望がありつつも、心の奥底では全くハッピーだと感じていないのが日本人という民族なのです。したがって週休3日制を有効に活用するために必要なことは、変化を楽しんで生きるモチベーションを高めていくことだと私は考えています」
 最後に、日本人はそんな変化を恐れない生き方を歩むべきだと奥村氏は教えてくれた。
 「習慣を変え、変化を受け入れることは脳にとって非常に有効です。快感や意欲を活性化させるドーパミンを増やし、充実感を得ることができるので、趣味や好きなことに没頭してみてください。習慣を変えれば脳が変わり、脳が変われば人生も変わる、そして人生が変われば世界も変わります。制度的な面ではなく、感情的な面での週休3日制の議論も進めつつ、少しずつ変化を経験して脳を活性化していけば、導入に近づくのではないでしょうか」
 取材・文/文月/A4studio
   ・   ・   ・