🗡65〗─2─[ウクライナの教訓 侵略半年]<2>ドローン 戦場変えた。~No.207No.209 ⑰ 

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 近未来戦争とは、ドローン戦争、ロボット戦争、そしてAI戦争である。
 軍事技術開発反対派は、AI、ドローン、ロボット、その他の開発をも反対している。
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 2022年8月24日 MicrosoftNews 読売新聞「[ウクライナの教訓 侵略半年]<2>ドローン 戦場変えた
 © 読売新聞 (写真:読売新聞)
 ウクライナ軍が誇るエリート部隊、特殊空挺部隊に所属するミハイル・ダマスキンさん(25)は4月上旬、南部ヘルソン州の草原にある防風林に身を隠し、スマートフォンをじっと見つめていた。画面で確認するのは、100メートル上空を飛ぶ小型無人機(ドローン)が捉えたロシア軍の映像だ。
 歩兵戦闘車を多数備えた約800人の敵軍に対し、所属部隊は約100人。圧倒的不利の中、敵兵の細かい位置を無線で司令官に伝えた。部隊は敵に砲撃を加え、「数百人の犠牲」を出す奇襲に成功した。ダマスキンさん自身は背中に銃弾を浴び、重傷を負った。
 ダマスキンさんが操っていた30~40センチほどの大きさの市販ドローンは、約14万円で購入した私物だった。「露軍とは物量に差がある。だが、ドローンで敵軍の位置を把握できれば優位に立てる」と話す。
◇ロシアによるウクライナ侵略は「無人機の時代」の到来を印象づけた。
 ウクライナ軍は6000機以上のドローンを投入しているとされる。偵察の「目」として民生用の小型ドローンを使い、戦車や車両の破壊にはトルコ製攻撃型ドローン「TB2バイラクタル」や米国製の自爆型ドローン「スイッチブレード」を活用している。商用ドローンを改造し、小型爆弾で攻撃することもある。
 ドローン活躍の裏には技術の進歩がある。航続距離の延長や高速ネットワークとの接続で、革新的な戦闘方法が可能になった。
 5月、東部ルハンスク州のドネツ川を渡河しようとした露大隊戦術群をウクライナ軍が壊滅させたのはその一例だ。偵察ドローンが捉えた位置情報や映像は軍の自動射撃管制システム「Arta」に即時共有された。Artaは自軍の位置や攻撃可能な標的を1分程度で特定し、ウクライナ軍は砲弾の雨を浴びせた。攻撃に参加したミハイロ・バルバーリチさん(27)は「戦車など73両を破壊した」と振り返る。
 ウクライナは米スペースX社の衛星通信網「スターリンク」を活用し、ドローンをネットワーク化している。通常兵器とドローン、衛星技術の融合――。軍事専門家はウクライナの戦術をこう評価する。
◇ドローンは飛行速度が遅いが、小型のものは対空レーダーに映りにくく、撃墜は簡単ではない。だが、露軍が手をこまぬいているわけではない。最近は前線にドローン対策に有効な電子戦兵器を配備し、電波妨害(ジャミング)によりわずか数秒で無力化したり、偽の電波で乗っ取ったりすることもできるようになった。ウクライナのドローンが投入から撃墜されるまでの「寿命」は7日程度に短くなったとの報告もある。
 それでもウクライナ軍にとって、ドローンは「主力兵器」だ。全国10か所の訓練場では、入隊予定者らにドローン技術を伝授している。教官のアントン・フロロフさん(47)は、「戦争がドローンを必要としている。兵士や市民の命を守るために重要な装備だ」と話す。
無人機 自衛隊出遅れ…中国軍の「攻撃」対処困難
 7月25日午前、中国・上海市周辺から軍の偵察・攻撃型無人機「TB001」1機が飛び立った。沖縄本島宮古島間の空域を初めて単独飛行し、先島諸島南の太平洋上で旋回すると、台湾南部のバシー海峡を通って約12時間後に大陸に戻った。同じ頃、台湾周辺では、複数の中国海軍艦艇が海上自衛隊護衛艦ににらみを利かせていた。
 防衛省が約1年前に同型機の運用を初めて確認して以降、中国軍は無人機技術の向上を図り、日本周辺で訓練飛行を重ねてきた。台湾周辺で中国の大規模軍事演習が行われた8月4日も、同型機が別の無人機とともに、沖縄本島宮古島間を通過し、来たルートを往復してみせた。
 無人機は攻撃対象の艦艇を撮影して位置情報を送るほか、搭載ミサイルでの攻撃も可能だ。自衛隊幹部は「太平洋側からも台湾を無人機で攻撃できる能力を獲得しつつある」と分析する。
◇ロシア軍がウクライナ侵略で苦戦している要因の一つが、ウクライナ軍の無人機を多用した戦法だ。
 ウクライナ軍はトルコ製の攻撃型無人機「TB2」で、露軍の輸送車両や地対空ミサイルなどを撃破した。露軍は無人機への対応に手こずり、空軍と地上軍の連携不足なども指摘された。ウクライナ軍は小型の民間ドローンも偵察に投入し、効果を上げている。
 無人機の活用が勝敗を左右する戦いは、台湾有事でも想定される。中国はドローン製造世界最大手「DJI」を擁する。中国軍は相手が防ぎきれない大量の無人機による「飽和攻撃」を仕掛け、低高度の制空権を握る可能性が専門家の間で指摘されている。
 無人機10機の群れが互いに衝突せず、全地球測位システム(GPS)に頼らずに自然の竹林を進む――。中国・浙江大の研究チームが5月に発表した成果は、世界の科学者を驚かせた。
 特徴は搭載したセンサーで自律的に動くことだ。手のひらサイズの無人機はカメラからのデータを瞬時に処理し、地理空間を把握。互いに通信して情報を補完し合い、複雑な障害物を回避しながら飛行する。こうした技術は、飽和攻撃に転用される可能性がある。
 中国は、将来的に人工知能(AI)が自ら標的を選択して攻撃する自律型致死兵器システム(LAWS)の開発を進めているとされる。
自衛隊はこれまで無人機を戦略上重視してこなかった。このため、国内防衛産業も力を入れず、出遅れが顕著になっている。
 保有する無人機は、空自の米国製大型偵察機グローバルホーク」や陸自の米国製小型偵察機「スキャンイーグル」など、警戒監視や情報収集用にとどまる。防衛省は攻撃型の無人機を取得する方針で、今年度から保有に向けた検討を始めている。現在保有する災害用の民間ドローンも有事での活用を想定するが、戦闘レベルには達していないとの見方がある。
 TB2の地上通信アンテナを使った航続距離は約150キロ・メートルにとどまる。東シナ海や太平洋での戦いでは、少しでも航続距離の長い無人機の保有が不可欠だ。自衛隊海上や海中での戦闘も想定し、無人の艦艇や潜水機の導入に向けた研究開発に取り組む。無人の地上車両も導入を検討する。
 岩田清文・元陸上幕僚長は「あらゆる形態の無人アセット(装備品)をそろえ、長距離飛行が可能なドローンで旗艦をたたく作戦を考えるべきだ」と指摘する。
 日本は無人機に対する防御も弱い。自衛隊の防空システムでは、小型無人機はレーダーで捉えにくく、飽和攻撃への対処は困難だ。
 ウクライナでは、露軍とウクライナ軍双方の無人機が相手の電子戦兵器で無力化されるケースが多い。米国やイスラエルは、無人機に対処可能なレーザー兵器の開発を進めている。防衛省は、電子レンジで使われる「高出力マイクロ波」を使った照射装置の開発に力を入れ、無人機への対処を急いでいる。
◇中国の無人機の飛来に対し、航空自衛隊は有人の戦闘機2機で対領空侵犯措置を行っており、コスト面での負担も無視できない。
 慶応大の古谷知之教授らの試算では、無人機1機が1時間当たり7万円の運用コストに対し、緊急発進(スクランブル)して対応するF15戦闘機は2機で500万円に上る。中国軍の無人機に平時から消耗戦を仕掛けられると、運用の多大なコストを負担させられかねない状況だ。
 沖縄・南西諸島地域を担当する南西航空方面隊の谷嶋正仁司令官は「無人機は運用面、コスト面の双方で(状況を一変させる)ゲームチェンジャーになる」と中国軍の動きに警戒感を示す。
 無人機は本来、日本の技術力を生かせる分野だ。防衛省幹部は「技術を持った企業はある」と語る。攻撃型や小型の偵察用など様々な無人機を保有し、挽回することが急務と言える。」
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