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2022年12月4日 MicrosoftStartニュース Forbes JAPAN「気候変動と大気汚染で、認知症や脳卒中などの神経疾患が悪化する
地球の気温上昇と大気汚染物質の拡散は、認知症、脳卒中、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった神経疾患の症状を悪化させるおそれがあることが、11月16日に発表されたリポートで警告されている。気候変動が人間の健康におよぼす悪影響については、科学者たちによる検証が続いている。
気候変動と大気汚染で、認知症や脳卒中などの神経疾患が悪化する
© Forbes JAPAN 提供
米神経学会の医学誌「Neurology」で発表されたこのリポートは、過去に実施された多数の研究をレビューしたものだ。その結果、気候変動により加速する異常気象が、脳卒中・片頭痛・発作の増加、認知症患者の通院回数の増加、多発性硬化症の重症化と関連していることが明らかになった。
異常気象の例としては、今夏に米国、欧州、アジアの複数の地域を襲ったような猛暑と熱波や、極端な気温変化などが挙げられる。
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気候変動、汚染物質、異常気象、神経疾患に関して、1990年から2022年までに実施された研究364件をレビューしたこのリポートでは、銅や硝酸塩を含む微粒子などの大気汚染物質と、脳卒中、頭痛、認知症、パーキンソン病、ALSのリスク上昇および重症化とのあいだに関連性があることがわかった。
また、このレビューで分析された複数の研究では、洪水の増加が、幅広い感染症と関連づけられている。例としては、蚊が媒介するウエストナイル熱、髄膜炎菌感染症、脳炎などが挙げられる。ただし、土地の利用や人口密度といった「気温のみにとどまらない地域的要因」も、疾患の広がりに寄与している可能性があるとも述べられている。
さらに悪いことに、気候変動により激甚化する自然災害が、治療を中断させるおそれもある。研究者らによれば、「環境が不安定になるなかで」、神経疾患の「治療計画に関して、ニーズが十分に満たされていない状況がある」という。
科学者らは以前から、気候変動が、干ばつや森林火災の悪化、海面上昇、熱波、暴風雨の大型化の原因になっていると指摘してきた。だが、気温上昇が健康におよぼす影響については、まだ幅広い分析がおこなわれていない。
今回のリポートの著者に名を連ねるクリーブランド・クリニックの神経学者アンドリュー・ダーワン(Andrew Dhawan)によれば、食料と水の供給不安が、神経疾患におよぼす影響を分析した研究は見つからなかったという。ただし、食料と水の不足は、「脳神経の健康や気候変動と、明らかに結びついている」という。
近年の研究では、気候変動が将来的なパンデミックを誘発し、感染症を悪化させる可能性があることもわかっている。世界保健機関(WHO)が最近発表した報告書によれば、気候変動は、「人類の直面する唯一にして最大の健康上の脅威」を引き起こすおそれがあるという。
この報告書では、現在までに大きく改善されてきた世界の人々の健康が、近年の気温上昇、食料不足、疾患リスクの上昇、熱波や暴風雨などの危険な気象によって、50年間分の後戻りをする可能性があるとされている。さらにその影響は、不利な立場にいる人たちに偏るとも予測されている。
また、感染症の広がりと気候変動の関連性も、分析によって明らかになっている。これは、地球温暖化に伴って病原体が人間に近づく一方で、干ばつと洪水によって人間が病原体に近づくためだ。こちらは、7月に学術雑誌「Nature Climate Change」に掲載されたレビューで報告されている。
10月の国連報告書によれば、今世紀末までに、地球の気温は摂氏2.9度上昇すると予測されている。また、温室効果ガス排出量は、「2100年までの気温上昇を摂氏1.5度に抑える」というパリ協定の目標の達成に必要な数値を大きく上回るペースで増え続けているという。
(forbes.com 原文)
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