💫10}─2─ホモ・サピエンスが生き残れたのは他人に親切する利他行動であった。〜No.78 

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 利他行動とは、自分以外の他者へのやさしさと共感である。
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 2020年3月13日号 週刊朝日「パテカルトの万脳薬  池谷裕二
 親切にするとストレスに強くなる
 手助けせずにおられない人は、親切をするたびにうれしくてたまらず、そのうれしさが生きがいになっているのです(ヘレン・ケラー
 不思議なものです。人は完全に私利私欲に埋もれ切ることは難しく、しばしば他人のために働きます。
 時間や賃金や食料などの自分の資源を犠牲にして他人を助けるのです。こうした利他的な行動は『美しき行(おこな)い』として称賛されますが、ヘレン・ケラーが言うように、当人にとっても、なぜか快感が伴います。『よいことをした』と自認するだけで気分がよいのです。
 他利的な助け合いは人と人の結びつきを強めます。協力や共有を促し、たとえば食糧難や自然災害のときには、皆で一緒に生き延びる確率を高めてくれます。個人の利他行動が社会を安定化させるのです。同時に、当人にもプラスの反作用が戻ってきます。
 影響は気分だけにとどまりません。利他的な行動をとるとストレスに強くなります。有名な実験の一つに、カリフォルニア大学のアイゼンバーガー博士らの研究があります。人々を二つのグリープに分け、片方には友人を手助けすることを、もう一方には通勤路を紙に書いてもらいました。その後、人前でスピーチさせたり数学問題を解かせたりとストレスを与え、血圧や心拍数や唾液成分を測定して自律神経の反応を調べました。他利的な内容を書いたグループでは、ストレスに対する耐性ができ、自律神経の反応が抑えられていました。つまり、人のために働こうとするとき、ストレスをストレスと感じなくなるのです。
 ボランティアに参加するとうつ傾向が軽減することが知られています。長く参加すればするほど効果が強まります。他利行動は、人に感謝されて自己評価が高まるだけでなく、気分が前向きになることで、さらに利他行動に励むように導かれる。そんな正のスパイラル構造になっているようです。
 北京大学の謝暁非博士は、この流れをくみます。なんと『利他には鎮痛効果もある』というのです。最新の研究が今年1月の『米国科学アカデミー紀要』誌に発表されました。
 たとえば、児童の写真。この子が気の毒な孤児であることを証明し、募金するかどうかを聞きます。その後、強い電気刺激を手に与えました。すると募金したほうが、しなかったときに比べ、同じ刺激であっても、あまり痛みを感じないことがわかりました。
 博士らは他にも様々な実験をしています。もっとも身近な例は採血です。血液検査の採血より、献血のときのほうが、より太い注射に耐えられません。
 謝博士らはfMRIを用いて脳の反応も調べています。痛みを感じるときには島皮質が活性化しますが、利他的な行動をとると、島皮質の活動が減ります。どうやら腹内側前頭前野の活動が島皮質の活動を抑え込んでいるようです。自分がいま行っている行動が意味深い利他行動であると確信していればいるほど腹内側前頭前野が活性化し、島皮質のブレーキが強まりました。
 謝博士らは、利他で痛覚が軽減する現象を『自身の資源が減ることの心痛を制御して利他心理を後押しする』と推測します。おそらく、これが利他の正のスパイラルの駆動力となるのでしょう。ヘレン・ケラーの言う『手助けせずにおられない人』とは、島皮質のブレーキがよく利く人なのかもしれません」
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 血縁的絆小集団のネアンデルタール人は絶滅し、ホモ・サピエンスの宗教的団結大集団は生き残った。
 弱い、非力、脆弱、貧弱な生き物は、強者・捕食者から生き残る為に群れを作り、より大きな集団となり、仲間同士で助け合い・庇い合いながら行動していた。
 ホモ・サピエンスは、身体能力ではネアンデルタール人に敵わなかった為に知恵を働かせ道具を作り、弱肉強食の生存競争を生き残った。
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 ホモ・サピエンスの集団における団結力や仲間意識の強さの源泉は宗教にあった。
 その宗教とは、自然宗教として大地母神崇拝、精霊崇拝、巨石・巨木崇拝などである。
 特定の神に対する確固たる信仰ではなく、対象に対する何となくの崇拝であった。
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