🌌56}─1─エコテロリストが示す「環境社会主義」の終わり。~No.270No.271No.272No.273 

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 自然保護派エコテロリスト=左派活動家=マイノリティ・ファシズム=反宗教無神論者。
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 自然保護派エコテロリスト(反天皇反民族反日的日本人)によって、数万年前の旧石器時代縄文時代からの日本文明や数千年前の弥生時代古墳時代からの日本文化が破壊されていく。
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 2022年11月11日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「エコテロリストが示す「環境社会主義」の終わり
 英国・ロンドンで抗議デモを行い道路を塞ぐ環境活動家たち(2022年10月30日、写真:ロイター/アフロ)
 (池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
 11月6日からエジプトの保養地シャルム・エル・シェイクで、国連のCOP27(気候変動枠組条約締約国会議)が始まった。昨年(2021年)のCOP26は「石炭火力の禁止」をめぐる論争で盛り上がったが、今年はほとんど話題にもならない。
 その代わり話題になったのが、「エコテロリスト」の破壊活動である。これまでは街頭で死んだふりをする程度だったが、今年は道路を閉鎖したり、ゴッホの絵にスープをかけたりしてニュースになった。これは典型的な左翼運動の末期症状である。
■ 看板をかけかえて生き延びてきた社会主義
 これについてマルクス経済学者の斎藤幸平氏は「ゴッホの絵を汚した行動を理解しろ」と書いて批判を浴びた。
 彼は「(エコテロリストは)すでにデモも、署名も、政治家への嘆願も、何年間も地道に行ってきた」が、世間が無関心だからテロに及んだのだという。そんな論理が通るなら、統一教会について嘆願を地道に行っても聞いてもらえなかったら、元首相を殺害してもいいということになる。
 日本でもかつて極左が破壊活動を行い、多くの死傷者を出した。そういう行動を支持する人は少ないため、彼らはますます少数派になり、注目を集めようとますます極端な暴力行為に発展する・・・という悪循環で、連合赤軍中核派革マル派のように自滅した。
 マルクスの時代から、左翼の運動は基本的に同じである。社会に不満をもつ大衆のルサンチマン(怨恨)を「反**」というイデオロギーで暴力集団に組織することだ。19世紀にはこの**の部分には資本主義が入ったが、社会主義革命は悲惨な結果を招き、20世紀後半の先進国では暴力革命はなくなった。
 日本でも1960年の安保闘争は、社会主義革命ではなく反米運動だった。1968年ごろの大学紛争は、ベトナム反戦運動だった。どちらも若者のルサンチマンに「反**」というスローガンをつけただけだった。
 しかし当時の日本経済は絶好調で、若者の就職も順調だったので、ルサンチマンもなくなった。このため彼らを組織するイデオロギーもなくなり、1970年代以降は、「反公害」や「反差別」などと看板を掛け替えて生き延びた。
■ 日本は社会主義者メルケルの罠にはめられた
 1990年ごろ冷戦が終了し、旧社会主義国から西側へ大量に左翼が流れ込んできた。その影響が顕著だったのが、ドイツである。同じドイツ人でありながら、所得が旧西ドイツの半分以下の二級市民になった旧東ドイツの国民は、ルサンチマンを抱え込んだ。
 彼らがそれを解決するイデオロギーとして見出したのが、環境問題だった。ドイツから始まって世界各地で結成された「緑の党」の当初の目的は反原発運動だったが、90年代に地球温暖化という新しい標的を見つけた。
 当初それはイデオロギーを超えた人類の危機だと思われた。アメリカではゴア副大統領(当時)が「温暖化を放置すると海水面が20フィート(6メートル)上昇する」と主張し、1997年には京都議定書温室効果ガスの削減目標が決まった。
 このとき隠れた主役を演じたのが、ドイツのメルケル環境相(当時)である。彼女は京都議定書温室効果ガス削減枠をヨーロッパ8パーセント、アメリカ7パーセント、日本6パーセントと決める割り当てを主導した。これは日本に有利な削減枠と見え、議長国の日本はこれを歓迎し、京都議定書は国会で全会一致で承認された。
 だがこれはメルケルの罠だった。よく考えるとおかしいのは、1997年に決まった削減枠の基準年が1990年だったことである。東ドイツ出身のメルケルは、東西ドイツの統一で大幅に二酸化炭素(CO2)が削減できることを知っていた。東ドイツの古い工場を最新の設備に更新するだけで、大気汚染は大幅に減る。事実1997年には、ドイツのCO2排出量はすでに8パーセント以上減っていた。
 アメリカは、ゴアが京都に来る前に「先進国だけが温室効果ガスの削減を負担する議定書は承認しない」と議会が全会一致で決めていたので、7パーセントの削減枠は無意味だった。ゴアは京都議定書に署名したが、議会は承認しなかった。
 日本はアメリカとドイツの罠にはめられ、削減枠を満たすためにロシアや中国から排出枠を買い、1兆円近い出費のほとんどは電力利用者が(気づかないで)負担した。
■ 費用対効果を無視する「気候正義」
 国連は地球温暖化の被害を検証するIPCC気候変動に関する政府間パネル)を結成し、2001年にはその第3次評価報告書が発表された。それによると2100年までに地球の平均気温は1.4~5.8℃上がり、海面は9~88センチメートル上がると予測された。
 これは予想より小さかったので、IPCCは何度も計算をやり直した結果、今年出た第6次評価報告書では、気温は約3℃上昇し、海面は約60センチ上昇するという予測が出た。ゴアの予測は1桁大きかったのだ。
 6メートル海面が上がるのは人類の脅威だが、60センチというのは毎年の防災予算で対応できる。地球温暖化は、先進国では大した問題ではないのだが、そのために必要なコストは、全世界で毎年4兆ドル(世界のGDPの5パーセント)というのがIEA(国際エネルギー機関)の評価である。費用対効果が、まったく見合わないのだ。
 これでは「環境危機」をあおってきた左翼は引っ込みがつかないので、気候正義という言葉を持ち出した。これは発展途上国の温暖化で先進国との格差が拡大するという理由で、費用対効果の問題を無視するものだ。
 発展途上国の問題を解決するのに必要なのは先進国の脱炭素化ではなく、途上国のインフラ整備などの適応を支援する資金援助である。COP27でも、途上国は開発援助の増額を求めているが、先進国はそれに応じない。脱炭素化は左翼的な正義感を満たすが、開発援助は外務省の予算配分の問題で、わかりにくいからだ。
 このように今や気候変動は社会主義的な「正義」の問題になっているので、これを経済問題として語ることは無意味である。それは豊かになって社会主義が魅力を失った先進国で、大衆の正義感にアピールする感情の問題なのだ。
 それが今年COPの失速した原因である。地球温暖化は豊かな国のお遊びなので、貧しくなると魅力を失う。今年ウクライナ戦争をきっかけとして、エネルギー価格が大幅に上がり、人々は正義よりパンを求める。
 マルクス以来150年、社会主義はいろいろ看板を掛け替えてきたが、その最新版だった「環境社会主義」も崩壊した。ゴッホの絵にスープを投げつけても、地球環境は変わらない。人々がテロリストを嫌悪するだけだ。それは今まで左翼がみんな迷い込んだ袋小路である。
 池田 信夫」
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