🍘15〗ー1ーコロナ禍。武漢ウイルスと地球温暖化が食料自給率の低い日本の死活問題。~No.47No.48No.49 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 食料自給率の低い日本は、物資・エネルギーそして食糧を海外に依存し、アメリカ国内とアメリカの影響下にある国と地域から必要な量を輸入している。
 最近では、安価な中国産農産物・加工食品の輸入量が激増し、手頃な値段で市場に大量に流通している。
 賢い日本人消費者は、同じ食べ物で安全性が保障されるなら、国内農家が作る高価な国産食材より国外農家が作る安価な外国産食材を買う。
 価格競争では、日本人農家はかなわない。
 日本農業は、日本人農家では維持できなくなっている。
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 2020年9月21日 読売新聞「世界を読む
 食糧難深刻化
 農業開発 
 寡占防ぐ必要
 渡辺博史
 全世界的に食料需給の逼迫が深刻化しつつある。
 無論、我々が直面する新型コロナウイルスの感染拡大によって食料問題が起きたわけではないが、厳しい状況を加速化させている面は否まない。
 世界食糧計画(WFP)の推計では、コロナ禍による経済停滞で、最低限の食料の入手さえ困難になる人が今年は倍増し、2億7,000万人に上るという。
 今後、大幅な人口増が予想されるアフリカなどへの食料供給をどう確保するかを含め、将来に向けて考えるべき課題は多い。
 食料需要が伸びる要因」は人口増加だけではない。特に低所得者層では、一人当たりの所得が伸びると食事の消費量が急速に増加する傾向がある。トウモロコシや麦を直接食べずに、食肉牛の飼育に使えば、より多くの食料を擁する。
 人口増だけなら何とか対応できるという見方もあったが、食料不足を招く諸要因が同時かつ急速に進行している。こうした厳しい認識のもと、国際機関や各国で食料問題に関する様々な検討が進められている。
 見た目にも食感も肉のような大豆製品や、ミドリムシユーグレナ)を使った食品、『昆虫食』の活用など将来の食料難を見据えた動きが盛んになってきた。
 SFでは『カプセル数錠で食事は終わり』という世界も描かれているが、カプセルの中に入れる成分の生産はやはり必要である。
 対応策は多岐にわたる。ただここでは、①生産の増強と適正な配分貯蔵、②搬送施設の整備③食物ロスの削減──の3点に絞って論じていこう。
 第1に重要なのは、生産の増強だ。特にアフリカの著しい人口増加を念頭に置けば、数の限られた未利用河川を使った農業開発を促進しなければならない。
 具体的には、南東部のザンビアを源流に、モザンビークからインド洋に注ぐザンベジ川の豊かな水の有効利用が挙げられる。この地域で水稲栽培が適しているのなら、増産に向けて資金提供や技術協力を国際的に展開したい。日本が貢献できる分野は多いだろう。
 限られた希少資源である農地や水を、一部の企業や国に独占、寡占にさせてはならない。その防止策について、真剣に世界的な議論を行うべきだ。
 現状では、公正取引に関する規制を担う国際的な組織がないため、生産、流通の寡占化を阻むことは難しい。早急に、オープンな開発計画や作物の分配計画を作っておく必要がある。
 日本政府は、国内の耕地をあえて使わない減反政策を、長年続けてきた。農業を国内問題としてだけ捉えればあり得る選択肢だろうが、世界の食料問題が深刻化する中で、グローバルな視点から見れば、違和感は拭えない。
 しかも半世紀近く続けたことで農家の自主性をそぎ、生産力を低下させた。必ずしも正しい判断だったとは言えまい。
 さらに、農業振興策として、高品質、高付加価値の国産農産物の輸出にこだわり過ぎてはいないか疑問がある。日本農業は積極的に海外進出し、現地向けの穀物などの生産や増産の支援に動き出してはどうか。
 米作の将来について懐疑的な見方もある。確かに小麦で作ったパンに慣れた人の中には、米粉のパンは口に合わないという人もいるに違いない。
 しかし、慢性的な食料不足に直面している人々は、米粉で作った麺やパンを拒んだりしないはずだ。
 家庭の経済的な困窮などの理由で食事が十分にとれない児童には、無償で食事を提供しようという動きが広がっている。こうした取り組みを国境を超えて展開していくべきだ。
 『国内でも十分に出来ていないのに、他国に手を広げる必要はない』という意見もあろう。だが、国際的なつながりは急速に緊密さを増している。『隣国での餓死』を、より身近な問題として受け止める必要性は高まっていくだろう。
 飢餓に直面している人々は、疾病の拡散防止への対応を十分取れなくなりがちだ。こうした地域で感染が長期化し、広域化を招く恐れがある。飢餓とそれに付け込む過激な『思想』による煽動によって、国際的なテロ行為にはしる者も、残念ながら増えている。
 これらの構造的な問題を踏まえ、国境を超えて安全な生活環境を維持するにはどうすればいいのか、考える時期に来ている。
 次に、第2の課題である流通・加工の段階でのロス縮減について考えたい。
 供給不足は、生産不足だけではなく、流通の不備からも起こる。アフリカなどでは、生産した穀物などの1割以上が、貯蔵や搬送施設の未整備が原因で消費地にたどり着く途上で失われているという。
 貯蔵整備や、搬送のための道路、鉄道、港湾の整備は依然として必要であり、こうしたインフラ(社会基盤)整備に使われる資金が大幅に不足している現況は放置できない。
 今回のコロナ禍では、牛肉生産大国である米国でさえ大都市園での肉の供給不足が生じた。食肉加工場の作業員が新型コロナウイルスに感染したことにより、操業が滞ったのだ。今後、国境での食物検疫や衛生管理が強化されると、流通量の縮減や供給スピードの低下などが生じる恐れもある。
 こうした状況に対処するには、極めて大規模な食料の『地産地消』を実現させる環境整備が必要なのではないか。これは1億人を超える『人口大国』なのに、食料自給率が低い日本にとって中期的な死活問題と言えるだろう。
 消費段階における食品ロス(フードロス)の大幅削減の問題が大きく取り上げられているのは、喜ばしいことだ。公益社団法人『ACジャパン』によると、日本は現在、年643万トンの食品ロスを発生させている。これは、一人当たり1日1個の『おむすび』に相当する。毎日約1億個の『おむすび』にあたる食品がむだになっているのだ。
 全て予約制にして、食品廃棄をゼロにする取り組みを始めた社員食堂もある。飲食業者全てが直ちに予約制に移行するのは簡単ではないが。だが、食品ロスを減らすため、人工知能(AI)などを積極的に活用すべきだ。供給手法の改善や保存方法の高度化など、急がねばならないことは多い。
 大量の食品ロスを排出してきたコンビニストア・チェーンが、削減運動をリードしようとしていることは評価してよい。
 『食べる』という人類の基本的営為を、大きな軋(きし)みをもたらさず続けていく。その方策について、もっと皆が知恵を絞るべきだ。」
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