🍘25〗ー1ー財政破綻と金融緊急措置令。現代の徳政令は新円切り替えで借金国債を帳消しに。~No.77No.78No.79 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 返済不能な過度の借金をすれば、夜逃げと共に借金を踏み倒すか、自己破産を宣言したブラックリストに名前を載せる。
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 2022年7月7日号 週刊新潮井の中の蛙 里見清一 
 財政破綻で何が起こる?
 沈鬱な社会になって
 私が医療費高騰に警鐘を鳴らし、日本の財政が破綻する、と喚(わめ)くと、周囲の同僚の多くは『大袈裟だ』と笑う。そもそもそんなの医者の考えることではない。それに『国の借金』である国債などの残高が急上昇し1,200兆円を突破したと言っても、最後は日銀が引き受けてくれる。第一『日本の国債は、海外への借金ではなく、日本国民が買っている借金ではなく、日本国民が買っている内国債で、いわば日本国民の借金なのだから、憂慮するには及ばない』のだと。ただ第二次世界大戦前、米英との戦争をする資金調達のために国債を盛んに増発した時にも、同じことが言われていたらしい。
 だが、日本で国債を買い支えて来たのは2,000兆円に上るという個人金融資産、多くは『高齢者の貯金』だが、その担い手である高齢者はこれからお金を稼ぐことなく、大挙して使う側に回る。俗にいう『座して食らえば山も空し』で、早晩この資産も底をつく。一方で少子高齢化と人口減少で『稼ぎ手』はどんどん減る。技術革新とかイノベーションでの成長をなんどと叫ばれるが、それをアテにするのは、私には『神風』を祈るのと大して変わらないように思える。
 最終的な頼みの綱は日銀で、要するにじゃんじゃんお札を刷って借金返済に回すというのだが、国内ではそれで住むにしても、資源のない日本は、食料やエネルギーも、他の国に依存する。それらを買うのに、『お札を刷って借金を返す』ことを基本方針とするような国の通貨を、いつまで信用してもらえるのか。
 そして我が国は、ギリシャやアルゼンチンのごとく、債務不履行(デフォルト)によって借金を踏み倒してしまうことはできない。国債保有のほとんどが『国内債』で、国内の金融機関や投資家が持っているから、それが踏み倒されると、『資産』が蒸発した年寄りが路頭に迷い、また国内の銀行は一気にバランスシートを毀損して破綻する。つまり、『国債は国民への借金で、国民の資産なのだ』という『内国債』の安心感が完全に裏目に出て、財政危機が社会不安定と金融危機に直結する。
 そうなると破綻時の手段としては、ハイパーインフレでチャラにするのでなければ、激烈な『痛み』を伴う財政再建しかない。大増税も不可避だろう。『金持ちから取れ』なんて言っても、そうなったら金持ちは海外に逃げるだろうから、逃げ道のない貧乏人からも取れるだけ取るしかない。公務員を削れだの賃金カットをせよだの主張されても、国家公務員の人件費は年5兆円、財政赤字は年30兆円だから全然足りない。第一、警察や消防の機能を『カット』したらどうなるのか。救急車の有料化は当然として、警察機能も弱体化し、治安は悪化する。刑務所の維持も難しくなり、コソ泥程度ならわずかな科料で釈放、となるかも知れない。
 海外の事情に詳しい何人かの知人に聞いてみると、『財政破綻の影響』とは、みんなが
パニックになるとか暴動が起こるような話ではなく、一見すると(拍子抜けするくらい)変わらない、というものらしい。ただし、いろんな面で慢性的にダメージが積み重なり、全体的な活気も失われていく、という沈鬱な社会になってしまうようだ。
 もちろん医療だって大きく影響を受けてる。皆保険制度が完全に崩壊しなくても、高額医療費制度が廃止されて『3割負担』の原則に戻るだけ、例えば現在の癌治療薬の多くは一般国民にとって高嶺の花になる。高いコストがかかる医療はそれだけではない。1991年のソ連崩壊の時は透析医療がストップし、2カ月で人工透析患者のほとんどが死亡したそうだ。
 削れるならあっちが先
 そういう時代に、最も危惧されることは何か。『破綻』が起こり、このような惨状になったとしたら、『誰が悪いのだ』という犯人探しが始まる。これはつまり、『俺は悪くないのだ。俺は被害者なのだ』と言いたいがためだろう。私は常々、医療費高騰は医学の進歩と人口の老齢化のためで、誰のせいでもないし、誰にも止められないと主張しているが、それでは納得しない人も多かろう。自分たちは真面目に働き、税金も保険料も納めてきたのに、どうしてこうなった。
 真っ先に槍玉に上がるのは『政府』で、確かに無策だったのかも知れないが、痛みを伴う財政再建を忌避してそういう政権を選んできたのは我々である。いつも『総論賛成、各論反対』で、『俺たちよりあいつらの方が無駄使いをしているから、削るならあっちが先だろう』みたいな話が出て、それが罷り通ってきた。政治家たちは、その我々の、易きに流れる意向を『忖度』したにすぎない。また、少子化などは先進国に多少とも共通の問題であり、社会を構成する人々の意識の変化に追うところが大きく、いわば『みんなのせい』だろう。
 そんな風に戦後の『一億総懺悔』みたいになれば、その妥当性はともかく穏便に済むが、SNSなどで他人を攻撃する癖がついてしまった令和の日本人は、それでは収まらない可能性が高い。不吉な予想で恐縮だが、その時に標的になるのは弱者、特に生活保護の人たちだろう。あいつらは働きもしないくせに国から金をもらっい、しかもどんな高額医療もタダで受けてやがる。あいつらの無駄使いのせいでこうなったのっだ。そういう声が、必ず起こる。というか、今でもそういう主張はそこら中にある。
 考えてみれば、高額医療費制度のおかげで、普通の人も、高額医療を受ける際は、費用の95%以上を免除してもらっているのだかっら、『100%免除』の生活保護の人たちと、その意味で大差はない。現在生活保護を受けていても、かつてはちゃんと税金や保険料を納めていた人も多いはずである。だが現在の風潮を考えると、『誰かのせいにしたい』人々の攻撃性がそういうところに向かい、かなりの『支持』を受けてしまう危険性は高いと言わざるを得ない。
 私はそういう事態になって、大震災でもパンデミックでも保たれた日本人の人間性が失われてしまうのを、何よりも恐れる。『貧すれば鈍する』との言葉通りに精神の崩壊が起こり、取り返しがつかない、真の崩壊を招くことを深く懸念する。そういうことがないよう、せめて我々は、破綻に備えて『覚悟』を決めておき、人間性を失わないように心がけておくべきだと、私は思う。」
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 百科事典マイペディア
 金融緊急措置令【きんゆうきんきゅうそちれい】
 1946年2月17日,戦後インフレ阻止の経済危機緊急対策として公布されたモラトリアム立法。預金その他の金融機関の債務を一切封鎖し,その支払いを原則として禁止。政府は同時に日銀券預入令も公布して,新円を発行,通貨安定を策し,これらによって当時600億円にものぼった日銀券発行高は急速に縮小し,インフレ進行は一時的に小康を保った。
→関連項目融資準則
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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 日本銀行
 「新円切り替え」とは何ですか?
 教えて!にちぎん
 回答
 第二次大戦直後のインフレ進行を阻止するために、政府は1946年(昭和21年)2月、金融緊急措置令および日本銀行券預入令を公布し、5円以上の日本銀行券を預金、あるいは貯金、金銭信託として強制的に金融機関に預入させ、「既存の預金とともに封鎖のうえ、生活費や事業費などに限って新銀行券による払出しを認める」という非常措置を実施しました。これが、いわゆる「新円切り替え」と呼ばれているものです。
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 アジア歴史ランニング
 1946年2月17日
 金融緊急措置令 きんゆうきんきゅうそちれい
 解説
 敗戦処理の通貨増発で生じたインフレーション阻止のため、通貨量縮減を図った緊急措置法。
 1946年2月17日に公布、施行された。
 同時に日本銀行券預入令が公布され、幣原内閣は流通している日本銀行券を金融機関に預け入れさせ、預貯金を封鎖、旧円の効力を停止させた。
 新円を発行し、引き出しも制限することで貸幣流通量を減らそうと試みた。
 しかし、戦時補償打ち切りの不徹底、終戦処理費の拡大など赤字財政支出が多く、財政赤字は拡大。
 その後3回にわたって預貯金引き出しの制限強化が行われたにもかかわらず、約半年間、一時的にインフレを弱めるに留まった。
 1948年7月に封鎖解除、1963年7月に廃止された。
 関連語
GHQ
 二次利用
・この資料の原本は、国立公文書館が所蔵しています。
・画像の二次利用については、特段申請の必要はありません。
・引用注記例:JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A04017803600、御署名原本・昭和二十一年・勅令第八三号・金融緊急措置令(国立公文書館
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 日本の国としての信用とは何か、マッカーサー憲法か、国家か、国土か、国民か、あるいは天皇か。
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 急増する財政赤字の原因は、税収が減る少子高齢化による人口激減と国際市場で稼ぐ競争力をなくした経済の衰退である。
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 少子高齢化による人口激減で一番の深刻な問題は、次世代を背負って立つ若者の減少と、その若者の多くが貧しいという事である。
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 敗戦の焦土から復興経済、高度経済成長、安定経済、バブル経済を成し遂げた豊かな日本を築いた原動力は、明治時代から続いてきた若者が多く老人が少ない人口爆発であった。
 人口爆発は、人生50年時代で起き、若い、情熱に燃えた生産者と強欲に走る消費者が急増し、夢と希望を抱き国・社会・経済を先に進めようとした、より豊で便利を求めた中流階級を生み出したからである。
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 稼ぐ力=経済成長を失って借金が増えている以上、幾ら紙幣を刷ってばら撒こうとも根本的原因が改善されない限り、一時、金が国内に増えて国民が潤っても借金は減る事なくむしろ増えるばかりである。
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 戦後の赤字国債財政破綻を生み出し始めた源流は、昭和42(1967)年~昭和54(1979)年の美濃部亮吉が始めた福祉政策による革新都政であった。
 一人が皆の為に、皆が一人の為にという、差別のない完全な平等社会。
 そして、保守の自民党政権は革新的福祉政策を部分調整して国政として推進したが、国内外の情勢で適応できなく点が出てきても改悪だと激怒する国民を恐れて途中調整を行わずに放置してきた。
 大幅な調整をせず微調整で誤魔化す事ができたのは人口爆発と好景気の若年国家日本のお陰であったが、経済衰退と人口激減が襲う高齢国家日本では八方塞がり状態で打開の糸口が見つからない。
 自己責任と公助・共助・自助で、差別のある不完全な不平等社会。
 若年層は、やり直す時間的余裕がある為に、将来の為、子供の為と言われれば、一時の我慢・辛抱を受け入れた。
 が、老年層はやり直しをする自信がない為に現状を変える事に猛反対する。
 一度豊かになり楽を覚えてしまうと、二度と昔のような貧しく苦しい生活に戻る事を嫌
 同じ人間と言っても、若年層と老年層の違いはここにある。
 乱暴な言い方をすれば、日本人が動物公園の動物のように餌付けされ野生を失ったのは、1960年代から1970年代にかけての革新的福祉政策が原因であった。
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 金の小判を国内で使えば使うほど、小判は摩耗して金は目減りする。
 金を海外から輸入して小判を鋳造しないと、同じ大きさで同じ含有量にはならい。
 摩耗した古い小判を集めて鋳造しても、形は小さく、流通量も減る。
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 赤字国債は、購入している国民や機関投資家に対する国の借金である。
 つまり、赤字国債とは債務者である政府が債権者である国民や機関投資家から借り入れている、国家が信用を捨てて踏み倒し夜逃げができない借金=隠れた公金である。
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 歴史的事実として、崩壊滅亡した国が自国の信用で印刷して発行した紙幣は、国がなくなると唯の紙屑として捨てられた。
 つまり、通貨の信用は民間の中央銀行ではなく国家である。
 紙幣を印刷して発行するのは中央銀行で、銀行券といわれる。
 硬貨を鋳造して発行するのは国家である。
 銀行券が正式通貨として使えるのは、国が溜め込んだ大量の金塊・金貨、銀塊・銀貨である。
 国家の信用を基にした管理通貨制度で、民間の中央銀行が発行する銀行券が国家の通貨として認定され、国内外の金融市場で正式な兌換券として取引された。
 国の紙幣には、兌換紙幣と不換紙幣があった。
 国力とは、国が所有する金塊・金貨、銀塊・銀貨の量であり、所有量を増やす手段としての経済力と軍事力を持っている事である。
 が、天然資源を豊富に持ち資源を売って欲しいだけの金塊・金貨、銀塊・銀貨を手に入れる資源輸出国は、普通の国家にはなりづらかった。
 カンボジアポル・ポト政権が発行した紙幣は紙屑となった。
 ロシアの中央銀行が発行しているルーブル紙幣は、帝政ロシアソ連政権、新生ロシアと統治・体制・政権が変わっても存続している。
 ドイツのマルク貨も、帝政ドイツ、ワイマール共和国、ナチス・ドイツ、西ドイツ、統一ドイツと変わっても使用されている。
 もっとも使用通貨を変えてきた国は、日本と中国である。
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 戦前の日本は、戦争に勝つという国家目的で赤字国債を増発していた。
 現代の日本は、財政破綻を食い止めるという目的で、増収して赤字を解消するという出口戦略もなく赤字国債を出し続けている。
 「今」という国家目標において、戦前の場合は「戦争に勝つ」までと明確で強くそして戦争はどんな形でもいつかは終わりそれまでの辛抱であった。
 対して、現代では「ただなんとなく」とあやふやで弱く今の状態がいつ終わるのかも分からず先がまったく見通せない不安感がつきまとい、国の借金もダラダラと止めどもなく増えていくだろうという事は見えている。
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 赤字国債を購入している国民や機関投資家の少人数が国債を金に換えられても、大人数が一斉に換金する事は不可能であり、その意味で赤字国債はトランプのジョーカー的性質を持っている。
 約2,000兆円あるとわれる個人資産も、多くの預金者が一斉に引き出さなければ、という条件で強みがある。
 国家や銀行が信用をなくして見捨てられない限り、一斉の、大量の取り付け騒ぎが起きないという。
 が、現実においては安泰の根拠はあやふやで薄っぺらく基礎の脆い砂上の楼閣に過ぎない。
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 国家は財政破綻を回避する為に国家の為の徳政令をおこなうが、その犠牲者は国民である。
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 現代の徳政令では、高額の借金を抱えて苦しむ企業・商店や個人が金融機関に対して再建・債務の破棄を求める事であるが、国家財政においては赤字国債を購入している国民に対して求める事である。
 つまり、徳政とは借り手が貸し主に借金を帳消しにする仁政である。
 財政によおける赤字国債は、国民が受けている医療費などの社会福祉に大半が使われているからである。
 国家の国家の為の徳政令は、敗戦後の日本で、GHQの威を借りて紙幣切り替えとして行われた。
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