📉40】─1─大卒1年目の平均年収、アメリカ「632万円」、日本「262万円」の差。~No.85No.86 ⑧ 

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 世界で活躍するアメリカ人大学生と世界で活躍できない日本人学生。
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 2022年10月3日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「大卒1年目の平均年収「632万円」のアメリカ、「262万円」の日本…驚くべき差のワケ
 (※写真はイメージです/PIXTA
 早稲田大学名誉教授・浅川基男氏の著書『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』より一部を抜粋・再編集し、日本のものづくりのため「人材にどう向き合うべきか」見ていきます。
 危機的状況「日本のものづくり」を変える唯一の方法
 沖縄科学技術大学院大学(OIST)をご存じであろうか。
 2019年6月、OISTの実力を世界に知らしめた出来事があった。科学誌「ネイチャー」が「質の高い論文ランキング」を発表、OISTが世界9位に入ったのだ(同ランキングにおける東京大学の順位は40位)。
 OISTは沖縄県に本部を置く5年一貫制の博士課程を有する大学院大学である。今から約20年以上前に、科学技術政策・沖縄及び北方対策担当相を務めていた尾身幸次氏が沖縄振興に向けて世界トップクラスの科学技術拠点を沖縄に設けることを提案、故有馬朗人氏などの協力を得て設立した。
 予算のほぼ全額を政府からの補助金に拠って、神経科学・数学・計算科学・化学・分子・細胞・発生生物学・環境・生態学・物理学・海洋科学など、現在81の研究ユニットが発足している。半分以上を海外の有能人材を招聘、元マックス・プランク学術振興協会会長のピーター・グルース氏が学長である。
 この事例のように、日本の大学を今から改革している時間的余裕があるだろうか?
 今こそ、海外からの有能な人材により、日本を変えて行く以外に方法は無い。日本では、エンジニアに対して、自ら新しいものを作り出すことよりも「決められた通りに仕事をこなしてくれればいい」という意識が根強くある。
 一方、大田区にあるものづくりメーカーの社長さんは、異口同音に「アジア諸国の若い世代の多くはハングリー精神が旺盛で、日本人に比べ、必死さや貪欲さがある」と言う。
 欧米などの先進国出身の場合も、わざわざ日本で働くという選択肢を選んだからには、何らかの明確な意図・意識で業務に臨む姿勢を持っている。一般に外国人技術者は意欲的であり、仕事への理解が早く、すぐに戦力になるとの評判が高い。
 長年の内向きの日本人気質を、日本人同士で自ら変えるのは難しい。そこで、その起爆薬・呼び水として「自己主張」できる外国の優秀な若者を、厚遇を前提として積極的に日本に招き入れる。
 海外の優秀な若者と一緒になって、講義や質疑応答する経験が早道で一番効果がある。彼らを好待遇で招き、日本人の気質を変えるよう期待したい。
 2019年秋のラグビーワールドカップの日本代表は、31人中15人が外国出身であったことを思い起こしてほしい。
 大卒初任給、米国は年額「平均632万円」という事実
 さらに、新卒一括採用から通年採用への変換である。
 通年採用とは、企業が年間を通じて新卒・中途を問わず、自由なスケジュールで行う採用活動であり、その対極にあるのが、日本で主流の「新卒一括採用」である。企業が同じタイミングで横並びに新卒採用情報を解禁し、卒業した4月に一斉入社する方式である。横並び・協調性の権化とも言っていい。
 4月入学に加え、9月も含んだハイブリッドの入学も選択肢の一つである。
 日本では、芝居や演奏会で感動するほどでない演技演奏でも、必ず「みんな一緒」のアンコールの拍手をする。みんな一緒の感動などめったにはない。満足する演奏でなかったら、それなりの意思表示があっていい。
 そして最後の仕上げは、新年功序列からジョブ型への移行である。世界では、責任や役割で報酬を変える「ジョブ型」が一般的である。
 日本の初任給に相当する大卒入社1年目の基本給(年額)を各国で比較すると、米国が平均632万円、ドイツで534万円、日本の262万円を大きく上回っている。終身雇用が前提の日本はスタート地点の初任給が抑制されている。
 世界との競合にある今、給与システムの見直しは時間の問題である。SONYでもGAFAを意識して初新卒で200万円近い年収差になっている。
 東大卒業後は、霞が関の官庁や大企業に行くのが常識となっていたが、「優秀な個人ほど起業する」のが今の東大をはじめとした主要大学の常識になりつつある。
 優秀な人材にとって「出る杭」を活かし切れない旧来型の大組織は、魅力を失っている。自ら考え、起業し、真っ向勝負を挑んでいる若者らに、大いに期待したい。

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 浅川 基男
 1943年9月 東京生まれ
 1962年3月 都立小石川高校卒業
 1968年3月 早稲田大学理工学研究科機械工学専攻修了
 1968年4月 住友金属工業株式会社入社
 1980年5月 工学博士
 1981年5月 大河内記念技術賞
 1996年4月 早稲田大学理工学部機械工学科教授
 2000年4月 慶應義塾大学機械工学科非常勤講師
 2002年4月 米国リーハイ大学・独アーヘン工科大学訪問研究員
 2003年5月 日本塑性加工学会 フェロー
 2004年5月 日本機械学会 フェロー
 2014年3月 早稲田大学退職、名誉教授
 著書:基礎機械材料(コロナ社)ほか
 幻冬舎ゴールドライフオンライン」
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