⚡27】─1─ミドリムシが食品やジェット機の燃料に?〜No.121No.122 

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 日本大百科全書(ニッポニカ)「ミドリムシ」の解説
 ミドリムシ
 みどりむし / 緑虫
 [学] Euglena
 ミドリムシ植物の1属の総称。ユーグレナともいう。体内に葉緑体をもち、光合成を行うという点からは植物といえるが、体を包む細胞壁がなく、鞭毛(べんもう)で遊泳するという点では動物ともいえる。このため、現在でも植物として扱われたり、原生動物鞭毛虫類の一員として扱われたりしている。なお、ミドリムシはタンパク質性の外皮をもつが、これは細胞膜の内側にあるため細胞壁とはいいがたい。体は単細胞で、多くは細長い紡錘形である。体の先端に貯胞とよばれる大きな穴があり、その底から長くて太い1本の鞭毛が出ているが、電子顕微鏡による観察では、さらにもう1本の短い鞭毛のあることが確かめられている。貯胞は収縮胞からの排水場で、物を食べる口ではない。また、ミドリムシは鞭毛や収縮胞以外に、眼点、葉緑体、核などの細胞器官と貯蔵物質のパラミロンをもっている。
 世界で約150種ほどが知られているが、分類は、おもに葉緑体やパラミロンの形を基準にして行われている。体も大形なため、一見、分類は容易のように思えるが、体が伸縮するほか、葉緑体の形も見分けにくいため、日本で生育する種類もまだよく調べられていないのが実情である。湖沼、池、水たまりなどの淡水域に広く分布するが、多くの種は、清水よりも有機物を含む汚れた水に生育する。とくに夏季に大発生したとき、いわゆる「水の華(はな)」といわれる状態となる。種類によっては培養しやすいため、研究用、教材として多用されてきた。とりわけ、鞭毛運動の観察、走光性の実験などではなじみの深い生物である。なお、ミドリムシの走光性とは、眼点で光を感じ取り、光のくる方向に泳ぐ性質のことである。
 [小林 弘]
 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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 2015年12月23日 YAHOO!JAPANニュース「ミドリムシが食品やジェット機の燃料に? バイオベンチャーが見据える未来
 理科の授業で、水の中の微生物「ミドリムシ」を顕微鏡で観察した経験のある人もいるだろう。バイオベンチャーの「ユーグレナ」は、このミドリムシを使った機能性食品を製造・販売する会社として急成長を遂げている。しかも、ミドリムシは食品だけではなく、ジェット機の燃料にもなるのだという。同社の出雲充社長に、事業の可能性について話を聞いた。
 ミドリムシはどんな味?
 ミドリムシをベースにした健康飲料「ユーグレナ・ファームの緑汁」
 「皆さんに、美味しくいただけるものになっております」と出雲充社長が差し出してくれた目の前のグラスに入っているのは、ミドリムシをベースにした健康飲料「ユーグレナ・ファームの緑汁」。緑汁というだけあって濃い緑色をしている。口に含むと、抹茶のような味わいが感じられた。
 ミドリムシは、体長約0.05mmほどの微生物で、「虫」ではなく、ワカメや昆布と同じ藻の一種。植物と動物の両方の特徴を持っており、光合成を行えるとともに、伸び縮みして動くこともできる。ビタミン類14種類、ミネラル9種類、アミノ酸18種類(必須アミノ酸全9種類を含む)、不飽和脂肪酸11種類など計59種類の栄養素を持っているほか、光合成により光と水、二酸化炭素から有機化合物や酸素を作る生産効率も高いという。
 栄養失調に苦しむ子どもたちを救う
 1998年、バングラデシュを訪れた出雲社長
 「ユーグレナ」は2005年8月に設立。社名の「ユーグレナ」は、ミドリムシの学名だ。東京大学の1年生だった1998年、バングラデシュを訪れた出雲社長は、現地の食糧事情を目の当たりにした。現地では食料こそ足りていたものの、肝心の栄養が偏っていた。「彼らが食べるカレーを見ると、野菜がほとんど入っていなかった。栄養失調で困っていたのです」。この体験が会社設立の原動力となった。
 乾燥して粉末化されたユーグレナ
 設立から10年。2006年1月からの2年間は受注がゼロで、倒産を考えるところまで追い詰められたこともあったが、近年は業績を順調に拡大。昨年から今年にかけて一気にブレークした。2015年9月期の決算では売上高が前年比約2倍増、このうちミドリムシを使った機能性食品(直販)の売上高は同3倍増となった。
 2014年4月からは、バングラデシュを含めた世界中の栄養失調に苦しむ子どもたちにユーグレナクッキーを配布する「ユーグレナGENKIプログラム」を開始。プログラム対象製品の売り上げの一部を用いて、現地のNGOが運営する小学校の給食としてユーグレナクッキーを配布するもので、同年4月からの1年間で、毎日2000人の児童に約50万食を配布した。
 燃料は2020年までの実用化を目指す
 ミドリムシ
 ミドリムシを食品にする場合、収穫したものを乾燥・粉末化して製品に加工するが、ミドリムシの可能性は、食品分野にとどまらない。ミドリムシの燃料への応用にも力を入れる。燃料にする場合は、収穫後に油を抽出、精製する。ジェット燃料には軽油のような軽質な燃料が求められるが、すでに、ミドリムシの中でも軽質な油の製造に適した種類を見つけ出している。
 今年12月1日には、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化計画を発表した。横浜市千代田化工建設伊藤忠エネクスいすゞ自動車全日本空輸も名を連ねるこの計画では、2018年前半に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントの稼働を開始することや、2020年までの実用化を目指すことが盛り込まれている。ユーグレナは、ミドリムシの生産をはじめ、プラント建設地の確保、設備投資、運営およびバイオ燃料の製造を担う。
 世界中の人たちが欲しがるミドリムシ
 「2020年には、ミドリムシで飛行機が飛んでいる」と話すユーグレナの出雲社長
 栄養失調に悩まされている人々がミドリムシを食べれば栄養バランスが改善するかもしれない。ミドリムシのジェット燃料が実用化され、採用が広がれば、化石燃料の使用量を減らすことにつながるかもしれない。
 2020年には、東京オリンピックパラリンピックが開催される。出雲社長は「世界各国から数多くの観客が、ミドリムシから製造した燃料を使ったジェット機でやってくるでしょう。ミドリムシで飛行機が飛ぶ、バスが走る。さまざまな健康食品が売られている。世界中の人が見に来て、我が国にも欲しいなと思うはずです」と未来を見据えた。
 (取材・文:具志堅浩二)
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