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現代日本は、ウソでも良いから綺麗事しか信じないし受け付けない。
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2022年5月19日号 週刊新潮「スクリーン
映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』
監督/シャノン・サービス ジェフリー・ウォルドロン
主演/パティマ・タンプチャクル トゥン・リン
[アメリカ/90分]
評 グレゴリー・スター
幼い頃、18世紀の海賊の本を夢中になって読んだ。少年らが拉致されて海賊になったと知って震え上がったのを覚えている。同じような事態が現代でも起きていること、そして『海の奴隷』によって捕獲された魚を食べているかもしれないことを本作で知って衝撃を受けた。
このドキュメンタリーはタイで活動を行うパティマと彼女が率いる労働権利推進ネットワーク(LPN)が、漁業界の人身売買の犠牲者救済に奔走する姿を追う。近海での乱獲がたたり、また当局の目を逃れるためもあって、タイの漁船は遠洋まで出る。漁業界は慢性的な人手不足で人身売買ネットワークが暗躍し、貧しい労働者を拉致して船に乗せる。囚われた男たちは劣悪な環境で長時間労働を強いられる。
大半の漁船は荷揚げを海上で行い、入港することはほぼない。そのため乗組員に逃げるチャンスはなく、家族に連絡することさえできない。それでも逃走を試み、なかには逃げ延びたものもいる。
パティマらが、インドネシアの島まで逃げた元乗組員のインタビュー映像に再現ドラマが挿入され、悲劇とは裏腹に海の映像は美しい。働き手の出身国はタイにミャンマー、カンボジア、ラオスなどで、故郷に戻ることを諦め、地元女性と家庭を築いた人も少なくない。
パティマは数年前、ノーベル平和賞にノミネートされた(本作によると、パティマの組織は4,000人以上の男性を救出した)。力強い傑作だが、唯一残念まのは、どの企業が現代の奴隷制度で大きな収益を上げているのかがわからないことだ。これでは、購入拒否などでこうした企業に対して意思表示することもできない。本作が最初に公開されたのは2018年。以来、何かかわったのだろうか。」
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