🍘23〗ー1ー日本襲う物流危機、3割運べず? 損失年10兆円。2024年問題。~No.71No.72No.73 

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 2022年5月22日 YAHOO!JAPANニュース JIJI.COM 時事通信「日本襲う物流危機、3割運べず? 損失年10兆円、カギ握るDX化【けいざい百景】
 コロナ禍で外出が制限される中、インターネット通販の利便性が再認識された。だが、それを支える物流網はドライバー不足や効率化の遅れによる深刻な輸送力低下に直面しており、2030年には営業用トラックなどで輸送している荷物の約36%が運べなくなるとの推計すら存在する。政府も、物流面の課題を解決できなければ同年に最大で10兆円を超える経済損失が発生しかねないと危機感を募らせている。日本に迫る物流危機、克服の鍵を握るのは物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。(時事通信経済部 岩嶋紀明)
 【写真】自動配送ロボット
 ◇深刻なドライバー不足
 日本の国内貨物輸送量(重量ベース)の約9割は、営業用と自家用のトラックなど貨物自動車で運ばれており、まさに物流の屋台骨だ。
 一方でトラックドライバーは、少子高齢化が進んでいることに加え、他業種と比較して1~2割低い賃金水準、約2割長い労働時間が敬遠されて、不足が深刻化している。道路貨物運送業の従事者は、1995年の約98万人から2020年に約66万人にまで減少。貨物自動車のドライバーの有効求人倍率は20年度が1.94倍で、全産業平均の1.01倍と比べても人手不足が特に深刻だ。日本ロジスティクスシステム協会の将来推計では、このままのペースで減少が続けば30年には約51万人にまで減少する可能性がある。
 同協会はこれにより、15年に年間29.2億トンだったトラックなど営業用貨物自動車の輸送能力は30年に20.3億トンにまで減少すると予想。一方、ネット通販の普及などで小口配送を中心に物流需要は今後も増える見通しで、同年には年間31.7億トンの需要があると推計する。11.4億トンの需給ギャップがあり、需要全体に対し約36%が運べなくなってしまう計算だ。
 物流需給の逼迫(ひっぱく)が発生すれば、荷主はより高い料金を払って運び手を奪い合う形になり、コストは上昇する。消費者にとっては食料品の値上げなどに拍車がかかるほか、企業にとっては材料が届かないために製品が作れないという状態になりかねない。経済産業省は問題を放置した場合、30年時点で国内総生産GDP)を最大10.2兆円押し下げかねないと推計している。
 ◇物流の「2024年問題」
 物流危機をめぐり、政府や関係者が恐れるのが「2024年問題」だ。
 18年に成立した働き方改革関連法により、24年4月からドライバーの時間外労働に年間960時間(月80時間)の上限規制が適用される。ドライバーの過重労働は職場環境を悪化させ、さらなる人手不足や事故の誘因となるため、必要な規制だが、ただでさえ働き手不足の物流業界にとっては痛手となる。
 経産省のある幹部は、この年を境に需給バランスが崩れ、大幅な物流コストの上昇が発生しかねないと危惧。「日本経済の大きな成長制約要因になる。もう尻に火がついている状態だ」と話す。
 迫る物流危機をどう克服するか。少子化の中で働き手の急増が見込めない以上、鍵を握るのはDXによる物流の効率化だ。コロナ禍で日本のデジタル化の遅れが強烈に意識されたが、物流業界は特に深刻だという。
 ある物流業界の関係者は「運送事業者ではいまだに電話とファクスが主力。平成どころか昭和時代の職場のままだ」と嘆息する。
 企業が商品を受発注する作業や倉庫管理などデジタル化が進んでいる分野もあるが、実際に荷物をトラックで運ぶ段階では担当者が紙の配送指示書でやりとりし、いつトラックが到着するか電話で連絡を入れ、倉庫や店舗に向かう。荷さばき場がいっぱいで、ドライバーが何時間も待たされることもしばしばだ。
 デジタル化が進まない背景には、国内約6万社の運送事業者のほとんどが中小企業であることが挙げられる。荷主側企業に対して価格交渉ができず、自前でデジタル化に向けた投資を行うことも難しい。
 ◇DXで走行距離18%削減
 15年創業のHacobu(ハコブ、東京)は、デジタル技術やデータを活用し物流を最適化するサービスを提供している。トラックの位置情報や走行履歴をリアルタイムで記録・分析し、日報の自動作成や配送ルートの最適化を行ったり、倉庫での入出荷作業を改善し待機時間を減らしたりする機能がある。
 豊田通商は20年からハコブのサービスを導入し、グループ企業や調達先、製品の納入先の間での物流管理を行っている。入出庫管理では、物流子会社のトラックの待機時間が平均1時間から18分に短縮。今年3月に愛知県などで行った実験では、実際に顧客先へ走行しているトラックの移動経路のデータを分析、ルートを最適化することで車両の合計走行距離を約18%削減できるとの結果が出た。
 豊田通商の担当者は「物流に関してはグループ内でもバラバラになっていて、データの活用も限られてきた。自社を含めた全体最適化を進められている」と手応えを感じている。
 ハコブの坂田優最高執行責任者は「物流のデジタル化は絶対に必要」と力説する。最適なルート分析や自動運転による配送など、未来の物流を実現するためにはデータが不可欠。しかし、アナログな現状ではそもそもデータが存在しない。「その世界に行き着くための土台を用意するのがわれわれの使命だ」と語る。
 ◇「ネット回線」のような物流
 政府も物流の抜本改善に向け動く。経産省国土交通省が設置した研究会は3月、40年までの物流改革に向けた行程表で「フィジカルインターネット」と呼ばれる概念の実現を目指すと表明した。
 倉庫やトラックといった物流資源を、ネット回線などの設備を利用者全体で共有する「インターネット」のような仕組みにすることで、最高効率の物流を実現する考え方だ。今後、物流データやパレットなど物流資材の標準化、システム導入の推進などを進め、段階的に実現を目指す。
 ただ、物流DXもあくまで課題解決に向けた手段のひとつ。今回取材した物流業界の関係者や省庁担当者が口をそろえて強調したのが「荷主側企業の意識変革」だ。企業の競争力を左右する要因として物流のウエートが高まっていくことは避けられない状況で、協会の北條英理事は「各企業が物流を経営課題に位置づけることが重要だ」と話す。単にコスト面に着目するだけでなく、物流事業者と協力し、物流改善に向けて主体的に知恵を絞ることが荷主側にも求められている。」
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