🌀18〗─3─新型コロナ感染拡大で地方創生や地方回帰ではなく地方消滅元年となる。~No.133No.134 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 武漢肺炎(新型コロナウイルス)が、人と人との繋がり絆をズタズタに切断し、日本人の心に癒やされる事のない傷を刻み決して消える事のない深い闇をつくった。
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 現代日本は、少子高齢化による人口激減で消滅する地方を救えない。
 人口が増える地域があれば、人口が減る地域がある。
 人口を増やす事は、人口が減っている地域から人口を奪う事である。
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 2021年9月2日号 週刊新潮「脱『東京一極集中』のはずが・・・
 今年は『地方消滅元年』
 テレワークが東京から地方への移住を後押しし、地域の活性化にもつながると考えた人たちは、とんだ見込み違いであった。いまも地方の人口は減り続け、このコロナ禍で人的交流をせき止めようとしたが、更なる事態の悪化を招いた。もはや打つ手はないのか。
 河合雅司
 コロナ禍で感染者の多い東京都から『脱出』する人が増え、地方回帰が進む──。こうした予想が少なくなかったが、蓋を開けてみれば全くの見当違いであった。相変わず東京への人の流れは続き、むしろ地方の人口が減少する結果となっている。
 なぜ、こうも見立てに狂いが生じたのだろうか。そこには3つの勘違いがあった。1つ目の勘違いは、各種アンケート調査において、地方移住に対する関心の高まりがみられたことを鵜呑みにしたことだ。
 内閣府の『第3回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』を例にとると、東京圏に住む人を対象として2021年4~5月に実施された調査では、地方移住について『強う関心がある』と『関心がある』の合計で14.2%に上った。『やや関心がある』を含めれば33.2%である。東京23区に住む人に限れば38.1%と4割近い。
 しかしながら、関心を持つことと、実際に行動に移すこととは別である。いざ自分が行うとなると、煩雑(はんざつ)さや『地方暮らしのリアル』に腰が引ける人が少なくない。移住して1年足らずで都市に舞い戻る人も多いのだ。
 2つ目は、こうしたアンケート調査結果とも密接に絡むが、テレワークの普及が地方移住の背中を押すとの期待感だ。
 前出の内閣府の調査でも地方移住に関心を抱いた理由の第2位は『テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため』(25.4%)であった。だが、テレワークに馴染む仕事ばかりではない。夫婦のどちらかがテレワークできない職種の場合にも地方移住とはならない。テレワークに移行したとしても、多くの人は出社が完全になくなったわけではなかった。子育ての中の世帯の場合、子供に転校を求めざるを得なくなるため断念した人もいた。
 3つ目は、コロナ禍にあって東京都の人口が減少に転じたことが、いつの間にか『感染を回避するため東京脱出者が増えた』と曲解されたことがある。東京都総務局統計部によれば、2020年4月の実態をとらえた5月1日現在人口(推計・補正後)お1,408万9,945人をピークとして、その後は概ね減少傾向が続いたがこれは外国人の減少や自然減少による影響もあってのことだった。
 総務省住民基本台帳人口移動報告で2020年の全国の人の動きを確認してみると、『東京脱出』どころか、他の道府県からひっこして来る人のほうが多い『転入超過』だった。その数は全国最多の3万1,125人だ。むしろ、39道府県が『転出超過』となっていた。
 東京都が転入超過となったのは感染がさほど拡大していなかった1~4月の〝貯金〟が貢献したことだけではない。『2020年度』として見ても7,537人の転入超過であった。
 10代後半から20代の若者たち、とりわけ女性の流入の勢いが転入超過を押し上げたのである。最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月の転入超過数を男女別に見ると、女性が男性の3.5倍だ。いずれも前年同月よりは減ったが、男性が約80%低下したのに対し、女性は約57%の低下にとどまった。
 4月と言えば就職による引っ越しシーズンだ。地方には若い女性が希望する就職先が少ない。東京都の感染リスクの高さを気に掛けながらも、簡単に就職先を変更できなかったことがあったとみられる。
 その後も、女性の上京の勢いが男性に勝っていた。5月は男女とも転出超過となったが、女性は男性の4分の1の水準にとどまった。緊急事態宣言が解除されて男女とも再び転入超過に戻った6月は、女性が男性の2.8倍であった。7~12月は転出超過だったが、どの月も男性の転出超過数が多かった。男性のほうが前年に比べて地元に残る人が多く、女性は上京する人、東京に残る人が多かったということである。Uターンするにしても、男性のほうが地元で就職先が見つけやすく、テレワークに対応できる仕事に就いている割合も高かったという事情もあるとみられる。
 地方回帰はまぼろし
 『地方回帰』が大きな流れになっていないことは、人口動態のデータでも明確だ。厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)によれば、2020年の自然減少幅は過去最大の53万1,816人となったが、状況は地方ほど深刻であった。
 人口1,000人あたりの増減率で、最も下落したのは秋田県の11.5%減だ。続いて青森県(9.0%減)、岩手県(8.7%減)、山形県高知県(8.6%減)など、すでに人口減少に悩む県で進行していた。
 ……
 政府は東京一極集中の是正の具体策として、政令指定都市や県庁所在地などをダムに見立て、地方から東京への人口流出の〝歯止め役〟として期待をかけてきたが、こうした『ダム機能』がうまく行っていないことも明らかになった。政令指定都市のうち神戸、京都、北九州、堺、浜松、新潟、熊本、静岡の8市で人口が減ったのである。中でも新潟市は2.5%減、北九州は2.3減と大幅に落ち込んだ。
 全国の自治体の約半数が5%以上の人口を減らし、政令指定都市でも人口減少が広がり始めているという結果は、出生数を死亡数が上回る『自然減少』と、東京圏などへの流出が同時に進んでいることを物語っている。
 都内から隣接3県へ
 しかしながら、コロナ禍が東京都の姿を全く変えなかったかと言えば、そうでもない。住民基本台帳人口移動報告によれば、2020年の転出超過数3万1,125人は、2019年の8万2,982人と比べると62.5%もの大幅減だ。46道府県のすべてで東京都への転出者数が減っている。
 コロナ禍は東京一極集中の流れを止められなかったものの、東京都が地方から人を集める力を格段に弱らせたことは間違いがない。
 もう一つ大きな変化は、地方回帰こそ進まなかったものの、例年に比べて東京都を離れた人が増大したことである。9月は前年同月比12.5%、10月は10.6%、11月は19.3%、12月は17.1%増だ。年間トータルでも前年比4.7%増えた。東京都からの転出者40万1,805人というのも全国トップである。
 地方回帰は進まず、しかしながら東京からの転出者が増えたというのでは辻褄が合わないが、人々は一体どこへと向かったのだろうか。
 答えは簡単だ。隣接する3県である。住民基本台帳人口移動報告は、東京都から埼玉県へ7万4,659人、神奈川県へ9万1,869人、千葉県へ5万6,186人としている。東京都内でも23区から都内の郊外へと引っ越す動きも強まった。東京都総務局統計部によれば、三鷹市調布市といった都心へのアクセスの良い多摩地区東部の自治体が軒並み人口増加となった。多くの人々は、生活圏が根底から崩れることのない東京圏(1都3県)の中で移動していたのである。
 ……
 東京都から隣接県への引っ越しを押し上げたのは30代前半だ。
 ……
 これには2つの理由が考えられる。1つは、先に触れた通勤とテレワークの『ハイブリッド型勤務』に対応し易かったことだ。
 ……
 もう1つは、コロナ不況で給与カットやボーナス削減などの収入の減った人々が、住宅コストの高い都市部や駅近物件に住んでいられなくなったことである。
 ……
 こうした人々にはテレワークに切り替えられない仕事の人も多い。通勤可能エリアの中で、東京都よりは住宅費を抑える場所を選んだということである。
 他方、『地方回帰』が進まなかったのは、地方側にも原因があった。新型コロナウイルスの感染者増加を警戒するあまり、他地域との交流を過度に制限したことの影響である。
 他県ナンバーの車を傷つけるような犯罪行為は論外だが、大都市圏からの訪問者を過度に恐れ、自県出身者にも帰省を控えるよう呼びかけた自治体が少なくなかった。東京圏への出張から戻った人に2週間の自主隔離を独自ルートとして設けたり、自治体が音頭を取る形で他県客の飲食店の利用を制限したりするところもあった。その大半は科学的な根拠は乏しく、『都会に住む人=感染者』と決めつけんばかりの差別的対応である。疑問を持つ住民も多かったのだろうが、地域社会の目を気にして『仕方ないこと』とされていった。
 これらは『県民を感染から守る』という考えのもとに行われたことだが、同時に自ら地域経済の疲弊を加速させることとなった。
 里帰り出産拒否が拍車を
 地域経済の疲弊ぶりは、総務省の家計調査からも浮かび上がる。コロナ不況は産業によってダメージの深刻さが大きく異なる『K字型』と言われるが、それは大都市部と地方にもあてはまるのだ。
 ……
 ただでさえ地元で就きたい仕事が見つからずに都会へ出ていく若者が後を絶たないのに、経済情勢をさらに悪化させたのではUターンや地方移住を検討しようにも二の足を踏む人が増えよう。
 実は、こうした地方の閉鎖性は、かねて若者の都会流出を捉す〝隠れた要因〟とされてきた。……地域に残る〝時代遅れ〟の因習に反発して地方を飛び出す若者は少なくないのだ。
 コロナ禍が炙り出した地域の閉鎖的な姿勢は、地域経済の疲弊による雇用機会の喪失を招くだけでなく、地方移住の気持ちを萎えさせ、地元の若者の流出をさらに加速させる可能性もあるということだ。
 閉鎖性の中でも極めつきだったのが、里帰り出産の〝拒絶〟だ。……
 それは、このような閉鎖的地域で将来にわたって出生数が減り、人口減少が加速していくということを意味する。そうでなくても、コロナ禍の影響で2021年以降の年間出生数は激減が予測される。
 テレワークの普及を念頭に、『転職なき移住』の拡大が地方創生の起爆剤になると期待する地方自治体は少なくないが、『地方回帰』どころか2021年は〝地方消滅元年〟とさえなりかねないのである。
 閉鎖的対応に旗を振った地方自治体は、感染拡大の抑制に成功するかもしれないが、それと引き換えに支払う代償は計り知れない。
 多くの自治体では移住者に暫定的な家賃補助や住宅の無償提供などを行っているが、コロナ禍でさえ東京一極集中を是正する動きにつながらなかったのである。菅義偉内閣は『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太方針)で『活力ある地方創り』を新たな成長の源泉の4本柱の一つに掲げたが、むなしく響く。
 デルタ株による感染爆発で、各地にさらなる閉鎖的な動きが広まったのが、人口減少で取り返しのつかない状況へと陥る前に『Withコロナ』へと発想を切り替える必要がある。」
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地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)
地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)
地方消滅と東京老化 日本を再生する8つの提言
人口減少社会のデザイン
日本の地方議会 都市のジレンマ、消滅危機の町村 (中公新書)
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 日本の各種アンケート調査で、行動統計調査は役立つが、意識調査は参考になっても余り役に立たない。
 意識調査は建前に過ぎず、本音と捉える事は大きな間違いである。
 現代日本人は、意識調査を信じ掘り起こしが可能と考えるが、しょせん「取らぬ狸の皮算用」で失敗を続ける。
 つまり、地方創生の大半が失敗し、ごく一部の成功例を誇大に膨らまして報じて日本人の目を曇らせ嘘で塗り固めて深刻な現実を隠している。
 つまり、誰かが衰退・滅びへのハーメルンの笛を吹いている。
 それは誰か、政治家・官僚・学者そしてメディアである。
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 日本人は惻隠の情を持ち心優しくお互いが助け合う、はウソである。
 その証拠が、心の奥底に隠していた醜悪・穢れを曝け出した同調圧力、自粛警察、マスク警察そして昔ながらの地域差別(同和差別、福島差別、アイヌ差別)である。
 日本人とは、親鸞が言ったように善男善女ではなく「悪人」である。
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