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2022年7月7日号 週刊新潮「国産の薬が品切れになったワケ
評者 佐藤健太郎
病院で処方箋をもらい、薬局で薬を買おうとしたら、『品切れ』と言われて手に入らなかった、というケースが増えている。ふだんそれほど病院を利用しない筆者も、ここ1年で二度ほど経験した。医薬は健康や生命の維持に直結しているのだから、これは本来あってはならない事態であり、困っている方も多いと思う。
五味洋治『日本で治療薬が買えなくなる日』は、この医薬品不足の裏側に迫った一冊だ。原因となったのは、医療費抑制のために、ジェネリック医薬へのシフトが強引に進められたことにある。政府は、ジェネリック医薬の数量シェア8割を目標として掲げたものの、医薬品の製造工程には極めて厳しい規制が課せられており、そう簡単に増産というわけにはいかない。しかも薬価は容赦なく切り下げられ、各メーカーは苦しい経営環境に置かれることとなった。
こうした中で、製薬企業による大きな不祥事が続発した。中でも小林化工による睡眠薬混入事件では、服用した患者が運転中に意識を失い、死者まで出ている。事件後、製薬企業の業務停止や廃業が相次ぎ、医薬品不足という事態が起こってしまったのだ。
医療費抑制のために薬価を狙い撃ちするやり方は、ドラッグラグ(海外の医薬品の国内承認遅延)や、国内製薬企業の競争力低下など、医薬の流通不足以外にも多くの弊害をもたらしている。本書が、医薬品政策の行き過ぎを見直す契機になってほしいと願う」
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