🐡7〗─1─超巨大噴火で1億2千万人が餓死と専門家試算。〜No.30No.31No.31 

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 2022年年1月10日 MicrosoftNews AERA dot.「首都直下型地震より危険値が倍以上高い「超巨大噴火」「1億2千万人が餓死」と専門家試算
 © AERA dot. 提供 超巨大噴火を起こしたことのある薩摩硫黄島(鹿児島県)
 日本には100を超える活火山がある。大なり小なり噴火のリスクを抱えているが、意外と知られていないのが超巨大噴火と呼ばれる破局的な噴火をする可能性だ。首都直下型地震よりも対策が迫られている災害だという見方もある。専門家からは「日本の1億2千万人が死ぬリスクがある」という指摘も出ている。
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 火山の歴史を1万年より前までさかのぼって調べると、恐ろしい未来が見えてきた。
 「地球では(噴火の規模を表す噴火マグニチュード(噴火M)が7以上の)破局噴火を時々引き起こしてきた。日本ではこのような噴火が発生する時期も近いと考えられます」
 こう語るのは日本地震予知学会会長で、東海大海洋研究所地震予知・火山津波研究部門の長尾年恭客員教授だ。
 AERAdot.では、まず過去1万年以内の噴火の規模を調べた。産総研の「1万年噴火イベントデータ集」で調べると、噴火Mが1707年の富士山大噴火(噴火M5・26)より大きい噴火を起こした火山は、16あった。学術的に噴火M6以上は「巨大噴火」、噴火M6未満4以上は「大規模噴火」に分類されるが、富士山以外で巨大噴火した火山は3つ、大規模噴火は13もあった。
 これで驚いてはいけない、過去12万年前までさかのぼれば、噴火M7以上「超巨大噴火」と分類される噴火リスクもあるのだ。超巨大噴火は破局噴火とも言われ、ひとたびこの噴火が起きれば、広範囲に甚大な被害を引き起こすと言われる。
 一番最近に大規模噴火したのは、7300年前に起きた薩摩硫黄島での噴火だ。鬼界アカホヤ噴火とも呼ばれる。産総研のデータでは噴火Mは6・8となっているが、噴火M8・1で超巨大噴火だったという見方もある。その当時の被害を見ると、すさまじいものがある。
 薩摩硫黄島は鹿児島県沖南方50キロにある。超巨大噴火によってここに直径約20キロにもわたる「鬼界カルデラ」と呼ばれるカルデラを作られた。火砕流は海を渡り、薩摩半島大隅半島にまで達し、南九州の広い範囲を焼き尽くしたという。降灰は東北地方にまで及び関東でも約10センチも積もったとされる。この噴火で南九州縄文人は絶滅し、南九州は1千年近く人が住めない不毛の地となったと見られている。
 長尾客員教授はこういう。
 「巨大地震に注目が集まりますが、自然災害においては、恐竜が絶滅した白亜紀後期の小惑星の衝突といった出来事を除けば、火山噴火が桁違いに大きな被害をもたらします。アメリカのイエローストーン国立公園で超巨大噴火の可能性が指摘されており、破局噴火を起こしたら、北米だけでも2億人が亡くなるとされています。歴史的事実として、破局噴火は日本では1万年に一度程度の割合で発生しています」
 『火山大国日本 この国は生き残れるか―必ず起きる富士山噴火と超巨大噴火』の著書がある神戸大の巽好幸名誉教授(マグマ学)は「超巨大噴火は、日本列島で過去に何度も起きてきた」と語る。地質の記録がしっかりしている過去12万年で見ると、これまでに7つの火山で11回も超巨大噴火が起きている。いずれも巨大なカルデラをつくった噴火だ。
 超巨大噴火は北海道で5回、九州で6回起きているという。巽氏は、この二つの地域は地殻の変形速度が遅いため、マグマが上昇しやすく、巨大なマグマだまりをつくる結果、超巨大噴火を引き起こしているとしたうえで、こう指摘する。
 「超巨大噴火が起きるとしたら、北海道か九州で起きる可能性が高いと言える。北海道で起これば北海道は壊滅、九州で起こった場合は、火山灰が偏西風に乗り、被害を全国に拡大させる恐れがあります」
 いったいどのくらいの被害をもたらすのか。ここでは巽氏が試算したシミュレーションを紹介しよう。
 2万8千年前に起こった姶良・丹沢噴火(噴火M8・3)と同じ規模の噴火が、人口が多い中部九州で起きた場合どうなるか。まず、火砕流が周囲100キロを覆い尽くす。 数百度とも言われる高温の火砕流は発生後2時間程度で700万人の人々が暮らす九州のほとんどの地域を焼き尽くしてしまう。
 その後、日本全国で火山灰が降り注ぎ、大阪では50センチ超も降る。1日以内に4000万人もの人が50センチ以上の火山灰の被害に会う。首都圏でも20センチ、青森でも10センチもの火山灰が降る。北海道東部と沖縄を除き、2日で全国の電気、水道、ガスなどのライフラインは完全に停止する。
 この結果、1億2千万人が生活不能に陥る。つまり、被災したのちに亡くなると見られる。復旧や救援が絶望的な状態で、ほとんどが餓死するというシナリオだ。
 巽氏よると、噴火M7の超巨大噴火が今後100年間で起きる確率は0・9%、M8だと0・3%だ。一見少ない数字に見えるが、1995年に大規模な被害をもたらした阪神淡路大震災の30年発生確率が0・02~8%だったことを踏まえると、決して小さい数字ではないと見る。
 さらに、注目するのが「危険値」での比較だ。危険値とは事故や災害がどれだけ切迫しているかを示す指標で、想定死亡者数に年間発生確率をかけて算出される。
 例えば、交通事故では、年間4千人が死亡しているので、想定死亡者数は4千人、年間発生率は交通事故が起きない年はないので100%、危険値は4000だ。同じように計算すると、台風・豪雨災害の危険値は100、水難事故は800となる。危険値の高い交通事故の対策に優先的に取り組むのは合理的な判断となる。
 それでは地震や噴火の危険値はどうか。首都直下地震は危険値900、南海トラフ巨大地震は12800、富士山噴火は14だ。九州で超巨大噴火が起こる危険値は2400。台風・豪雨災害や首都直下地震などの対策よりも優先度は高くなってもおかしくはないが、そうはなっていないのが現状だ。巽氏はこういう。
 「超巨大噴火の危険値は高いにもかかわらず、災害としての認知度は低く、対策もほとんどされていません。超巨大噴火はいつ起きてもおかしくない災害だと見るべき。このままでは日本が消滅しかねません。避難計画や降灰してもライフラインを止めない対策をするなどし、犠牲者を半分に抑えることができれば、日本は消滅せずに残ることができると考えています」
 火山大国である日本のリスクに改めて向き合い直す必要が出てきている。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
 >>【元の記事】富士山より大規模噴火Xデーの可能性が高い16活火山「マグマだまり、兆候ある」と専門家」
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