🐟21〗─2─飼育歴十数年の中国産高青黒牛が日本固有種黒毛和牛を脅かす。~No.87No.88 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本人犯罪者は、日本の酪農家の利益と国益の為に知的財産として規制保護されている日本固有種である黒毛和牛の受精卵などを中国人実業家に不正に売却した。
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 2021年9月24日 MicrosoftNews 新華社通信「山東省の黒牛はいかにして日本の和牛と肩を並べたのか
 © 新華社 山東省の黒牛はいかにして日本の和牛と肩を並べたのか
 山東紐瀾地何牛食品の牛舍で、餌を食べる高青黒牛。(資料写真、済南=新華社配信)
 【新華社済南9月24日】中国山東省高青県には、音楽を聴き、ビールを飲み、柔らかいベッドで眠り、マッサージを受け、最も高い部位の販売価格が1キロ当たり2千元(1元=約17円)を超える黒牛がいる。
 わずか十数年の飼育の歴史しかない高青黒牛は、いかにして日本の和牛と肩を並べるようになったのか。また、設立から6年しか経っていない黒牛企業は、いかにして中国国内の高級肉牛ニューリテールのトップブランドになったのか。
◇高青黒牛の「豊かな」養成
 山東紐瀾地何牛食品にある清潔で整理が行き届いた牛舍の中では、穏やかな音楽が流れ、壮健な黒牛たちが悠然と闊歩したり、静かに休んだりしている。デジタルプラットフォームの「黒牛管家」には、全ての牛の体重や心拍数、体温、歩数などの健康データがリアルタイムで表示されている。
 加工工場では、従業員が牛の部位を慣れた手つきで細かく分割している。デジタル化された生産プロセスによって品質、規格、技術の管理・コントロールが行われている。
 紐瀾地は黒牛の飼育段階における従来の方法を大きく進展させ、科学的な飼育方法を採用し、高級路線を進んでいる。牛が食べている「草の缶詰」はトウモロコシと大麦を蒸して固めたもので、綿実油粕や豆粕などの高タンパク成分を加え、さらにリンゴのカスや酒粕などの「食欲増進剤」を一定量入れることで、黒牛の身に質の高い大理石模様を生じさせている。また、牛にビールも飲ませており、牛舎に置かれ木の桶には牛が飲むビールがあふれている。これは黒牛の消化を助け、霜降り肉の質を向上させるという。牛はマッサージも受けており、全ての牛舎にはふかふかした電動マッサージ器が設置され、黒牛が近づくだけで、マッサージ器が作動する。こうした独特の飼育方法は、紐瀾地牛肉の食感を高めている。
 同社の杜斌(と・ひん)総経理は「(黒牛の肉は)普通の部位でも1キロ当たりの販売価格が100元に上る。高級なロース、リブロース、肩ロースなどの部位は1キロ当たり2千元以上になるので、1頭の黒牛の価値は10万元を超える」と述べた。現在、紐瀾地の牛肉はアリババグループが運営する生鮮スーパー「盒馬鮮生」の25都市約300店舗で販売されており、20カ国・地域グループ(G20杭州サミットや上海協力機構(SCO)青島サミットの食卓にも供されたという。2020年の同社の売り上げは、前年同期の4倍になった。
◇牧場から食卓までデジタル化
 紐瀾地の李震(り・しん)総裁によると、同社はビッグデータを使い、繁殖や飼育、食肉処理、加工、販売などのプロセス全体を一体化して全工程をデジタル・高度化した。川上の生産パークでは飼育を自動化し、川中では食肉処理・コールドチェーン・物流をスマート化。川下のマーケティングではオムニメディア情報化という発展モデルを打ち立て、牧場から食卓に至るデジタル化された管理体系を構築した。
 飼育の段階ではデジタルプラットフォームの「黒牛管家」を使い、黒牛の心拍数や血圧、体温、歩数などのデータをリアルタイムで収集、管理している。牛が出荷・食肉処理された後、分割された肉の部位の名称や規格、保管状態などのデータを正確に記録し、全ての肉が分割されると記録され、これは最終消費財として食卓に上るまで続く。
 販売の段階では、盒馬鮮生のビッグデータを使い、黒牛の受注飼育を行っている。肥育期間における飼料の配合、飼育期間、飼育頭数の全面的な改善と最適化を行い、需要に応じて飼育し、頭数を確保している。紐瀾地はさらに、消費者の需要と消費シナリオに基づいて商品の研究開発を指導しており、盒馬鮮生での1日当たりの商品ごとの売り上げに基づき、牛肉の部位を細かく分割している。
 李氏は「盒馬鮮生に卸している全てのステーキ肉が誰に販売されたかまで把握しており、デジタル農業の駆動力となっている」と話した。
◇デジタル化の影響力
 杜氏は「ブランド化は紐瀾地の最終的なゴールではない。われわれの目標は2~3年以内に上場し、産業全体のより高速度で高次元な発展をけん引することだ」と語った。
 杜氏によると、紐瀾地は現在、年間の食肉処理数が6万頭に達し、産業チェーン全体の年商が約50億元になっている。うち最終消費段階における牛肉の売り上げは今年、8億~10億元に達すると見込まれている。
 生産能力を拡大するため、紐瀾地は高青黒牛10万頭を飼育できる国レベルの近代的農業産業パークの建設に尽力している。また、研究開発、飼育、取引の3点について、インテリジェント化された近代的な飼育基地、飼料加工工場、有機肥料加工工場、デジタル化された全国肉牛取引センターを建設している。
 紐瀾地はさらに、アリババデジタル農業と協力し、山東省淄博市周村区に敷地面積800ムー(約53ヘクタール)の紐瀾地(アリババ)デジタル農業産業センターを建設する予定で、同センターは将来的に淄博におけるデジタル農業のシティーホールになる見込みだ。
 杜氏は、紐瀾地が優れた農業資源を統合し、ハイエンドなプラットフォームと結び付け、優れた農産品のサプライチェーンとエコシステムを構築すると強調。全国に先駆けて肉牛の1〜3次産業が融合した発展モデルパークを建設し、将来的にリゾートや観光、教育、文化などと牧畜業を有機的に融合させ、牧場を観光地に変える計画を示した。」
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 農林水産省
 家畜遺伝資源の管理・保護
 和牛を始めとする我が国の畜産物は世界的にも評価が高まっており、高品質な畜産物の生産を促進する上で、家畜人工授精及び家畜受精卵移植が適切に実施されることが一層重要となっています。しかしながら、平成30年6月、和牛の精液と受精卵の不正な輸出を図る事案が発生し、家畜人工授精用精液等について、知的財産としての価値の保護や流通の適正化が強く求められています。
 このため、第201回国会において、家畜改良増殖法の一部を改正する法律及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律が新たに制定され、これらの法律に基づく新たな仕組みが、令和2年10月1日に施行されました。
 関係者の皆様におかれましては、今回のこれらの法律の制定を契機として、家畜人工授精用精液等の知的財産としての価値の保護や流通の適正化に向けて、御理解と御協力の程どうぞよろしくお願いいたします。
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 黒毛和牛(読み)クロゲワギュウ
 デジタル大辞泉「黒毛和牛」の解説
 和牛の一品種。毛色は黒。元来は役牛(えきぎゅう)であったが、肉質がよく美味なため肉牛として各地で飼育される。神戸牛・松阪牛近江牛米沢牛などはこの種。公正競争規約では黒毛和種という。→和牛
 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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 朝日新聞デジタル>記事「和牛遺伝子は「知的財産」、流出防止へ新法成立 罰則も
 兼田徳幸
 2020年4月17日 18時25分
 牛舎で管理される黒毛和種の牛=福島県
 和牛の精液や受精卵といった遺伝資源を知的財産と位置づけ、流通規制を強化する家畜遺伝資源不正競争防止法と改正家畜改良増殖法が17日の参院本会議で可決、成立した。懸念される海外流出の抑止策として、不正競争防止法には罰則を盛り込んだ。今秋にも施行される。
 長年の改良によって付加価値の高まった遺伝資源を保護するのが狙い。冷凍保存した和牛の受精卵などを中国に不正に持ち出そうとした事件を大阪府警が昨年摘発したが、流出自体を止める法律がなく、適用したのは家畜伝染病予防法の不正輸出などだった。これを機に遺伝資源保護の観点から法整備の議論が進んだ。
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 東洋経済オンライン
 黒毛和牛「A5」は、農家を守るための策だった
 格付け上位の牛肉は「おいしい」のか?
 山本 謙治 : 農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト
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 2016/08/16 6:00
 堂々の黒毛和牛肉! サシのビッシリ入ったA5肉文化の極致だ(著者撮影)
 前回では、日本で肉用に生産されている牛の割合を見ていただいた。肉専用品種の中で黒毛和牛が突出して多く生産されており、それ以外の和牛品種は比率でいえば1%以下と、誤差程度でしか存在していない寡占状況にあることがわかったと思う。
 なぜそのような状況になってしまったのか。
 「それはもちろん、黒毛和牛がいちばんおいしい和牛だからでしょう!?」
 そう思われる人も多いだろう。黒毛和牛は確かに世界で類を見ないおいしさの要素を持つ、優れた和牛だ。しかし日本最大の頭数規模を誇る肉専用種になったのには、もう少し違う意味がある。
 最初に断っておくが、筆者は黒毛和牛も大好きだ。ことにサシの量が適切で、赤身部分にもしっかり味わいと香りがある黒毛和牛は、ほかの品種では味わうことができないおいしさを持っている。
 しかし、嘆かわしいことだが、ちまたにあふれている黒毛和牛の肉の多くは、先に書いた味わいや香りを持たず、おいしいと思えないものが多いのが現状だ。牛肉をめぐる状況が変わらないかぎり、そうしたおいしくない黒毛和牛ばかりが生産される状況が続くだろう。
 その状況を変えるカギになりえるのは消費者の意識だ。そんな問題意識をもって本稿を書いていきたいと思う。
 田畑を耕し荷物を運ぶ「使役牛」から肉用牛へ
 この連載の一覧はこちら
 ご存じだと思うが、もともと日本では牛は食べる用途ではなく、田畑を耕したり、重い荷物を運ぶための使役牛として存在していた。その頃の牛は現在で言えば自動車のような、生活に重要な役割を果たしてくれる存在であり、牛を食べるなんて考えられなかっただろう。筆者も、黒毛和牛の始祖ともいえる但馬牛を生みだした兵庫県美方郡を調査した際、ご高齢の生産者さんから「牛は神様でしたから、食べるなんてとんでもない」という言葉を聞いたことがある。
 神様であった牛が食べるための肉牛に変化するのは文明開化から昭和40年代まで、ゆっくりと時間をかけてである。ただし、農耕や運搬に向いた牛を肉にしても、肉の取れる量は少ないし、筋肉質でおいしくない。そこで明治初期以降、牛を使役にも使いつつ、肉としてもおいしくするための品種改良が始まった。日本にもともといた在来品種に、海外で実績のある外国品種を輸入し、掛け合わせて雑種を作り、肉に向いた品種にしようとしたのである。
 この時期、ずいぶんと品種改良の迷走期があったらしい。というのは、国もいったんは外国種との掛け合わせを奨励したらしいのだが、雑種にすると在来品種よりも大型にはなるものの、そのぶん田畑で働かせるには使いにくく、また肉にしたときもあまり質のよくないものが多かったようだ。
 そこで大正時代に入ると、在来品種の特徴を重視して、足りない要素を外国種などから補おうという方針に変わる。そして1944(昭和19)年、黒毛・褐毛・無角の3品種が和牛として認められ、1957(昭和32)年に短角も追加されて和牛が現在に続く4品種の時代を迎えたのである。
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 +郷土 > 記事一覧 > [コラム]黒毛和牛の歴史は但馬牛の歴史~香美町通信vol.001~
■日本の黒毛和種の歴史は一頭の但馬牛から始まった
 全国の黒毛和種は、一頭の「但馬牛」から始まっているということをご存知でしたか?
平成24年全国和牛登録協会」の調査で、日本の黒毛和種の99.9%が香美町小代(おじろ)区で産まれた「田尻号(たじりごう)」という一頭の牛から受け継がれていったものであると証明されました。
 そもそも、但馬牛(たじまぎゅう)って知ってますか?
 但馬牛と聞くと、「松坂牛、神戸牛、近江牛佐賀牛飛騨牛とかの素牛だよね?」とか「詳しく知らないけど、日本の和牛の原点だよね?」と答えられる方が多いと思います。
これらの回答も正解なのですが、「但馬牛をもっと詳しく知ってもらいたい!」と思い筆を走らせてみることにします。
◇但馬牛とは
 但馬牛は、兵庫県産の黒毛和種のことで、兵庫県が指定する雄牛(県内に12頭)のみを歴代に亘り交配し誕生した牛で、県内で肥育された食用牛が「但馬牛」と呼ばれるものとなります。
 その中から、一定以上の条件をクリア(霜降り度合いや歩留まりなど)した但馬牛のことを「神戸牛」とか「神戸ビーフ」と呼んでいます。つまり、神戸牛は但馬牛の中の一つのブランド(最高級)ということになります。
神戸牛となるには、霜降りという脂分の数値等が基準となっているので、赤身肉の美味しさにも着目されてきた昨今、神戸牛が但馬牛の中の最高牛肉という単純なものではなくなっているのも事実ですが、神戸牛のおかげもあって但馬牛の知名度も上がっています。
◇和牛の歴史、そして品種改良
 ここからは、和牛の歴史を紐解きながら説明していきます。
江戸時代までの日本では、牛は食用としてではなく、農耕用として飼育されていました。それはここ香美町でも同じで、一軒に数頭の牛を飼い、一つの労働力として家族同様に育てられ、共に暮らしてきました。
 時が経ち、明治初期、日本は文明開化とともに牛肉を食べる食文化が広まりました。それと同時に小柄な日本の牛を外国の牛のように体格の良い牛にしようと、品種改良(外国種の雄との交配)が盛んに行われていったのです。
 ところが、これが大失敗。気性が荒く、働かず、病気も多い、そしてなにより肉質がよくないという残念な結果となってしまい、但馬牛も含む和牛の純粋種が絶滅の危機に直面してしまいました。
◇田尻号が「和牛の偉大なる父」と言われる所以
 終戦後、元の和牛を取り戻そうと全国で本格的な取組みが始まりました。が、時すでに遅し。国内には純血の黒毛和種が残っていなかったのです。
 和牛復活を諦めかけていた時、奇跡的に香美町小代区の山深い里(熱田地区)に外国種や他の血統との交配を逃れた純血の但馬牛が4頭残っていることが分かったのです。そこは、標高が700mもある高地で、他の村とも遠く離れていたこともあり、雑種化を逃れることが出来たのです。これが、一度は消えてしまったかに思われた黒毛和種を復活させる大きな要因となりました。まさに「小代の地理的要因が生んだ奇跡」と言えるでしょう。
 そして、残った4頭の内の1頭の子孫として生まれたのが「和牛の偉大なる父」と言われる「田尻号(雄牛)」です。田尻号は、肉質のよい強い遺伝子をもった種牛で、当時はまだ凍結精液などなかった自然交配の時代、なんと生涯で約1500頭もの子孫を残しました。この田尻号のDNAが、今の黒毛和種の99.9%のルーツとなっているのです。
 「奇跡の4頭」と呼ばれるこの牛たち。そして「田尻号」。この牛たちがいなかったら、現在世界中に広がる「和牛」は存在していなかったでしょう。
◇最後に
 現在に至るまで、全国に広まった「田尻号」の遺伝子は各地で改良を重ねられ、ブランド牛となっています。現在も、あの有名な「松阪牛」のほとんどは、但馬牛の子牛を購入し育てられたものです。本家である香美町でも、独自の改良を重ね、他の和牛よりも融点が低くサラサラであっさりとした旨味の牛肉を生み出すなど、現在の神戸牛の発展を支えています。
 そんな歴史と伝統のある但馬牛を使ったローストビーフ(神戸牛の基準をクリアしたもの)が、ワールドワンの展開する山陰隠岐の島ワールド2店舗で提供されています。
是非、ご賞味ください。 (文:香美町役場神戸営業所 今井和希)
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 ウィキペディア
 黒毛和種(くろげわしゅ、英語:Japanese Black)は、牛の品種の一つであり、肉牛として飼育される。和牛の一種。
 歴史
 田尻松蔵と但馬牛の「ふくえ」号(名牛「田尻」号の母牛)
 明治33年(1900年)から在来種の改良の為に輸入した各種の欧州系が交雑されたが、各県によってばらばらであり、島根県ではデボン種、兵庫県鳥取県ではブラウンスイス種といった具合で、体型・体格ともまちまちであった。旧国名を付けて千屋牛、因伯牛、阿哲牛、但馬牛などと称した。大正元年(1912年)改良和種と総称されたが、この変異をなくし、農業経営に最適の役肉兼用種として統一目標の下で改良が進められ、中国和牛研究会にて大正8年(1919年)から大正10年(1921年)にかけて統一された標準体型も作られた。
 黒毛和種と名称が決定したのは昭和19年(1944年)の事である。第二次世界大戦後、役用が廃れたので1950年代から肉用としての改良が進み、昭和37年(1962年)に最初の審査基準が改定、その後何度かの改訂を経て現在に至る。現在の黒毛和種の大半は、兵庫県美方郡香美町小代区但馬国)で生まれた種牡牛「田尻」号の子孫である。神戸牛や松阪牛近江牛もこの種の系統である。
 日本国内で飼育されている和牛の95%がこの品種で、その中でも薩摩で古くから飼われてきた在来種を畜産試験場で改良を重ね、昭和61年(1986年)に発足した鹿児島黒牛黒豚銘柄販売促進協議会により誕生し、平成9年に商標登録されたブランドで、平成29年(2017年)9月に宮城県で開催された第11回全国和牛能力共進会において、9つの区分のうち4つの区分で1席を受賞し、団体総合優勝で日本一を獲得した『鹿児島黒牛』で知られる鹿児島県は、平成28年(2016年)時点で黒毛和種の生産量が全国の約19%を占め日本一であり、肉質の最高ランクにあたる「5等級」の出現率も全体の4割を超えている。
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 和牛(わぎゅう)は、明治時代以前からの日本在来の牛をもとに、日本国外の品種の牛と交配して作られた品種群である。具体的には黒毛和種褐毛和種日本短角種無角和種の4品種を指す。1976年に米国コロラド州で研究目的に連れてかれた和牛たちの精子と胚が他の国々に流出し、オーストラリアやアメリカで他品種と掛け合わせた混合牛が和牛として日本産よりも多く出回っているため、 日本政府は区別するために公式認定を行っている。
 歴史
 江戸時代の日本在来牛
 日本には古代から牛が導入され、千数百年にわたり広く利用されてきた。系統的には北方系の亜種タウロス (Bos tauros tauros) で、インド系のゼブ牛の血統は入っていない。
 鎌倉時代には『国牛十図』が書かれ、品種とまではいかないが、産地による牛の特徴の違いが意識されていた。
 江戸時代の中国地方では、積極的に近親交配させて作り出した系統が「蔓」と呼ばれ、優れた蔓の牛が高い値で取り引きされた。肉食が忌まれ、牛乳利用が広まらなかった日本では、牛は基本的にみな役牛であったので、この時代の優れた牛とは、健康で人の言うことをよく聞いて働く牛である。
 改良和種と和牛
 ふつう和牛という場合には、明治時代以降に国外から導入した品種と在来種とを交配して作られた品種を指す。明治政府は欧米から優れた性質の牛を輸入し、それを在来の牛と交配させて増やすことで、日本の牛を改良しようとした。その多くは乳肉兼用の品種で、明治になって生まれた新しい需要に対応させるものである。しかし多くの農家が牛に期待するのは役用で、その観点でははっきりした効果が得られなかった。
 1912年から、生まれた牛の性質を見極めて優れた牛を増やしていく、という組織だった品種改良がはじまった。ベースとなったのはその時に各地で飼われていた日本牛だが、既に外国牛の血が相当に入り込んでいたので、純粋な日本在来牛ではない。そこでこれを「改良和種」と名付けた。改良の目標は役肉両用である。成果が上がって集団としてまとまった性質が見えるようになった1944年に、黒毛和種褐毛和種無角和種の3品種に区別し、総称して「和牛」と呼んだ。1957年に日本短角種が追加され、4品種からなる和牛が成立した。
 品種改良の過程では、純粋な在来牛を残そうという考えはなかった。日本の牛は外国品種との交雑種になり、純粋な在来種は偶然的な事情で2つの島に生き残った。山口県萩市の見島牛、鹿児島県十島村口之島牛である。見島牛は国の天然記念物に指定されている。
 高級肉牛としての和牛
 役牛の仕事は主に耕作と運搬であったが、20世紀後半にトラクターとトラックに完全にとって代わられた。高まる牛乳消費に応じるためには、乳量が多い外国産のホルスタイン種が飼われており、和牛の出番はなかった。そのため、1960年代に和牛の飼育目的は役肉兼用から肉専用に切り替わっていった。
 日本在来種とその性質を引き継ぐ和牛は、肥育すると筋肉に脂肪が混ざりやすい。そのような特徴は、牛自身にとっても過去の日本人にとっても有利なものではなかったが、肉食が広まると、他品種の牛肉では得られない柔らかさとうまみにつながることが認められた。役畜としての役割がなくなると、脂肪交雑が多い肉を生産するための和牛飼養と品種改良が進められた。特に、1991年に牛肉の輸入が自由化されると、中途半端な安さでは外国産牛肉に対抗できなくなり、脂肪交雑しやすい黒毛和種を高品質・高価格で生産する傾向が強まった。
 高級牛肉としての和牛の輸出は、1990年代にはじまったが、2000年に発生した牛海綿状脳症 (BSE) のため各国から輸入が禁止され、一時途絶した。2012年にアメリカ、2013年にEU輸入禁止が解かれてから、輸出数量・金額ともに拡大している。2017年には台湾で輸入禁止が解かれ、和牛輸入ブームが起きた。中国は2017年現在も輸入を禁止しているが、カンボジアから迂回輸入している可能性が指摘される。
 2003年12月にはアメリカでもBSEが発生したことにより米国産牛肉の輸入禁止措置が取られたことで、一部では米国産牛肉よりも高価なことを承知で和牛に切り替える動きも見られた。例えば吉野家は過去の経緯などから米国産牛肉の使用に固執してきたが、BSE問題後も創業店として特別な位置付けがされてきた築地店や、出店契約や他店との兼ね合い等から代替メニューを提供できない公営競技場内の店舗では、並盛500円、大盛650円への値上げを行った上で和牛に切り替えて販売を継続していた。
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和牛とは何か 明治以降に品種改良した肉専用種
 有料会員記事
 2020年4月1日 10時02分
 追跡メイドインジャパン和牛編 もっと知る①
 「和牛」とは、明治以降に、日本の在来種に外来種を交配して品種改良した肉専用種だ。「黒毛和種」「褐毛和種(あかうし)」「日本短角種」「無角和種」の4品種がいるが、黒毛がほとんどだ。
 この4品種の純血種、あるいは4品種どうしの交雑種のみが「和牛」と呼ばれる。
 また日本国内で生まれ、国内で育てられていることも条件となる。2018年の生産量は約14万9千トンになる。
 一方、生まれてから一番長い期間日本で育てられた牛であれば、外国生まれでも「国産牛」を名乗ることはできる。
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 あなたの静岡新聞
 和牛って、国産牛のことじゃないの?【まいどなニュース】
 2020.5.26
 「和牛と国産牛は同じじゃないの?どう違うの?」という疑問が、神戸新聞が運営するサイト「まいどなニュース」に寄せられた。違いそうなことはなんとなく分かっていても、具体的にどう違うのか。大阪市内で食肉業を営む森田真規さんにお話を伺った。森田さんは全国食肉検定委員会が実施する「お肉検定」で「お肉博士1級」を取得している、お肉のエキスパートだ。
 「国産牛」と「和牛」の定義
 「おおまかにいうと、日本で和牛と呼ばれているのは一般的に黒毛和牛のことです」と前置きしたうえで、「日本国産の牛には黒毛和牛、ホルスタイン牛、ジャージー牛などいろいろありまして、和牛(黒毛和牛)も国産牛のひとつです」という。
 では「国産牛」と「和牛」の違いは何なのだろう?(神戸新聞まいどなニュース特約・平藤清刀)
■「国産牛」とは
 「日本国内で産出(屠殺、精肉)された牛肉は全て“国産牛肉”と表記され販売されます。ですから香り高く肉質が良く価格の高い黒毛和牛も、リーズナブルなホルスタイン牛も、ひとまとめに国産牛なのです」と森田さん。どうも国産牛とは、牛の原産地を表していそうだ。
 海外で産まれた牛も日本国内で育てると日本国産牛となるが、肥育期間の半分を日本で育てることが条件だという。食肉牛の肥育期間はだいたい30カ月前後なので、最低15カ月を日本で肥育すると「国産牛」と呼べるわけだ。
■「和牛」とは
 森田さんによると「日本で和牛と呼ばれているのは黒毛和牛、褐色和牛、無角和牛、短角牛の4種類で、このうち一般的には黒毛和牛のことを指して和牛と呼んでいることが多いと思われます」とのこと。つまり、和牛とは国内で産出された牛のうち、限定された品種のことをあらわすようだ。
 余談ながら、和牛を海外で売るときは、アルファベットで「WAGYU」と表示できないそうだ。
 「オーストラリアが“WAGYU”の登録商標を、日本より先に申請してしまいました。そのため日本の黒毛和牛を“WAGYU”と表記できないので、たとえば“KOBE beef”という銘柄でブランディングされています」
   ◇   ◇
 スーパーなどでパック売りされる場合の、表示の違いも法律ではっきり区別されている。
 「食品衛生法食品表示で明確に違いがありまして、黒毛和牛の表示は黒毛和牛にのみ許されます」
 たとえば「ドコドコ産黒毛和牛」とか、銘柄で「ナントカ牛」というように表示される。
 一方「国産牛」と表示されている多くの牛は、だいたいが国産交雑牛でホルスタイン(乳牛)と黒毛和牛のハイブリッド(交雑)種。価格も黒毛和牛と比べるとリーズナブルだが、味と香りはホルスタイン牛と比べるとかなり黒毛和牛寄りだという。
 しかし「国産牛と表示されて販売されている肉の中には、ホルスタイン牛や黒毛和牛の経産牛などもあって、値段は安いけれど 味や香りが劣るものもあります」という。
 ところで、世界ではさまざまな種類の牛が、牛肉として食されている。アメリカ、オーストラリアで食されているアンガス種、ヨーロッパで食されているヘレフォード種は、黒毛和牛種と比べると赤身よりだ。和牛には「高級」というイメージがあるけれども、その背景には何があるのだろうか。
 「黒毛和牛種の味・柔らかさ・和牛香が他の種にはない独特さで、長く日本国内でしか食べられていませんでした。それが需要の高まりとともに価格が高騰し、高級なイメージへと繋がったと考えられます」
   ◇   ◇
 最後に、お肉のお得な選び方を伺ってみた。
 「ひとくちに国産牛といっても、ピンからキリまであります。黒毛和牛とホルスタイン牛(乳牛)のハイブリッドという国産牛がオススメです。味・香りとも黒毛和牛に近く、早く大きく育つホルスタイン牛の特性を兼ねそなえています。価格は黒毛和牛の半分―3分の2ぐらいです」(まいどなニュース「どなどな探検隊」2020年5月10日掲載)
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私の牛がハンバーガーになるまで: 牛肉と食文化をめぐる、ある真実の物語
和牛の一歩ずつ、一歩ずつ。